『妖怪博士』江戸川乱歩45
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | ヌオー | 5194 | B+ | 5.6 | 93.0% | 820.3 | 4606 | 345 | 99 | 2024/12/17 |
2 | baru | 4393 | C+ | 4.8 | 92.0% | 972.5 | 4677 | 404 | 99 | 2024/12/04 |
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問題文
(「すごいねえ。はしばくん、むこうのほうをてらして)
「すごいねえ。羽柴君、向こうのほうを照らして
(ごらん」するとこうだいなやみのなかを、さーちらいとを)
ごらん」すると広大な闇の中を、サーチライトを
(ちいさくしたようなひかりのせんがすーっとはしって、)
小さくしたような光の線がスーッと走って、
(ごつごつしたどすぐろいいわはだをつぎつぎとてらして)
ゴツゴツしたどす黒い岩肌を次々と照らして
(いきます。そのひかりでもくそくしてみると、そこは)
いきます。その光で目測してみると、そこは
(にじゅうめーとるしほうもあるような、てんじょうがたかくて)
二十メートル四方もあるような、天井が高くて
(ひろいくうかんです。「ここから、いくつもみちがわかれて)
広い空間です。「ここから、いくつも道が分かれて
(いるらしいのだよ。どのみちをえらぶか。ともかくかべを)
いるらしいのだよ。どの道を選ぶか。ともかく壁を
(つたって、ひとまわりしてみようじゃないか」せんとうの)
伝って、一回りしてみようじゃないか」先頭の
(こばやしくんは、そういいながらはしばくんのかいちゅうでんとうを)
小林君は、そう言いながら羽柴君の懐中電灯を
(たよりに、そろそろとみぎのほうへあるきはじめました。)
頼りに、ソロソロと右のほうへ歩き始めました。
(「あ、ここにちいさなあながある。これがだいいちのわかれみち)
「あ、ここに小さな穴がある。これが第一の分かれ道
(だよ」「おや、なんだかみずがながれているようなおとが)
だよ」「おや、なんだか水が流れているような音が
(するじゃないか」「うん、このしょうにゅうどうのなかには、)
するじゃないか」「うん、この鍾乳洞の中には、
(ちいさなちていのかわがながれているんだって。このみちを)
小さな地底の川が流れているんだって。この道を
(いくと、きっとそこへでるんだよ」「あ、みたまえ。)
行くと、きっとそこへ出るんだよ」「あ、見たまえ。
(しょうにゅうせきだ。あのてんじょうからしろいつららみたいなものが、)
鍾乳石だ。あの天井から白いツララみたいな物が、
(たくさんさがっている」はしばくんのでんとうが、どうくつの)
たくさん下がっている」羽柴君の電灯が、洞窟の
(てんじょうのいっぽうのすみをまるくてらしだしていました。)
天井の一方の隅を丸く照らし出していました。
(そのひかりのなかに、おおきくてほのかにしろいいしのつららが、)
その光の中に、大きくてほのかに白い石のツララが、
(きょじんのきばのようにものすごくたれさがっているのです。)
巨人の牙のように物凄く垂れ下がっているのです。
(「したをごらん。あのしたに、きっとたけのこじょうのがんせきが)
「下をご覧。あの下に、きっとタケノコ状の岩石が
(あるから。ああ、あるある。まるで、しろいおばけ)
あるから。ああ、あるある。まるで、白いオバケ
(みたいだねえ」それらのふしぎなけしきをみて)
みたいだねえ」それらの不思議な景色を見て
(いると、みんなはなんだかどうわのまほうのくにへでも)
いると、みんなは何だか童話の魔法の国へでも
(まよいこんだような、へんなきもちにならないでは)
迷いこんだような、変な気持ちにならないでは
(いられませんでした。それにしゅういがまっくらで、)
いられませんでした。 それに周囲が真っ暗で、
(ひかりといってはかいちゅうでんとうただひとつのみですから、)
光と言っては懐中電灯ただ一つのみですから、
(いっそうこわいゆめでもみているようなかんじで、そのおくの)
一層怖い夢でも見ているような感じで、その奥の
(しれないやみのなかからなにかとほうもないかいぶつが、いまにも)
知れない闇の中から何か途方もない怪物が、今にも
(のそのそあらわれてくるのじゃないかとおもうと、)
ノソノソ現れて来るのじゃないかと思うと、
(さすがにゆうかんなしょうねんたちも、せなかがぞーっとさむく)
さすがに勇敢な少年たちも、背中がゾーッと寒く
(なってくるのでした。わーっと、とつぜんだれかが)
なってくるのでした。ワーッと、突然だれかが
(ちょうしはずれなさけびごえをたてました。すると、それが)
調子外れな叫び声をたてました。すると、それが
(どうくつにこだまして、どこかとおくのほうでかいぶつがわめいて)
洞窟に木霊して、どこか遠くのほうで怪物が喚いて
(いるようなこえが、「わーっわーっわー」となんかいも、)
いるような声が、「ワーッワーッワー」と何回も、
(だんだんちいさくなりながらひびいてきました。「だれだ。)
段々小さくなりながら響いてきました。「だれだ。
(どうしたんだ」「びっくりするじゃないか」「ぼく)
どうしたんだ」「ビックリするじゃないか」「ぼく
(だよ、ぼく」「さいとうくんじゃないか。どうしたんだい」)
だよ、ぼく」「斎藤君じゃないか。どうしたんだい」
(「なんだかこおりのようにつめたいものが、くびのところへ)
「なんだか氷のように冷たい物が、首の所へ
(あたった。ああ、きみがわるい」「なあんだ。そりゃ、)
当たった。ああ、気味が悪い」「なあんだ。そりゃ、
(てんじょうからみずがおちたんだよ。いわのわれめからやまのみずが)
天井から水が落ちたんだよ。岩の割れ目から山の水が
(おちてくるんだよ」おおきなこえをだすと、とおくのほう)
落ちてくるんだよ」大きな声を出すと、遠くのほう
(からかいぶつのようなこだまのこえがかえってくるので、ぜんいん)
から怪物のような木霊の声が返ってくるので、全員
(それにおびえて、ささやくようなひくいこえではなしあい)
それにおびえて、ささやくような低い声で話し合い
(ます。そうしてつぎつぎといわはだをつたいながらどうくつをいっしゅう)
ます。そうして次々と岩肌を伝いながら洞窟を一周
(すると、けいよっつのわかれみちがありました。そうだんした)
すると、計四つの分かれ道がありました。相談した
(のち、いちばんひろいだいにのみちをえらんで、おくへとすすむことに)
のち、一番広い第二の道を選んで、奥へと進むことに
(なりました。そのみちは、かなりひろいのでよっつんばいに)
なりました。その道は、かなり広いので四つん這いに
(なるひつようもなく、またたていちれつになってあるきはじめ)
なる必要もなく、また縦一列になって歩き始め
(ましたが、じゅうめーとるもいったかとおもうと、みちが)
ましたが、十メートルも行ったかと思うと、道が
(ふたつにわかれていました。「いくらみちがわかれても、)
二つに分かれていました。「いくら道が分かれても、
(ひもがあるからだいじょうぶだよ。ともかく、すこしでもひろい)
ヒモがあるから大丈夫だよ。ともかく、少しでも広い
(ほうへすすむことにしようじゃないか」せんとうのこばやしくんは)
ほうへ進むことにしようじゃないか」先頭の小林君は
(そういいながら、みぎてのひろいあなへはいっていきました。)
そう言いながら、右手の広い穴へ入って行きました。
(みちは、ところどころでひろかったりせまくなったりしており、きゅうな)
道は、所々で広かったり狭くなったりしており、急な
(のぼりざかになったかとおもえば、またくだりざかになり、)
登り坂になったかと思えば、また下り坂になり、
(それがうねうねとまがりくねって、はてもなくつづいて)
それがウネウネと曲がりくねって、果てもなく続いて
(いました。そのうえ、にじゅっぽかさんじゅっぽすすむたびに)
いました。その上、二十歩か三十歩進む度に
(わかれみちになっているので、まるでめいろのようです。)
分かれ道になっているので、まるで迷路のようです。
(「ああ、ずいぶんとわかれみちがあったね。いくつだか)
「ああ、ずいぶんと分かれ道があったね。いくつだか
(おぼえているか」「いつつだよ」「うん、いつつだったね。)
覚えているか」「五つだよ」「うん、五つだったね。
(もう、みちしるべのひもがなけりゃあ、とてもでぐちへ)
もう、道しるべのヒモがなけりゃあ、とても出口へ
(かえれないよ。ひもはだいじょうぶだろうね」「だいじょうぶ。)
帰れないよ。ヒモは大丈夫だろうね」「大丈夫。
(でも、ひもがみじかくなっちゃったよ。もうにじゅうめーとる)
でも、ヒモが短くなっちゃったよ。もう二十メートル
(ぐらいしかのこっていないよ。ぼくたちは、いりぐちから)
ぐらいしか残っていないよ。ぼくたちは、入り口から
(はちじゅうめーとるほどあるいたんだね」「たったはちじゅう)
八十メートルほど歩いたんだね」「たった八十
(めーとるか。ぼくは、ごひゃくめーとるもあるいたような)
メートルか。ぼくは、五百メートルも歩いたような
(きがするぜ」やみのなかでてをつなぎながらあるいていた、)
気がするぜ」闇の中で手を繋ぎながら歩いていた、
(しのざきくんとかつらくんがぼそぼそとささやきあっていました。)
篠崎君と桂君がボソボソとささやき合っていました。
(せんとうのこばやしくんやはしばくんとはだいぶはなれているので、)
先頭の小林君や羽柴君とはだいぶ離れているので、
(とおくのかいちゅうでんとうのなかをまえへすすんでいくしょうねんたちの)
遠くの懐中電灯の中を前へ進んでいく少年たちの
(あたまが、まっくろにちらちらするのが、やっとみわけ)
頭が、真っ黒にチラチラするのが、やっと見分け
(られるのみです。「まるで、じごくへりょこうしているよう)
られるのみです。「まるで、地獄へ旅行しているよう
(だね。こうざんのあなのなかも、きっとこんなかんじだろうね」)
だね。鉱山の穴の中も、きっとこんな感じだろうね」
(「うん、そうだね。ずいぶんきみがわるいけれど、でも)
「うん、そうだね。ずいぶん気味が悪いけれど、でも
(すてきだね。ぼくはこんなところへきたの、うまれてはじめて)
素敵だね。ぼくはこんな所へ来たの、生まれて初めて
(だよ」れつのなかほどでは、やっぱりてをつなぎあった)
だよ」列の中ほどでは、やっぱり手を繋ぎ合った
(うえむらよういちくんとさいとうたろうくんがそんなことをはなしあって)
上村洋一君と斎藤太郎君がそんなことを話し合って
(いました。するとちょうどそのとき、れつのせんとうから)
いました。 すると丁度その時、列の先頭から
(こばやしだんちょうのたかいこえがひびいてきました。「おや、こんな)
小林団長の高い声が響いて来ました。「おや、こんな
(とこにはしがあるぜ。あついいたがしいてある」そのこえと)
とこに橋があるぜ。厚い板が敷いてある」 その声と
(いっしょに、こばやしくんがたちどまったものですから、やみの)
一緒に、小林君が立ち止まったものですから、闇の
(なかのぎょうれつはぴったりととまってしまいました。)
中の行列はピッタリと止まってしまいました。
(「かいぶつ」)
「怪物」
(「はしばくん、なんだかふかいあながあるようだよ。かいちゅうでんとうを)
「羽柴君、何だか深い穴があるようだよ。懐中電灯を
(かしてごらん」こばやしだんちょうは、はしばくんからかいちゅうでんとうを)
貸してごらん」 小林団長は、羽柴君から懐中電灯を
(うけとると、それであしもとをてらしてみました。そこ)
受け取ると、それで足元を照らしてみました。そこ
(には、どんなはばとびのめいじんだってとびこせそうもない)
には、どんな幅跳びの名人だって飛び込せそうもない
(ような、おおきいふかいあながあいていて、そのまんなかに)
ような、大きい深い穴があいていて、その真ん中に
(じょうぶであついいたが、はしのようにかけてあるのです。)
丈夫で厚い板が、橋のようにかけてあるのです。
(そのいたはあたらしいものだったので、ごくさいきんにだれかが)
その板は新しい物だったので、ごく最近にだれかが
(かけておいたのでしょう。こばやしくんは、そのいたのしたを)
かけておいたのでしょう。小林君は、その板の下を
(かいちゅうでんとうでてらして、あなのふかさをしらべましたが、)
懐中電灯で照らして、穴の深さを調べましたが、
(そのそこはでんとうのひかりもとどかないほどふかく、かぶほどひろく)
その底は電灯の光も届かないほど深く、下部ほど広く
(なっていて、みみをすますとはるかしたのほうから)
なっていて、耳をすますと遥か下のほうから
(ごうごうと、みずのながれるおとがきこえてきます。)
ゴウゴウと、水の流れる音が聞こえてきます。
(もし、あしをすべらせておちたら、とうぜん、たすかるみこみは)
もし、足をすべらせて落ちたら、当然、助かる見込みは
(ありません。)
ありません。