『少年探偵団』江戸川乱歩14
○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | ssssss | 7011 | 王 | 7.5 | 93.2% | 618.3 | 4675 | 340 | 100 | 2024/09/30 |
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問題文
(「なわばしごをなげると、おとがするかもしれないから)
「縄バシゴを投げると、音がするかもしれないから
(いけない。それよりもかたぐるまにしよう。さあ、ぼくの)
いけない。それよりも肩車にしよう。さあ、ぼくの
(うえへ、じゅんにのりたまえ。はしばくんはかるいからいちばんうえ)
上へ、順に乗りたまえ。羽柴君は軽いから一番上
(だよ」かつらしょういちしょうねんは、そういったかとおもうと、)
だよ」 桂正一少年は、そう言ったかと思うと、
(ようかんのかべにりょうてをついて、うんとあしをふんばり)
洋館の壁に両手をついて、ウンと足をふんばり
(ました。よくふとったすもうせんしゅのかつらくんは、かたぐるまの)
ました。よく太った相撲選手の桂君は、肩車の
(ふみだいにはもってこいです。つぎに、ちゅうくらいのたいかくの)
踏み台にはもってこいです。次に、中くらいの体格の
(しょうねんが、かつらくんのせなかによじのぼって、そのかたのうえに)
少年が、桂君の背中によじのぼって、その肩の上に
(あしをかけ、かべにてをついてみがまえますと、こんどは)
足をかけ、壁に手をついて身構えますと、今度は
(みがるなはしばくんが、さるのようにふたりのかたをのぼり、)
身軽な羽柴君が、サルのように二人の肩をのぼり、
(にばんめのしょうねんのかたへりょうあしをかけました。たいみんぐを)
二番目の少年の肩へ両足をかけました。 タイミングを
(みはからって、いままでせをかがめていたかつらくんとにばんめの)
見計らって、今まで背をかがめていた桂君と二番目の
(しょうねんが、ぐっとからだをのばしました。すると、いちばんうえの)
少年が、グッと体を伸ばしました。すると、一番上の
(はしばくんのかおが、ちょうどにかいのまどのしたのすみに)
羽柴君の顔が、ちょうど二階の窓の下のすみに
(とどきました。まるできょくげいのようですが、)
届きました。 まるで曲芸のようですが、
(たんていだんいんたちはひごろから、いざというときのために、)
探偵団員たちは日頃から、いざというときのために、
(こういうことまでれんしゅうしておいたのです。はしばくんは、)
こういうことまで練習しておいたのです。 羽柴君は、
(まどわくにてをかけて、そっとへやのなかをのぞきました。)
窓枠に手をかけて、ソッと部屋の中をのぞきました。
(まどには、かーてんがさがっていましたけれど、おおきな)
窓には、カーテンがさがっていましたけれど、大きな
(すきまができていて、へやのようすはてにとるように)
すきまが出来ていて、部屋の様子は手に取るように
(ながめられました。そこには、いったいなにがあったので)
ながめられました。 そこには、一体何があったので
(しょう。あらかじめよそくはしておりましたが、)
しょう。あらかじめ予測はしておりましたが、
(へやのなかのふしぎなこうけいに、はしばくんはあやうく)
部屋の中の不思議な光景に、羽柴君はあやうく
(あっとこえをたてるところでした。へやのまんなかに、)
アッと声をたてるところでした。 部屋の真ん中に、
(ふたりのおそろしいかおをしたいんどじんがすわって)
二人のおそろしい顔をしたインド人が座って
(いました。すみのようにくろいひふのいろ、ぶきみにしろく)
いました。墨のように黒い皮膚の色、不気味に白く
(ひかるめ、あつぼったいまっかなくちびる、ふくそうもしゃしんでみる)
光る目、厚ぼったい真っ赤な唇、服装も写真で見る
(いんどじんそのままで、あたまにはたーばんというので)
インド人そのままで、頭にはターバンというので
(しょう、しろいぬのをぐるぐるとぼうしのようにまいて、)
しょう、白い布をグルグルと帽子のように巻いて、
(おおきなふろしきみたいなしろいぬのをかたからさげている)
大きな風呂敷みたいな白い布を肩からさげている
(のです。いんどじんのまえのかべには、なんだかまもの)
のです。 インド人の前の壁には、なんだか魔物
(みたいなおそろしいぶつぞうのえがかかっており、)
みたいなおそろしい仏像の絵がかかっており、
(そのまえのだいのうえにはおおきなこうろがむらさきいろのけむりをはいて)
その前の台の上には大きな香炉が紫色の煙をはいて
(います。ふたりのいんどじんはすわったまま、かべのぶつぞうに)
います。 二人のインド人は座ったまま、壁の仏像に
(むかって、しきりとれいはいしているのです。)
向かって、しきりと礼拝しているのです。
(ひょっとしたら、こばやししょうねんとみどりちゃんを、まほうのちからで)
ひょっとしたら、小林少年と緑ちゃんを、魔法の力で
(いのりころそうとしているのかもしれません。みている)
祈り殺そうとしているのかもしれません。 見ている
(うちに、せなかがぞーっとさむくなってきました。)
うちに、背中がゾーッと寒くなってきました。
(これがとうきょうのできごとなのかしら。もしや、おそろしい)
これが東京の出来事なのかしら。もしや、おそろしい
(まほうのくにへでも、まよいこんだのじゃないかしら。)
魔法の国へでも、迷い込んだのじゃないかしら。
(はしばくんはあまりのきみわるさに、もう、のぞいている)
羽柴君はあまりの気味悪さに、もう、のぞいている
(きがしませんでした。いそいであいずをおくると、)
気がしませんでした。 急いで合図を送ると、
(したのふたりにしゃがんでもらって、じめんにおりたち)
下の二人にしゃがんでもらって、地面に降り立ち
(ました。そして、やみのなかでかおをよせてくるろくにんの)
ました。そして、闇の中で顔を寄せてくる六人の
(しょうねんたちに、ささやきごえで、しつないのようすをほうこく)
少年たちに、ささやき声で、室内の様子を報告
(しました。「やっぱり、そうだ。あんなにばっじが)
しました。「やっぱり、そうだ。あんなにバッジが
(おちていたうえに、ふたりのいんどじんがいるとすれば、)
落ちていた上に、二人のインド人がいるとすれば、
(ここが、やつらのそうくつにきまっている」「じゃ、)
ここが、やつらの巣窟に決まっている」「じゃ、
(ぼくたちで、ここのいえへふみこんで、いんどじんの)
ぼくたちで、ここの家へ踏み込んで、インド人の
(やつをとらえようじゃないか」「いや、それよりも、)
やつをとらえようじゃないか」「いや、それよりも、
(こばやしだんちょうとみどりちゃんをたすけださなくっちゃ」)
小林団長と緑ちゃんを助けださなくっちゃ」
(「まちたまえ、はやまってはいけない」)
「待ちたまえ、はやまってはいけない」
(くちぐちにささやくしょうねんたちをおさえて、かつらしょういちくんが、)
口々にささやく少年たちをおさえて、桂正一君が、
(おもおもしくいいました。「いくらおおぜいでも、ぼくたち)
重々しく言いました。「いくら大勢でも、ぼくたち
(だけのちからで、あのまほうつかいみたいないんどじんを、)
だけの力で、あの魔法使いみたいなインド人を、
(とらえることはできないよ。もし、しくじったら)
とらえることは出来ないよ。もし、しくじったら
(たいへんだからね。だからね、みんなぼくのさしずに)
大変だからね。だからね、みんなぼくの指図に
(したがって、たんとうについてくれたまえ」かつらくんは)
したがって、担当についてくれたまえ」 桂君は
(そういって、だれはおもてもん、だれはうらもん、だれとだれは)
そう言って、だれは表門、だれは裏門、だれとだれは
(にわのどこというように、たてものをとりまいて、)
庭のどこというように、建物を取り巻いて、
(しょうねんたちでみはりをつとめるようにさしずしました。)
少年たちで見張りをつとめるように指図しました。
(「もし、いんどじんがこっそりにげだすのをみたら、)
「もし、インド人がこっそり逃げだすのを見たら、
(すぐふえをふくんだよ。いいかい、それからしのざきくん、)
すぐ笛を吹くんだよ。いいかい、それから篠崎君、
(きみはらんにんぐがとくいだから、でんれいのやくをつとめて)
きみはランニングが得意だから、伝令の役をつとめて
(くれないか。このちかくのでんわがあるところまではしって)
くれないか。この近くの電話がある所まで走って
(いって、きみのいえへでんわをかけるんだ。はんにんの)
行って、きみの家へ電話をかけるんだ。犯人の
(そうくつをはっけんしたから、すぐきてくださいってね。)
巣窟を発見したから、すぐ来てくださいってね。
(そのあいだ、ぼくらはここにみはりをして、けっして)
そのあいだ、ぼくらはここに見張りをして、決して
(やつらをにがしやしないから」だんちょうがわりのかつらくんは、)
やつらをにがしやしないから」 団長代わりの桂君は、
(てきぱきとぬけめなくしれいをあたえました。しのざきくんが、)
てきぱきと抜け目なく指令を与えました。 篠崎君が、
(「よし」とこたえて、やっぱりじめんをはうように)
「よし」と答えて、やっぱり地面を這うように
(しながらたちさるのをまって、のこるろくにんは、)
しながら立ち去るのを待って、残る六人は、
(それぞれのたんとうばしょにわかれ、しほうからようかんをかんし)
それぞれの担当場所にわかれ、四方から洋館を監視
(することになりました。しかし、そんなことを)
することになりました。 しかし、そんなことを
(しているあいだに、こばやしくんがおぼれてしまうような)
しているあいだに、小林君がおぼれてしまうような
(ことはないでしょうか。みずがちかしつのてんじょうまでいっぱいに)
ことはないでしょうか。水が地下室の天井まで一杯に
(なってしまうようなことはないでしょうか。)
なってしまうようなことはないでしょうか。
(ひょっとするとまにあわないかもしれません。)
ひょっとすると間に合わないかもしれません。
(ああ、はやくはやく。おまわりさんたち、はやくかけ)
ああ、早く早く。おまわりさんたち、早く駆け
(つけてください。それからしのざきくんのしらせによって、)
つけてください。 それから篠崎君の知らせによって、
(ちょうどしのざきけにいた、けいしちょうのなかむらそうさかかりちょうが)
ちょうど篠崎家に居た、警視庁の中村捜査係長が
(すうめいのぶかをひきつれ、じどうしゃをとばして、ようかんに)
数名の部下をひきつれ、自動車をとばして、洋館に
(かけつけるまでに、およそにじゅっぷんのじかんがすぎ)
駆けつけるまでに、およそ二十分の時間が過ぎ
(ました。ああ、そのまちどおしかったこと。)
ました。ああ、その待ち遠しかったこと。
(でも、しょうねんそうさくたいがさいしょにばっじをひろってから、)
でも、少年捜索隊が最初にバッジを拾ってから、
(もうたっぷりいちじかんはたっています。つまりこばやしくんが)
もうたっぷり一時間は経っています。つまり小林君が
(みどりちゃんをおぶっておよぎだしてから、それだけのときが)
緑ちゃんをおぶって泳ぎだしてから、それだけの時が
(すぎさったのです。ああ、ふたりは、まだぶじでいる)
過ぎ去ったのです。ああ、二人は、まだ無事でいる
(でしょうか。せっかくおまわりさんたちがかけつけた)
でしょうか。せっかくおまわりさんたちが駆けつけた
(ときには、もうおそかったのではないでしょうか。)
時には、もう遅かったのではないでしょうか。
(けいかんたちがとうちゃくしたのをしると、かつらしょうねんはやみのなかから)
警官たちが到着したのを知ると、桂少年は闇の中から
(かけだしていって、なかむらかかりちょうに「はんにんはまだたてものの)
駆け出して行って、中村係長に「犯人はまだ建物の
(なかにいるにちがいない。だれもにげだしたものはいない」)
中にいるに違いない。だれも逃げだした者はいない」
(ということをほうこくしました。なかむらかかりちょうは、かつらくんたちの)
ということを報告しました。 中村係長は、桂君たちの
(てがらをほめておいて、ぶかのふたりをたてもののうらに)
手柄をほめておいて、部下の二人を建物の裏に
(まわし、じぶんはふたりのせいふくけいかんをしたがえて、げんかんに)
まわし、自分は二人の制服警官をしたがえて、玄関に
(あがると、いきなりよびりんのぼたんをおすのでした。)
あがると、いきなり呼び鈴のボタンを押すのでした。
(にど、さんど、ぼたんをおしていると、ないぶにぱっと)
二度、三度、ボタンを押していると、内部にパッと
(でんとうがともり、ひとのあしおとがして、どあのはんどるが)
電灯がともり、人の足音がして、ドアのハンドルが
(うごきました。)
動きました。