『妖怪博士』江戸川乱歩42
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | ヌオー | 5937 | A+ | 6.2 | 95.1% | 738.0 | 4620 | 238 | 100 | 2024/12/17 |
2 | baru | 4312 | C+ | 4.8 | 90.1% | 966.9 | 4680 | 510 | 100 | 2024/12/02 |
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問題文
(まどはちゃんとしめてあるし、さんにんがはいっていった)
窓はちゃんと閉めてあるし、三人が入って行った
(どあのほかにはでいりぐちもないようすです。かといって、)
ドアの他には出入り口もない様子です。かといって、
(なにかのかげにかくれようにも、つくえもいすもなにもおいてない)
何かの陰に隠れようにも、机もイスも何も置いてない
(あきべやですから、かくれるばしょがありません。さんにんは)
空き部屋ですから、隠れる場所がありません。三人は
(まっくらなひろいへやのなかをあちこちとみまわして)
真っ暗な広い部屋の中をあちこちと見回して
(いましたが、やがてこばやししょうねんがなにかにきづいた)
いましたが、やがて小林少年が何かに気づいた
(ように、「あ、あそこにだれかがいます」とこごえで)
ように、「あ、あそこにだれかが居ます」と小声で
(さけびながら、あけちのてからかいちゅうでんとうをとって、へやの)
叫びながら、明智の手から懐中電灯を取って、部屋の
(いっぽうのすみをてらしました。すると、そのまるいひかりの)
一方の隅を照らしました。 すると、その丸い光の
(なかに、みょうなものがあらわれてきました。せいようのむかしのかっちゅう)
中に、みょうな物が現れてきました。西洋の昔の甲冑
(です。かぶともよろいもすべててつでできた、えにあるきしが)
です。兜も鎧もすべて鉄で出来た、絵にある騎士が
(きているような、にぶいぎんいろのかっちゅうがちょくりつのすがたで)
着ているような、にぶい銀色の甲冑が直立の姿で
(かざってあったではありませんか。あまりにもすみっこに)
飾ってあったではありませんか。あまりにも隅っこに
(あったので、いままですこしもきづかなかったのです。)
あったので、今まで少しも気づかなかったのです。
(どうぐといってはなにひとつないあきべやに、おもいがけず)
道具といっては何一つ無い空き部屋に、思いがけず
(せいようのよろいが、たったひとつおいてあるのが、じつにうすきみ)
西洋の鎧が、たった一つ置いてあるのが、実に薄気味
(わるいかんじでした。それをみたあけちたんていは、その)
悪い感じでした。それを見た明智探偵は、その
(かざりものをよくしらべるために、つかつかとそのまえにすすみ)
飾り物をよく調べるために、ツカツカとその前に進み
(ましたが、よろいからいちめーとるほどちかづいたときでした。)
ましたが、鎧から一メートルほど近付いた時でした。
(またしても、あのわらいごえがひろいへやにはんきょうして、)
またしても、あの笑い声が広い部屋に反響して、
(ものおそろしいひびきをたてたのです。そのこえが、あまり)
物恐ろしい響きをたてたのです。その声が、あまり
(にもおおきかったので、あけちたんていはおもわず、いっぽ)
にも大きかったので、明智探偵は思わず、一歩
(あとずさりをしました。すると、わらいごえはぴったり)
あとずさりをしました。すると、笑い声はピッタリ
(やんでしまいました。ふたたびよろいにちかづこうとすると、)
やんでしまいました。再び鎧に近付こうとすると、
(まるでまちかねていたように、わらいごえがひびきはじめ)
まるで待ちかねていたように、笑い声が響き始め
(ます。いったい、そのこえはどこからでているのでしょう。)
ます。 一体、その声はどこから出ているのでしょう。
(たぶん、よろいのなかからです。しかも、かおのぶぶんから)
多分、鎧の中からです。しかも、顔の部分から
(でているようです。ああ、かざりもののよろいがわらっている)
出ているようです。ああ、飾り物の鎧が笑っている
(のです。いや、よろいがわらったり、ものをいったりする)
のです。いや、鎧が笑ったり、物を言ったりする
(はずはありません。もちろん、そのなかにはにんげんが)
はずはありません。もちろん、その中には人間が
(はいっているのです。かざりものではなくてにんげんがよろいを)
入っているのです。飾り物ではなくて人間が鎧を
(きて、かぶとをかぶってたっているのです。それはいったい、)
着て、兜をかぶって立っているのです。それは一体、
(なにものでしょう。きっとにじゅうめんそうにちがいありません。)
何者でしょう。きっと二十面相に違いありません。
(それにきづくとあけちはきっとみがまえて、かっちゅうの)
それに気づくと明智はキッと身構えて、甲冑の
(おばけをにらみつけました。こばやししょうねんとのぶおくんは、)
オバケをにらみつけました。小林少年と信雄君は、
(おもわずおたがいのてをにぎりあって、みをよせました。)
思わずお互いの手を握り合って、身を寄せました。
(よろいはいまにもあるきだすことでしょう。そして、こしに)
鎧は今にも歩きだすことでしょう。そして、腰に
(さげたけんをぬいて、いきなりさんにんにきりつけるのでは)
さげた剣を抜いて、いきなり三人に切りつけるのでは
(ないでしょうか。いや、そんなありふれたまねをする)
ないでしょうか。いや、そんなありふれた真似をする
(にじゅうめんそうではありません。よろいのなかにどんなおそろしい、)
二十面相ではありません。鎧の中にどんな恐ろしい、
(わるだくみをかくしているかしれません。あけちたんていは)
悪だくみを隠しているか知れません。明智探偵は
(みがまえたまま、じりじりとよろいのほうへすすみました。)
身構えたまま、ジリジリと鎧のほうへ進みました。
(そして、あるきょりまでちかよると、よろいはじっと)
そして、ある距離まで近寄ると、鎧はジッと
(つったったまま、げらげらとわらいだしました。)
突っ立ったまま、ゲラゲラと笑い出しました。
(しかしあけちは、こんどはあとずさりしないで、そこに)
しかし明智は、今度はあとずさりしないで、そこに
(ふみとどまって、いつまでもあいてをにらみつけて)
踏みとどまって、いつまでも相手をにらみつけて
(いました。するとにじゅうめんそうのほうも、まるでこんくらべ)
いました。 すると二十面相のほうも、まるで根比べ
(のようにすこしもみうごきせず、わらいつづけているのです。)
のように少しも身動きせず、笑い続けているのです。
(あんなに、よくわらえるものだとおもうほど、とぎれる)
あんなに、よく笑えるものだと思うほど、途切れる
(ことなく、おかしくておかしくてたまらないように)
ことなく、おかしくておかしくてたまらないように
(わらいつづけているのです。いったいこれは、どうしたという)
笑い続けているのです。一体これは、どうしたという
(のでしょう。にじゅうめんそうは、きでもくるったので)
のでしょう。二十面相は、気でも狂ったので
(しょうか。ところが、またしてもぎょっとするような)
しょうか。 ところが、またしてもギョッとするような
(ことがおこりました。にじゅうめんそうだけではなく)
ことが起こりました。二十面相だけではなく
(あけちたんていも、きちがいがうつりでもしたように、)
明智探偵も、キチガイが移りでもしたように、
(いきなりげらげらとわらいだしたではありませんか。)
いきなりゲラゲラと笑い出したではありませんか。
(のぶおくんはあまりのきみわるさに、ふるえあがってしまい)
信雄君は余りの気味悪さに、震え上がってしまい
(ました。「せんせい、どうなさったのです。なにがおかしい)
ました。「先生、どうなさったのです。何がおかしい
(のです」こらえきれなくなったこばやししょうねんが、たんていの)
のです」こらえきれなくなった小林少年が、探偵の
(うでにすがってさけびました。しかし、あけちはわらいやみ)
腕にすがって叫びました。 しかし、明智は笑いやみ
(ません。それどころか、いっそうおおきなこえをたてて、はらを)
ません。それどころか、一層大きな声をたてて、腹を
(かかえてわらいころげるのです。「あはは、じつにおかしい。)
抱えて笑い転げるのです。「アハハ、実におかしい。
(こばやしくん、ぼくらはかかしにおどかされていたんだよ。)
小林君、ぼくらはカカシに脅かされていたんだよ。
(ここには、ぼくらのほかにだれもいやしない。このいえは)
ここには、ぼくらの他にだれも居やしない。この家は
(ただのあきやさ」ああ、いよいよあけちは、あたまがへんに)
ただの空き家さ」 ああ、いよいよ明智は、頭が変に
(なったのではないでしょうか。げんににじゅうめんそうのこえを)
なったのではないでしょうか。現に二十面相の声を
(ききながら、ここにはだれもいないなんて、どうして)
聞きながら、ここにはだれも居ないなんて、どうして
(そんなことがいえるのでしょう。「でもせんせい、その)
そんなことが言えるのでしょう。「でも先生、その
(よろいのなかに、だれかいるじゃありませんか」こばやしくんが、)
鎧の中に、だれか居るじゃありませんか」小林君が、
(せんせいをしょうきにもどすようにいうと、あけちはまたもわらい)
先生を正気に戻すように言うと、明智はまたも笑い
(だして、「ははは、ところが、よろいのなかにはなんにもいや)
出して、「ハハハ、ところが、鎧の中には何にも居や
(しないのさ。きみは、まだきがつかないのかね。)
しないのさ。きみは、まだ気がつかないのかね。
(よし、それじゃあ、ぼくがこえのしょうたいをみせて)
よし、それじゃあ、ぼくが声の正体を見せて
(あげよう」あけちはみょうなことをいいながら、なんの)
あげよう」明智はみょうなことを言いながら、なんの
(みがまえもせず、すばやくよろいのそばにちかづいて、)
身構えもせず、素早く鎧のそばに近付いて、
(いきなり、そのかぶとをはねのけました。かぶとは、まるで)
いきなり、その兜を跳ねのけました。兜は、まるで
(くびをきられたように、ころころとゆかのうえをころがり)
首を切られたように、コロコロと床の上を転がり
(ましたが、そのあとにはなにもないことがわかり)
ましたが、そのあとには何もないことが分かり
(ました。つまり、よろいはくびなしのどうたいのみで、やっぱり)
ました。つまり、鎧は首なしの胴体のみで、やっぱり
(わらいつづけているのです。おばけです。くびがなくても、)
笑い続けているのです。オバケです。首がなくても、
(こえがでるばけものです。あけちはそれにかまわず、こんどは)
声が出るバケモノです。明智はそれに構わず、今度は
(よろいのどうをだくようにして、すっぽりとうえにぬきとり)
鎧の胴を抱くようにして、スッポリと上に抜き取り
(ました。「ごらん。こえのしょうたいは、ここにあるよ」あけちが)
ました。「ご覧。声の正体は、ここにあるよ」明智が
(ゆびさすところをみると、ぬきとったよろいのどうのなかに、ああ、)
指差す所を見ると、抜き取った鎧の胴の中に、ああ、
(なんということでしょう。こがたのてーぷれこーだーが)
なんということでしょう。小型のテープレコーダーが
(くくりつけられ、てーぷがぐるぐるまわっていたでは)
くくりつけられ、テープがグルグル回っていたでは
(ありませんか。にじゅうめんそうの、ひとをこばかにした)
ありませんか。 二十面相の、人を小バカにした
(いたずらです。かれはあけちがかならずここへやってくるのを)
イタズラです。彼は明智が必ずここへやって来るのを
(さっして、あけちをからかうために、「おれをつかまえ)
察して、明智をからかうために、「おれを捕まえ
(ようとすれば、こんなめにあうんだよ」といわない)
ようとすれば、こんな目にあうんだよ」といわない
(ばかりに、てまのかかるいたずらをしておいた)
ばかりに、手間のかかるイタズラをしておいた
(のです。あとでしらべてみると、てーぷれこーだーから)
のです。 あとで調べてみると、テープレコーダーから
(ろうかのいりぐちのどあのうちがわと、よろいのまえいちめーとる)
廊下の入り口のドアの内側と、鎧の前一メートル
(ほどのゆかのうえにでんせんがひいてあって、だれかがそれを)
ほどの床の上に電線が引いてあって、だれかがそれを
(ふめば、てーぷれこーだーのてーぷがかいてんする)
踏めば、テープレコーダーのテープが回転する
(という、たくみなしかけがほどこしてあることがわかり)
という、たくみな仕掛けが施してあることが分かり
(ました。そうしてかいじんにじゅうめんそうは、またしてもかんぜんに)
ました。そうして怪人二十面相は、またしても完全に
(しょうりしました。たとえ、このじけんにさいしょからかんけいして)
勝利しました。例え、この事件に最初から関係して
(いなかったとはいえ、あけちはふたたびにじゅうめんそうにおくれを)
いなかったとはいえ、明智は再び二十面相に後れを
(とったのです。)
取ったのです。