グロースターの仕立屋 3/12

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ねこのシンプキンは、仕立屋から4ペンスをもらい、お使いに出かけた
ピーター・ラビットのお話 15
ベアトリクス・ポター 作

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問題文

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(しかし、したてやはみせからそとにで、)

しかし、仕立屋は店から外に出、

(ゆきのみちを、あしをひきずりながらいえにむかった。)

雪の道を、足を引きずりながら家に向かった。

(したてやはすぐちかくのだいがくどおりにすんでいて、)

仕立屋はすぐ近くの大学通りに住んでいて、

(いえはだいがくのまえにわのとなりにあった。)

家は大学の前庭の隣にあった。

(したてやはたいそうまずしかったから、)

仕立屋はたいそう貧しかったから、

(そのおおきくもないいえのだいどころだけをかりていた。)

その大きくもない家の台所だけを借りていた。

(いっしょにすんでいたのは、ねこだけで、)

いっしょに住んでいたのは、猫だけで、

(ねこのなまえはしんぷきんといった。)

猫の名前はシンプキンといった。

(さて、したてやがいちにちしごとにでかけていえをるすにするあいだ、)

さて、仕立屋が一日仕事に出かけて家を留守にする間、

(しんぷきんはいえのきりもりをするのだった。)

シンプキンは家の切り盛りをするのだった。

(またしんぷきんは、ねずみがだいすきだった。)

またシンプキンは、ネズミが大好きだった。

(べつにうわぎにするきぬのぬのを、)

べつに上着にする絹の布を、

(ねずみにやるようなしんせつをするわけではなかったけれど。)

ネズミにやるような親切をするわけではなかったけれど。

(したてやがいえのとをあけると、)

仕立屋が家の戸を開けると、

(しんぷきんは「にゃーお?」とないた。「にゃーお?」)

シンプキンは「にゃーお?」とないた。「にゃーお?」

(したてやはこたえた「しんぷきん、わしらにもかねがはいるかもしれん。)

仕立屋は応えた「シンプキン、わしらにも金が入るかもしれん。

(だが、わしはもうくたくただ。)

だが、わしはもうくたくただ。

(この4ぺんすぎんかをもっていけ。わしらのさいごの4ぺんすだ。)

この4ペンス銀貨を持っていけ。わしらの最後の4ペンスだ。

(それから、みるくいれももっていけ。)

それから、ミルク入れも持っていけ。

(そして、ぱんを1ぺんすに、みるくを1ぺんす、)

そして、パンを1ペンスに、ミルクを1ペンス、

など

(そーせーじを1ぺんす、かうのだぞ。)

ソーセージを1ペンス、買うのだぞ。

(そうだ、それからしんぷきんよ、)

そうだ、それからシンプキンよ、

(さいごの1ぺんすでべにいろのあないとをかってこい。)

最後の1ペンスでべに色の穴糸を買ってこい。

(その1ぺんすをなくすなよ、しんぷきん。)

その1ペンスをなくすなよ、シンプキン。

(さもないとわしはおしまいだ。)

さもないとわしはおしまいだ。

(くたくたにつかれて、あないとをかうかねは、もうないのだから」)

くたくたに疲れて、穴糸を買う金は、もう無いのだから」

(そこで、しんぷきんは、もういちど「にゃーお?」とないて、)

そこで、シンプキンは、もう一度「にゃーお?」とないて、

(ぎんかをうけとり、やみのなかへ、きえていった。)

銀貨を受け取り、闇の中へ、消えていった。

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