『妖怪博士』江戸川乱歩29
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | berry | 7458 | 光 | 7.6 | 97.9% | 568.9 | 4334 | 91 | 94 | 2024/10/07 |
2 | みき | 6136 | A++ | 6.4 | 95.8% | 682.8 | 4381 | 191 | 94 | 2024/09/14 |
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問題文
(「なかむらくん、こんかいのじけんにはひどくつじつまのあわない)
「中村君、今回の事件には酷く辻褄の合わない
(てんがあるのに、おきづきでしょう。とのむらも、それを)
点があるのに、お気づきでしょう。殿村も、それを
(ただひとつのぶきにして、ぼくにくってかかりました)
ただ一つの武器にして、ぼくに食ってかかりました
(が、なぜはんにんがはんにんじしんのつみをあばいたかということ)
が、なぜ犯人が犯人自身の罪を暴いたかということ
(です。ひるたはかせがとのむらにばけて、せっかくかくして)
です。ヒルタ博士が殿村に化けて、せっかく隠して
(おいたこどもたちやきみつぶんしょのありかを、わざわざ)
おいた子どもたちや機密文書の在りかを、わざわざ
(はっけんしてみせたかということです。これをどうかいしゃく)
発見してみせたかということです。これをどう解釈
(すればいいでしょう。こたえは、ただひとつです。)
すればいいでしょう。 答えは、ただ一つです。
(あいつはふくしゅうしたかったのです」「え、ふくしゅうですか。)
あいつは復讐したかったのです」「え、復讐ですか。
(いったい、なんのうらみで、だれにふくしゅうしたかったのですか」)
一体、何の恨みで、だれに復讐したかったのですか」
(あけちのいがいなことばになかむらかかりちょうは、びっくりして)
明智の意外な言葉に中村係長は、ビックリして
(ききかえしました。「ぼくたちにです。ぼくと)
聞き返しました。「ぼくたちにです。ぼくと
(しょうねんたんていだんに、ふくしゅうしたかったのです」「え、)
少年探偵団に、復讐したかったのです」「え、
(しょうねんたんていだんにですか」「そうです。しょうねんたんていだんの)
少年探偵団にですか」「そうです。少年探偵団の
(ことは、あなたもごぞんじでしょうが、かんがえてごらん)
ことは、あなたもご存知でしょうが、考えてごらん
(なさい。ひるたはかせにゆうかいされたよにんのしょうねんは、)
なさい。ヒルタ博士に誘拐された四人の少年は、
(のこらずしょうねんたんていだんのゆうりょくなだんいんではありませんか」)
残らず少年探偵団の有力な団員ではありませんか」
(「ああ、そうでした。それはぼくもしっているのです)
「ああ、そうでした。それはぼくも知っているのです
(が、しかし」「あいつは、もうすでにもくてきをはたして)
が、しかし」「あいつは、もう既に目的を果たして
(しまったのです。もくてきをはたしたからこそ、)
しまったのです。目的を果たしたからこそ、
(しょうねんたちをわれわれにかえすきになったのです。そのもくてき)
少年たちを我々に返す気になったのです。その目的
(とはなにかといえば、あのこどもたちをおもうぞんぶんに)
とは何かといえば、あの子どもたちを思う存分に
(くるしめることでした。あいつはひるたはかせという、)
苦しめることでした。あいつはヒルタ博士という、
(うすきみわるいあやしいじんぶつにばけて、こどもたちを)
薄気味悪い怪しい人物に化けて、子どもたちを
(つかまえてさんざんこわがらせ、いじめぬいたのです。)
捕まえて散々怖がらせ、イジメ抜いたのです。
(それで、あいつのふくしゅうのもくてきはじゅうぶんたっしたわけ)
それで、あいつの復讐の目的は充分達した訳
(なのです」「しかし、あのきみつぶんしょは、どうなんです)
なのです」「しかし、あの機密文書は、どうなんです
(か」「あれもしょうねんたんていだんをこらしめるしゅだんにすぎ)
か」「あれも少年探偵団をこらしめる手段に過ぎ
(ません。だんいんのしょうねんだけでなく、そのいっかを)
ません。団員の少年だけでなく、その一家を
(くるしめて、ざまあみろといいたかったのです。)
苦しめて、ザマアミロと言いたかったのです。
(ちょうどあいかわたいじくんのいえには、ぎしちょうのおとうさんの)
ちょうど相川泰二君の家には、技師長のお父さんの
(いのちにもかえがたい、じゅうようぶんしょがほかんされていたので、)
命にも代えがたい、重要文書が保管されていたので、
(ちょうどいいとおもい、それをぬすみださせて、)
ちょうどいいと思い、それを盗み出させて、
(あいかわいっかをふこうのどんぞこにおとしたのです。もし、)
相川一家を不幸のドン底に落としたのです。もし、
(ほかのしょうねんたちのいえにも、あれほどたいせつなしなものが)
他の少年たちの家にも、あれほど大切な品物が
(あったら、きっとぬすみだしていたことでしょうが、)
あったら、きっと盗み出していたことでしょうが、
(さいわいにも、そんなじゅうだいなしなものはなかったのです」)
さいわいにも、そんな重大な品物はなかったのです」
(「すると、あのきみつぶんしょは、すぱいにうりわたすために)
「すると、あの機密文書は、スパイに売り渡すために
(ぬすんだのではなかったのですか」「そうですよ。)
盗んだのではなかったのですか」「そうですよ。
(もし、かんきんがもくてきだったら、なんでくろうして)
もし、換金が目的だったら、何で苦労して
(じぶんじしんで、そのかくしばしょをあばいたりするでしょう。)
自分自身で、その隠し場所を暴いたりするでしょう。
(あいつはしんぶんなどで、おそるべきすぱいだとか、こくぞく)
あいつは新聞などで、恐るべきスパイだとか、国賊
(だとかいわれていましたが、それだけはむじつです」)
だとか言われていましたが、それだけは無実です」
(「するとはんにんは、ただしょうねんたんていだんいんをいじめたい)
「すると犯人は、ただ少年探偵団員をイジメたい
(ばっかりに、あんなことをしたとおっしゃる)
ばっかりに、あんなことをしたとおっしゃる
(のですね。しかし、それなればなにもきけんをおかして)
のですね。しかし、それなれば何も危険を冒して
(たんていにばけたり、こどものかくしばしょをあばいたりする)
探偵に化けたり、子どもの隠し場所を暴いたりする
(ひつようはないじゃありませんか。あのままほうって)
必要はないじゃありませんか。あのまま放って
(おけば、こどもたちはもっとくるしむのですからね」)
おけば、子どもたちはもっと苦しむのですからね」
(「ところが、そうしていられないじじょうがおこった)
「ところが、そうしていられない事情が起こった
(のです」「といいますと」「ぼくが、このじけんの)
のです」「と言いますと」「ぼくが、この事件の
(たんていをひきうけたことが、あいつにわかったから)
探偵を引き受けたことが、あいつに分かったから
(です。あいつは、ぼくのじつりょくをしっています。ぼくが)
です。あいつは、ぼくの実力を知っています。ぼくが
(じけんをひきうけたからにはとおからず、ひるたはかせの)
事件を引き受けたからには遠からず、ヒルタ博士の
(かくれががはっけんされ、こどもたちもとりもどされるかも)
隠れ家が発見され、子どもたちも取り戻されるかも
(しれないとかんがえたのです。あいつは、あいかわくんたちよにん)
しれないと考えたのです。あいつは、相川君たち四人
(だけでなく、しょうねんたんていだんいんぜんいんをおなじような、)
だけでなく、少年探偵団員全員を同じような、
(ひどいめにあわせようとかんがえていたらしくおもわれ)
酷い目にあわせようと考えていたらしく思われ
(ます。ところが、ぼくがじけんにかんけいして、にわかに)
ます。ところが、ぼくが事件に関係して、にわかに
(ひるたはかせのしんぺんがあやうくなったものだから、)
ヒルタ博士の身辺があやうくなったものだから、
(ほかのしょうねんたちをゆうかいすることはあきらめて、)
他の少年たちを誘拐することは諦めて、
(そのかわり、こんどはぼくじしんにたいしてふくしゅうしようと)
その代わり、今度はぼく自身に対して復讐しようと
(したのです。しかし、いくらあいつでも、まさか)
したのです。 しかし、いくらあいつでも、まさか
(ぼくをゆうかいすることはできませんが、そんなことを)
ぼくを誘拐することは出来ませんが、そんなことを
(しなくても、ぼくをいじめるしゅだんはちゃんとある)
しなくても、ぼくをイジメる手段はちゃんとある
(のです。ぼくは、たんていぎょうをなりわいとしているものです。)
のです。ぼくは、探偵業を生業としている者です。
(そして、「めいたんてい」とかなんとかいわれているものです。)
そして、「名探偵」とか何とか言われている者です。
(そのぼくが、もしべつのしりつたんていときょうそうして、むざんにも)
そのぼくが、もし別の私立探偵と競争して、無惨にも
(はいぼくしたならば、こんなつうかいなふくしゅうはないじゃ)
敗北したならば、こんな痛快な復讐はないじゃ
(ありませんか。ぼくのたんていとしてのめいせいは、そのひ)
ありませんか。ぼくの探偵としての名声は、その日
(からうしなわれ、そのべつのたんていがかわってめいたんていのなを)
から失われ、その別の探偵が代わって名探偵の名を
(ほしいままにするわけですからね。ぼくにとっては、)
欲しいままにする訳ですからね。ぼくにとっては、
(これほどつらいことはありません。あいつは、そこへ)
これほどつらいことはありません。 あいつは、そこへ
(きがついたのです。そして、あんなろうじんのたんていに)
気がついたのです。そして、あんな老人の探偵に
(ばけて、ぼくにきょうそうをいどみ、ぼくをまかそうと)
化けて、ぼくに競争をいどみ、ぼくを負かそうと
(たくらんだのです。じぶんでかくしておいたものを、)
たくらんだのです。自分で隠しておいたものを、
(じぶんでさがしだしてみせるだけなのですから、こんなに)
自分で探し出してみせるだけなのですから、こんなに
(たやすいことはありません。あいつは、かくじつにぼくを)
たやすいことはありません。あいつは、確実にぼくを
(うちまかすことができるのです。しょうねんたちを、)
打ち負かすことが出来るのです。 少年たちを、
(さんざんいじめて、もくてきをたっしてしまった。)
さんざんイジメて、目的を達してしまった。
(そのしょうねんたちのかくしばしょをりようして、こんどはぼくを)
その少年たちの隠し場所を利用して、今度はぼくを
(いじめようというのです。なんと、うまいおもいつき)
イジメようというのです。なんと、上手い思いつき
(ではありませんか。もし、ぼくがなんのよういもなく、)
ではありませんか。 もし、ぼくが何の用意もなく、
(あいつにたちむかったならば、まんまとてきのおもう)
あいつに立ち向かったならば、まんまと敵の思う
(つぼに、はまったかもしれません。ところがぼく)
つぼに、はまったかもしれません。ところがぼく
(には、こばやしくんという、りすのようにすばしっこい)
には、小林君という、リスのようにすばしっこい
(じょしゅがいたのです。そのこばやしくんをへんそうさせ、)
助手が居たのです。その小林君を変装させ、
(とのむらたんていをびこうさせて、しゅびよくてきのうらをかくことが)
殿村探偵を尾行させて、首尾よく敵の裏をかくことが
(できたのです」なかむらかかりちょうもけいじたちも、このめいかいな)
出来たのです」 中村係長も刑事たちも、この明快な
(せつめいをきいて、なるほどそうだったのかと、いまさら)
説明を聞いて、なるほどそうだったのかと、今さら
(のようにあけちたんていのめいさつにかんじいりましたが、)
のように明智探偵の明察に感じ入りましたが、
(しかし、まだどうしてもふにおちないところが)
しかし、まだどうしても腑に落ちないところが
(あります。なかむらかかりちょうは、もどかしそうにりょうてをにぎり)
あります。 中村係長は、もどかしそうに両手を握り
(あわせながら、あけちのことばをさえぎってしつもんしました。)
合わせながら、明智の言葉を遮って質問しました。