魯迅 阿Q正伝その22

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問題文
(わんうーはおどろいてとびあがりいなずまのようなそくりょくでくびをちぢめた。)
王鬍は驚いて跳び上り稲妻のような速力で頸を縮めた。
(みていたひとたちはきみわるくもあり、おかしくもあった。)
見ていた人達は気味悪くもあり、おかしくもあった。
(それからというものはわんうーのばかやろう、)
それからというものは王鬍の馬鹿野郎、
(ずいぶんながいあいだ、あきゅうのそばへはちかよらなかった。)
ずいぶん長い間、阿Qの側へは近寄らなかった。
(ほかのひとたちもまたおなじようであった。)
ほかの人達もまた同じようであった。
(あきゅうはこのとき、みしょうのひとのめのなかのけんとうでは、ちょうだんないじょうにはみえないが、)
阿Qはこの時、未荘の人の眼の中の見当では、趙太爺以上には見えないが、
(たいていおつかつのえらさくらいにおもわれていたといっても、)
たいていおつかつの偉さくらいに思われていたといっても、
(さしたるごへいはなかろう。)
さしたる語弊はなかろう。
(そうこうするうちにこのあきゅうのひょうばんは、たちまちみしょうのおんなべやのおくにつたわった。)
そうこうするうちにこの阿Qの評判は、たちまち未荘の女部屋の奥に伝わった。
(みしょうではせんちょうりょうけだけがたいけで、)
未荘では錢趙両家だけが大家で、
(そのたはたいていおくゆきがあさかった。)
その他はたいてい奥行が浅かった。
(けれどもおんなべやはつまりおんなべやであるから1つのふしぎといってもいい。)
けれども女部屋はつまり女部屋であるから1つの不思議と言ってもいい。
(おんなどもはよるとさわるときっとそのはなしをした。)
女どもは寄るとさわるときっとその話をした。
(すうしちそうがあきゅうのところからかったいちまいのおなんどぎぬのはかまはふるいにはちがいないが、)
鄒七嫂が阿Qの処から買った一枚のお納戸絹の袴は古いには違いないが、
(たったきゅうじゅっせんだった。ちょうはくがんのははおやも)
たった九十仙だった。趙白眼の母親も
(いっせつにはちょうししんのははおやだということだが、それはどうかしらん)
一説には趙司晨の母親だということだが、それはどうかしらん
(かのじょもまたいちまいのこどもようのまっかながすおりのひとえものをかったが、)
彼女もまた一枚の子供用の真赤な瓦斯織の単衣物を買ったが、
(まだちょっとてをとおしたばかりのものが)
まだちょっと手を通したばかりの物が
(たったさんびゃくだいせんのくにさしであった。)
たった三百大銭の九二串であった。
(そこでかれらはめをさらのようにしてあきゅうをみた。)
そこで彼等は眼を皿のようにして阿Qを見た。
(きぬはかまがないときには、きぬはかまのだしものはないかとかれにたずねてみたくおもった。)
絹袴が無い時には、絹袴の出物は無いかと彼に訊ねてみたく思った。
(がすおりのひとえがほしいときには、)
瓦斯織の単衣がほしい時には、
(がすおりのひとえのだしものはないかとかれにたずねてみたくおもった。)
瓦斯織の単衣の出物は無いかと彼に訊ねてみたく思った。
(こんどはあきゅうをみてもにげこまないで、かえってあきゅうのあとをおいかけて、)
今度は阿Qを見ても逃げ込まないで、かえって阿Qのあとを追馳けて、
(そでをひきとどめた。)
袖を引止めた。
(「あきゅう、おまえはもっとほかにきぬばかまをもっているだろう。)
「阿Q、お前はもっと外に絹袴を持っているだろう。
(え、ないって。わたしはひとえものもほしいんだよ。あるだろう」)
え、無いって。わたしは単衣物もほしいんだよ。あるだろう」
(あとではこのようなことが、)
あとではこの様なことが、
(はしぢかいおんなべやからついにおくふかいおんなべやにつたわった。)
端近い女部屋から終に奥深い女部屋に伝わった。
(すうしちそうはうれしさのあまり)
鄒七嫂は嬉しさの余り
(かれのきぬばかまをちょうたいたいのところへもっていっておめききをねがった。)
彼の絹袴を趙太太の処へ持って行ってお目利きをねがった。
(ちょうたいたいはまたこれをちょうだんなにつげて)
趙太太はまたこれを趙太爺に告げて
(いちじすこぶるまじめになってはなしをしたので、)
一時すこぶる真面目になって話をしたので、
(ちょうだんなはばんさんのたくじょうしゅうさいだんな(むすこ)ととうろんした。)
趙ダンナは晩餐の卓上秀才太爺(息子)と討論した。
(あきゅうはまったくどうもすこしあやしい。)
阿Qは全くどうも少し怪しい。
(われわれのとじまりもこれからちゅういしなければならんが、)
われわれの戸締もこれから注意しなければならんが、
(しかしかれのしなもので、)
しかし彼の品物で、
(まだかってやっていいようなものがあるかもしれないとおもった。)
まだ買ってやっていいようなものがあるかもしれないと想った。
(ことにちょうたいたいはねだんがやすくてしなものがいいかわのそでなしがほしいと)
殊に趙太太は直段が安くて品物がいい皮の袖無しが欲しいと
(おもっていたときだから、ついにかぞくはけつぎしてすうしちそうにたのんで)
思っていた時だから、遂に家族は決議して鄒七嫂にたのんで
(あきゅうをすぐによんでこいといった。)
阿Qをすぐに喚んで来いと言った。
(かつこれがためにだい3のれいがいをひらいて)
かつこれがために第3の例外をひらいて
(このばんとくにしばらくあかりをつけることをゆるされた。)
この晩特にしばらく燈をつけることを許された。