紫式部 源氏物語 若紫 18 與謝野晶子訳

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2 □「いいね」する 7552 7.7 97.0% 345.7 2694 83 38 2024/10/24
3 りつ 4031 C 4.2 95.0% 647.6 2753 142 38 2024/10/25

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問題文

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(「こまってしまう。しょうらいだれかとごけっこんをなさらなければならないにょおうさまを、)

「困ってしまう。将来だれかと御結婚をなさらなければならない女王様を、

(これではもうげんじのきみがおくさまになすったようなかたちをおとりになるのですもの。)

これではもう源氏の君が奥様になすったような形をお取りになるのですもの。

(みやさまがおききになったらわたくしたちのせきにんだといっておしかりになるでしょう」)

宮様がお聞きになったら私たちの責任だと言っておしかりになるでしょう」

(「ねえにょおうさま、おきをおつけになって、げんじのきみのことはみやさまが)

「ねえ女王様、お気をおつけになって、源氏の君のことは宮様が

(いらっしゃいましたときにうっかりいっておしまいにならないように)

いらっしゃいました時にうっかり言っておしまいにならないように

(なさいませね」 としょうなごんがいっても、しょうにょおうは、それがなんのために)

なさいませね」 と少納言が言っても、小女王は、それが何のために

(そうしなければならないかがわからないのである。しょうなごんはこれみつのところへきて、)

そうしなければならないかがわからないのである。少納言は惟光の所へ来て、

(みにしむはなしをした。 「しょうらいあるいはそうおなりあそばすうんめいかも)

身にしむ話をした。 「将来あるいはそうおなりあそばす運命かも

(しれませんが、ただいまのところはどうしてもこれはふつりあいなあいだがらだとわたくしらは)

しれませんが、ただ今のところはどうしてもこれは不つりあいな間柄だと私らは

(ぞんじますのに、ごねっしんにごえんぐみのことをおっしゃるのですもの、ごすいきょうかなにかと)

存じますのに、御熱心に御縁組のことをおっしゃるのですもの、御酔興か何かと

(わたくしどもはおもうばかりでございます。きょうもみやさまがおいでになりまして、)

私どもは思うばかりでございます。今日も宮様がおいでになりまして、

(おんなのこだからよくきをつけておまもりをせい、うっかりゆだんをしていてはいけない)

女の子だからよく気をつけてお守りをせい、うっかり油断をしていてはいけない

(などとおっしゃいましたときは、わたくしどもなんだかへいきでいられなくおもわれました。)

などとおっしゃいました時は、私ども何だか平気でいられなく思われました。

(さくばんのことなんかおもいだすものですから」 などといいながらも、)

昨晩のことなんか思い出すものですから」 などと言いながらも、

(あまりになげいてみせてはひめぎみのおとめであることをこのひとにうたがわせることになると)

あまりに歎いて見せては姫君の処女であることをこの人に疑わせることになると

(ようじんもしていた。これみつもどんなかんけいなのかわからないきがした。かえってこれみつが)

用心もしていた。惟光もどんな関係なのかわからない気がした。帰って惟光が

(ほうこくしたはなしから、げんじはいろいろとそのいえのことがあわれにおもいやられて)

報告した話から、源氏はいろいろとその家のことが哀れに思いやられて

(ならないのであったが、けいしきてきにはおっとらしくいっぱくしたあとであるから、)

ならないのであったが、形式的には良人らしく一泊したあとであるから、

(つづいてかよっていかねばならぬが、それはさすがにちゅうちょされた。すいきょうなけっこんを)

続いて通って行かねばならぬが、それはさすがに躊躇された。酔興な結婚を

(したようにせけんがひひょうしそうなてんもあるので、こころがおけていけないのである。)

したように世間が批評しそうな点もあるので、心がおけて行けないのである。

など

(にじょうのいんへむかえるのがりょうさくであるとげんじはおもった。てがみはしじゅうおくった。)

二条の院へ迎えるのが良策であると源氏は思った。手紙は始終送った。

(ひがくれるとこれみつをみまいにだした。 やむをえぬようじがあって)

日が暮れると惟光を見舞いに出した。 やむを得ぬ用事があって

(でかけられないのを、わたくしのふせいじつさからだとおおもいにならぬかとふあんです。)

出かけられないのを、私の不誠実さからだとお思いにならぬかと不安です。

(などというてがみがかかれてくる。 「みやさまのほうから、にわかにあしたむかえに)

などという手紙が書かれてくる。 「宮様のほうから、にわかに明日迎えに

(いくといっておよこしになりましたので、とりこんでおります。ながいなじみのふるい)

行くと言っておよこしになりましたので、取り込んでおります。長い馴染の古い

(おやしきをはなれますのもこころぼそいきのすることとわたくしどもめいめいもうしあっております」)

お邸を離れますのも心細い気のすることと私どもめいめい申し合っております」

(とことばかずもすくなくいって、だいなごんけのにょうぼうたちはきょうはゆっくりとはなしあいてに)

と言葉数も少なく言って、大納言家の女房たちは今日はゆっくりと話し相手に

(なっていなかった。いそがしそうにものをぬったり、なにかをしたくしたりするようすが)

なっていなかった。忙しそうに物を縫ったり、何かを仕度したりする様子が

(よくわかるので、これみつはかえっていった。げんじはさだいじんけへいっていたが、)

よくわかるので、惟光は帰って行った。源氏は左大臣家へ行っていたが、

(れいのふじんはきゅうにでてきてあおうともしなかったのである。めんどうなきがして、)

例の夫人は急に出て来て逢おうともしなかったのである。面倒な気がして、

(げんじはあずまごと(わごんにおなじ)をてすさびにひいて、「ひたちにはたをこそつくれ、)

源氏は東琴(和琴に同じ)を手すさびに弾いて、「常陸には田をこそ作れ、

(あだごころかぬとやきみがやまをこえ、のをこえあまよきませる」といういなかめいたかしを、)

仇心かぬとや君が山を越え、野を越え雨夜来ませる」という田舎めいた歌詞を、

(ゆうびなこえでうたっていた。これみつがきたというので、げんじはいまへよんでようすを)

優美な声で歌っていた。惟光が来たというので、源氏は居間へ呼んで様子を

(きこうとした。これみつによって、にょおうがひょうぶきょうのみやていへいてんするぜんやであることを)

聞こうとした。惟光によって、女王が兵部卿の宮邸へ移転する前夜であることを

(げんじはきいた。げんじはざんねんなきがした。みやていへうつったあとで、そういうおさないひとに)

源氏は聞いた。源氏は残念な気がした。宮邸へ移ったあとで、そういう幼い人に

(けっこんをもうしこむということもものずきにおもわれることだろう。ちいさいひとをひとり)

結婚を申し込むということも物好きに思われることだろう。小さい人を一人

(ぬすんでいったというひなんをうけるほうがまだよい。たしかにひみつのたもちえられる)

盗んで行ったという批難を受けるほうがまだよい。確かに秘密の保ち得られる

(しゅだんをとってにじょうのいんへつれてこようとげんじはけっしんした。)

手段を取って二条の院へつれて来ようと源氏は決心した。

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