『少年探偵団』江戸川乱歩15
○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ヌオー | 5915 | A+ | 6.3 | 93.4% | 698.3 | 4445 | 314 | 100 | 2024/12/12 |
2 | baru | 4796 | B | 5.2 | 92.0% | 859.1 | 4513 | 392 | 100 | 2024/12/14 |
3 | くま | 2833 | E+ | 3.0 | 92.3% | 1435.1 | 4437 | 370 | 100 | 2024/12/16 |
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問題文
(ああ、さすがのいんどじんも、とうとううんのつきです。)
ああ、さすがのインド人も、とうとう運のつきです。
(ほうもんしゃがおそろしいけいかんともしらず、のこのこ)
訪問者がおそろしい警官とも知らず、ノコノコ
(でむかえにやってくるとは。なかむらかかりちょうは、たてもののなかに)
出迎えにやって来るとは。 中村係長は、建物の中に
(いるのは、ふたりのいんどじんだけときいているものです)
居るのは、二人のインド人だけと聞いているものです
(から、どあがひらかれるとどうじに、おどりこんで、)
から、ドアがひらかれると同時に、おどりこんで、
(はんにんをひっとらえようと、なわをにぎりしめて)
犯人をひっとらえようと、縄を握りしめて
(まちかまえていました。ところが、どあがぱっと)
待ち構えていました。 ところが、ドアがパッと
(ひらいてそこにたっていたのは、いがいにもくろい)
ひらいてそこに立っていたのは、意外にも黒い
(いんどじんではなくて、みるからにすまーとなにほんじんの)
インド人ではなくて、見るからにスマートな日本人の
(しんしでした。としはさんじゅっさいぐらいでしょうか。)
紳士でした。 歳は三十歳ぐらいでしょうか。
(ひきしまったいろじろのかおに、ほそくかりこんだくちひげの)
引き締まった色白の顔に、細くかりこんだ口ヒゲの
(うつくしいしんしが、おりめのついた、かっこうのいい)
美しい紳士が、折り目のついた、かっこうのいい
(せびろふくをきて、にこにこわらいながらこちらをみている)
背広服を着て、ニコニコ笑いながらこちらを見ている
(のです。「あなたはだれですか」なかむらかかりちょうは、)
のです。「あなたはだれですか」 中村係長は、
(めんくらって、みょうなことをたずねました。)
面食らって、みょうなことをたずねました。
(「ぼくは、ここのしゅじんのはるきというものですが、)
「ぼくは、ここの主人の春木という者ですが、
(よくおいでくださいました。じつは、ぼくのほうから)
よくおいでくださいました。じつは、ぼくのほうから
(おでんわでもしようかとかんがえていたところです」)
お電話でもしようかと考えていたところです」
(ますますいがいなことばです。さすがのけいぶもきつねに)
ますます意外な言葉です。さすがの警部もキツネに
(でもつままれたようなかおをして、「このいえに、ふたりの)
でもつままれたような顔をして、「この家に、二人の
(いんどじんがいるはずですが」と、くちごもらないでは)
インド人がいるはずですが」 と、口ごもらないでは
(いられませんでした。「ああ、あなたがたは、もう、)
いられませんでした。「ああ、あなた方は、もう、
(いんどじんのことまでごしょうちなのですか。ぼくは)
インド人のことまでご承知なのですか。ぼくは
(あいつらが、こんなあくにんとはしらないで、へやを)
あいつらが、こんな悪人とは知らないで、部屋を
(かしていたのです」「すると、ふたりのいんどじんは、)
貸していたのです」「すると、二人のインド人は、
(おたくのへやをかりているひとなのですか」)
おたくの部屋を借りている人なのですか」
(「そうなんです。しかし、まあ、こちらへおはいり)
「そうなんです。しかし、まあ、こちらへお入り
(ください。くわしいおはなしをいたしましょう」)
ください。くわしいお話をいたしましょう」
(しんしは、そういいながら、さきにたっておくのほうへ)
紳士は、そう言いながら、先に立って奥のほうへ
(はいっていきますので、なかむらかかりちょうとふたりのけいかんは)
入って行きますので、中村係長と二人の警官は
(ふしんながらも、ともかくそのあとにしたがいました。)
不審ながらも、ともかくそのあとにしたがいました。
(「ここです。ふたりともぶじにすくうことができました。)
「ここです。二人とも無事に救うことが出来ました。
(ぼくがもうひとあしおそかったら、かわいそうにいのちはありません)
ぼくがもう一足遅かったら、可哀想に命はありません
(でした」しんしは、またもや、わけのわからないことを)
でした」 紳士は、またもや、わけのわからないことを
(いって、とあるへやのどあをひらくと、けいかんたちを)
言って、とある部屋のドアをひらくと、警官たちを
(まねきいれるのでした。なかむらかかりちょうがしんしのあとに)
招き入れるのでした。 中村係長が紳士のあとに
(ついていっぽ、へやのなかにふみこむと、)
ついて一歩、部屋の中に踏み込むと、
(いがいなこうけいにはっとおどろかないではいられません)
意外な光景にハッと驚かないではいられません
(でした。ごらんなさい。へやのすみのべっどのなかには、)
でした。 ご覧なさい。部屋のすみのベッドの中には、
(ゆうかいされたみどりちゃんが、すやすやとねむっているでは)
誘拐された緑ちゃんが、スヤスヤとねむっているでは
(ありませんか。そのまくらもとのいすには、こばやししょうねんが)
ありませんか。その枕元のイスには、小林少年が
(おとなのないとがうんをきせられて、みょうなかっこうで、)
大人のナイトガウンを着せられて、みょうな恰好で、
(こしかけているではありませんか。「これはいったい、)
腰掛けているではありませんか。「これは一体、
(どうしたというのです」なかむらかかりちょうは、あっけに)
どうしたというのです」 中村係長は、あっけに
(とられてさけびました。「こういうわけですよ」)
とられて叫びました。「こういうわけですよ」
(しんしはかかりちょうにいすをすすめて、ことのしだいをかたりはじめ)
紳士は係長にイスをすすめて、事の次第を語り始め
(ました。「ぼくはいま、やといにんのこっくとふたりきりで、)
ました。「ぼくは今、雇い人のコックと二人きりで、
(どくしんせいかつをしているのですが、きょうはあさからがいしゅつ)
独身生活をしているのですが、今日は朝から外出
(していて、ついいましがたかえってみますと、いえのなかに)
していて、つい今しがた帰ってみますと、家の中に
(だれもいないのです。にかいのへやをかりている)
だれもいないのです。二階の部屋を借りている
(いんどじんたちもいなければ、こっくのすがたも)
インド人たちも居なければ、コックの姿も
(みえません。どうしたんだろうとふしんにおもって、)
見えません。 どうしたんだろうと不審に思って、
(いえじゅうをさがしてみますと、やっとだいどころのすみでこっくを)
家中を探してみますと、やっと台所のすみでコックを
(みつけることができましたが、それがおどろいた)
見つけることが出来ましたが、それがおどろいた
(ことに、てあしをしばられたうえに、さるぐつわまで)
ことに、手足をしばられた上に、さるぐつわまで
(はめられているのです。なわをといて、ようすを)
はめられているのです。 縄をといて、様子を
(たずねますと、にかいのいんどじんが、どこからかかえって)
たずねますと、二階のインド人が、どこからか帰って
(きて、いきなりこんなめにあわせたというのです。)
きて、いきなりこんな目にあわせたというのです。
(いや、そればかりではありません。こっくがいう)
いや、そればかりではありません。コックが言う
(には、なんだかちいさいこどもをつれてかえったらしい。)
には、なんだか小さい子どもを連れて帰ったらしい。
(そして、そのこどもをちかしつへほうりこんだのでは)
そして、その子どもを地下室へ放り込んだのでは
(ないかという。いましがたまで、かすかにこどもの)
ないかと言う。今しがたまで、かすかに子どもの
(なきごえがきこえていたともうすのです。ぼくは)
泣き声が聞こえていたと申すのです。 ぼくは
(おどろいて、すぐさまちかしつへいってみますと、)
驚いて、すぐさま地下室へ行ってみますと、
(なんということでしょう。ちかしつは、まるでたんく)
なんということでしょう。地下室は、まるでタンク
(みたいにみずがいっぱいになっていて、そのなかを、)
みたいに水が一杯になっていて、その中を、
(このこばやしくんというしょうねんが、ちいさいおじょうさんをおぶって)
この小林君という少年が、小さいお嬢さんをおぶって
(およいでいるじゃありませんか。もうちからがつきて、)
泳いでいるじゃありませんか。もう力がつきて、
(いまにもおぼれそうなようすです。ぼくはむろん、)
今にもおぼれそうな様子です。 ぼくは無論、
(すぐふたりをすくいあげましたが、ちいさいおじょうさんの)
すぐ二人を救いあげましたが、小さいお嬢さんの
(ほうは、ひどくねつをだしているものですから、)
ほうは、ひどく熱をだしているものですから、
(こうしてべっどにねかしているのです。それから、)
こうしてベッドに寝かしているのです。 それから、
(このこばやしくんのはなしで、いっさいのじじょうがわかりました)
この小林君の話で、いっさいの事情がわかりました
(ので、ぼくは、おじょうさんのおたくとけいさつへ、でんわを)
ので、ぼくは、お嬢さんのお宅と警察へ、電話を
(かけようとしているところへ、ちょうど、あなたがたが)
かけようとしているところへ、ちょうど、あなた方が
(おいでくださったというわけです」ききおわった)
おいでくださったというわけです」 聞き終わった
(なかむらかかりちょうはほっとためいきをついて、「そうでしたか。)
中村係長はホッと溜め息をついて、「そうでしたか。
(いや、おかげさまでふたりのいのちをすくうことができて、)
いや、おかげさまで二人の命を救うことが出来て、
(なによりでした。しかし、いんどじんはたしかにいない)
なによりでした。しかし、インド人は確かにいない
(のでしょうね。じゅうぶんおさがしになりましたか」)
のでしょうね。充分お探しになりましたか」
(「じゅうぶんさがしたつもりですが、ねんのため、あなたがたの)
「充分探したつもりですが、念のため、あなた方の
(おちからでそうさくしていただいたほうがいいとおもいます」)
お力で捜索していただいたほうがいいと思います」
(「では、もういちど、しらべてみましょう」)
「では、もう一度、調べてみましょう」
(そこでかかりちょうはうらぐちへまわしておいたふたりのけいかんも)
そこで係長は裏口へまわしておいた二人の警官も
(よびいれて、ごにんがてわけして、おしいれやてんじょうを)
呼び入れて、五人が手分けして、押し入れや天井を
(とわずゆかしたまでも、のこるところなくそうさくしましたが、)
問わず床下までも、残る所なく捜索しましたが、
(いんどじんのすがたはどこにもはっけんされませんでした。)
インド人の姿はどこにも発見されませんでした。
(じつにふしぎというほかはありません。はしばしょうねんが)
じつに不思議というほかはありません。羽柴少年が
(にかいのまどをのぞいてから、けいかんがつくまでの、)
二階の窓をのぞいてから、警官がつくまでの、
(わずかにじゅっすうふんのあいだに、ふたりのいんどじんは、)
わずか二十数分のあいだに、二人のインド人は、
(まるでけむりのようにきえてしまったのです。)
まるで煙のように消えてしまったのです。
(たてもののそとにはろくにんのしょうねんたんていだんいんが、ちゅういぶかく)
建物の外には六人の少年探偵団員が、注意深く
(みはりをしていました。いんどじんは、どうして)
見張りをしていました。インド人は、どうして
(そのめをのがれることができたのでしょう。)
その目をのがれることが出来たのでしょう。
(いやはや、やつらはしんぺんふしぎのまほうつかいです。)
いやはや、やつらは神変不思議の魔法使いです。
(たてもののそとへでるまでもなく、あのにかいのへやのなかで、)
建物の外へ出るまでもなく、あの二階の部屋の中で、
(なにかじゅもんをとなえながら、すーっときえて)
なにか呪文をとなえながら、スーッと消えて
(しまったのかもしれません。どくしゃしょくんは、くろいまものが)
しまったのかもしれません。 読者諸君は、黒い魔物が
(ようげんじのぼちのなかやしのざきけのていえんで、かきけすように)
養源寺の墓地の中や篠崎家の庭園で、かき消すように
(すがたをかくしてしまったことをおぼえているでしょう。)
姿を隠してしまったことを憶えているでしょう。