『妖怪博士』江戸川乱歩30
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | berry | 7211 | 王 | 7.4 | 96.9% | 599.6 | 4466 | 142 | 98 | 2024/10/07 |
2 | もち | 5389 | B++ | 5.6 | 94.9% | 804.3 | 4579 | 244 | 98 | 2024/11/16 |
3 | tana | 4257 | C+ | 4.4 | 95.8% | 1024.9 | 4559 | 195 | 98 | 2024/11/04 |
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問題文
(「しかし、これほどせけんをさわがせて、わがみのきけんを)
「しかし、これほど世間を騒がせて、我が身の危険を
(おかしてまで、そんなふくしゅうをするものは、いったいなにものです。)
冒してまで、そんな復讐をする者は、一体何者です。
(まるできちがいではありませんか」「そういうとっぴな)
まるでキチガイではありませんか」「そういう突飛な
(きちがいめいたはんざいしゃを、われわれはたったひとりきおくして)
キチガイめいた犯罪者を、我々はたった一人記憶して
(いるはずです。へんそうのたくみさといい、ゆうかいした)
いるはずです。変装のたくみさといい、誘拐した
(こどもたちをきずつけなかったてんといい、それに、)
子どもたちを傷付けなかった点といい、それに、
(まるできじゅつしのようなやりくちといい、あるじんぶつを)
まるで奇術師のようなやり口といい、ある人物を
(まざまざとおもいださせるではありませんか。)
まざまざと思い出させるではありませんか。
(しょうねんたんていだんというものが、どういうきっかけでそしき)
少年探偵団というものが、どういうきっかけで組織
(されたか、またしょうねんたんていだんがそんなにうらまれるほど)
されたか、また少年探偵団がそんなに恨まれるほど
(くるしめたあいては、いったいだれであったかをおもいだして)
苦しめた相手は、一体だれであったかを思い出して
(ごらんなさい」それをきくと、なかむらかかりちょうはぎょっと)
ごらんなさい」それを聞くと、中村係長はギョッと
(したようにあけちのかおをみつめました。「おお、)
したように明智の顔を見つめました。「おお、
(それじゃ、あいつは」「そうですよ。ぼくは、あの)
それじゃ、あいつは」「そうですよ。ぼくは、あの
(かいとうにじゅうめんそうのことをいっているのです」)
怪盗二十面相のことを言っているのです」
(あけちたんていは、とうとう、そのおそろしいじんぶつのなをくちに)
明智探偵は、とうとう、その恐ろしい人物の名を口に
(しました。ああ、かいとうにじゅうめんそう。にじゅうの、まったく)
しました。 ああ、怪盗二十面相。二十の、まったく
(ちがったかおをもっているといわれた、あのへんそうのめいじん、)
違った顔を持っているといわれた、あの変装の名人、
(ゆいしょあるびじゅつひんばかりをねらって、きんせんなどにはめも)
由緒ある美術品ばかりをねらって、金銭などには目も
(くれず、ちをみることがきらいで、ぴすとるやたんとう)
くれず、血を見ることが嫌いで、ピストルや短刀
(などをほとんどしようしたことのない、あのしんしな)
などをほとんど使用したことのない、あの紳士な
(とうぞく。「かいじんにじゅうめんそう」や「しょうねんたんていだん」をおよみに)
盗賊。「怪人二十面相」や「少年探偵団」をお読みに
(なったどくしゃしょくんは、そのにじゅうめんそうが、どんなふしぎな)
なった読者諸君は、その二十面相が、どんな不思議な
(とうぞくであったかをよくごぞんじでしょう。あけちたんていは、)
盗賊であったかをよくご存知でしょう。明智探偵は、
(ろうじんのとのむらも、あやしいじんぶつのひるたはかせも、その)
老人の殿村も、怪しい人物のヒルタ博士も、その
(にじゅうめんそうのへんそうにすぎないというのです。しかし、)
二十面相の変装に過ぎないと言うのです。 しかし、
(にじゅうめんそうは「しょうねんたんていだん」のものがたりのさいごで、ちかしつの)
二十面相は「少年探偵団」の物語の最後で、地下室の
(かやくのたるにひをつけて、みずからばくししてしまった)
火薬のタルに火をつけて、みずから爆死してしまった
(ではありませんか。しんでしまったにじゅうめんそうが、)
ではありませんか。死んでしまった二十面相が、
(どうしてひるたはかせやとのむらにばけることができた)
どうしてヒルタ博士や殿村に化けることが出来た
(のでしょう。なかむらかかりちょうは、そんなばかなことが、)
のでしょう。 中村係長は、そんなバカなことが、
(といわないばかりにききかえしました。「あなたは、)
といわないばかりに聞き返しました。「あなたは、
(あのにじゅうめんそうが、まだいきているとでもおっしゃるの)
あの二十面相が、まだ生きているとでもおっしゃるの
(ですか」「そうです。いきていたのです。いまから)
ですか」「そうです。生きていたのです。今から
(かんがえてみると、ぼくたちはあいつに、まんまといっぱい)
考えてみると、ぼくたちはあいつに、まんまと一杯
(くわされたのです。あのばくはつのとき、ぼくらはとおくへ)
食わされたのです。 あの爆発の時、ぼくらは遠くへ
(にげていたのですから、にじゅうめんそうがしんだのをちょくせつ)
逃げていたのですから、二十面相が死んだのを直接
(このめでみたわけではありません。あいつはにげようと)
この目で見た訳ではありません。 あいつは逃げようと
(おもえば、にげることができたのです。そして、とおく)
思えば、逃げることが出来たのです。そして、遠く
(からどうかせんでかやくをばくはつさせ、さもじさつしたように)
から導火線で火薬を爆発させ、さも自殺したように
(みせかけることもできたのです。そのしょうこに、あとで)
見せかけることも出来たのです。 その証拠に、あとで
(ばくはつのばしょをしらべてみても、あいつのしがいらしい)
爆発の場所を調べてみても、あいつの死骸らしい
(ものは、どこにもみあたらなかったではありませんか。)
物は、どこにも見当たらなかったではありませんか。
(とうじはだいばくはつによって、こっぱみじんになって)
当時は大爆発によって、木っ端微塵になって
(しまったのだろうとかんがえたのですが、じつはそうでは)
しまったのだろうと考えたのですが、実はそうでは
(なくて、あいつはわれわれのめをくらまして、こっそり)
なくて、あいつは我々の目をくらまして、こっそり
(にげだしていたのです」「ではあなたは、さっきの)
逃げ出していたのです」「ではあなたは、さっきの
(せいねんのかおにみおぼえがあったのですか。あれが、)
青年の顔に見覚えがあったのですか。あれが、
(にじゅうめんそうのすがおだったのですか」かかりちょうはいきを)
二十面相の素顔だったのですか」係長は息を
(はずませて、あけちたんていにつめよりました。「いや、)
弾ませて、明智探偵に詰め寄りました。「いや、
(みおぼえがあったのではありません。あいつは、にじゅうの)
見覚えがあったのではありません。あいつは、二十の
(ちがったかおをもつといわれるかいぶつです。さっきのせいねんの)
違った顔を持つと言われる怪物です。さっきの青年の
(かおも、ほんとうのすがおではないかもしれません。あいつの)
顔も、本当の素顔ではないかもしれません。あいつの
(すがおなんて、だれもしらないのです」「じゃあ、)
素顔なんて、だれも知らないのです」「じゃあ、
(あなたはなにをしょうこに、そうおっしゃるのですか」)
あなたは何を証拠に、そうおっしゃるのですか」
(「ざんねんながらしょうこはありません。しかし、あらゆる)
「残念ながら証拠はありません。しかし、あらゆる
(じじょうが、ぼくのかんがえをうらづけているのです。にじゅうめんそう)
事情が、ぼくの考えを裏付けているのです。二十面相
(でなければ、あれほどとっぴな、ずばぬけたげいとうが)
でなければ、あれほど突飛な、ずばぬけた芸当が
(できるやつはほかにはいないでしょう。ぼくはかくしん)
出来る奴は他にはいないでしょう。ぼくは確信
(しているのです。ぼくのながいたんていせいかつのけいけんが、)
しているのです。ぼくの長い探偵生活の経験が、
(それをはっきりぼくにおしえてくれたのです」まさか)
それをハッキリぼくに教えてくれたのです」 まさか
(われわれのめいたんていである、あけちのことばにまちがいがあろう)
我々の名探偵である、明智の言葉に間違いがあろう
(とはおもわれません。すると、あのきだいのへんそうまである)
とは思われません。すると、あの希代の変装魔である
(にじゅうめんそうは、やっぱりいきていたのでしょうか。)
二十面相は、やっぱり生きていたのでしょうか。
(ああ、なんということでしょう。あのかいぶつが、この)
ああ、なんということでしょう。あの怪物が、この
(とうきょうのまんなかで、どうどうとせいかつしていたなんて。)
東京の真ん中で、堂々と生活していたなんて。
(「にじゅうめんそうだとすれば、なおさらほうっては)
「二十面相だとすれば、なおさら放っては
(おけません。ぼくはすぐけいしちょうにかえって、そのことを)
おけません。ぼくはすぐ警視庁に帰って、そのことを
(ほうこくし、たいほのてはいをしなければなりません」)
報告し、逮捕の手配をしなければなりません」
(かかりちょうは、それほどのおおものをとりにがしたくやしさに、)
係長は、それほどの大物を取りにがした悔しさに、
(じだんだをふまないばかりです。「いや、いまさら)
地団駄を踏まないばかりです。「いや、今さら
(あわててもしかたがありません。あいてがにじゅうめんそうでは、)
慌てても仕方がありません。相手が二十面相では、
(いちどにがしてしまっては、きゅうにつかまえるみこみはない)
一度逃がしてしまっては、急に捕まえる見込みはない
(のですよ。あいつはいまごろ、どこかべつのかくれがにみを)
のですよ。あいつは今頃、どこか別の隠れ家に身を
(ひそめ、まったくちがうにんげんにばけて、ぼくらを)
ひそめ、まったく違う人間に化けて、ぼくらを
(あざわらっていることでしょう。しかし、ごあんしん)
あざわらっていることでしょう。 しかし、ご安心
(なさい。あいつは、いつまでもかくれがにじっとして)
なさい。あいつは、いつまでも隠れ家にジッとして
(いるはずはありません。いまにまた、ぼくらにちょうせんして)
いるはずはありません。今にまた、ぼくらに挑戦して
(きますよ。それだけが、あいつのいきがいなのです)
きますよ。それだけが、あいつの生き甲斐なのです
(からね。ぼくらはただ、あいつがちょうせんしてくるのを)
からね。ぼくらはただ、あいつが挑戦してくるのを
(まっていればいいのです。こんどこそはにがしません。)
待っていればいいのです。今度こそは逃がしません。
(めいたんていあけちのなにかけて、きっとつかまえてみせます」)
名探偵明智の名にかけて、きっと捕まえてみせます」
(あけちはなにかけついするかのように、ちからづよくいいきる)
明智は何か決意するかのように、力強く言い切る
(のでした。ちょうどそのとき、まるであけちのいまのことばを)
のでした。 ちょうどその時、まるで明智の今の言葉を
(うらづけでもするように、いがいなことがおこりました。)
裏付けでもするように、意外なことが起こりました。
(「ここに、あけちさんとおっしゃるかたは、おいで)
「ここに、明智さんとおっしゃる方は、おいで
(でしょうか」よるのばんをするためのこやのそとで、おおごえで)
でしょうか」夜の番をするための小屋の外で、大声で
(わめいているのがきこえました。あけちたんていはそれを)
わめいているのが聞こえました。 明智探偵はそれを
(きくと、なにかはっとしたようにきんちょうのいろをうかべ)
聞くと、何かハッとしたように緊張の色を浮かべ
(ましたが、いそいでがらすどをひらいてそとのやみを)
ましたが、急いでガラス戸をひらいて外の闇を
(のぞいてみると、そこにじどうしゃのうんてんしゅらしい)
のぞいて見ると、そこに自動車の運転手らしい
(わかいおとこが、おりたたんだかみきれをてにもって、たって)
若い男が、折り畳んだ紙切れを手に持って、立って
(いました。「ぼくがあけちだ」「ああ、あなたですか。)
いました。「ぼくが明智だ」「ああ、あなたですか。
(これをわたしてくれってたのまれたんです」うんてんしゅが)
これを渡してくれって頼まれたんです」 運転手が
(さしだすかみきれをうけとって、こやのでんとうにかざして)
差し出す紙切れを受け取って、小屋の電灯にかざして
(みると、それはてちょうのかみをにまいにきりとったもので、)
みると、それは手帳の紙を二枚に切り取った物で、
(えんぴつでつぎのようなおそろしいもんくがかきなぐって)
鉛筆で次のような恐ろしい文句が書き殴って
(ありました。)
ありました。