森鴎外 大塩平八郎その9

関連タイピング
-
夏目漱石「こころ」3-102
プレイ回数678長文1223打 -
夏目漱石「こころ」3-103
プレイ回数753長文かな2110打 -
プレイ回数438長文1327打
-
夏目漱石「こころ」3-100
プレイ回数1092長文1575打 -
夏目漱石「こころ」3-105
プレイ回数759長文かな1625打 -
夏目漱石「こころ」3-101
プレイ回数736長文かな1883打 -
夏目漱石「こころ」3-31
プレイ回数1078長文かな2316打 -
タイピング作成実験
プレイ回数350長文1649打
問題文
(さてあとべはせた、こいずみのふたりをよばせた。)
さて跡部は瀬田、小泉の二人を呼ばせた。
(それをきいたとき、せたは「ざんじごゆうよを」といってべんじょにたった。)
それを聞いた時、瀬田は「暫時御猶予を」と云って便所に起った。
(こいずみはひとりいつものたたみろうかまできて、わきざしをぬいてしたにおこうとした。)
小泉は一人いつもの畳廊下まで来て、脇差を抜いて下に置こうとした。
(このたたみろうかのよこてにぶぎょうのきんじゅべやがある。)
この畳廊下の横手に奉行の近習部屋がある。
(こいずみがわきざしをしたにおくやいないなや、)
小泉が脇差を下に置くや否いなや、
(そのきんじゅべやからひとりのおとこがとびだして、わきざしにてをかけた。)
その近習部屋から一人の男が飛び出して、脇差に手を掛けた。
(「はっ」とおもったこいずみは、いったんてをはなしたわきざしをまたつかんだ。)
「はっ」と思った小泉は、一旦手を放した脇差を又掴んだ。
(ひきあうはずみにさやばしって、とうとう、こいずみのてにしらはがのこった。)
引き合うはずみに鞘走って、とうとう、小泉の手に白刃が残った。
(ようすをみていたあとべが、「それ、きりすてい」というと、)
様子を見ていた跡部が、「それ、切り棄てい」と云うと、
(ゆみのままでふみだしたこいずみのはいごから、)
弓の間まで踏み出した小泉の背後から、
(いちじょうがひゃくえのもとへにすんほどきりつけた。)
一条が百会の下へ二寸程切り附けた。
(つぎにみぎのかたさきをよんすんほどきりこんだ。)
次に右の肩先を四寸程切り込んだ。
(こいずみがよろめくところを、みぎのわきばらづきをいっぽんくわせた。)
小泉がよろめく所を、右の脇腹突きを一本食わせた。
(ひがしぐみはいかよりきこいずみえんじろうはじゅうはっさいをいっきとして、)
東組配下与力小泉淵次郎は十八歳を一期として、
(いんぼうだいいちのぎせいとしていのちをおとした。)
陰謀第一の犠牲として命を落とした。
(はなのようないいなずけのつまがあったそうである。)
花のような許嫁の妻があったそうである。
(べんじょにいたせたはすあしでにわへとびだして、)
便所にいた瀬田は素足で庭へ飛び出して、
(いっぽんのうめのきをあしばにして、ぶぎょうしょのきたがわのへいをのりこえた。)
一本の梅の木を足場にして、奉行所の北側の塀を乗り越えた。
(そしててんまばしをきたへわたって、)
そして天満橋を北へ渡って、
(いんぼうのしゅりょうおおしおへいはちろうのいえへはしった。)
陰謀の首領大塩平八郎の家へ走った。