オオカミ王ロボ 16

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投稿者投稿者ヤマセミいいね1お気に入り登録
プレイ回数706難易度(4.0) 1777打 長文 かな
シートン動物記
アーネスト・トムソン・シートン作
偕成社文庫

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問題文

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(さて、おおかみにはひとつのしゅうせいがある。)

さて、オオカミには一つの習性がある。

(なにかしたいのにおいをかぎつけると、)

なにか死体の匂いを嗅ぎつけると、

(べつにくうきがなくても、かならずのぞきにくるものだ。)

べつに食う気がなくても、必ず覗きにくるものだ。

(こんどのさくせんではこのしゅうせいをりようし、)

今度の作戦ではこの習性を利用し、

(なんとかあくとうのいちみを、てにのせられるものとあてこんでいた。)

なんとか悪党の一味を、手にのせられるものと当て込んでいた。

(もちろんろぼは、すぐどうたいのほうのこうさくはみやぶり、)

もちろんロボは、すぐ胴体の方の工作は見破り、

(なかまをちかよらせないようにするだろう。)

仲間を近寄らせないようにするだろう。

(しかし、わたしはくびのほうにおおいにきたいをかけていたのである。)

しかし、私は首の方に大いに期待をかけていたのである。

(なにしろそのくびは、いらないからすてたようにみせかけてあったから。)

何しろその首は、いらないから捨てたように見せかけてあったから。

(いそいであしあとをしらべると、ろぼはいちみがどうたいにちかづくのをとめている。)

急いで足跡を調べると、ロボは一味が胴体に近づくのを止めている。

(だがいっとう、ちいさなおおかみがくびをのぞきにいき、)

だが一頭、小さなオオカミが首を覗きに行き、

(わなのまっただなかにあしをつっこんでいるのだ。)

罠のまっ只中に足を突っ込んでいるのだ。

(われわれはすぐ、あしあとをたどった。)

我々はすぐ、足跡をたどった。

(するとにきろもいかないうちに、そのふうんなおおかみはぶらんかだとわかった。)

すると二キロも行かないうちに、その不運なオオカミはブランカだとわかった。

(だがぶらんかはぜんそくりょくではしりだし、)

だがブランカは全速力で走り出し、

(にじゅっきろいじょうあるうしのあたまをひきずっていたのに、)

二十キロ以上ある牛の頭を引きずっていたのに、

(はしるわたしのつれをたちまちひきはなした。)

走る私の連れをたちまち引き離した。

(だが、いわばにかかったときに、われわれはおいついた。)

だが、岩場にかかった時に、我々は追いついた。

(うしのくびのつのがいわにはさまって、うごきがとれなくなったからだ。)

牛の首の角が岩に挟まって、動きが取れなくなったからだ。

(これまでみたこともない、きれいなおおかみだった。)

これまで見たこともない、きれいなオオカミだった。

など

(けがわはひのうちどころがなく、ほとんどまっしろといってよかった。)

毛皮は非の打ち所がなく、ほとんど真っ白といってよかった。

(ぶらんかはたたかおうとしてむきなおり、なかまをよびあつめようとしてそらにほえた。)

ブランカは戦おうとして向きなおり、仲間を呼び集めようとして空に吠えた。

(そのこえはながくながくきょうこくいっぱいにひびいた。)

その声は長く長く峡谷いっぱいに響いた。

(するととおいだいちで、ひくいこえがこたえた。ろぼじいのこえだ。)

すると遠い台地で、低い声が応えた。ロボじいの声だ。

(だがもうぶらんかはさけぶことはできなかった。)

だがもうブランカは叫ぶことはできなかった。

(われわれがおしよせたからだ。)

我々が押し寄せたからだ。

(ぶらんかはぜんせいりょくをあげて、いきのつづくかぎりわれわれとたたかわねばならなかった。)

ブランカは全精力をあげて、息の続く限り我々と戦わねばならなかった。

(それから、かわいそうだが、どうしてもやむをえないことがおこったのである。)

それから、かわいそうだが、どうしても止むを得ないことがおこったのである。

(あとになっておもいだすと、いっそういやなおもいをさせられたあのことが。)

後になって思い出すと、いっそういやな思いをさせられたあのことが。

(あわれ、うんのつきはてたこのおおかみのくびに、)

あわれ、運のつきはてたこのオオカミの首に、

(われわれはてんでになげなわをなげたのだ。そしてはんたいのほうこうにうまでひかせた。)

我々はてんでに投げ縄を投げたのだ。そして反対の方向に馬で引かせた。

(まもなくぶらんかはくちからちをふき、)

まもなくブランカは口から血を吹き、

(めはどんよりとしてあしをこわばらせたが、やがてちからなくたおれた。)

目はどんよりとして足をこわばらせたが、やがて力なく倒れた。

(わたしたちは、そのしたいをうまにつみあげていえじについた。)

私達は、その死体を馬に積み上げて家路についた。

(そしてからんぽーのあくとうどもにしてやったこのさいしょのちまつりに、)

そしてカランポーの悪党どもにしてやったこの最初の血祭りに、

(いきてんをつくおもいだったのである。)

意気天をつく思いだったのである。

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