紫式部 源氏物語 若紫 9 與謝野晶子訳

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4 りつ 4087 C 4.2 95.7% 697.9 2986 133 42 2024/10/18
5 goma 2914 E+ 3.1 93.6% 925.7 2894 196 42 2024/10/18

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(ちょうどげんじがくるまにのろうとするころに、さだいじんけから、どこへいくともなく)

ちょうど源氏が車に乗ろうとするころに、左大臣家から、どこへ行くともなく

(げんじがきょうをでかけていったので、そのむかえとしてけいしのひとびとや、しそくたちなどが)

源氏が京を出かけて行ったので、その迎えとして家司の人々や、子息たちなどが

(おおぜいでてきた。とうのちゅうじょう、さちゅうべんまたそのほかのきんだちたちもいっしょに)

おおぜい出て来た。頭中将、左中弁またそのほかの公達たちもいっしょに

(きたのである。 「こうしたごりょこうなどにはぜひおともをしようと)

来たのである。 「こうした御旅行などにはぜひお供をしようと

(おもっていますのに、おしらせがなくて」 などとうらんで、)

思っていますのに、お知らせがなくて」 などと恨んで、

(「うつくしいはなのしたであそぶじかんがゆるされないですぐにおかえりのおともをするのは)

「美しい花の下で遊ぶ時間が許されないですぐにお帰りのお供をするのは

(おしくてならないことですね」 ともいっていた。いわのよこのあおいこけのうえに)

惜しくてならないことですね」 とも言っていた。岩の横の青い苔の上に

(あたらしくきたきんだちはならんで、またさかもりがはじめられたのである。まえにながれたたきも)

新しく来た公達は並んで、また酒盛りが始められたのである。前に流れた滝も

(じょうしゅのあるばしょだった。とうのちゅうじょうはふところにいれてきたふえをだしてふきすましていた。)

情趣のある場所だった。頭中将は懐に入れてきた笛を出して吹き澄ましていた。

(べんはおうぎびょうしをとって、「かつらぎのてらのまえなるや、とよらのてらのにしなるや」といううたを)

弁は扇拍子をとって、「葛城の寺の前なるや、豊浦の寺の西なるや」という歌を

(うたっていた。このひとたちはけっしてへいぼんなわかいひとではないが、なやましそうにいわへ)

歌っていた。この人たちは決して平凡な若い人ではないが、悩ましそうに岩へ

(よりかかっているげんじのびにくらべてよいひとはだれもなかった。いつもひちりきをふく)

よりかかっている源氏の美に比べてよい人はだれもなかった。いつも篳篥を吹く

(やくにあたるずいしんがそれをふき、またわざわざしょうのふえをもちこんできたふうりゅうずきも)

役にあたる随身がそれを吹き、またわざわざ笙の笛を持ち込んで来た風流好きも

(あった。そうずがじしんでこと(しちげんのとうふうのがっき)をはこんできて、 「これをただ)

あった。僧都が自身で琴(七弦の唐風の楽器)を運んで来て、 「これをただ

(ちょっとだけでもおひきくだすって、それによってやまのとりにおんがくのなんであるかを)

ちょっとだけでもお弾きくだすって、それによって山の鳥に音楽の何であるかを

(しらせてやっていただきたい」 こうねつぼうするので、)

知らせてやっていただきたい」 こう熱望するので、

(「わたくしはまだびょうきにつかれていますが」 といいながらも、げんじがこころよくすこし)

「私はまだ病気に疲れていますが」 と言いながらも、源氏が快く少し

(ひいたのをさいごとしてみなかえっていった。なごりおしくおもってやまのそうぞくはみななみだを)

弾いたのを最後として皆帰って行った。名残惜しく思って山の僧俗は皆涙を

(こぼした。いえのなかではとしをとったあまぎみしゅじゅうがまだげんじのようなひとに)

こぼした。家の中では年を取った尼君主従がまだ源氏のような人に

(であったことのないひとたちばかりで、そのてんさいてきなことのねをもげんじつのよのもので)

出逢ったことのない人たちばかりで、その天才的な琴の音をも現実の世のもので

など

(ないとひょうしあった。そうずも、 「なんのやくそくごとでこんなまっせにおうまれになって)

ないと評し合った。僧都も、 「何の約束事でこんな末世にお生まれになって

(ひととしてのうるさいそくばくやかんしょうをおうけにならなければならないかと)

人としてのうるさい束縛や干渉をお受けにならなければならないかと

(おもってみるとかなしくてならない」 とげんじのきみのことをいってなみだを)

思ってみると悲しくてならない」 と源氏の君のことを言って涙を

(ぬぐっていた。ひょうぶきょうのみやのひめぎみはこどもごころにうつくしいひとであるとおもって、)

ぬぐっていた。兵部卿の宮の姫君は子供心に美しい人であると思って、

(「みやさまよりもごようすがりっぱね」 などとほめていた。)

「宮様よりも御様子がりっぱね」 などとほめていた。

(「ではあのかたのおこさまにおなりなさいまし」 とにょうぼうがいうとうなずいて、)

「ではあの方のお子様におなりなさいまし」 と女房が言うとうなずいて、

(そうなってもよいとおもうかおをしていた。それからはにんぎょうあそびをしても)

そうなってもよいと思う顔をしていた。それからは人形遊びをしても

(えをかいてもげんじのきみというのをこしらえて、それにはきれいなきものをきせて)

絵をかいても源氏の君というのをこしらえて、それにはきれいな着物を着せて

(だいじがった。 ききょうしたげんじはすぐにきゅうちゅうへあがって、びょうちゅうのはなしをいろいろと)

大事がった。 帰京した源氏はすぐに宮中へ上がって、病中の話をいろいろと

(もうしあげた。ずいぶんやせてしまったとおおせられてみかどはそれをおきにおかけ)

申し上げた。ずいぶん痩せてしまったと仰せられて帝はそれをお気におかけ

(あそばされた。しょうにんのそんけいすべききとうりょくなどについてのごかもんも)

あそばされた。聖人の尊敬すべき祈祷力などについての御下問も

(あったのである。くわしくもうしあげると、 「あじゃりにもなっていいだけのしかくが)

あったのである。詳しく申し上げると、 「阿闍梨にもなっていいだけの資格が

(ありそうだね。めいよをもとめないでしゅぎょういっぽうできたひとなんだろう。それでいっぱんじんに)

ありそうだね。名誉を求めないで修行一方で来た人なんだろう。それで一般人に

(しられなかったのだ」 とけいいをひょうしておいでになった。さだいじんもごしょに)

知られなかったのだ」 と敬意を表しておいでになった。左大臣も御所に

(きあわせていて、 「わたくしもおむかえにまいりたくおもったのですが、おしのびのときには)

来合わせていて、 「私もお迎えに参りたく思ったのですが、御微行の時には

(かえってごめいわくかともおもいましてえんりょをしました。しかしまだいちにちふつかはしずかに)

かえって御迷惑かとも思いまして遠慮をしました。しかしまだ一日二日は静かに

(おやすみになるほうがよろしいでしょう」 といって、また、)

お休みになるほうがよろしいでしょう」 と言って、また、

(「ここからのおおくりはわたくしがいたしましょう」 ともいったので、そのいえへ)

「ここからのお送りは私がいたしましょう」 とも言ったので、その家へ

(いきたいきもなかったが、やむをえずげんじはどうこうしていくことにした。)

行きたい気もなかったが、やむをえず源氏は同行して行くことにした。

(じぶんのくるまへのせてだいじんじしんはからだをちいさくしてのっていったのである。)

自分の車へ乗せて大臣自身はからだを小さくして乗って行ったのである。

(むすめのかわいさからこれほどまでにせいいをみせたたいぐうをじぶんにしてくれるのだと)

娘のかわいさからこれほどまでに誠意を見せた待遇を自分にしてくれるのだと

(おもうと、だいじんのおやごころなるものにげんじはかんどうせずにはいられなかった。)

思うと、大臣の親心なるものに源氏は感動せずにはいられなかった。

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