『妖怪博士』江戸川乱歩28

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プレイ回数707難易度(4.1) 4328打 長文 長文モードのみ
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 6992 S++ 7.2 96.4% 585.9 4254 157 95 2024/10/07
2 もち 5327 B++ 5.6 95.1% 771.5 4332 222 95 2024/11/14
3 tana 4234 C 4.4 95.6% 975.8 4328 196 95 2024/11/04

関連タイピング

問題文

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(「きみたちがはんにんをおっかけているあいだ、つうこうにん)

「きみたちが犯人を追っかけている間、通行人

(にはひとりもであわなかったのですか」「はあ、どのまち)

には一人も出会わなかったのですか」「はあ、どの町

(にも、まったくひとどおりはありませんでした」「おもい)

にも、まったく人通りはありませんでした」「思い

(ちがいではありませんか。ほんとうに、だれにも)

違いではありませんか。本当に、だれにも

(であわなかったのですか」あけちは、なぜかそのてんを)

出会わなかったのですか」明智は、なぜかその点を

(なんどもたずねるのです。「ええ、ひとりもであって)

何度もたずねるのです。「ええ、一人も出会って

(いません。しかし、ああ、そうそう、であった)

いません。しかし、ああ、そうそう、出会った

(といえばひとり、であったものがいました。よるのばんを)

といえば一人、出会った者がいました。夜の番を

(していた、じいさんです。われわれは、そのじいさんに)

していた、じいさんです。我々は、そのじいさんに

(はんにんのにげたほうがくをたずねたのですが、なんのいみも)

犯人の逃げた方角をたずねたのですが、何の意味も

(なかったです」「え、よるのばんをしていた、じいさん)

なかったです」「え、夜の番をしていた、じいさん

(だって。そいつは、はんにんのにげたほうがくからあるいてきた)

だって。そいつは、犯人の逃げた方角から歩いて来た

(のですか」「いいえ、こやのなかにいましたよ。)

のですか」「いいえ、小屋の中に居ましたよ。

(われわれがそとへよびだして、たずねたのです」「では、)

我々が外へ呼び出して、たずねたのです」「では、

(きみたちは、そのこやのなかへはいらなかったのですね」)

きみたちは、その小屋の中へ入らなかったのですね」

(「ええ、もちろんはいりゃしません。いちびょうでもおしいとき)

「ええ、もちろん入りゃしません。一秒でも惜しい時

(ですからね」「こやのなかを、のぞいてもみなかった)

ですからね」「小屋の中を、のぞいてもみなかった

(のですか」「ええ、のぞきなんかしませんでした。)

のですか」「ええ、のぞきなんかしませんでした。

(しかし、どうしてそんなことをおたずねになる)

しかし、どうしてそんなことをおたずねになる

(のですか。はんにんがあのこやのなかにかくれていたとでも)

のですか。犯人があの小屋の中に隠れていたとでも

など

(おっしゃるのですか。まさか、いくらおいぼれた)

おっしゃるのですか。まさか、いくら老いぼれた

(じいさんでも、もしはんにんがこやににげこめば、それに)

じいさんでも、もし犯人が小屋に逃げ込めば、それに

(きづかないはずはありませんよ」けいじはあけちの)

気づかないはずはありませんよ」刑事は明智の

(みょうなしつもんを、すこしはらだたしくかんじたようすでこたえ)

みょうな質問を、少し腹立たしく感じた様子で答え

(ました。「いや、ぼくがかんがえているのは、そのぎゃく)

ました。「いや、ぼくが考えているのは、その逆

(ですよ。そのとき、よるのばんをしていたじいさんが、)

ですよ。その時、夜の番をしていたじいさんが、

(こやのなかのどこかにたおれていやしなかったかとうたがって)

小屋の中のどこかに倒れていやしなかったかと疑って

(いるのです」「え、なんですって。じいさんは)

いるのです」「え、なんですって。じいさんは

(ぴんぴんとして、こやのそとへでてきましたよ。たおれて)

ピンピンとして、小屋の外へ出て来ましたよ。倒れて

(いるなんて」といいかけて、けいじははっとかおいろを)

いるなんて」と言いかけて、刑事はハッと顔色を

(かえました。めいたんていのみょうなしつもんのいみを、このとき)

変えました。名探偵のみょうな質問の意味を、この時

(やっときづいたのです。「では、あのじいさんがにせもの)

やっと気づいたのです。「では、あのじいさんが偽者

(だったというのですか」「これは、ぼくのそうぞうに)

だったというのですか」「これは、ぼくの想像に

(すぎません。しかし、あいつならば、そういうきわどい)

過ぎません。しかし、あいつならば、そういう際どい

(げいとうもやりかねないとおもうのです。ともかく、いそいで)

芸当もやりかねないと思うのです。ともかく、急いで

(そのこやへいってみましょう」そこで、あけちたんていは)

その小屋へ行ってみましょう」 そこで、明智探偵は

(なかむらかかりちょうといっしょに、よにんのけいじのあんないで、そのこやへ)

中村係長と一緒に、四人の刑事の案内で、その小屋へ

(いくことになりました。こやについて、こえをかけて)

行くことになりました。小屋に着いて、声をかけて

(みると、なかからはなんのへんじもありません。さっきの)

みると、中からは何の返事もありません。さっきの

(じいさんは、もうそこにはいなかったのです。)

じいさんは、もうそこには居なかったのです。

(あけちたんていは、なにもいわずにがらすどをひきあけて、)

明智探偵は、何も言わずにガラス戸を引きあけて、

(なかへふみこみました。そして、せまいこやのなかを)

中へ踏み込みました。そして、せまい小屋の中を

(せわしなくみまわしていましたが、どまのすみに)

せわしなく見まわしていましたが、土間の隅に

(すみのかたまりがふたつ、みっつたてかけてあるのにきづくと、)

炭の塊が二つ、三つ立て掛けてあるのに気づくと、

(いきなりそのそばへちかづき、そのかたまりをぱっと)

いきなりそのそばへ近付き、その塊をパッと

(はねのけました。すると、おお、あんのじょう、そのかげに)

跳ねのけました。 すると、おお、案の定、その陰に

(ひとりのじいさんがふくをはぎとられて、しゃついちまいに)

一人のじいさんが服をはぎ取られて、シャツ一枚に

(なり、てあしをしばられ、さるぐつわをはめられ、)

なり、手足をしばられ、さるぐつわをはめられ、

(みうごきもできずにころがっているのが、はっけんされたでは)

身動きも出来ずに転がっているのが、発見されたでは

(ありませんか。めいたんていのすいさつが、みごとにてきちゅうした)

ありませんか。名探偵の推察が、見事に的中した

(のです。けいじたちのしつもんにこたえたじいさんはにせもので、)

のです。刑事たちの質問に答えたじいさんは偽者で、

(そこにころがっていたろうじんこそ、ほんもののよるのばんをするもの)

そこに転がっていた老人こそ、本物の夜の番をする者

(だったのです。ろうじんをしばっているなわをとき、)

だったのです。老人をしばっている縄をとき、

(さるぐつわをはずして、かいほうしながらたずねると、)

さるぐつわを外して、介抱しながらたずねると、

(ろうじんはからだのいたみをさすりながら、さもくやしそうに)

老人は体の痛みをさすりながら、さも悔しそうに

(ことのけいいをかたりました。ろうじんがいすにかけたまま、)

事の経緯を語りました。 老人がイスにかけたまま、

(うとうといねむりをしていると、いきなりがらすどが)

ウトウト居眠りをしていると、いきなりガラス戸が

(あいて、わいしゃつのおとこがとびこんできたのだそう)

あいて、ワイシャツの男が飛び込んできたのだそう

(です。そしてうむをいわせず、じいさんに)

です。そして有無を言わせず、じいさんに

(さるぐつわをはめ、きていたぼろいようふくをぬがせ、)

さるぐつわをはめ、着ていたボロい洋服を脱がせ、

(てあしをしばってどまのすみへたおして、すみのかたまりをかぶせて)

手足をしばって土間の隅へ倒して、炭の塊をかぶせて

(しまったのです。そのわいしゃつのおとこが、とのむらであり)

しまったのです。 そのワイシャツの男が、殿村であり

(ひるたはかせでもあることは、もうすまでもありません。)

ヒルタ博士でもあることは、申すまでもありません。

(はんにんはそうして、じいさんのようふくをみにつけ、かおに)

犯人はそうして、じいさんの洋服を身につけ、顔に

(すすをぬり、そふとぼうをまぶかにかぶって、とっさの)

ススを塗り、ソフト帽を目深にかぶって、とっさの

(あいだにへんそうをし、まんまとけいじたちをあざむいた)

あいだに変装をし、まんまと刑事たちをあざむいた

(のです。よるのことでしたし、あいてはへんそうじゅつにたいしては)

のです。夜のことでしたし、相手は変装術に対しては

(てんさいのようなやつですから、けいじたちが、おいぼれた)

天才のような奴ですから、刑事たちが、老いぼれた

(じいさんだとあなどって、ついみのがしてしまったのも)

じいさんだとあなどって、つい見逃してしまったのも

(むりはありません。はんにんがみにつけていた)

無理はありません。犯人が身に付けていた

(わいしゃつやずぼんは、じいさんがころがっていた、)

ワイシャツやズボンは、じいさんが転がっていた、

(おなじどまのすみにくしゃくしゃにまるめてなげすてて)

同じ土間の隅にクシャクシャに丸めて投げ捨てて

(ありました。「じつにざんねんなことをしました。ぼくが)

ありました。「実に残念なことをしました。ぼくが

(けいじしょくんといっしょに、はんにんをかんししていれば、そんな)

刑事諸君と一緒に、犯人を監視していれば、そんな

(ことはおこらなかったのです。それをしんぶんきしゃに)

ことは起こらなかったのです。それを新聞記者に

(じゃまされてしまったものだから」あけちたんていは、)

邪魔されてしまったものだから」明智探偵は、

(けいじたちをせめようともせず、まるでじぶんのみすで)

刑事たちを責めようともせず、まるで自分のミスで

(でもあったようにくやむのでした。「いや、ぼくこそ)

でもあったように悔やむのでした。「いや、ぼくこそ

(もうしわけないゆだんでした。ただちにぜんとにひじょうせんを)

申し訳ない油断でした。ただちに全都に非常線を

(はって、あいつをつかまえます」なかむらかかりちょうは、ぶかの)

はって、あいつを捕まえます」 中村係長は、部下の

(けいじたちのみおとしを、わびるようにいいました。)

刑事たちの見落としを、わびるように言いました。

(「しかし、おそらくそれはむだでしょう。なかむらくん、)

「しかし、恐らくそれは無駄でしょう。中村君、

(あなたはあいつをなにものだとおもっていますか」)

あなたはあいつを何者だと思っていますか」

(「なにものといわれても、とのむらたんていにばけていた、)

「何者といわれても、殿村探偵に化けていた、

(ひるたはかせではありませんか」かかりちょうはけげんらしく、)

ヒルタ博士ではありませんか」係長は怪訝らしく、

(あけちのかおをながめてこたえました。「ところが、)

明智の顔をながめて答えました。「ところが、

(そのおくに、もうひとりのおそろしいやつがかくれている)

その奥に、もう一人の恐ろしい奴が隠れている

(のです。とのむらやひるたはかせであれば、にがした)

のです。殿村やヒルタ博士であれば、逃がした

(としても、とくにくやむことはありません。ゆうかいされた)

としても、特に悔やむことはありません。誘拐された

(こどもたちもきみつぶんしょも、とりかえしたのですからね。)

子どもたちも機密文書も、取り返したのですからね。

(しかし、とのむらもひるたはかせも、あいつのかりのすがたに)

しかし、殿村もヒルタ博士も、あいつの仮の姿に

(すぎないのです。あいつは、そんななまやさしいわるものでは)

過ぎないのです。あいつは、そんな生易しい悪者では

(ないのです」「え、なんですって。それじゃ、)

ないのです」「え、なんですって。それじゃ、

(あいつは、まだほかにもなにかたいざいをおかしている、)

あいつは、まだ他にも何か大罪を犯している、

(とおっしゃるのですか」)

とおっしゃるのですか」

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