半七捕物帳 勘平の死16(終)

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岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第三話

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問題文

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(「だが、だんな、このことはむろんないぶんにいたしますが、えどじゅうにたったひとり、)

「だが、旦那、このことは無論内分にいたしますが、江戸中にたった一人、

(しょうじきにいってきかせなけりゃあならないものがございますから、それだけは)

正直に云って聞かせなけりゃあならない者がございますから、それだけは

(さいしょからおことわりもうしておきます」と、はんしちはおとこらしくいった。)

最初からお断り申して置きます」と、半七は男らしく云った。

(「えどじゅうにひとり」と、じゅうえもんはふしぎそうなかおをした。)

「江戸じゅうに一人」と、十右衛門は不思議そうな顔をした。

(「このせきじゃあちっともうしにくいことですが、したやにいるもじきよという)

「この席じゃあちっと申しにくいことですが、下谷にいる文字清という

(ときわずのししょうです」 いずみやのふうふはかおをみあわせた。)

常磐津の師匠です」 和泉屋の夫婦は顔をみあわせた。

(「あのおんなもこんどのことについては、いろいろかんちがいをしているようですから、)

「あの女も今度のことについては、いろいろ勘違いをしているようですから、

(とくしんのいくようにわたしからよくいってきかせなけりゃあなりません」と、はんしちは)

得心の行くように私からよく云って聞かせなけりゃあなりません」と、半七は

(いった。「それからよけいなおせわですが、わかだんなのおたっしゃでいるあいだは)

云った。「それから余計なお世話ですが、若旦那のお達者でいるあいだは

(またいろいろごつごうもございましたろうが、もうこうなりましたうえには、)

又いろいろ御都合もございましたろうが、もう斯うなりました上には、

(あのおんなにもおでいりをゆるしてやって、ちっとはごめんどうをみてやってくださいまし。)

あの女にもお出入りを許してやって、ちっとは御面倒を見てやって下さいまし。

(あのとしになってていしゅをもたず、だんだんとしはとる、たよりのないおんなは)

あの年になって亭主を持たず、だんだん年は老る、頼りのない女は

(かわいそうですからねえ」 はんしちにしみじみいわれて、おかみさんはなきだした。)

可哀そうですからねえ」 半七にしみじみ云われて、おかみさんは泣き出した。

(「まったくわたしがゆきとどきませんでした。あしたにもさっそくたずねていって、)

「まったくわたしが行き届きませんでした。あしたにも早速たずねて行って、

(これからはきょうだいどうようにつきあいます」)

これからは姉妹同様に附き合います」

(「すっかりくらくなりました」 はんしちろうじんはたってあたまのうえのでんとうをひねった。)

「すっかり暗くなりました」 半七老人は起って頭の上の電燈をひねった。

(「おふゆはそののちもいずみやにほうこうしていまして、それからやまとやのなこうどで、)

「お冬はその後も和泉屋に奉公していまして、それから大和屋の媒酌で、

(いずみやのむすめぶんということにしてあさくさのほうへえんづかせました。もじきよも)

和泉屋の娘分ということにして浅草の方へ縁付かせました。文字清も

(いずみやへでいりをするようになって、に、さんねんののちにししょうをやめて、)

和泉屋へ出入りをするようになって、二、三年の後に師匠をやめて、

(やはりやまとやのせわでしばのほうへえんづきました。やまとやのしゅじんはしんせつな)

やはり大和屋の世話で芝の方へ縁付きました。大和屋の主人は親切な

など

(せわずきのひとでした。)

世話好きの人でした。

(いずみやはいもうとむすめのおてるにむこをとりましたが、このむこがなかなかはたらきもので、)

和泉屋は妹娘のお照に婿を取りましたが、この婿がなかなか働き者で、

(えどがとうきょうになるとどうじに、すばやくしょうばいがえをして、とけいやになりまして、)

江戸が東京になると同時に、すばやく商売替えをして、時計屋になりまして、

(いまでもやまのてでりっぱにえいぎょうしています。むかしのえにしで、わたくしもときどき)

今でも山の手で立派に営業しています。むかしの縁で、わたくしも時々

(あそびにいきますよ。)

遊びに行きますよ。

(はっしょうじんでもおなじみのとおり、えどじだいにはしろうとのおざしききょうげんやちゃばんが)

八笑人でもお馴染みの通り、江戸時代には素人のお座敷狂言や茶番が

(はやりまして、それにはちゅうしんぐらのごだんめろくだんめがよくでたものでした。)

はやりまして、それには忠臣蔵の五段目六段目がよく出たものでした。

(いしょうやどうぐがむずかしくないせいもありましたろう。わたくしもよんどころない)

衣裳や道具がむずかしくない故もありましたろう。わたくしもよんどころない

(ぎりあいで、いくどもみせられたこともありましたが、このいずみやのいっけんが)

義理合いで、幾度も見せられたこともありましたが、この和泉屋の一件が

(あってから、ふしぎにろくだんめがでなくなりました。やっぱりなんだか)

あってから、不思議に六段目が出なくなりました。やっぱり何だか

(こころもちがよくないとみえるんですね」)

心持がよくないと見えるんですね」

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