銀河鉄道の夜 32

宮沢賢治 作
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問題文
(じょばんにはなんだかわけもわからずに、)
ジョバンニはなんだかわけもわからずに、
(にわかにとなりのとりとりがきのどくでたまらなくなりました。)
にわかにとなりの鳥とりが気の毒でたまらなくなりました。
(さぎをつかまえてせいせいしたとよろこんだり、)
サギをつかまえてせいせいしたと喜んだり、
(しろいきれでそれをくるくるつつんだり、)
白いきれでそれをくるくる包んだり、
(ひとのきっぷをびっくりしたようによこめでみてあわててほめだしたり、)
ひとの切符をびっくりしたように横目で見てあわててほめだしたり、
(そんなことをいちいちかんがえていると、)
そんなことをいちいち考えていると、
(もうそのみずしらずのとりとりのために、)
もうその見ず知らずの鳥とりのために、
(じょばんにのもっているものでも)
ジョバンニのもっているものでも
(たべるものでもなんでもやってしまいたい、)
食べるものでもなんでもやってしまいたい、
(もうこのひとのほんとうのしあわせになるなら、)
もうこの人のほんとうのしあわせになるなら、
(じぶんがあのひかるあまのがわのかわらにたって)
自分があの光る天の川の川原に立って
(ひゃくねんつづけてたって)
百年つづけて立って
(とりをとってやってもいいというようなきがして、)
鳥をとってやってもいいというような気がして、
(どうしてももうだまっていられなくなりました。)
どうしてももう黙っていられなくなりました。
(ほんとうにあなたのほしいものはいったいなんですか、)
ほんとうにあなたのほしいものは一体なんですか、
(ときこうとして、)
と聞こうとして、
(それではあんまりだしぬけだから、)
それではあんまり出しぬけだから、
(どうしようかとかんがえてふりかえってみましたら、)
どうしようかと考えて振りかえって見ましたら、
(そこにはもうあのとりとりがいませんでした。)
そこにはもうあの鳥とりがいませんでした。
(あみだなのうえにはしろいにもつもみえなかったのです。)
網棚の上には白い荷物も見えなかったのです。
(またまどのそとであしをふんばってそらをみあげて)
また窓の外で足をふんばって空を見上げて
(さぎをとるしたくをしているのかとおもって、)
さぎをとるしたくをしているのかと思って、
(いそいでそっちをみましたが、)
急いでそっちを見ましたが、
(そとはいちめんのうつくしいすなごとしろいすすきのなみばかり、)
そとはいちめんのうつくしい砂子と白いすすきの波ばかり、
(あのとりとりのひろいせなかもとがったぼうしもみえませんでした。)
あの鳥とりの広いせなかもとがった帽子も見えませんでした。
(「あのひとどこへいったろう。」)
「あの人どこへ行ったろう。」
(かむぱねるらもぼんやりそういっていました。)
カムパネルラもぼんやりそういっていました。
(「どこへいったろう。いったいどこでまたあうのだろう。)
「どこへ行ったろう。一体どこでまた会うのだろう。
(ぼくはどうしてもすこしあのひとにものをいわなかったろう。」)
ぼくはどうしても少しあの人に物を言わなかったろう。」
(「ああ、ぼくもそうおもっているよ。」)
「ああ、ぼくもそう思っているよ。」
(「ぼくはあのひとがじゃまなようなきがしたんだ。)
「ぼくはあの人が邪魔なような気がしたんだ。
(だからぼくはたいへんつらい。」)
だからぼくはたいへんつらい。」
(じょばんにはこんなへんてこなきもちははじめてだし、)
ジョバンニはこんな変てこな気もちははじめてだし、
(こんなこといままでいったこともないとおもいました。)
こんなこと今まで言ったこともないと思いました。