『妖怪博士』江戸川乱歩23

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少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7289 7.4 98.1% 601.1 4465 83 100 2024/10/07
2 tana 4204 C 4.4 94.8% 1026.4 4561 246 100 2024/10/13

関連タイピング

問題文

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(あやしいせいねんにといかけられ、よにんのしょうねんはおもわず、)

怪しい青年に問いかけられ、四人の少年は思わず、

(おたがいにかおをみあわせました。そして、なにかぼそぼそ)

お互いに顔を見合わせました。そして、何かボソボソ

(ささやきあっていましたが、やがてよにんをだいひょうする)

ささやきあっていましたが、やがて四人を代表する

(ようにあいかわたいじくんがいっぽまえにでて、はっきりした)

ように相川泰二君が一歩前に出て、ハッキリした

(くちょうでこたえました。「ちがいます。このひとはひるたはかせ)

口調で答えました。「違います。この人はヒルタ博士

(ではありません。ひるたはかせはもっととしよりで、)

ではありません。ヒルタ博士はもっと年寄りで、

(かおもこえもちがっていました」とのむらはそれをきくと、)

顔も声も違っていました」 殿村はそれを聞くと、

(さもとうぜんだといわないばかりに、いきおいをましていい)

さも当然だと言わないばかりに、勢いを増して言い

(ました。「どうです。ぼくには、こんなかわいい)

ました。「どうです。ぼくには、こんな可愛い

(しょうにんがよにんもいるんですぜ。それにだいいち、このぼくが)

証人が四人もいるんですぜ。それに第一、このぼくが

(はんにんのひるたはかせだとしたら、みなさんをこのいえへ)

犯人のヒルタ博士だとしたら、みなさんをこの家へ

(ごあんないするはずがないじゃありませんか。そして、)

ご案内するはずがないじゃありませんか。そして、

(せっかくかくしておいたこどもたちやしょるいをけいさつに)

せっかく隠しておいた子どもたちや書類を警察に

(ひきわたすはずがないじゃありませんか。ひるたはかせ)

引き渡すはずがないじゃありませんか。ヒルタ博士

(じしんがひるたはかせのひみつをあばくなんて、じつにとんでも)

自身がヒルタ博士の秘密を暴くなんて、実にとんでも

(ないはなしです。え、そうじゃありませんか。ははは」)

ない話です。え、そうじゃありませんか。ハハハ」

(とのむらは、またしてもゆかいらしくげらげらとわらう)

殿村は、またしても愉快らしくゲラゲラと笑う

(のでした。ああ、どくしゃしょくん、なんだかしんぱいになって)

のでした。 ああ、読者諸君、なんだか心配になって

(きたではありませんか。もしやあけちたんていは、)

きたではありませんか。もしや明智探偵は、

(とんでもないしっさくをしたのではないでしょうか。)

とんでもない失策をしたのではないでしょうか。

など

(とのむらのいうことは、いかにもすじみちがたっています。)

殿村の言うことは、いかにも筋道が立っています。

(はんにんがはんにんじしんのひみつをあばくなんて、ほんとうに)

犯人が犯人自身の秘密を暴くなんて、本当に

(かんがえられないことです。あけちはどうしているかと)

考えられないことです。明智はどうしているかと

(みてみると、べつにおどろいたようすもなく、へいきなかおをして)

見てみると、別に驚いた様子もなく、平気な顔をして

(にこにこわらっていますが、でもほんとうにだいじょうぶ)

ニコニコ笑っていますが、でも本当に大丈夫

(なのでしょうか。もしや、やせがまんで、あんなえがおを)

なのでしょうか。もしや、やせ我慢で、あんな笑顔を

(みせているのではないでしょうか。すると、そのとき、)

見せているのではないでしょうか。すると、その時、

(たまりかねたなかむらそうさかかりちょうが、よこからこえをかけ)

たまりかねた中村捜査係長が、横から声をかけ

(ました。「とのむらくん、じゃあ、なぜきみは、あんな)

ました。「殿村君、じゃあ、なぜきみは、あんな

(みょうなへんそうをしていたんです。きみが、もしはんにん)

みょうな変装をしていたんです。きみが、もし犯人

(とはなんのかんけいもないただしいじんぶつだとすれば、へんそう)

とは何の関係もない正しい人物だとすれば、変装

(なんかするひつようは、すこしもないじゃありませんか。)

なんかする必要は、少しもないじゃありませんか。

(これをどうせつめいしますか」いかにも、もっともな)

これをどう説明しますか」 いかにも、もっともな

(しつもんです。とのむらがひるたはかせでないとしても、あやしい)

質問です。殿村がヒルタ博士でないとしても、怪しい

(じんぶつにはちがいありません。「ははは、なるほど。)

人物には違いありません。「ハハハ、なるほど。

(かかりちょうさんらしいしつもんですね。しかし、あんたはいちを)

係長さんらしい質問ですね。しかし、あんたは一を

(しってじゅうをしらないというものです。ぼくはしりつたんてい)

知って十を知らないというものです。ぼくは私立探偵

(なのですよ。はんざいそうさのばあいは、そのときにおうじて、)

なのですよ。犯罪捜査の場合は、その時に応じて、

(どんなへんそうでもしなければなりません。)

どんな変装でもしなければなりません。

(ここにいるあけちくんだって、ずいぶんへんそうのめいじんじゃ)

ここに居る明智君だって、ずいぶん変装の名人じゃ

(ありませんか。たんていがへんそうするのは、すこしもめずらしい)

ありませんか。探偵が変装するのは、少しも珍しい

(ことではありません。つまり、ぼくはそうさのひつようじょう、)

ことではありません。つまり、ぼくは捜査の必要上、

(あんなへんそうをしていたにすぎないのです。おわかりに)

あんな変装をしていたに過ぎないのです。お分かりに

(なりましたか。ははは」またしてもとのむらは、たくみに)

なりましたか。ハハハ」またしても殿村は、たくみに

(いいのがれてしまいました。そして、ひとをこばかにした)

言い逃れてしまいました。そして、人を小バカにした

(ようなたかわらいをしてみせるのです。ああ、とうとう)

ような高笑いをしてみせるのです。ああ、とうとう

(あけちたんていは、このちえくらべにやぶれてしまった)

明智探偵は、この知恵比べに敗れてしまった

(のでしょうか。いや、そうではありません。)

のでしょうか。 いや、そうではありません。

(どくしゃしょくん、ごらんなさい。われらのめいたんていは、なにかをきたい)

読者諸君、ご覧なさい。我らの名探偵は、何かを期待

(しているようなひょうじょうで、じっととのむらをにらみつけた)

しているような表情で、ジッと殿村をにらみつけた

(ではありませんか。「ぼくがへんそうのめいじんだって。)

ではありませんか。「ぼくが変装の名人だって。

(ははは、きみのような、そのみちのてんさいにほめられる)

ハハハ、きみのような、その道の天才にほめられる

(とはこうえいだねえ。だが、ぼくなんかざんねんながら、)

とは光栄だねえ。だが、ぼくなんか残念ながら、

(きみのあしもとにもおよばないよ。きみのへんそうは、くろうとの)

きみの足元にも及ばないよ。きみの変装は、玄人の

(なかむらかかりちょうでさえ、みやぶることができなかったのだから)

中村係長でさえ、見破ることが出来なかったのだから

(ね。ははは、うまいもんだ。それほどのへんそうの)

ね。ハハハ、上手いもんだ。それほどの変装の

(てんさいが、べつじんであるひるたはかせにばけたのを、)

天才が、別人であるヒルタ博士に化けたのを、

(このこどもたちがみやぶれなかったとしても、なんの)

この子どもたちが見破れなかったとしても、何の

(ふしぎもないじゃないか」「え、なんだって」とのむらが)

不思議もないじゃないか」「え、なんだって」殿村が

(とぼけたかおをして、ききかえしました。「つまり、)

とぼけた顔をして、聞き返しました。「つまり、

(きみはひとりさんやくをしたのさ。ひるたはかせにばけ、)

きみは一人三役をしたのさ。ヒルタ博士に化け、

(ろうじんのとのむらにもばけることができたというわけさ」)

老人の殿村にも化けることが出来たという訳さ」

(「ふふふ、でたらめもいいかげんにするがいい。)

「フフフ、デタラメもいい加減にするがいい。

(なるほど、たしかにそういえば、きみにとってつごうが)

なるほど、確かにそう言えば、きみにとって都合が

(いいだろうが、それにしても、やっぱりはんにんじしんで、)

いいだろうが、それにしても、やっぱり犯人自身で、

(はんにんのひみつをあばいたことになるじゃないか。)

犯人の秘密を暴いたことになるじゃないか。

(つまらないいいがかりはよしてくれたまえ。それとも)

つまらない言いがかりはよしてくれたまえ。それとも

(なにかしょうこでもあるというのかね。ははは、おい)

何か証拠でもあると言うのかね。ハハハ、おい

(あけちせんせい、くるしまぎれに、あてずっぽうなんか)

明智先生、苦しまぎれに、当てずっぽうなんか

(いわないで、しょうこをみせたまえ、しょうこを。え、なにか)

言わないで、証拠を見せたまえ、証拠を。え、なにか

(たしかなしょうこでもあるのかね」とのむらはいよいよとくいに)

確かな証拠でもあるのかね」殿村はいよいよ得意に

(なって、つっかかるようにいうのです。しかし)

なって、突っかかるように言うのです。しかし

(どくしゃしょくん、ごあんしんください。ぼくらのあけちたんていは、)

読者諸君、ご安心ください。ぼくらの明智探偵は、

(けっしてまけてはいませんでした。それどころか、)

決して負けてはいませんでした。それどころか、

(じしんありげに、にこにことわらいながら、しずかに)

自信ありげに、ニコニコと笑いながら、静かに

(はんろんしました。「しょうこがみたいというのかね」)

反論しました。「証拠が見たいと言うのかね」

(「うん、あればみせてもらいたいもんだね」)

「うん、あれば見せてもらいたいもんだね」

(「それじゃあみせてあげよう。きみ、ちょっとあたまの)

「それじゃあ見せてあげよう。きみ、ちょっと頭の

(うえをみてごらん。いや、そんなところじゃない。あのてんじょうの)

上を見てご覧。いや、そんな所じゃない。あの天井の

(すみだよ」あけちがみょうなことをいうので、とのむらは)

隅だよ」 明智がみょうなことを言うので、殿村は

(おもわず、そのてんじょうのすみをみあげましたが、みあげた)

思わず、その天井の隅を見上げましたが、見上げた

(かとおもうと、さすがのかれもあっとこえをたてました。)

かと思うと、さすがの彼もアッと声をたてました。

(ごらんなさい。たかいてんじょうのいっぽうのすみに、ぽっかりと)

ご覧なさい。高い天井の一方の隅に、ポッカリと

(しかくいあながあいているではありませんか。そこの)

四角い穴があいているではありませんか。そこの

(てんじょうがいちまい、いつのまにかはがされていたのです。)

天井が一枚、いつの間にかはがされていたのです。

(そして、そのくろいあなのうえから、みょうなにんげんのかおが)

そして、その黒い穴の上から、みょうな人間の顔が

(へやをみおろして、にやにやわらっているでは)

部屋を見下ろして、ニヤニヤ笑っているでは

(ありませんか。とのむらでなくても、このふいうちには、)

ありませんか。 殿村でなくても、この不意打ちには、

(ぎょっとしないではいられません。へやにいあわせた)

ギョッとしないではいられません。部屋に居合わせた

(ひとびとは、いったいなにごとがおこったのかと、あっけに)

人々は、一体何事が起こったのかと、あっけに

(とられて、てんじょうをみつめました。)

とられて、天井を見つめました。

(「めいたんていのしょうり」)

「名探偵の勝利」

(ぽっかりとあいているてんじょうをみていると、そのひとの)

ポッカリとあいている天井を見ていると、その人の

(かおが、ひょいとやねうらのやみのなかへひっこみました。)

顔が、ヒョイと屋根裏の闇の中へ引っ込みました。

(おやっとおもううちに、こんどはそのあなから、きたないにほんの)

オヤッと思ううちに、今度はその穴から、汚い二本の

(あしが、にゅーっとおりてくるではありませんか。)

足が、ニューッとおりてくるではありませんか。

(そしてひざ、こし、はらと、すべるようにずるずる)

そしてヒザ、腰、腹と、すべるようにズルズル

(さがってきたかとおもうと、いつのまにかにほんのてで)

さがってきたかと思うと、いつの間にか二本の手で

(てんじょうにぶらさがり、きかいたいそうでもするようにはずみを)

天井にぶらさがり、器械体操でもするように弾みを

(つけて、ひらりとへやのなかへとびおりました。)

つけて、ヒラリと部屋の中へ飛び降りました。

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