星の王子さま 6 (7/32)

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プレイ回数2638難易度(4.4) 1228打 長文
日没をながめる
サン=テグジュペリ作 内藤濯訳 

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(おうじさま、あなたは、はればれしないひびをおくってこられたようだが、)

王子さま、あなたは、はればれしない日々を送ってこられたようだが、

(ぼくには、そのわけが、だんだんとわかってきました。)

ぼくには、そのわけが、だんだんと分かってきました。

(ながいこと、あなたのきがはれるのは、しずかないりひのころだけだったのですね。)

ながいこと、あなたの気が晴れるのは、静かな入り日の頃だけだったのですね。

(ぼくは、よんにちめのあさ、あなたが、ぼくにこういったとき、この、)

ぼくは、四日目の朝、あなたが、ぼくにこういったとき、この、

(いままでしらずにいたことをしったのです。)

いままで知らずにいたことを知ったのです。

(「ぼくね、ひがくれるころが、だいすきなんだよ。きみ、ひのしずむとこ、)

「ぼくね、日が暮れるころが、だいすきなんだよ。きみ、日の沈むとこ、

(ながめにいこうよ・・・」 「でも、またなくちゃ・・・」)

ながめに行こうよ・・・」 「でも、待たなくちゃ・・・」

(「まつって、なにをさ」 「ひがしずむまでまつのさ」)

「待つって、なにをさ」 「日が沈むまで待つのさ」

(ぼくがこういうと、あなたはさいしょ、たいへんおどろいたようすをしましたね。)

ぼくがこういうと、あなたは最初、たいへん驚いたようすをしましたね。

(でも、やがて、じぶんでじぶんがおかしくなって、あなたは、こういいましたね。)

でも、やがて、自分で自分がおかしくなって、あなたは、こういいましたね。

(「ぼく、いつも、じぶんのうちにいるようなきばかりしてるんだ」)

「ぼく、いつも、じぶんのうちにいるような気ばかりしてるんだ」

(それにちがいありません。 あめりかがっしゅうこくでひるのじゅうにじのときは、)

それにちがいありません。 アメリカ合衆国で昼の十二時のときは、

(だれもしっているように、ふらんすでは、にちぼつです。)

だれも知っているように、フランスでは、日没です。

(ですから、いっぷんかんで、ふらんすにいけさえしたら、)

ですから、一分間で、フランスに行けさえしたら、

(ひのいりが、ちゃーんとみられるのわけです。)

日の入りが、ちゃーんと見られるのわけです。

(でも、それには、あいにくふらんすが、あんまりとおすぎます。)

でも、それには、あいにくフランスが、あんまり遠すぎます。

(だけれど、あなたのちっぽけなほしだったら、)

だけれど、あなたのちっぽけな星だったら、

(すわっているいすを、ほんのちょっとうしろへひくだけで、)

すわっているいすを、ほんのちょっと後ろへひくだけで、

(みたいとおもうたびごとに、ゆうやけのそらがみられるわけです。)

見たいと思うたびごとに、夕焼けの空が見られるわけです。

(「ぼく、いつか、ひのいりをよんじゅうさんどもみたっけ」)

「ぼく、いつか、日の入りを四十三度も見たっけ」

など

(そして、すこしたって、あなたは、また、こうもいいましたね。)

そして、すこしたって、あなたは、また、こうもいいましたね。

(「だって・・・かなしいときって、ひのいりがすきになるものだろ・・・」)

「だって・・・悲しいときって、日の入りが好きになるものだろ・・・」

(「いちにちによんじゅうさんどもいりひをながめるなんて、)

「一日に四十三度も入り日をながめるなんて、

(あんたは、ずいぶんかなしかったんだね?」)

あんたは、ずいぶん悲しかったんだね?」

(しかし、おうじさまは、なんともいいませんでした。)

しかし、王子さまは、なんともいいませんでした。

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