『妖怪博士』江戸川乱歩5

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少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 6590 S+ 6.7 97.1% 632.4 4296 128 97 2024/10/04

関連タイピング

問題文

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(「じゃあ、じいさんがじめんにかいたきごうも、ぼくを)

「じゃあ、じいさんが地面に書いた記号も、ぼくを

(ここへこさせるためだったんですか」「そうとも。)

ここへ来させるためだったんですか」「そうとも。

(きみはしょうねんたんていじゃからね。ああすれば、だれにも)

きみは少年探偵じゃからね。ああすれば、だれにも

(いわないでそっとついてくるにちがいないとおもった)

言わないでソッと付いて来るに違いないと思った

(のさ。うかつなことをして、ないたりわめいたりされる)

のさ。うかつなことをして、泣いたり喚いたりされる

(よりは、すこしてまがかかっても、ああいうほうほうを)

よりは、少し手間がかかっても、ああいう方法を

(とったほうがてっとりばやくて、あんぜんだからね」)

とったほうが手っ取り早くて、安全だからね」

(きいているうちに、ひるたはかせとやらのおそろしい)

聞いているうちに、ヒルタ博士とやらの恐ろしい

(たくらみが、だんだんはっきりしてきました。はかせは、)

たくらみが、段々ハッキリしてきました。博士は、

(もっともあんぜんなほうほうで、すこしのていこうもうけずに、)

もっとも安全な方法で、少しの抵抗も受けずに、

(まんまとたいじしょうねんをゆうかいしたのでした。「じゃあ、)

まんまと泰二少年を誘拐したのでした。「じゃあ、

(あのにんぎょうもそうだったのか」「そうじゃ。やっと)

あの人形もそうだったのか」「そうじゃ。やっと

(わかってきたようじゃね。むろん、あれもきみをへやの)

分かってきたようじゃね。無論、あれも君を部屋の

(なかへおびきよせるためのきばつなしゅだんだったのさ。)

中へおびき寄せるための奇抜な手段だったのさ。

(きみは、せいぎかんのつよいこどもじゃからね。まさかあれを)

君は、正義感の強い子どもじゃからね。まさかアレを

(みすてて、たちさってしまうようなことはないと)

見捨てて、立ち去ってしまうようなことはないと

(おもったが、あんのじょう、あのむすめをたすけようとして、ゆうしの)

思ったが、案の定、あの娘を助けようとして、勇士の

(ようにとびこんできた。かんしんなしょうねんじゃよ、きみは」)

ように飛び込んできた。感心な少年じゃよ、君は」

(ひるたはかせは、さもとくいらしく、したなめずりをして)

ヒルタ博士は、さも得意らしく、舌なめずりをして

(せつめいするのでした。「すると、きみのしらないあいだに、)

説明するのでした。「すると、君の知らない間に、

など

(まどのとがしまってしまった。むろん、わしがしめた)

窓の戸が閉まってしまった。無論、わしが閉めた

(のじゃ。このいえには、いろいろなきかいのしかけがあって、)

のじゃ。この家には、色々な機械の仕掛けがあって、

(ぼたんをひとつおせば、どんなことでもできるのじゃ。)

ボタンを一つ押せば、どんなことでも出来るのじゃ。

(そこできみはまんまと、わしのさくにはまったという)

そこで君はまんまと、わしの策にはまったという

(わけさ。もう、なこうがわめこうが、そとにきこえることは)

訳さ。もう、泣こうが喚こうが、外に聞こえることは

(ない。さて、まどがしまったとなるときみは、こちらへ)

ない。さて、窓が閉まったとなると君は、こちらへ

(やってくるほかにみちはないのじゃ。わしはここで)

やって来る他に道はないのじゃ。わしはここで

(じっと、それをまっているだけでよかったのさ。)

ジッと、それを待っているだけで良かったのさ。

(わしは、ごくしぜんにきみがここへはいってくるように)

わしは、ごく自然に君がここへ入って来るように

(しむけただけで、きみをさらったわけでもなければ、)

仕向けただけで、君をさらった訳でもなければ、

(てがみやでんわでおびきよせたわけでもない。くわえて、きみ)

手紙や電話でおびき寄せた訳でもない。加えて、きみ

(じしんにさえ、わしがなにものかしらないくらいじゃから、)

自身にさえ、わしが何者か知らないくらいじゃから、

(きみのおとうさんやおかあさんが、わしというものをしって)

君のお父さんやお母さんが、わしという者を知って

(いるはずはない。つまり、きみがこのいえへきたという)

いるはずはない。つまり、君がこの家へ来たという

(ことは、あのろうじんとわしのほかには、だれもしらない)

ことは、あの老人とわしの他には、だれも知らない

(のじゃ。ところが、あのろうじんは、このわしじゃから、)

のじゃ。ところが、あの老人は、このわしじゃから、

(きみがここへきたことをしっているのは、わしのほか)

君がここへ来たことを知っているのは、わしの他

(にはひとりもおらん。わかったかね。だから、)

には一人もおらん。分かったかね。 だから、

(もし、きみのおとうさんがけいさつにたのんで、きみのゆくえをそうさく)

もし、君のお父さんが警察に頼んで、君の行方を捜索

(したところで、けっしてわかるはずはない。わしのほうで)

したところで、決して分かるはずはない。わしの方で

(すこしもむりをしていないのじゃから、てがかりという)

少しも無理をしていないのじゃから、手がかりという

(ものが、これからさきもないのじゃ。つまりきみは)

ものが、これから先もないのじゃ。つまり君は

(かんぜんに、そしてえいきゅうにわしにかんきんされるというわけ)

完全に、そして永久にわしに監禁されるという訳

(じゃ。ははは」ひるたはかせは、さもゆかいでたまらない)

じゃ。ハハハ」ヒルタ博士は、さも愉快でたまらない

(というように、にくにくしくわらうのでした。たいじくんは、)

というように、憎々しく笑うのでした。 泰二君は、

(あまりのおそろしさに、くちもきけないほどでしたが、)

あまりの恐ろしさに、口もきけないほどでしたが、

(もういよいよのがれるみちがないときまると、こども)

もういよいよのがれる道がないと決まると、子ども

(ながら、かえってどきょうがすわってきました。そして、)

ながら、かえって度胸がすわってきました。そして、

(このまほうつかいみたいなかおをしたはかせが、むしょうに)

この魔法使いみたいな顔をした博士が、無性に

(にくらしくなってきました。「き、きみは、ぼくになんの)

憎らしくなってきました。「き、君は、ぼくに何の

(うらみがあるんですか。そして、ぼくをこれから)

恨みがあるんですか。そして、ぼくをこれから

(どうしようっていうんですか」たいじくんは)

どうしようっていうんですか」 泰二君は

(はらだたしさに、かわいいほおをまっかにそめて、あやしい)

腹立たしさに、可愛い頬を真っ赤に染めて、怪しい

(はかせにつめよりました。)

博士に詰め寄りました。

(「ようじゅつ」)

「妖術」

(「ははは、なあにしんぱいしないでもいいよ。きみをとって)

「ハハハ、なあに心配しないでもいいよ。君を取って

(くおうというのではない。ただな、きみにちょっと)

食おうというのではない。ただな、君にちょっと

(おもしろいものをみせてあげようとおもったのさ」はかせは、)

面白いものを見せてあげようと思ったのさ」博士は、

(おおきなめがねのなかから、たいじくんのじょうきしたかおをじっと)

大きな眼鏡の中から、泰二君の上気した顔をジッと

(みつめながら、みょうなことをいいました。「おもしろい)

見つめながら、みょうなことを言いました。「面白い

(ものですか」「うん、そうだよ」「そんなもの、)

ものですか」「うん、そうだよ」「そんなもの、

(みたくありません。ぼく、かえります」「ははは、かえる)

見たくありません。僕、帰ります」「ハハハ、帰る

(といっても、わしがゆるさんよ」「でも、かえるんです」)

といっても、わしが許さんよ」「でも、帰るんです」

(たいじくんはけっしんのいろをうかべながら、つよくいいはなち)

泰二君は決心の色を浮かべながら、強く言い放ち

(ました。「ははは、かえれるものならかえってごらん。)

ました。「ハハハ、帰れるものなら帰ってごらん。

(そら、これでもきみはかえるというのかね」はかせはいい)

そら、これでも君は帰ると言うのかね」博士は言い

(ながら、そっとつくえのしたがわにしかけてあるぼたんを)

ながら、ソッと机の下側に仕掛けてあるボタンを

(おしました。すると、どうでしょう。たいじくんのたって)

押しました。すると、どうでしょう。泰二君の立って

(いたゆかいたがとつぜん、がたんとおちて、まっくらでしかくい)

いた床板が突然、ガタンと落ちて、真っ暗で四角い

(あながあき、あっというまにたいじくんのからだはすいこまれる)

穴があき、アッという間に泰二君の体は吸い込まれる

(ように、そのなかへきえてしまいました。おとしあな)

ように、その中へ消えてしまいました。落とし穴

(です。はかせはさっきから、たいじくんが、そのおとしあなの)

です。博士はさっきから、泰二君が、その落とし穴の

(うえにたつのを、まちかまえていたのでした。たいじくんの)

上に立つのを、待ち構えていたのでした。 泰二君の

(さけびごえが、ひじょうなはやさでちのそこにきえていくと、)

叫び声が、非常な早さで地の底に消えていくと、

(おちていたゆかいたがぎーともとにもどって、へやのなかは)

落ちていた床板がギーと元に戻って、部屋の中は

(なにごともなかったかのようにしずまりかえってしまい)

何事もなかったかのように静まり返ってしまい

(ました。「うふふ、これでよしと」はかせはまんぞく)

ました。「ウフフ、これでよしと」博士は満足

(そうに、そんなひとりごとをいって、ゆっくりいすから)

そうに、そんな独り言を言って、ゆっくりイスから

(たちあがりました。そして、うしろのたかいしょだなに)

立ち上がりました。そして、後ろの高い書棚に

(ちかづいて、おおきなようしょをにさつぬきだし、そのあなへてを)

近づいて、大きな洋書を二冊抜き出し、その穴へ手を

(いれて、なにかごとごとやっていました。すると、)

入れて、何かゴトゴトやっていました。すると、

(しょだなのいちぶぶんが、まるでとびらのようにぐーっとおくのほうへ)

書棚の一部分が、まるで扉のようにグーッと奥の方へ

(ひらきはじめたではありませんか。ここにもまた、)

ひらき始めたではありませんか。ここにもまた、

(みょうなきかいのしかけがあって、しょだなのおくにひみつの)

みょうな機械の仕掛けがあって、書棚の奥に秘密の

(へやができていたのです。はかせは、そのまっくらで)

部屋が出来ていたのです。 博士は、その真っ暗で

(せまいみっしつにはいると、しょだなのとびらをもとどおりにして、)

せまい密室に入ると、書棚の扉を元通りにして、

(でんきのすいっちをひねりました。なんときみょうなへや)

電気のスイッチをひねりました。なんと奇妙な部屋

(でしょう。いっぽうのすみにはさん、よんじゅうもひきだしのある)

でしょう。一方の隅には三、四十も引き出しのある

(おおきなだいがあって、そのうえにとこやさんにあるような、)

大きな台があって、その上に床屋さんにあるような、

(りっぱなかがみがたっています。それからしほうのかべには、)

立派な鏡が立っています。 それから四方の壁には、

(なんじゅっくみともしれないようふくやわふく、うわぎやぼうしなどが、)

何十組ともしれない洋服や和服、上着や帽子などが、

(ふるぎやさんのようにつりさげられ、そのしたにはいろいろな)

古着屋さんのように吊り下げられ、その下には色々な

(かたちのくつやぞうり、げたなどがずらりとならんでいる)

形の靴や草履、下駄などがズラリと並んでいる

(のです。はかせはそこにはいると、いきなりくろいころもの)

のです。 博士はそこに入ると、いきなり黒い衣の

(ようなものをぬぎすててしゃついちまいになり、かがみのまえの)

ような物を脱ぎ捨ててシャツ一枚になり、鏡の前の

(いすにこしかけました。それから、じつにふしぎな)

イスに腰かけました。それから、実に不思議な

(ことがはじまったのです。)

ことが始まったのです。

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