ある自殺者の手記 四
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問題文
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(かとうくん、)
加藤君、
(このあたりのもんくは、ことによると、きみのめにはふれぬとおもう。)
このあたりの文句は、ことによると、 君の眼には触れぬと思う。
(なんとなればきみたちはきっと、ちゅうどくからのがれようと、もがくであろうから)
(何となれば君たちはきっと、中毒から逃れようと、もがくであろうから)
(けれども、しゅきをかんせいしておかないことはきがかりになるから、)
けれども、手記を完成して置かないことは気がかりになるから、
(ぼくはかきつづけるのだ。)
僕は書き続けるのだ。
(おもえば、きみとぼくとは、おなじびょういんをけいえいしてこれまで、)
思えば、君と僕とは、同じ病院を経営して これまで、
(なんのはらんもなくくらしてきた。)
何の波瀾もなく暮らして来た。
(だから、ぼくたちがさんにんいっしょにしんだら、)
だから、僕たちが三人一しょに死んだら、
(さだめしせけんのひとたちはおどろくであろう。)
さだめし世間の人たちは驚くであろう。
(もとより、このしゅきをみれば、なんのために、ぼくたちがしんだかはすぐわかる。)
もとより、この手記を見れば、何のために、僕たちが死んだかはすぐわかる。
(けれども、ここにたったひとつだけ、えいきゅうにわからぬじじょうがのこるであろう。)
けれども、ここにたった一つだけ、永久にわからぬ事情が残るであろう。
(というのは、このしゅきをかいたのが、)
というのは、この手記を書いたのが、
(げかのかとうか、ないかのかとうかということである。)
外科の加藤か、内科の加藤かということである。
(それほどぼくたちふたりのひっせきはよくにている、というよりも)
それほど僕たち二人の筆跡はよく似ている、というよりも
(まったくおなじだといってよいからだ。)
全く同じだといってよいからだ。
(もしつねこさん、しゅにんかんごふのつねこさんがいきておれば、)
もし恒子さん、主任看護婦の恒子さんが 生きて居(お)れば、
(しつれんしゃがどちらであるかは)
失恋者がどちらであるかは
(たちどころにわかるが、)
たちどころにわかるが、
(そのゆいいつのはんだんしゃたるつねこさんもともにしぬのだから、)
その唯一の判断者たる恒子さんも共に死ぬのだから、
(もはやいきているだれにもわかりようがない。)
もはや生きている誰にもわかりようがない。
など
(これが、せめてもの、しつれんしゃたるぼくのなぐさめだ。)
これが、せめてもの、失恋者たる僕の慰めだ。
(おもうに、きみとぼくとは、まったくうんめいをともにすべく)
思うに、君と僕とは、まったく運命を共にすべく
(うまれてきたといってよい。なんとなれば、ぼくたちは、)
生れてきたといってよい。何となれば、僕たちは、
(よにもよくにたそうせいじだから。)
世にもよく似た双生児だから。