オオカミ王ロボ 16

偕成社文庫
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問題文
(さて、おおかみにはひとつのしゅうせいがある。)
さて、オオカミには一つの習性がある。
(なにかしたいのにおいをかぎつけると、)
なにか死体の匂いを嗅ぎつけると、
(べつにくうきがなくても、かならずのぞきにくるものだ。)
べつに食う気がなくても、必ず覗きにくるものだ。
(こんどのさくせんではこのしゅうせいをりようし、)
今度の作戦ではこの習性を利用し、
(なんとかあくとうのいちみを、てにのせられるものとあてこんでいた。)
なんとか悪党の一味を、手にのせられるものと当て込んでいた。
(もちろんろぼは、すぐどうたいのほうのこうさくはみやぶり、)
もちろんロボは、すぐ胴体の方の工作は見破り、
(なかまをちかよらせないようにするだろう。)
仲間を近寄らせないようにするだろう。
(しかし、わたしはくびのほうにおおいにきたいをかけていたのである。)
しかし、私は首の方に大いに期待をかけていたのである。
(なにしろそのくびは、いらないからすてたようにみせかけてあったから。)
何しろその首は、いらないから捨てたように見せかけてあったから。
(いそいであしあとをしらべると、ろぼはいちみがどうたいにちかづくのをとめている。)
急いで足跡を調べると、ロボは一味が胴体に近づくのを止めている。
(だがいっとう、ちいさなおおかみがくびをのぞきにいき、)
だが一頭、小さなオオカミが首を覗きに行き、
(わなのまっただなかにあしをつっこんでいるのだ。)
罠のまっ只中に足を突っ込んでいるのだ。
(われわれはすぐ、あしあとをたどった。)
我々はすぐ、足跡をたどった。
(するとにきろもいかないうちに、そのふうんなおおかみはぶらんかだとわかった。)
すると二キロも行かないうちに、その不運なオオカミはブランカだとわかった。
(だがぶらんかはぜんそくりょくではしりだし、)
だがブランカは全速力で走り出し、
(にじゅっきろいじょうあるうしのあたまをひきずっていたのに、)
二十キロ以上ある牛の頭を引きずっていたのに、
(はしるわたしのつれをたちまちひきはなした。)
走る私の連れをたちまち引き離した。
(だが、いわばにかかったときに、われわれはおいついた。)
だが、岩場にかかった時に、我々は追いついた。
(うしのくびのつのがいわにはさまって、うごきがとれなくなったからだ。)
牛の首の角が岩に挟まって、動きが取れなくなったからだ。
(これまでみたこともない、きれいなおおかみだった。)
これまで見たこともない、きれいなオオカミだった。
(けがわはひのうちどころがなく、ほとんどまっしろといってよかった。)
毛皮は非の打ち所がなく、ほとんど真っ白といってよかった。
(ぶらんかはたたかおうとしてむきなおり、なかまをよびあつめようとしてそらにほえた。)
ブランカは戦おうとして向きなおり、仲間を呼び集めようとして空に吠えた。
(そのこえはながくながくきょうこくいっぱいにひびいた。)
その声は長く長く峡谷いっぱいに響いた。
(するととおいだいちで、ひくいこえがこたえた。ろぼじいのこえだ。)
すると遠い台地で、低い声が応えた。ロボじいの声だ。
(だがもうぶらんかはさけぶことはできなかった。)
だがもうブランカは叫ぶことはできなかった。
(われわれがおしよせたからだ。)
我々が押し寄せたからだ。
(ぶらんかはぜんせいりょくをあげて、いきのつづくかぎりわれわれとたたかわねばならなかった。)
ブランカは全精力をあげて、息の続く限り我々と戦わねばならなかった。
(それから、かわいそうだが、どうしてもやむをえないことがおこったのである。)
それから、かわいそうだが、どうしても止むを得ないことがおこったのである。
(あとになっておもいだすと、いっそういやなおもいをさせられたあのことが。)
後になって思い出すと、いっそういやな思いをさせられたあのことが。
(あわれ、うんのつきはてたこのおおかみのくびに、)
あわれ、運のつきはてたこのオオカミの首に、
(われわれはてんでになげなわをなげたのだ。そしてはんたいのほうこうにうまでひかせた。)
我々はてんでに投げ縄を投げたのだ。そして反対の方向に馬で引かせた。
(まもなくぶらんかはくちからちをふき、)
まもなくブランカは口から血を吹き、
(めはどんよりとしてあしをこわばらせたが、やがてちからなくたおれた。)
目はどんよりとして足をこわばらせたが、やがて力なく倒れた。
(わたしたちは、そのしたいをうまにつみあげていえじについた。)
私達は、その死体を馬に積み上げて家路についた。
(そしてからんぽーのあくとうどもにしてやったこのさいしょのちまつりに、)
そしてカランポーの悪党どもにしてやったこの最初の血祭りに、
(いきてんをつくおもいだったのである。)
意気天をつく思いだったのである。