未 本編 -41-

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師匠シリーズ
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問題文

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(「たんき」、つまりうしとしょうされよしのかわのじょうりゅうにちんざしたにうかわかみしゃや、)

「丹貴」、つまり雨師と称され吉野川の上流に鎮座した丹生川上社や、

(かもがわのじょうりゅうにちんざしたきふねじんじゃをだいひょうとする、きうにこうありとされた)

加茂川の上流に鎮座した貴船神社を代表とする、祈雨に効ありとされた

(じんじゃぐんがちょうていのほうへいをうけてきたれきしがあります。)

神社群が朝廷の奉幣を受けてきた歴史があります。

(へいあんきにへんさんされた「えんぎしき」のじんみょうちょうにもきうはちじゅうござとよばれるじんじゃが)

平安期に編纂された「延喜式」の神名帳にも祈雨八十五座と呼ばれる神社が

(きさいされています。また、しんどうにかぎらず、みっきょうをだいひょうとする)

記載されています。また、振動に限らず、密教を代表とする

(ぶっきょうぎれいにおいても、あめをこう、しょううほうのひじゅつがながらくおこなわれてきました。)

仏教儀礼においても、雨を請う、請雨法の秘術が長らく行われてきました。

(みっきょうの「しかのたいほう」のうち、「しょううけいほう」と「くじゃくみょうおうけいほう」は)

密教の『四筒の大法』のうち、『請雨経法』と『孔雀明王経法』は

(しょううほうとしてしられています。そしてみっきょうといえばなんといってもりゅうおうです。)

請雨法として知られています。そして密教といえばなんといっても竜王です。

(くうかいのまねいたぜんにょりゅうおうなどのはちだいりゅうおうやそのけんぞくたちはかみなりのかみであり、)

空海の招いた善女竜王などの八大龍王やその眷属たちは雷の神であり、

(みずのかみであり、そしてあめのかみでもあります。)

水の神であり、そして雨の神でもあります。

(りゅうおうのなまえをかんしたやまはにほんちゅうにはかぞえきれないほどおおくあり、)

竜王の名前を冠した山は日本中には数えきれないほど多くあり、

(りゅうおうがしゅごするそうしたやまはしょみんのあいだでもきうのぎしきをおこなうための)

竜王が守護するそうした山は庶民の間でも祈雨の儀式を行うための

(じゅうようなしんこうたいしょうともなってきました。)

重要な信仰対象ともなってきました。

(そうです。やまです。やまはふりそそいだあめをそのふところふかくにためこみ、)

そうです。山です。山は降り注いだ雨をその懐深くに溜め込み、

(たえまなくへいちにみずをもたらすためのそうちです。りゅうおうざんにかぎらず、)

絶え間なく平地に水をもたらすための装置です。竜王山に限らず、

(あらゆるやまはきうのぎょうじにおけるじゅうようきょてんなのです。)

あらゆる山は祈雨の行事における重要拠点なのです。

(もちろん、まんせいてきなみずぶそくになやむまつのきさとにちんざする、)

もちろん、慢性的な水不足に悩む松ノ木郷に鎮座する、

(このりょかんのうらてのやまも」)

この旅館の裏手の山も」

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(そのおとにししょうのこえがかさなり、ふしぎなよいんとなってたなびいていく。)

その音に師匠の声が重なり、不思議な余韻となってたなびいていく。

など

(「かつてこのうらやまにはおかみをまつるじんじゃがあったのです。)

「かつてこの裏山にはオカミを祀る神社があったのです。

(わたしがたにぞこでみつけたいしは、そのいこうでしょう。)

わたしが谷底で見つけた石は、その遺構でしょう。

(ほのおのごとくのうちをやくたいようが、くもることなくひかりをふりそそぎつづける「えんかん」のあいだ、)

炎のごとく農地を焼く太陽が、曇ることなく光を降り注ぎ続ける「炎旱」の間、

(ひとびとはおかみにいのりました。いっしんに、あめをこんがんしたのです。)

人々はオカミに祈りました。一心に、雨を懇願したのです。

(げんだいしゃかいの、けっこんといえのしんちく、そしてそうしきのさいぐらいしかかかわりのない)

現代社会の、結婚と家の新築、そして葬式の際ぐらいしか関わりのない

(とってつけたようなしんしきのぎょうじとはわけがちがいます。あめのふるやふらざるやに、)

とってつけたような神式の行事とはわけが違います。雨の降るや降らざるやに、

(そのむらでいきるすべてのにんげんのいのちがかかっている、)

その村で生きるすべての人間の命がかかっている、

(しょうしんしょうめいのぜんしんぜんれいをもってのぞんだ「しんこう」です。)

正真正銘の全身全霊をもって臨んだ「信仰」です。

(そうであるがゆえに、そのしんこうのむかうところであったじんじゃのけんせいたるや)

そうであるがゆえに、その信仰の向かうところであった神社の権勢たるや

(たいへんなものだったとすいそくできます。しかし、そのあまごいぎしきをつかさどってきた)

大変なものだったと推測できます。しかし、その雨乞儀式を司ってきた

(おかみじんじゃにも、いつしかてんきがおとずれます。)

オカミ神社にも、いつしか転機が訪れます。

(もうおわかりでしょう。たかはしながおきがもたらしたふたつのへんかくのひとつ。)

もうお分かりでしょう。高橋永熾がもたらした二つの変革の一つ。

(わかみやじんじゃのかんじょうです」)

若宮神社の勧請です」

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(おとがおおきくなっていく。しずけさのなかに、そのおとがなんともいいようのない)

音が大きくなっていく。静けさの中に、その音がなんとも言いようのない

(ざわめきをはこんでくるようだ。)

ざわめきを運んでくるようだ。

(「たかはしながおきのもたらしたふたつのへんかくは、そのじつ、ふたつにしてひとつのものです。)

「高橋永熾のもたらした二つの変革は、その実、二つにして一つのものです。

(ためいけができることでひでりのきょうふはうすれ、あまごいのためのしんこうは)

溜め池が出来ることで日照りの恐怖は薄れ、雨乞いのための信仰は

(ふようになりました。)

不要になりました。

(そしてまつのきごうのひとびとのしんこうしんのあたらしいうけざらがわかみやじんじゃです。)

そして松ノ木郷の人々の信仰心の新しい受け皿が若宮神社です。

(このにほんでもっともおおくのひとにしんこうされているやはたのかみを)

この日本でもっとも多くの人に信仰されている八幡神を

(まつったじんじゃなのですから、そのやくにじゅうにぶんんにかなうものでした。)

祀った神社なのですから、その役に十二分にかなうものでした。

(このふたつのへんかくはまざりあい、こうりつてきにふるいものからあたらしいものへと)

この二つの変革は混ざり合い、効率的に古いものから新しいものへと

(すべてがかわっていきました。そのかていでわすれさられ、)

すべてが変わっていきました。その過程で忘れ去られ、

(きえていったものたちがあります。)

消えていったものたちがあります。

(かつてこのやまにそんざいし、ひとびとのしんこうをあつめたおかみじんじゃのきろくが、)

かつてこの山に存在し、人々の信仰を集めたオカミ神社の記録が、

(そしてきおくが、ひとびとのなかにのこっていないのは、うんめいだったのでしょうか」)

そして記憶が、人々の中に残っていないのは、運命だったのでしょうか」

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(りん・・・・・)

りん・・・・・

(ししょうのことばにはんのうするように、おとがおおきくなる。)

師匠の言葉に反応するように、音が大きくなる。

(ぜんいんがいきをのんでしめなわをみつめている。)

全員が息を飲んで注連縄を見つめている。

(よくみるとよんほうをかこむそのなわのよすみに、ちいさなすずがとりつけられていた。)

よく見ると四方を囲むその縄の四隅に、小さな鈴が取り付けられていた。

(そのすずが、なっている。)

その鈴が、なっている。

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