中島敦「セトナ王子」3
PCⅡタイピング練習です。
中島敦「セトナ王子」の続きです。
「ヌーと何か?」という問いを探してみても答えが見つからなかったセトナ王子は徐々に気力を落としてしまい、やがては…
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問題文
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(せとなおうじのちえがうれいのくもにさえぎられて、)
セトナ王子の智慧が愁の雲に遮られて、
(ことばのひかりをはなたなくなったからである。)
言葉の光を放たなくなったからである。
(いご、おうじはなにごとをもいわず、なにごとをもおこなわず)
以後、王子は何事をもいわず、何事をも行わず
(ろうのでくのようになっていっしょうをおわった。)
蝋の木偶のようになって一生を終った。
(しぬまでのあいだにかれのしたことは、たったひとつ。)
死ぬ迄の間に彼のしたことは、たった一つ。
(それは、あたまにひざらをのせ、てにふたまたのつえをついて、)
それは、頭に火皿をのせ、手に二股の杖をついて、
(そのしょもつをねふぇるかぷたーのぼしょへかえしていったことである。)
その書物をネフェルカプターの墓所へ返して行ったことである。
(おうじからしょもつをうけとったとき、ねふぇるかぷたーのみいらは)
王子から書物を受取った時、ネフェルカプターのミイラは
(にやりとわらった。つまあーうりのみいらもだまってわらった。)
ニヤリと笑った。妻アーウリの木乃伊も黙って笑った。
(おうじはものもいわず、しんあおなかおでそとへでてきた。)
皇子は物もいわず、真蒼な顔で外へ出て来た。
(ぼしょのいりぐちのとびらをしめたとき、かれは、あとのよのひとびとが)
墓所の入口の扉を閉めた時、彼は、後の世の人々が
(このしょもつによってふたたび、ふこうにおちいることがあっては)
この書物によって再び、不幸に陥ることがあっては
(いけないとおもった。)
いけないと思った。
(かれはとびらのとじめにまほうのふうをしたうえ、あるじゅもんによって)
彼は扉のとじ目に魔法の封をした上、ある呪文によって
(そのはかのいりぐちがぜんぜんひとめにつかないようにかえておわった。)
その墓の入口が全然人目につかないように変えて了った。
(いまにいたるまで、このほんのしょざいをしるものがないのは、)
今に到るまで、この本の所在を知るものが無いのは、
(こうしたわけである。)
こうした訳である。