『妖怪博士』江戸川乱歩26

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プレイ回数567難易度(4.2) 4625打 長文 長文モードのみ
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 みき 6131 A++ 6.3 97.1% 722.5 4565 135 99 2024/08/28
2 Pu’Lo’Fi 5544 A 5.9 93.7% 794.8 4720 313 99 2024/08/30
3 れもん 3806 D++ 4.1 93.0% 1108.4 4561 342 99 2024/08/18
4 もんもん 3603 D+ 3.7 95.1% 1218.8 4627 235 99 2024/08/29

関連タイピング

問題文

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(「しょくん、このひとはなにしんぶんしゃのひとですか。みおぼえは)

「諸君、この人は何新聞社の人ですか。見覚えは

(ありますか」そこにはまるいひかりのなかに、まるでえいしゃ)

ありますか」 そこには丸い光の中に、まるで映写

(されたかのように、ひとりのわかいしんぶんきしゃのすがたが)

されたかのように、一人の若い新聞記者の姿が

(うきあがっていました。くろぐろとしたかみをきれいに)

浮きあがっていました。黒々とした髪をきれいに

(わけてめがねをかけ、はなのしたにすこしひげをはやして)

分けて眼鏡をかけ、鼻の下に少しヒゲを生やして

(います。「はて、きみはなにしゃのひとだっけ。どうも)

います。「はて、きみは何社の人だっけ。どうも

(みおぼえがありませんね」に、さんにんがおなじいみの)

見覚えがありませんね」 二、三人が同じ意味の

(ことをつぶやきました。「ははは、みおぼえがないはず)

ことをつぶやきました。「ハハハ、見覚えがないはず

(ですよ。こいつは、きみたちのなかまじゃないのです。)

ですよ。こいつは、きみたちの仲間じゃないのです。

(ごらんなさい。じつにすばやくへんそうしたじゃありませんか」)

ご覧なさい。実に素早く変装したじゃありませんか」

(そういうと、あけちのてがぱっとあいてのあたまにのび)

そう言うと、明智の手がパッと相手の頭に伸び

(ました。そしてかつらをむしりとり、めがねを)

ました。そしてカツラをむしり取り、眼鏡を

(はねおとし、つけひげをひきちぎってしまいました。)

跳ね落とし、付けヒゲを引きちぎってしまいました。

(そのなかからあらわれたのは、なんととのむらのすがおだったでは)

その中から現れたのは、なんと殿村の素顔だったでは

(ありませんか。さすがのあくにんも、とうとうかんねんした)

ありませんか。さすがの悪人も、とうとう観念した

(のか、いまにもなきだしそうなにがにがしいかおつきで、)

のか、今にも泣き出しそうな苦々しい顔つきで、

(ものをいうげんきもなく、めをふせています。「にげみちが)

物を言う元気もなく、目を伏せています。「逃げ道が

(なくなったものだから、こんなところにまぎれこんでいたん)

なくなったものだから、こんな所に紛れ込んでいたん

(だね。あわよくばきしゃしょくんといっしょに、なにくわぬかおで)

だね。あわよくば記者諸君と一緒に、何食わぬ顔で

(このへやをでるきだったのだろう。ははは、さすがの)

この部屋を出る気だったのだろう。ハハハ、さすがの

など

(あくにんも、いよいよこまったとみえるね。なかむらさん、)

悪人も、いよいよ困ったとみえるね。中村さん、

(こいつをつかまえてください」いわれるまでもなく)

こいつを捕まえてください」 言われるまでもなく

(なかむらかかりちょうは、もうとのむらのかたにてをかけていました。)

中村係長は、もう殿村の肩に手をかけていました。

(そしてどあのそとのけいじをよびこみ、なんなくりょうてをせに)

そしてドアの外の刑事を呼び込み、難なく両手を背に

(まわして、しばらせました。こうして、あやしいじんぶつである)

回して、しばらせました。こうして、怪しい人物である

(ひるたはかせは、ついにあけちたんていにうちまかされ、)

ヒルタ博士は、ついに明智探偵に打ち負かされ、

(あわれなしゅうじんになってしまったのでした。)

哀れな囚人になってしまったのでした。

(「まほうのうわぎ」)

「魔法の上着」

(よにんのべてらんなけいじが、ひるたはかせとなのるあやしい)

四人のベテランな刑事が、ヒルタ博士と名乗る怪しい

(せいねんをれんこうし、あかれんがのいえのげんかんをたちさり)

青年を連行し、赤レンガの家の玄関を立ち去り

(ました。あくにんは、しおしおとうなだれて、ていこうする)

ました。悪人は、しおしおとうなだれて、抵抗する

(げんきなど、どこにもなさそうです。たとえていこうしよう)

元気など、どこにもなさそうです。たとえ抵抗しよう

(としても、りょうてはうしろでしばられているうえ、よにんの)

としても、両手は後ろでしばられている上、四人の

(くっきょうなけいじがつきそっているのですから、どうする)

屈強な刑事が付き添っているのですから、どうする

(こともできません。あけちたんてい、なかむらかかりちょう、)

ことも出来ません。明智探偵、中村係長、

(あいかわぎしちょう、それからよにんのしょうねんは、まだしょさいに)

相川技師長、それから四人の少年は、まだ書斎に

(おり、しんぶんきしゃにとりかこまれながら、しつもんぜめに)

おり、新聞記者に取り囲まれながら、質問攻めに

(あっていました。あけちたんていはむしがしらすとでも)

あっていました。 明智探偵は虫が知らすとでも

(いうのか、れんこうされていったひるたはかせのことが、)

いうのか、連行されていったヒルタ博士のことが、

(なんとなくしんぱいになってきがきではないのですが、)

何となく心配になって気が気ではないのですが、

(しんぶんきしゃというものは、きじをつくるためには、)

新聞記者という者は、記事を作るためには、

(せんそうでもするようないきごみですから、そのしゅうねんぶかい)

戦争でもするような意気込みですから、その執念深い

(かこみをきりぬけることは、なかなかむずかしいのです。)

囲みを切り抜けることは、なかなか難しいのです。

(それになかむらかかりちょうも、ふかくぶかをしんじていて、)

それに中村係長も、深く部下を信じていて、

(あのよにんのものにまかせておけば、まんいちにもまちがいなど)

あの四人の者に任せておけば、万一にも間違いなど

(おこるはずはないとおもい、めいじたものですから、)

起こるはずはないと思い、命じたものですから、

(ようじんぶかいあけちも、つい、こころをゆるしていたのです。)

用心深い明智も、つい、心を許していたのです。

(ところが、そのちょっとしたゆだんから、)

ところが、そのちょっとした油断から、

(じつにとりかえしのつかない、いちだいじをひきおこして)

実に取り返しのつかない、一大事を引き起こして

(しまいました。どんなつよいけいじが、なんにんいた)

しまいました。どんな強い刑事が、何人居た

(ところで、それをふせぐことはできなかったのです。)

ところで、それを防ぐことは出来なかったのです。

(なぜなら、それはちからのあらそいではなく、ちえのあらそい)

なぜなら、それは力の争いではなく、知恵の争い

(だったからです。よにんのべてらんなけいじのちえを)

だったからです。四人のベテランな刑事の知恵を

(ひとつにあわせても、とうていあくにんのわるぢえには)

一つに合わせても、とうてい悪人の悪知恵には

(およばなかったのです。よにんのけいじが、はんにんを)

及ばなかったのです。 四人の刑事が、犯人を

(むりやりつれていき、もんをでるまでは、とくにかわった)

無理やり連れて行き、門を出るまでは、特に変わった

(こともありませんでした。もんのそとは、おおきなていたく)

こともありませんでした。門の外は、大きな邸宅

(ばかりのさびしいまちです。ところどころに、がいとうがあわいひかりを)

ばかりの寂しい町です。所々に、街灯が淡い光を

(なげているのみで、それにもうよるもふけているので、)

投げているのみで、それにもう夜も更けているので、

(ひとどおりはまったくなく、まるでとおいいなかのほうへでも)

人通りはまったくなく、まるで遠い田舎の方へでも

(いったかのような、くらさとしずけさです。そのくらい)

行ったかのような、暗さと静けさです。 その暗い

(どうろに、いちだいのじどうしゃがとまっています。けいしちょうの)

道路に、一台の自動車が止まっています。警視庁の

(じどうしゃです。よにんのけいじははんにんをそれにのせて、)

自動車です。四人の刑事は犯人をそれに乗せて、

(ひとまずけいしちょうのりゅうちじょへつれていくのです。)

ひとまず警視庁の留置所へ連れて行くのです。

(ところが、そうしてに、さんぽ、もんをはなれたときでした。)

ところが、そうして二、三歩、門を離れた時でした。

(はんにんをれんこうするためのなわをにぎっていたけいじが、とつぜん)

犯人を連行するための縄を握っていた刑事が、突然

(うでをぐんとひっぱられるようなかんじをうけました。)

腕をグンと引っぱられるような感じを受けました。

(「おや、にげるきだな。ちくしょう、にがすものか」)

「おや、逃げる気だな。ちくしょう、逃がすものか」

(とっさにそうかんがえて、いよいようでにちからをこめ、うんと)

とっさにそう考えて、いよいよ腕に力を込め、ウンと

(あしをふみしめたのですが、そのひょうしに、けいじはどっと)

足を踏みしめたのですが、その拍子に、刑事はドッと

(うしろへしりもちをついてしまいました。あっという)

後ろへ尻もちをついてしまいました。 アッという

(まに、もうはんにんはかぜのように、かけだしていました。)

まに、もう犯人は風のように、駆けだしていました。

(いっしゅん、けいじたちは、なにがなんだかわけがわかりません)

一瞬、刑事たちは、何が何だか訳が分かりません

(でした。たおれたけいじはちゃんと、なわをにぎっていた)

でした。倒れた刑事はちゃんと、縄を握っていた

(のです。それに、とくべつなしばりかたがしてあるので、)

のです。それに、特別なしばり方がしてあるので、

(はんにんがなわをぬけられるなど、ありえないのです。)

犯人が縄を抜けられるなど、あり得ないのです。

(じっさい、はんにんのうではちゃんとしばられたまま、なわのさきに)

実際、犯人の腕はちゃんとしばられたまま、縄の先に

(ついているではありませんか。いったい、これはどうした)

付いているではありませんか。一体、これはどうした

(というのでしょう。はんにんのりょうてだけが、うしろに)

というのでしょう。犯人の両手だけが、後ろに

(しばられたかたちで、そこにとりのこされているのです。)

しばられた形で、そこに取り残されているのです。

(はんにんはじしんのうでをきりおとして、にげさったので)

犯人は自身の腕を切り落として、逃げ去ったので

(しょうか。まさか、そんなばかばかしいことができる)

しょうか。まさか、そんなバカバカしいことが出来る

(はずはありません。でもけいじたちは、はんにんのりょううでが)

はずはありません。でも刑事たちは、犯人の両腕が

(かたのところからすっぽりぬけてしまったようなきがした)

肩の所からスッポリ抜けてしまったような気がした

(のです。そのうでがてもとにのこっているのが、なによりの)

のです。その腕が手元に残っているのが、何よりの

(しょうこではありませんか。またしてもまじゅつです。)

証拠ではありませんか。 またしても魔術です。

(まるでおばけにでもあったような、うすきみわるいかんじ)

まるでオバケにでも会ったような、薄気味悪い感じ

(です。しかし、いくらふしぎだからといって、)

です。しかし、いくら不思議だからといって、

(にげだすはんにんをおわないわけにはいきません。さんにんの)

逃げ出す犯人を追わない訳にはいきません。三人の

(けいじたちはたおれたどうりょうをあとにのこして、いきなり)

刑事たちは倒れた同僚をあとに残して、いきなり

(かけだしました。とりのこされたけいじは、まだしりもちを)

駆け出しました。 取り残された刑事は、まだ尻もちを

(ついたまま、きみわるそうになわをひきよせて、そのうでを)

ついたまま、気味悪そうに縄を引き寄せて、その腕を

(てにとり、もんにかけてあるでんとうに、かざして)

手に取り、門に掛けてある電灯に、かざして

(みました。たしかににんげんのてです。ゆびのかたちも、ちゃんと)

みました。 確かに人間の手です。指の形も、ちゃんと

(そろっていますし、いろもだんりょくも、さっきけいじがなわを)

そろっていますし、色も弾力も、さっき刑事が縄を

(かけた、そのてくびにちがいありません。しかし、)

かけた、その手首に違いありません。 しかし、

(このつめたさはどうでしょう。たとえ、きりおとしたうで)

この冷たさはどうでしょう。例え、切り落した腕

(であっても、たったにびょうかさんびょうで、こんなにひえて)

であっても、たった二秒か三秒で、こんなに冷えて

(しまうはずはありません。)

しまうはずはありません。

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