星の王子さま 27 (32/32)

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プレイ回数1723難易度(4.0) 2894打 長文
空に光る星
サン=テグジュペリ作 内藤濯訳

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問題文

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(さて、いまとなってみると、もう、たしかにろくねんまえのことです・・・。)

さて、いまとなってみると、もう、たしかに六年前のことです・・・。

(ぼくは、このはなしを、まだ、だれにもしたことがありません。)

ぼくは、この話を、まだ、だれにもしたことがありません。

(そのご、ぼくにあったゆうじんたちは、ぼくがいきているのをみて、)

その後、ぼくにあった友人たちは、ぼくが生きているのを見て、

(たいへんよろこびました。)

たいへん喜びました。

(ぼくは、かなしかったのですけれど、ゆうじんたちには、)

ぼくは、悲しかったのですけれど、友人たちには、

(<なにしろ、つかれてるんでね・・・> と、いっていたものです。)

<なにしろ、つかれてるんでね・・・> と、いっていたものです。

(いまとなっては、かなしいには、かなしいのですが、)

いまとなっては、かなしいには、かなしいのですが、

(いくらかあきらめがつきました。)

いくらかあきらめがつきました。

(といったところで・・・)

といったところで・・・

(すっかりあきらめがついた、というわけではありません。)

すっかりあきらめがついた、というわけではありません。

(でも、おうじさまがじぶんのほしにかえったことは、よくしっています。)

でも、王子さまが自分の星に帰ったことは、よく知っています。

(なぜなら、よるがあけたとき、どこにも、あのからだがみつからなかったからです。)

なぜなら、夜が明けたとき、どこにも、あの体がみつからなかったからです。

(たいして、おもいからだではなかったのです・・・。)

たいして、重い体ではなかったのです・・・。

(ぼくは、よるになると、そらにひかっているほしたちに、みみをすますのがすきです。)

ぼくは、夜になると、空に光っている星たちに、耳をすますのが好きです。

(まるでごおくのすずが、なりわたっているようです・・・。)

まるで五億の鈴が、鳴りわたっているようです・・・。

(ところで、どうでしょう。)

ところで、どうでしょう。

(こんな、たいへんなことがあるのです。)

こんな、たいへんなことがあるのです。

(ぼくは、おうじさまのちゅうもんで、くちわのえをかいたのですが、)

ぼくは、王子さまの注文で、口輪の絵をかいたのですが、

(それに、かわひもをつけることをわすれたのです。)

それに、革ひもをつけることを忘れたのです。

(だから、おうじさまは、とてもひつじにくちわをはめさせるわけに、)

だから、王子さまは、とてもヒツジに口輪をはめさせるわけに、

など

(いかなかったでしょう。)

いかなかったでしょう。

(そこで、ぼくは、 <おうじさまのほしのうえでは、)

そこで、ぼくは、 <王子さまの星の上では、

(いったい、どんなことがもちあがったかしら。)

いったい、どんなことがもちあがったかしら。

(ひつじがはなをくったかもしれない・・・> などとかんがえています。)

ヒツジが花をくったかもしれない・・・> などと考えています。

(ひによると、ぼくは、)

日によると、ぼくは、

(<そんなことがあるものか。)

<そんなことがあるものか。

(おうじさまは、よるになると、いつもたいせつなはなにおおいがらすをかけて、)

王子さまは、夜になると、いつも大切な花に覆いガラスをかけて、

(ひつじがよりつかないように、よくめをくばっているのだ・・・>)

ヒツジがよりつかないように、よく目をくばっているのだ・・・>

(とおもうことがあります。)

と思うことがあります。

(すると、ぼくはあんしんします。)

すると、ぼくは安心します。

(そして、そらのほしがみな、さもたのしそうにわらうのです。)

そして、空の星がみな、さも楽しそうに笑うのです。

(また、ひによっては、)

また、日によっては、

(<いちどやそこら、うっかりするときがあるものだが、)

<一度やそこら、うっかりするときがあるものだが、

(そしたら、もう、おしまいだ。)

そしたら、もう、おしまいだ。

(おうじさまは、あるひのばんがた、おおいがらすをかけることをわすれたが、)

王子さまは、ある日の晩方、覆いガラスをかけることを忘れたが、

(そうでなけりゃ、ひつじが、よるそっとそとへでたのだ・・・>)

そうでなけりゃ、ヒツジが、夜そっと外へ出たのだ・・・>

(と、おもうこともあります。)

と、思うこともあります。

(そうなると、すずがみな、なみだになってしまうのです!・・・)

そうなると、鈴がみな、涙になってしまうのです!・・・

(まったく、ふしぎなことなのです。)

まったく、ふしぎなことなのです。

(あのおうじさまをあいしているあなたがたと、ぼくにとっては、)

あの王子さまを愛しているあなた方と、ぼくにとっては、

(ぼくたちのしらない、どこかのひつじが、どこかにさいているばらのはなを、)

ぼくたちの知らない、どこかのヒツジが、どこかに咲いているバラの花を、

(たべたか、たべなかったかで、このせかいにあるものが、)

たべたか、たべなかったかで、この世界にあるものが、

(なにもかも、ちがってしまうのです・・・。)

なにもかも、ちがってしまうのです・・・。

(そらをごらんなさい。)

空をごらんなさい。

(そして、あのひつじは、あのはなをたべたのだろうか、たべなかったのだろうか、)

そして、あのヒツジは、あの花を食べたのだろうか、食べなかったのだろうか、

(とかんがえてごらんなさい。)

と考えてごらんなさい。

(そうしたら、よのなかのことがみな、どんなにかわるものか、)

そうしたら、世の中のことがみな、どんなに変わるものか、

(おわかりになるでしょう・・・。)

おわかりになるでしょう・・・。

(そして、おとなたちには、それがどんなにだいじなことか、)

そして、おとなたちには、それがどんなに大事なことか、

(けっしてわかりっこないでしょう。)

けっしてわかりっこないでしょう。

(<さばくにひかるほし>)

<砂漠に光る星>

(これが、ぼくにとっては、このよのなかでいちばんうつくしくって、)

これが、ぼくにとっては、この世の中で一番うつくしくって、

(いちばんかなしいけしきです。)

一番かなしい景色です。

(まえのぺーじにあるのと、おなじけしきですけれど、)

前のページにあるのと、同じ景色ですけれど、

(みなさんによくおみせしようとおもって、)

皆さんによくお見せしようと思って、

(もういちどかきました。)

もう一度かきました。

(おうじさまが、このちきゅうのうえにすがたをみせて、)

おうじさまが、この地球の上にすがたを見せて、

(それからまた、すがたをけしたのは、ここなのです。)

それからまた、すがたを消したのは、ここなのです。

(もし、あなたがたが、いつかあふりかのさばくを)

もし、あなたがたが、いつかアフリカの砂漠を

(りょこうなさるようなことがあったら、すぐ、ここだな、とわかるように、)

旅行なさるようなことがあったら、すぐ、ここだな、とわかるように、

(このけしきをよくみておいてください。)

この景色をよく見ておいてください。

(そして、もし、このところを、おとおりになるようでしたら、)

そして、もし、このところを、お通りになるようでしたら、

(おねがいですから、おいそぎにならないでください。)

お願いですから、お急ぎにならないでください。

(そして、このほしが、ちょうど、あなたがたのあたまのうえにくるときを、おまちください。)

そして、この星が、ちょうど、あなた方の頭の上にくるときを、お待ち下さい。

(そのとき、こどもが、あなたがたのそばにきて、わらって、きんいろのかみをしていて、)

そのとき、子どもが、あなたがたのそばにきて、笑って、金色の髪をしていて、

(なにをきいても、だまりこくっているようでしたら、)

なにをきいても、だまりこくっているようでしたら、

(ああ、このひとだな、と、たしかにおさっしがつくでしょう。)

ああ、この人だな、と、たしかにお察しがつくでしょう。

(そうしたら、どうぞ、こんなかなしみにしずんでいるぼくをなぐさめてください。)

そうしたら、どうぞ、こんな悲しみに沈んでいるぼくをなぐさめてください。

(おうじさまがもどってきた、と、いっこくもはやくてがみをかいてください・・・。)

王子さまがもどってきた、と、一刻も早く手紙を書いてください・・・。

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