森鴎外 大塩平八郎その13

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(よん、うつぎとおかだと) 四、宇津木と岡田と (しんじゅくにいるがくせいのうちに、さんねんまえにきてきしゅくし、よくねんいったんたちさったものの、) 新塾にいる学生のうちに、三年前に来て寄宿し、翌年一旦立ち去ったものの、 (きょねんふたたびきたうつぎりのすけというものがある。) 去年再び来た宇津木矩之允という者がある。 (へいはちろうのあらわしただいがくかつもくのくんてんをほどこしたひとりで、) 平八郎の著した大学刮目の訓点を施した一人で、 (おおしおのもんじんちゅう、がくりょくのすぐれたほうである。) 大塩の門人中、学力の優れた方である。 (このうつぎがおととしきゅうしゅうにゆうがくして、つれてきたまごでしがいる。) この宇津木が一昨年九州に遊学して、連れて来た孫弟子がいる。 (これはながさきにしちくまちのいしおかどうげんのこで、なをよしのしんという。) これは長崎西築町の医師岡田道玄の子で、名を良之進という。 (うつぎにつれられておやもとをはなれたときがじゅうよんさいだから、ことしじゅうろくさいになっている。) 宇津木に連れられて親元を離れた時が十四歳だから、今年十六歳になっている。 (このおかだというしょうねんが、けさむつはんにめをさました。) この岡田という少年が、けさ六つ半に目を覚ました。 (しょくにんがおおくはいりこむようになってから、) 職人が多く入りこむようになってから、
(ずいぶんさわがしいいえではあるが、けさはまたかくべつである。) 随分騒がしい家ではあるが、けさはまた格別である。 (がたがた、めりめり、みしみしと、ものをうちこわすおとがする。) がたがた、めりめり、みしみしと、物を打ち壊す音がする。 (はっきりとききさだめようとして、ゆかのうえにすわっているうちに、) はっきりと聴き定めようとして、床の上に座っているうちに、 (いまこわしているものがしょうじふすまだということがわかった。) 今壊している物が障子襖だということが分かった。 (それにまじってひとのこえがする。) それに混じって人の声がする。 (「やくにたたぬものはうちすてい」ということばがはっきりきこえた。) 「役に立たぬものは打ち捨てい」という言葉がはっきり聞こえた。 (おかだはれいりな、しりょのあるしょうねんであったが、あまりにもおもいがけないことなので、) 岡田は怜悧な、思慮のある少年であったが、余りにも思いがけない事なので、 (いちどはゆめではないかとおもった。) 一度は夢ではないかと思った。 (それからうつぎせんせいはどうしているかとおもって、) それから宇津木先生はどうしているかと思って、 (くびをのばしてみると、) 首を伸ばして見ると、
など
(せんせいはいつものとおりにきぶとんのえりをあごのしたにはさむようにしてねている。) 先生はいつもの通りに着布団の襟を顎の下にはさむようにして寝ている。 (ものおとはしだいにはげしくなる。おかだはこころのはっきりするとともに、) 物音は次第に激しくなる。岡田は心のはっきりするとともに、 (このやしきのじんじょうでないげんじょうがいしきにのぼってきた。) この屋敷の尋常でない現状が意識にのぼってきた。 (おかだははねおきた。うつぎのまくらもとににじりよって、「せんせい」とこえをかけた。) 岡田は跳ね起きた。宇津木の枕元ににじり寄って、「先生」と声を掛けた。 (うつぎはだまってめをおおきくひらいた。ねむってはいなかったのである。) 宇津木は黙って目を大きく開いた。眠ってはいなかったのである。 (「せんせい。えらいさわぎでございますが。」) 「先生。えらい騒ぎでございますが。」
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