罪と罰
ドストエフスキーの罪と罰のタイピングです。
恐ろしく暑い夏のペテルブルク。学費が払えず大学を除籍になり、自分に閉じこもるラスコーリニコフに、母から一通の手紙が届く。自分が軽視されていると思い込んだラスコーリニコフは、自身の理性を過信、自分本位の論理から、近所の金貸しの老女を斧で叩き○してしまう。しかし犯行の後に彼を襲ったのは、激しい自己嫌悪と恐怖だった。かろうじて部屋に帰ったラスコーリニコフに、警察から呼出状が届く。人間存在の意味に迫る巨作。
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問題文
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(だいいっぺん いち)
第一編 一
(7がつのはじめ、ほうずもなくあついじぶんのゆうがたちかく、)
7月の初め、方図もなく暑い時分の夕方近く、
(ひとりのせいねんが、しゃくやにんからまたがりしているsよこちょうのこべやからとおりへでて、)
一人の青年が、借家人からまた借りしているS横丁の小部屋から通りへ出て、
(なんとなくおもいきりわるそうにのろのろと、kはしのほうへあしをむけた。)
なんとなく思い切り悪そうにのろのろと、K橋の方へ足を向けた。
(せいねんはうまくかいだんでおかみとでくわさないですんだ。)
青年はうまく階段でおかみと出くわさないで済んだ。
(かれのこべやは、たかい5かいだてのやねうらにあって、)
彼の小部屋は、高い5階建ての屋根裏にあって、
(すまいというよりむしろとだなにちかかった。)
住まいというよりむしろ戸棚に近かった。
(じょちゅうとまかないつきでかれにこのへやをかしていたげしゅくのおかみは、)
女中と賄いつきで彼にこの部屋を貸していた下宿のおかみは、
(1かいかのべつのあぱーとにすんでいたので、とおりへでようとおもうと、)
1階下の別のアパートに住んでいたので、通りへ出ようと思うと、
(たいていいつもかいだんにむかっていっぱいあけっぱなしになっている)
たいていいつも階段に向かっていっぱいあけっ放しになっている
(おかみのだいどころわきを、いやでもとおらなければならなかった。)
おかみの台所わきを、いやでも通らなければならなかった。
(そしてそのつど、せいねんはそばをとおりすぎながら、)
そしてそのつど、青年はそばを通り過ぎながら、
(いっしゅびょうてきなおくびょうなきもちをかんじた。かれはじぶんでもそのきもちをはじて、)
一種病的な臆病な気持を感じた。彼は自分でもその気持を恥じて、
(かおをしかめるのであった。げしゅくのしゃっきんがかさんでいたので、)
顔をしかめるのであった。下宿の借金がかさんでいたので、
(おかみとかおをあわすのがこわかったのである。)
おかみと顔を合わすのがこわかったのである。
(もっとも、かれはそれほどおくびょうで、いじけきっていたわけではなく、)
もっとも、彼はそれほど臆病で、いじけ切っていたわけではなく、
(むしろそのはんたいなくらいだった。が、いつのころからか、)
むしろその反対なくらいだった。が、いつのころからか、
(ひぽこんでりいにるいしたいらだたしい、はりつめたきぶんになっていた。)
ヒポコンデリイに類したいら立たしい、張りつめた気分になっていた。