『少年探偵団』江戸川乱歩9

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少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
前回→https://typing.twi1.me/game/329814
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ヌオー 6257 S 6.5 95.7% 660.8 4329 194 97 2024/12/12
2 BE 4147 C 4.5 91.8% 970.9 4421 394 97 2024/11/11
3 くま 2659 E 2.9 91.1% 1473.1 4340 422 97 2024/12/16

関連タイピング

問題文

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(「ぎんいろのめだる」)

「銀色のメダル」

(こばやしくんは、まるできつねにつままれたようなきもち)

小林君は、まるでキツネにつままれたような気持ち

(でした。さっき、しのざきけのもんぜんで、じどうしゃにのるとき)

でした。さっき、篠崎家の門前で、自動車に乗る時

(には、ひしょもうんてんしゅも、たしかにしろいにほんじんのかお)

には、秘書も運転手も、たしかに白い日本人の顔

(でした。いくらなんでも、うんてんしゅがいんどじんと)

でした。いくらなんでも、運転手がインド人と

(わかれば、こばやしくんがそんなくるまにのりこむわけが)

わかれば、小林君がそんな車に乗りこむわけが

(ありません。それが、じゅっぷんもはしるかはしらないかの)

ありません。 それが、十分も走るか走らないかの

(うちに、いままでにほんじんであったふたりがとつぜん、)

うちに、今まで日本人であった二人が突然、

(まっくろないんどじんにばけてしまったのです。)

真っ黒なインド人に化けてしまったのです。

(これはいったい、どうしたというのでしょう。)

これは一体、どうしたというのでしょう。

(いんどにはせかいのなぞといわれる、ふしぎなまじゅつが)

インドには世界のナゾといわれる、不思議な魔術が

(あるそうですが、これもそのまじゅつのいっしゅ)

あるそうですが、これもその魔術の一種

(なのでしょうか。しかしいまは、そんなことを)

なのでしょうか。 しかし今は、そんなことを

(かんがえているばあいではありません。みどりちゃんを)

考えている場合ではありません。緑ちゃんを

(まもらなければならないのです。どうにかしてじどうしゃを)

守らなければならないのです。どうにかして自動車を

(とびだし、てきのてからのがれなければなりません。)

とびだし、敵の手からのがれなければなりません。

(こばやしくんは、いきなりみどりちゃんをこわきにかかえると、)

小林君は、いきなり緑ちゃんを小脇にかかえると、

(どあをひらいて、はしっているじどうしゃからとびおり)

ドアをひらいて、走っている自動車から飛び下り

(ようとみがまえました。「ひひひ、だめだめ、)

ようと身構えました。「ヒヒヒ、だめだめ、

(にげるとうちころすよ」くろいうんてんしゅが、かたこと)

逃げると撃ち殺すよ」 黒い運転手が、カタコト

など

(のような、あやしげなにほんごでどなったかとおもうと、)

のような、あやしげな日本語でどなったかと思うと、

(ふたりのいんどじんのてが、にゅーっとうしろにのびて、)

二人のインド人の手が、ニューッとうしろにのびて、

(にちょうのぴすとるのつつぐちが、こばやしくんとみどりちゃんのむねを)

二丁のピストルの筒口が、小林君と緑ちゃんの胸を

(ねらいました。「ちくしょう」こばやしくんははぎしりを)

ねらいました。「ちくしょう」 小林君は歯ぎしりを

(して、くやしがりました。じぶんひとりなら、どうにでも)

して、くやしがりました。自分一人なら、どうにでも

(してにげるのですが、みどりちゃんにけがをおわせない)

して逃げるのですが、緑ちゃんにケガを負わせない

(ようにするためには、ざんねんながらあいてのいいなりに)

ようにするためには、残念ながら相手のいいなりに

(なるほかはありません。こばやしくんが、ひるんだようすを)

なるほかはありません。 小林君が、ひるんだ様子を

(みると、いんどじんはくるまをとめて、じょしゅせきにいた)

見ると、インド人は車を止めて、助手席にいた

(ほうがうんてんせきをおり、きゃくせきのどあをひらいて、)

ほうが運転席をおり、客席のドアをひらいて、

(まずみどりちゃんを、つぎにこばやしくんを、ほそいなわで)

まず緑ちゃんを、つぎに小林君を、細い縄で

(うしろでにしばりあげ、そのうえ、よういした)

うしろ手にしばりあげ、そのうえ、用意した

(てぬぐいで、ふたりのくちにさるぐつわをかませて)

手ぬぐいで、二人の口にさるぐつわをかませて

(しまいました。そのしごとのあいだじゅう、せきにのこった)

しまいました。 その仕事のあいだ中、席に残った

(うんてんしゅは、じっとぴすとるをさしむけていたのです)

運転手は、ジッとピストルを差し向けていたのです

(から、ていこうすることなど、おもいもおよびません。)

から、抵抗することなど、思いもおよびません。

(しかしふたりのいんどじんは、それをすこしもきづき)

しかし二人のインド人は、それを少しも気づき

(ませんでしたけれど、こばやしくんはあいてのなすがままに)

ませんでしたけれど、小林君は相手のなすがままに

(まかせながら、ちょっとのすきをみて、みょうなことを)

まかせながら、ちょっとの隙をみて、みょうなことを

(しました。それは、いまいくんにばけたいんどじんが、)

しました。 それは、今井君に化けたインド人が、

(みどりちゃんをしばっているときでしたが、こばやしくんは)

緑ちゃんをしばっているときでしたが、小林君は

(すばやくみぎてをぽけっとにつっこむと、なにかきらきら)

素早く右手をポケットにつっこむと、何かキラキラ

(ひかるぎんかのようなものを、ひとつかみとりだして、)

光る銀貨のようなものを、ひとつかみ取りだして、

(それをあいてにさとられないよう、そっとくるまのうしろの)

それを相手に悟られないよう、ソッと車のうしろの

(ばんぱーのつけねのすみにおきました。いんどじんに)

バンパーの付け根のすみに置きました。インド人に

(みつからないよう、ずっとすみのほうへおいたのです。)

みつからないよう、ずっとすみの方へ置いたのです。

(ちょっとみるとひゃくえんぎんかのようですが、むろんぎんかでは)

ちょっと見ると百円銀貨のようですが、無論銀貨では

(ありません。なにかぎんいろをしたなまりせいのめだるのような)

ありません。何か銀色をした鉛製のメダルのような

(ものです。かずはおよそさんじゅうまいもあったでしょうか。)

物です。数はおよそ三十枚もあったでしょうか。

(いんどじんは、さいわいそれにはすこしもきがつかず、)

インド人は、さいわいそれには少しも気がつかず、

(ふたりにさるぐつわをしてしまうと、どあをしめて、)

二人にさるぐつわをしてしまうと、ドアをしめて、

(もとのうんてんせきにもどりました。そして、くるまはまたもや、)

元の運転席に戻りました。そして、車はまたもや、

(みんかもみえない、さびしいひろっぱを、どこともなく)

民家も見えない、さびしい広っぱを、どこともなく

(はしりだしたのです。すると、しっそうするじどうしゃの)

走りだしたのです。 すると、疾走する自動車の

(うしろの、はばのせまいばんぱーのつけねのうえに、)

うしろの、幅の狭いバンパーの付け根の上に、

(みょうなことがおこりました。さっきこばやしくんがおいた)

みょうなことが起こりました。さっき小林君が置いた

(ひゃくえんぎんかのようなものが、くるまのゆれにつれて、)

百円銀貨のようなものが、車の揺れにつれて、

(じりじりとうごきだし、はしのほうからひとつずつ、)

ジリジリと動き出し、はしのほうから一つずつ、

(じめんにふりおとされていくのです。そして、さんじゅっこ)

地面に振り落とされていくのです。 そして、三十個

(ほどのめだるが、すっかりおちてしまうのに)

ほどのメダルが、すっかり落ちてしまうのに

(しち、はちふんもかかったのですが、じどうしゃは、そのめだるが)

七、八分もかかったのですが、自動車は、そのメダルが

(なくなってしまうとまもなく、とあるさびしいまちに、)

なくなってしまうとまもなく、とあるさびしい町に、

(ぴったりとていしゃしました。あとでわかったところに)

ピッタリと停車しました。 あとでわかったところに

(よれば、それはおなじせたがやくないの、しのざきくんのいえとは)

よれば、それは同じ世田谷区内の、篠崎君の家とは

(はんたいのはしにある、まだみんかのたちそろわない、)

反対のはしにある、まだ民家の建ち揃わない、

(さびしいじゅうたくちだったのです。くるまがとまると、)

さびしい住宅地だったのです。 車が止まると、

(こばやしくんとみどりちゃんは、ふたりのいんどじんにより、)

小林君と緑ちゃんは、二人のインド人により、

(うむをいわせず、きゃくせきからひきだされて、そこに)

有無をいわせず、客席から引きだされて、そこに

(たっていたいっけんのちいさいようかんのなかへ、つれこまれ)

建っていた一軒の小さい洋館の中へ、連れ込まれ

(ました。ところが、そのようかんのもんをはいるとき、)

ました。 ところが、その洋館の門を入るとき、

(こばやしくんはまたしても、みょうなことをしたのです。)

小林君はまたしても、みょうなことをしたのです。

(こばやしくんはそのときまで、うしろにしばられたみぎてを、)

小林君はそのときまで、うしろにしばられた右手を、

(ぎゅっとにぎりしめていましたが、それを)

ギュッと握りしめていましたが、それを

(いんどじんたちにきづかれないよう、あるきながら)

インド人たちに気づかれないよう、歩きながら

(すこしずつひらいていったのです。すると、こばやしくんの)

少しずつひらいていったのです。 すると、小林君の

(みぎてのなかから、れいのぎんいろのめだるがいちまいずつ、)

右手の中から、例の銀色のメダルが一枚ずつ、

(やわらかいじめんのうえへ、おともたてずおちはじめ、)

やわらかい地面の上へ、音もたてず落ちはじめ、

(じどうしゃのとまったところから、もんないまでに、ごうけいごまいの)

自動車の止まった所から、門内までに、合計五枚の

(めだるが、にめーとるかんかくでじめんにばらまかれ)

メダルが、二メートル間隔で地面にばらまかれ

(ました。どくしゃしょくん、このぎんかのようなめだるは、)

ました。 読者諸君、この銀貨のようなメダルは、

(いったいなんでしょうか。こばやしくんは、どうしてそんな)

一体なんでしょうか。小林君は、どうしてそんな

(たくさんのめだるをもっていたのでしょうか。)

たくさんのメダルを持っていたのでしょうか。

(また、それをいろいろなしかたで、じどうしゃのとおったどうろや、)

また、それを色々な仕方で、自動車の通った道路や、

(ようかんのもんぜんにまきちらしたのには、どういういみが)

洋館の門前に撒き散らしたのには、どういう意味が

(あったのでしょうか。そのわけを、ひとつそうぞうして)

あったのでしょうか。そのわけを、ひとつ想像して

(ごらんなさい。いんどじんたちは、みどりちゃんを)

ご覧なさい。 インド人たちは、緑ちゃんを

(ひっかかえ、こばやしくんをつきとばすようにして、)

ひっかかえ、小林君を突き飛ばすようにして、

(ようかんにはいり、せまいろうかづたいに、ふたりをおくまった)

洋館に入り、せまい廊下づたいに、二人を奥まった

(へやへつれこみましたが、みると、そのへやのすみの)

部屋へ連れ込みましたが、見ると、その部屋の隅の

(ゆかいたに、ぽっかりとくろくしかくいあながあいている)

床板に、ポッカリと黒く四角い穴があいている

(のです。ちかしつへのいりぐちです。「このなかへ)

のです。地下室への入口です。「この中へ

(はいりなさい」いんどじんがおそろしいかおつきで)

入りなさい」 インド人がおそろしい顔つきで

(めいじました。こばやしくんはりょうてをしばられて、ていこうりょくを)

命じました。 小林君は両手をしばられて、抵抗力を

(うばわれているのですから、どうすることも)

うばわれているのですから、どうすることも

(できません。いわれるままに、そこにたてかけてある)

できません。いわれるままに、そこに立てかけてある

(そまつなはしごをあぶなっかしく、じめんのあなのなかへ、)

粗末なハシゴを危なっかしく、地面の穴の中へ、

(おりていくほかはありませんでした。)

おりていくほかはありませんでした。

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