『妖怪博士』江戸川乱歩32

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少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7314 7.4 97.8% 570.1 4263 93 95 2024/10/07
2 みき 6106 A++ 6.3 96.8% 680.1 4293 140 95 2024/09/14

関連タイピング

問題文

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(「ああ、きみがつれてきてくださったのですか。)

「ああ、きみが連れて来てくださったのですか。

(ありがとう、ありがとう。うちではおおさわぎをして)

ありがとう、ありがとう。うちでは大騒ぎをして

(いましてね。いまでんわで、けいさつへそうさくをねがおうと)

いましてね。いま電話で、警察へ捜索を願おうと

(おもっていたところですよ。まあ、こちらへ、おはいり)

思っていたところですよ。 まあ、こちらへ、お入り

(ください。いろいろおききしたいこともあるし、おれいも)

ください。色々お聞きしたいこともあるし、お礼も

(もうしあげたいし、たちばなしもなんだから。ね、きみ、)

申し上げたいし、立ち話もなんだから。ね、きみ、

(ちょっとこちらへはいってください」こいずみくんはおんなのこを)

ちょっとこちらへ入ってください」 小泉君は女の子を

(おくりとどけてしまったら、もうようじはないのですから、)

送り届けてしまったら、もう用事はないのですから、

(そのままかえろうとおもっていたのですが、しんしがげんかんの)

そのまま帰ろうと思っていたのですが、紳士が玄関の

(そとへでてきて、てをとるようにしてすすめるので、)

外へ出てきて、手を取るようにしてすすめるので、

(それをふりきってかえるわけにもいかず、ついいえのなかへ)

それを振り切って帰る訳にもいかず、つい家の中へ

(さそいこまれてしまいました。はいってみると、まさか)

誘い込まれてしまいました。 入ってみると、まさか

(このおおきなおうちにろうしんしとあいこちゃんの、ふたり)

この大きなおうちに老紳士と愛子ちゃんの、二人

(だけがすんでいるのではないでしょうが、みょうな)

だけが住んでいるのではないでしょうが、みょうな

(ことに、おばさんもじょちゅうも、だれもでてこない)

ことに、おばさんも女中も、だれも出てこない

(のです。いえのなかが、なんだかあきやのようにがらんと)

のです。家の中が、なんだか空き家のようにガランと

(していて、なんとなくさむいようなかんじなのです。いや、)

していて、何となく寒いような感じなのです。いや、

(みょうなのはいえだけではありません。ろうしんしの)

みょうなのは家だけではありません。老紳士の

(ようしが、ひどくかわっていたのです。はんぶんしろいろのながい)

容姿が、酷く変わっていたのです。半分白色の長い

(とうはつをおーるばっくにして、ぐんじんのようにぴんと)

頭髪をオールバックにして、軍人のようにピンと

など

(はねたくちひげと、さんかくにかったりりしいあごひげを)

跳ねた口ヒゲと、三角に刈った凛々しいあごヒゲを

(たくわえ、くろぶちのおおきなめがねをかけ、せいようのころもといった)

蓄え、黒縁の大きな眼鏡をかけ、西洋の衣といった

(かんじの、くろくてだぶだぶしているふくをきている)

感じの、黒くてダブダブしている服を着ている

(のです。どくしゃしょくんは、このようしをおかんがえになった)

のです。 読者諸君は、この容姿をお考えになった

(だけで、そのしんしがなにものであるか、もうおきづきの)

だけで、その紳士が何者であるか、もうお気づきの

(こととおもいます。おさっしのとおり、それは、)

ことと思います。お察しの通り、それは、

(あのおそろしいひるたはかせでした。いうまでもなく、)

あの恐ろしいヒルタ博士でした。いうまでもなく、

(あのにじゅうめんそうがばけているのです。しかしこいずみくんは、)

あの二十面相が化けているのです。 しかし小泉君は、

(ひるたはかせのなはしりすぎるほどしっていましたが、)

ヒルタ博士の名は知り過ぎるほど知っていましたが、

(あったことはいちどもないのですから、まさかそれが)

会ったことは一度もないのですから、まさかそれが

(おそろしいにじゅうめんそうのへんそうすがただとはゆめにもしらず、)

恐ろしい二十面相の変装姿だとは夢にも知らず、

(ただ、みょうなおじさんだな、とかんじたのみでした。)

ただ、みょうなおじさんだな、と感じたのみでした。

(ああ、あぶない。こいずみくんは、まんまとてきのわなに)

ああ、危ない。小泉君は、まんまと敵の罠に

(はまってしまったのに、まだすこしもきづいていない)

はまってしまったのに、まだ少しも気づいていない

(のです。にじゅうめんそうはこいずみくんをいえのなかにさそいいれて、)

のです。二十面相は小泉君を家の中に誘い入れて、

(いったいなにをするのでしょうか。それにしても、)

一体なにをするのでしょうか。 それにしても、

(おさなくてかわいいおんなのこをわざとまいごにして、やすやすと)

幼くて可愛い女の子をわざと迷子にして、やすやすと

(こいずみしょうねんをおびきよせるとは、なんとこころにくいてぎわでは)

小泉少年をおびき寄せるとは、なんと心憎い手際では

(ありませんか。「ほんとうにありがとう。わたしがどれほど)

ありませんか。「本当にありがとう。私がどれほど

(かんしゃしているか、ことばにあらわせないほどですよ。もし、)

感謝しているか、言葉に表せないほどですよ。もし、

(きみがすくってくれなかったら、あいこはどんなおそろしい)

きみが救ってくれなかったら、愛子はどんな恐ろしい

(めにあっていたかしれません。ゆうかいというものは、)

目にあっていたか知れません。誘拐というものは、

(いまでもないとはいえませんからね。さあ、おくへはいって)

今でもないとは言えませんからね。さあ、奥へ入って

(ください。おくのへやで、ゆっくりおはなししましょう。)

ください。奥の部屋で、ゆっくりお話ししましょう。

(わたしは、きみのようなかっぱつなこどもがだいすきなのです。)

私は、きみのような活発な子どもが大好きなのです。

(わたしはこうみえても、はつめいかでしてね。あるすばらしい)

私はこうみえても、発明家でしてね。ある素晴らしい

(きかいをかんせいさせたところなのです。それをきみに)

機械を完成させたところなのです。それをきみに

(みせたいのです。そのきかいは、おくのわたしのへやに)

見せたいのです。 その機械は、奥の私の部屋に

(おいてあります。さあ、こちらへ。なにもえんりょする)

置いてあります。さあ、こちらへ。なにも遠慮する

(ことはありません。きみはあいこをたすけてくださった、)

ことはありません。きみは愛子を助けてくださった、

(おんじんなのですからね」ひるたはかせはおひとよしらしく、)

恩人なのですからね」 ヒルタ博士はお人好しらしく、

(にこにことつくりわらいをしながら、ねこなでごえで)

ニコニコと作り笑いをしながら、ネコなで声で

(そんなことをしゃべりつづけ、うしろからこいずみくんの)

そんなことをしゃべり続け、後ろから小泉君の

(せなかをおすようにして、うすぐらいろうかをおくへおくへと)

背中を押すようにして、薄暗い廊下を奥へ奥へと

(つれていきました。ろうかをぐるぐるまがって、)

連れて行きました。 廊下をグルグル曲がって、

(つきあたったところに、ふつうのどあよりとてもちいさい)

突き当たった所に、普通のドアよりとても小さい

(みょうなとびらがあります。ひるたはかせはそれをそとへ)

みょうな扉があります。ヒルタ博士はそれを外へ

(ぐっとひらいて、こいずみくんに、さきにおはいりなさいという)

グッとひらいて、小泉君に、先にお入りなさいという

(みぶりをしました。「さあ、このへやです。これが)

身ぶりをしました。「さあ、この部屋です。これが

(わたしのけんきゅうしつで、すばらしいきかいがおいてあるのです。)

私の研究室で、素晴らしい機械が置いてあるのです。

(さあ、どうぞ」いわれるままにこいずみくんは、つい)

さあ、どうぞ」 言われるままに小泉君は、つい

(うっかりして、さきにたってそのへやへはいってしまい)

うっかりして、先に立ってその部屋へ入ってしまい

(ました。みれば、なんというへんてこなへや)

ました。 見れば、なんというヘンテコな部屋

(でしょう。にめーとるしほうほどの、ごくせまいばしょに)

でしょう。二メートル四方ほどの、ごく狭い場所に

(いすもてーぶるもなく、みょうなことにしほうのかべも)

イスもテーブルもなく、みょうなことに四方の壁も

(てんじょうもゆかいたも、すべててっぱんではりつめてあるのです。)

天井も床板も、すべて鉄板で張り詰めてあるのです。

(そのてつばりのかべのいっぽうのすみに、ちいさなくぼみができて)

その鉄張りの壁の一方の隅に、小さなくぼみができて

(いて、そこにじどうしゃのらいとのようなまめでんきゅうが)

いて、そこに自動車のライトのような豆電球が

(ひかっています。「そのきかいってどこにあるんですか。)

光っています。「その機械ってどこにあるんですか。

(このへやには、なにもおいてないじゃありませんか」)

この部屋には、何も置いてないじゃありませんか」

(こいずみくんがふしんそうにあたりをみまわしてたずねる)

小泉君が不審そうにあたりを見まわしてたずねる

(と、まだへやのそとにいたひるたはかせはとびらをはんぶん)

と、まだ部屋の外に居たヒルタ博士は扉を半分

(しめて、そのすきまからにゅーっとかおをつきだし)

閉めて、その隙間からニューッと顔を突き出し

(ながら、とつぜん、いままでとはまるでちがうこえをだし)

ながら、突然、今までとはまるで違う声を出し

(ました。「きみは、そのきかいがみえないのかね。)

ました。「きみは、その機械が見えないのかね。

(いまきみがはいっているへやそのものが、ひとつの)

今きみが入っている部屋そのものが、一つの

(すばらしいきかいなのだよ。わしのだいはつめいさ。ははは」)

素晴らしい機械なのだよ。わしの大発明さ。ハハハ」

(らんぼうなことばにおやっとおもってふりむくと、はかせのかおも)

乱暴な言葉にオヤッと思って振り向くと、博士の顔も

(うってかわって、うすきみわるいぎょうそうになっております。)

打って変わって、薄気味悪い形相になっております。

(「おじさんは、どうしてそんなところにいるんですか。)

「おじさんは、どうしてそんな所に居るんですか。

(なぜ、へやのなかにはいらないんですか」こいずみくんは、)

なぜ、部屋の中に入らないんですか」小泉君は、

(とてつもないふあんをかんじて、せめるようにたずね)

とてつもない不安を感じて、責めるようにたずね

(ました。「なぜ、はいらないかだと。ふふふ、わしは)

ました。「なぜ、入らないかだと。フフフ、わしは

(いのちがおしいからさ。じぶんではつめいしたきかいだけれど、)

命が惜しいからさ。自分で発明した機械だけれど、

(そこへはいるのがこわいのだよ。ふふふ、きみはゆうきの)

そこへ入るのが怖いのだよ。フフフ、きみは勇気の

(あるこどもだ。ひとつ、わしのはつめいしたきかいをためして)

ある子どもだ。一つ、わしの発明した機械を試して

(くれたまえ。そこにじっとしているとね、いまにおもしろい)

くれたまえ。そこにジッとしているとね、今に面白い

(ことがはじまるんだよ。まあ、たのしみにまっているが)

ことが始まるんだよ。まあ、楽しみに待っているが

(いい。ふふふ」「え、なんですって。じゃ、きみは)

いい。フフフ」「え、なんですって。じゃ、きみは

(ぼくをここへとじこめるつもりですか。きみはだれ)

ぼくをここへ閉じ込めるつもりですか。きみはだれ

(です。きみは、いったいだれですか」こいずみくんは、いきなり)

です。きみは、一体だれですか」小泉君は、いきなり

(どあにとびついて、あやしいしんしをおしのけようと)

ドアに飛び付いて、怪しい紳士を押しのけようと

(しましたが、そのときはやくもどあはぴったりとそとから)

しましたが、そのとき早くもドアはピッタリと外から

(しめられ、かぎをかけるおとがかちかちと)

閉められ、カギをかける音がカチカチと

(きこえてきました。)

聞こえてきました。

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