『妖怪博士』江戸川乱歩27

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プレイ回数596難易度(4.2) 4586打 長文 長文モードのみ
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 みき 5921 A+ 6.1 96.8% 743.6 4550 147 100 2024/08/28
2 Pu’Lo’Fi 5636 A 6.0 93.2% 767.9 4665 337 100 2024/08/30
3 やまちやまちゃん 5021 B+ 5.1 97.0% 880.5 4558 137 100 2024/08/01
4 れもん 3860 D++ 4.1 94.2% 1104.9 4541 275 100 2024/08/18

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問題文

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(けいじは、そのうでのきりくちに、もしやちがながれては)

刑事は、その腕の切り口に、もしや血が流れては

(いやしないかと、おそるおそるようふくのかたへてをいれて)

いやしないかと、恐る恐る洋服の肩へ手を入れて

(みましたが、そのようすもありません。ただつるつる)

みましたが、その様子もありません。ただツルツル

(としたまるいものが、ゆびにふれるのみです。「おや、へん)

とした丸い物が、指にふれるのみです。「おや、変

(だぞ」けいじは、ふとあることにきづいて、いそいで)

だぞ」刑事は、ふとあることに気づいて、急いで

(たちあがると、しばられたままのりょうてくびを、もんに)

立ち上がると、しばられたままの両手首を、門に

(かけてあるでんとうにちかづけ、めをこらしてながめ)

掛けてある電灯に近づけ、目をこらしてながめ

(ました。すると、どうでしょう。おどろいたことに、)

ました。 すると、どうでしょう。驚いたことに、

(それはせいこうにつくられた、ごむせいのうでだったのです。)

それは精巧に作られた、ゴム製の腕だったのです。

(ゆびのかたちもいろあいも、ほんものそっくりにできているぎしゅ)

指の形も色合いも、本物ソックリに出来ている義手

(だったのです。ああ、あいつはなんというてじなつかい)

だったのです。 ああ、あいつはなんという手品使い

(でしょう。そでのなかにぎしゅをぬいつけたうわぎをきて、)

でしょう。袖の中に義手を縫い付けた上着を着て、

(わざとそのにせもののうでをしばらせ、ゆだんをついて、)

わざとその偽物の腕をしばらせ、油断をついて、

(ぱっとうわぎをぬぎすて、ぎしゅだけをのこしてにげさった)

パッと上着を脱ぎ捨て、義手だけを残して逃げ去った

(のです。あいつがやしきででんとうをけしたいみも、これで)

のです。 あいつが屋敷で電灯を消した意味も、これで

(はっきりわかってきました。あいつは、へやの)

ハッキリ分かってきました。あいつは、部屋の

(でいりぐちで、けいじがみはっているのにかんづいていた)

出入り口で、刑事が見張っているのに感づいていた

(のです。ですからでんとうをけしたのは、へやからにげる)

のです。ですから電灯を消したのは、部屋から逃げる

(ためではなく、このぎしゅのついたまほうのうわぎをみに)

ためではなく、この義手の付いた魔法の上着を身に

(つけるためだったのです。そして、わざとへんそうを)

付けるためだったのです。そして、わざと変装を

など

(あけちにみやぶらせ、あのうすぐらいへやのなかで、にせものの)

明智に見破らせ、あの薄暗い部屋の中で、偽物の

(てくびをしばらせるためだったのです。そうかんがえると、)

手首をしばらせるためだったのです。そう考えると、

(すいっちのとってをひきちぎって、きゅうにはでんとうが)

スイッチの取っ手を引きちぎって、急には電灯が

(つかないようにしたわけも、よくわかってくるでは)

つかないようにした訳も、良く分かってくるでは

(ありませんか。けいじはそれをさとると、くやしいよりも)

ありませんか。 刑事はそれを悟ると、悔しいよりも

(なによりも、あまりのことにあいたくちがふさがりません)

何よりも、あまりのことにあいた口がふさがりません

(でした。いっぽう、さんにんのけいじは、ふしぎなできごとにきを)

でした。 一方、三人の刑事は、不思議な出来事に気を

(うばわれて、にびょうかさんびょうのあいだ、ためらっていた)

奪われて、二秒か三秒のあいだ、ためらっていた

(ものですから、いくらがんばっても、きゅうにははんにんに)

ものですから、いくら頑張っても、急には犯人に

(おいつくことはできません。じゅうご、ろくめーとる)

追いつくことは出来ません。十五、六メートル

(むこうに、しろいわいしゃつのせなかをながめながら、)

向こうに、白いワイシャツの背中をながめながら、

(そのきょりがなかなかちぢまらないのです。これが)

その距離がなかなか縮まらないのです。これが

(にぎやかなまちならば、たちまちやじうまがあらわれて、はんにんの)

賑やかな町ならば、たちまち弥次馬が現れて、犯人の

(にげみちをふさいでくれるのでしょうが、このかんせいな)

逃げ道をふさいでくれるのでしょうが、この閑静な

(やしきがつづいているまちでは、いくらわめいたところで、)

屋敷が続いている町では、いくら喚いたところで、

(なんのいみもありません。さんにんは、ただしにものぐるいで)

何の意味もありません。 三人は、ただ死に物狂いで

(おいかけるほかないのです。はんにんがまちかどをまがるたびに、)

追いかける他ないのです。犯人が町角を曲がる度に、

(すがたをみうしないはしないかとびくびくしながら、いきのつづく)

姿を見失いはしないかとビクビクしながら、息の続く

(かぎりはしりました。そうして、みっつほどまちかどを)

限り走りました。 そうして、三つほど町角を

(まがると、そこはりょうがわにたかいこんくりーとべいが)

曲がると、そこは両側に高いコンクリート塀が

(ひゃくめーとるいじょうもつづいている、さらにさびしいとおり)

百メートル以上も続いている、更に寂しい通り

(でしたが、けいじたちはそこで、はんにんをみうしなってしまい)

でしたが、刑事たちはそこで、犯人を見失ってしまい

(ました。「おや、どこへいったのだ。たしかに、ここを)

ました。「おや、どこへ行ったのだ。確かに、ここを

(まがったはずだが」「おかしいね。りょうがわはたかいへいで、)

曲がったはずだが」「おかしいね。両側は高い塀で、

(かくれるところなんかありはしない」「おい、みたまえ。)

隠れる所なんかありはしない」「おい、見たまえ。

(あそこにひのばんのこやがあるじゃないか。だれかいる)

あそこに火の番の小屋があるじゃないか。だれか居る

(ようだ。はんにんをみたかもしれないぜ。きいてみよう」)

ようだ。犯人を見たかもしれないぜ。聞いてみよう」

(さんにんはいきをきらして、そんなことをいいながら、)

三人は息を切らして、そんなことを言いながら、

(ひのばんのこやにちかづきました。「おい、だれかいない)

火の番の小屋に近付きました。「おい、だれか居ない

(かね。ぼくたちはけいさつのものだが、いまこのまえをはしって)

かね。ぼくたちは警察の者だが、今この前を走って

(いったやつはいないかね。わいしゃついちまいのおとこだ」)

行った奴はいないかね。ワイシャツ一枚の男だ」

(おおごえでたずねると、なかからねぼけたような、)

大声でたずねると、中から寝ぼけたような、

(じいさんのこえがきこえました。「へ、なんですって。)

じいさんの声が聞こえました。「へ、なんですって。

(なにかあったんですか」そして、こやのがらすどを)

何かあったんですか」そして、小屋のガラス戸を

(がらがらとひらき、うすぎたないじいさんがのろのろとそとに)

ガラガラとひらき、薄汚いじいさんがノロノロと外に

(でました。みれば、ふるびたようふくに、ぞうりをはいて)

出ました。 見れば、古びた洋服に、草履を履いて

(おり、あたまにはやぶれたそふとぼうをまぶかにかぶり、ながい)

おり、頭には破れたソフト帽を目深にかぶり、長い

(ひもがついたひょうしぎを、くびにさげてぶらぶらさせて)

ヒモがついた拍子木を、首にさげてブラブラさせて

(います。こんなおいぼれに、よくひのばんがつとまると、)

います。こんな老いぼれに、よく火の番が務まると、

(おどろくようなじいさんです。けいじたちはしたうち)

驚くようなじいさんです。刑事たちは舌打ち

(しながら、もういちどおなじしつもんをくりかえしました。)

しながら、もう一度同じ質問を繰り返しました。

(「へ、けいさつのだんながたですか。そいつはね、いましがた)

「へ、警察の旦那方ですか。そいつはね、今しがた

(このまえを、おそろしいいきおいではしっていきましたよ。)

この前を、恐ろしい勢いで走って行きましたよ。

(わたしゃ、とのすきまからちらっとみただけですがね。)

わたしゃ、戸の隙間からチラッと見ただけですがね。

(たしかにわいしゃついちまいのやつでしたよ。あっちのほうへ、)

確かにワイシャツ一枚の奴でしたよ。あっちの方へ、

(はしっていきました。もうに、さんびゃくめーとるもむこうへ)

走って行きました。もう二、三百メートルも向こうへ

(いっているころですぜ」けいじたちはそれをきくと、)

行っている頃ですぜ」 刑事たちはそれを聞くと、

(こんなおいぼれじいさんに、たずねたことをこうかいする)

こんな老いぼれじいさんに、たずねたことを後悔する

(ように、れいもいわないでそのまま、またかけだす)

ように、礼も言わないでそのまま、また駆け出す

(のでした。よるのばんをしていたじいさんは、ぼんやり)

のでした。 夜の番をしていたじいさんは、ボンヤリ

(つったったまま、さんにんのあとをみおくっていましたが、)

突っ立ったまま、三人のあとを見送っていましたが、

(けいじたちのすがたがまちかどにきえてしまうと、なぜか)

刑事たちの姿が町角に消えてしまうと、なぜか

(にやにやとみょうなわらいをもらしながら、いきなり)

ニヤニヤとみょうな笑いを漏らしながら、いきなり

(くびにさげていたひょうしぎをにぎって、ちょんちょんとたたき)

首にさげていた拍子木を握って、チョンチョンと叩き

(ました。そして、これからまちをいっしゅうするつもり)

ました。そして、これから町を一周するつもり

(なのでしょう。よちよちと、けいじたちのはしりさった)

なのでしょう。ヨチヨチと、刑事たちの走り去った

(はんたいのほうがくへ、あるきはじめました。)

反対の方角へ、歩き始めました。

(「あくまのしょうたい」)

「悪魔の正体」

(やがてけいじたちはしょんぼりとして、あけちたんていや)

やがて刑事たちはションボリとして、明智探偵や

(なかむらかかりちょうがいる、あやしいはかせのしょさいへ、ひきかえして)

中村係長が居る、怪しい博士の書斎へ、引き返して

(きました。あけちのちからによって、せっかくたいほした)

きました。明智の力によって、せっかく逮捕した

(かいとうをあっけなくとりにがしてしまったものですから、)

怪盗を呆気なく取りにがしてしまったものですから、

(もうしわけなさに、けいじたちがおちこんでいるのも)

申し訳なさに、刑事たちが落ち込んでいるのも

(むりはありません。あけちたんていはひじょうにざんねんそうなようす)

無理はありません。明智探偵は非常に残念そうな様子

(でしたが、なにぶんはんにんがおもいもよらないしゅだんで、)

でしたが、なにぶん犯人が思いもよらない手段で、

(なわをすりぬけたのですから、けいじたちをせめるわけにも)

縄をすり抜けたのですから、刑事たちを責める訳にも

(いきません。それよりも、あのあやしいはかせがいったい)

いきません。それよりも、あの怪しい博士が一体

(どこへにげ、どこへかくれたかをつきとめるのが、)

どこへ逃げ、どこへ隠れたかを突き止めるのが、

(とうめんのきゅうむです。あけちたんていはすぐさまけいじたちに、)

当面の急務です。 明智探偵はすぐさま刑事たちに、

(するどいしつもんをあびせかけました。「にげるはんにんと、)

鋭い質問をあびせ掛けました。「逃げる犯人と、

(おっかけるきみたちとのきょりは、さいしょはじゅうご、ろく)

追っかけるきみたちとの距離は、最初は十五、六

(めーとるしかはなれていなかったというのですね。)

メートルしか離れていなかったというのですね。

(それが、いくつめかのまちかどをまがると、とつぜんきえた)

それが、いくつ目かの町角を曲がると、突然消えた

(かのようにみえなくなったというのは、おかしいじゃ)

かのように見えなくなったというのは、おかしいじゃ

(ありませんか。どこかのいえへ、にげこんだのじゃ)

ありませんか。どこかの家へ、逃げ込んだのじゃ

(ありませんか」「しかし、あいつのきえたふきんの)

ありませんか」「しかし、あいつの消えた付近の

(いえは、あとでいっけんいっけんたたきおこして、にわなどもしらべて)

家は、あとで一軒一軒叩き起こして、庭なども調べて

(みたのですが、どこにもひとのにげこんだけいせきが)

みたのですが、どこにも人の逃げこんだ形跡が

(ないのです」けいじのひとりが、ふしぎでたまらない)

ないのです」刑事の一人が、不思議でたまらない

(というかおつきでこたえました。)

という顔つきで答えました。

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