コトダマ

(みつめてるもののほんとうのすがた)

見つめてるものの　本当の姿

(めをとじたあとにみせるため)

目を閉じたあとに見せるため

(またきょうもときはひきさかれそうな)

また今日も時は　引き裂かれそうな

(こどくだけつむぐだろう)

孤独だけ紡ぐだろう

(やみにさくびゃくれんわすれえぬひとびと)

闇に咲く白蓮　忘れ得ぬ人々

(それでもついおくはみらいからおとなう)

それでも追憶は　未来から訪う

(といきにかわることばたちはうかするたましいのつばさよ)

吐息に変わる言葉たちは　羽化する魂の翼よ

(まいちるでしょうかまよってみだれて)

舞い散るでしょうか　迷って乱れて

(あなたへときざみたいこのもじが)

あなたへと刻みたい　この文字が

(つたえたいことのしんじつのかけら)

伝えたいことの　真実の欠片

(それさえもうまくとどかない)

それさえもうまく届かない

(ゆびさきにじむちでしたためたらこころまでこぼせますか)

指先に滲む血で認めたら　こころまで零せますか

(いきるわれらにのこされたひとことが)

生きるわれらに　残された一言が

(さよならだとしても)

サヨナラだとしても

(ひとみにやどるのはきえそうなゆうずつ)

眸に宿るのは　消えそうな夕星

(みつめあえたらいいそこによるをともそう)

見詰め合えたらいい　そこに夜を点そう

(うまれるまえのことばたちが)

生まれる前の言葉たちが

(ふたりのすきまによこたわる)

ふたりの隙間に横たわる

(きこえるでしょうかうたがうたが)

聞こえるでしょうか　歌が歌が

(そのみみにだけささげたいこのこえが)

その耳にだけ捧げたい　この声が

(しんじられるほどたしかななにかが)

信じられるほど　確かな何かが

(このよにどれだけあるという)

この世にどれだけあると云う

(あいとかゆめとかあいまいなものに)

愛とか夢とか曖昧なものに

(すがりつきたいのはなぜ)

縋り付きたいのは何故

(ああでもいまはのこされたぬくもりを)

ああでも今は　残されたぬくもりを

(だきとめられるなら)

抱き留められるなら

(みつめてるもののほんとうのすがた)

見つめてるものの　本当の姿

(めをとじたあとにみせるため)

目を閉じたあとに見せるため

(またあすもときはひきさかれそうな)

また明日も時は　引き裂かれそうな

(こどくだけつむぐだろう)

孤独だけ紡ぐだろう

(つたえたいことはからだのおくそこ)

伝えたいことは　からだの奥底

(あまりにしずんでとどかない)

あまりに沈んで届かない

(ゆびさきにうかぶちでしたためたら)

指先に浮かぶ血で認めたら

(こころまでおくれますか)

こころまで送れますか

(いきるわれらがさいごにそだてるのが)

生きるわれらが　最後に育てるのが

(さよならばかりだとしても)

サヨナラばかりだとしても