魯迅 阿Q正伝その21
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問題文
(ひとびとはみな、げんきんとあたらしいあわせをもっているあきゅうのちゅうこうしをききたくおもった。)
人々はみな、現金と新しい袷を持っている阿Qの中興史を聴きたく思った。
(そういうわけで、さかやのなかでもさかんのなかでもおみやののきしたでも、)
そういうわけで、酒屋の中でも茶館の中でもお廟の軒下でも、
(みなだんだんにさぐりをいれてききだした。そのけっかあきゅうはしんきのいけいをえた。)
皆だんだんに探りを入れて聴き出した。その結果阿Qは新奇の畏敬を得た。
(あきゅうのはなしでは、かれはきょじんだんなのうちのおてつだいをしていた。)
阿Qの話では、彼は挙人太爺の家のお手伝をしていた。
(このいっせつをきいたものはみなかしこまった。)
この一節を聴いた者は皆かしこまった。
(このだんなはせいをはくといい)
この老爺は姓を白といい
(じょうないきってのきょじんであるからあらためてせいをいうひつようがない。)
城内切っての挙人であるから改めて姓をいう必要がない。
(きょじんというはなしがでればつまりかれである。)
挙人という話が出ればつまり彼である。
(これはみしょうだけでそういっているのではない、)
これは未荘だけでそう言っているのではない、
(このへんひゃくりのくいきのうちはみなそうであった。)
この辺百里の区域の内は皆そうであった。
(ひとびとはほとんどたいていかれのせいめいをきょじんだんなだとおもっていた。)
人々はほとんど大抵彼の姓名を挙人老爺だと思っていた。
(そのおかたのおやしきでおてつだいしていたのはもちろんうやまうべきことである。)
そのお方のお屋敷でお手伝していたのはもちろん敬うべきことである。
(けれどあきゅうのいうとこにゃ、かれはもういってやるきはない。)
けれど阿Qの言うとこにゃ、彼はもう行ってやる気はない。
(このきょじんだんなはじつにひじょうな「ばかもの」だ。)
この挙人老爺は実に非常な「馬鹿者」だ。
(このはなしをきいたものはみなたんそくしてうれしがった。)
この話を聴いた者はみな歎息して嬉しがった。
(あきゅうはきょじんだんなのいえではたらくようなひとではないが、はたらかないのもおしいこった。)
阿Qは挙人老爺の家で働くような人ではないが、働かないのも惜しいこった。
(あきゅうのはなしでみると、かれがかえってきたのは、)
阿Qの話でみると、彼が帰って来たのは、
(じょうないのひとがきにいらぬからであるらしい。)
城内の人が気に入らぬからであるらしい。
(これはつまり、ちゃんてん(ながしょうぎ)をでうてんということや、)
これはつまり、長(長床几)を条ということや、
(ねぎのいときりをさかなのなかにいれたり、そのうえちかごろみつけだしたけってんは、)
葱の糸切を魚の中に入れたり、そのうえ近頃見つけ出した欠点は、
(おんなのあるきかたがいやにねじれてはなはだよくない。)
女の歩き方がいやにねじれてはなはだよくない。
(しかしまたおおいにけいふくすべきほうめんもある。)
しかしまた大いに敬服すべき方面もある。
(はやいはなしがみしょうのいなかものは、)
早い話が未荘の田舎者は、
(さんじゅうにまいのちくはい(はいのめのにめんをもってなりたったはい)をうつだけのことで、)
三十二枚の竹牌(牌の目の二面を以て成立った牌)を打つだけのことで、
(まーちゃんをしっているものはにせけとうだけであるが、)
麻将を知っている者は偽毛唐だけであるが、
(じょうないではちいさながきまでがみなよくしっている。)
城内では小さな餓鬼までが皆よく知っている。
(なんだってにせけとうが、じょうないのじゅっさいそこそこのこどものてのなかにはいってしまうのか。)
なんだって偽毛唐が、城内の十歳そこそこの子供の手の中に入ってしまうのか。
(これこそ「こおにがえんまさまとどうしかくでかいけんする」ようなもので、)
これこそ「小鬼が閻魔様と同資格で会見する」様なもので、
(きけばせきめんのいたりだ。)
聴けば赤面の到りだ。
(「てめえたちは、くびきりをみたことがあるめえ」とあきゅうはいった。)
「てめえ達は、首斬を見たことがあるめえ」と阿Qは言った。
(「ふん、みてくれ、かくめいとうをころすなんておもしれえもんだぜ」)
「ふん、見てくれ、革命党を殺すなんておもしれえもんだぜ」
(かれはくびをふると、ちょうどまんなかにいたちょうししんのかおのうえにつばきがはねかかった。)
彼は首をふると、ちょうどまん中にいた趙司晨の顔の上に唾がはねかかった。
(このひとことにみなのものはぞっとした。)
この一言に皆の者はぞっとした。
(だがあきゅうはいっこうへいきであたりをみまわし、たちまちみぎてをあげて、)
だが阿Qは一向平気であたりを見廻し、たちまち右手をあげて、
(おりからくびをのばしてききほれている、)
折柄頸を延して聴き惚れている、
(わんうーのぼんのくぼをめがけて、うちおろした。)
王鬍のぼんのくぼを目蒐けて、打ちおろした。
(「ぴしゃり!」)
「ぴしゃり!」