魯迅 阿Q正伝その30

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(「ほう、かくめいとうがきたぞ」)

「ほう、革命党が来たぞ」

(あきゅうはひじょうにうらやましくおもった。)

阿Qは非常に羨しく思った。

(かれはとうからしゅうさいがべんつをわがねたというにゅーすをきいていたが、)

彼はとうから秀才が辮子をわがねたというニュースを聞いていたが、

(じぶんがそのようなことをしていいかということについてすこしもおもいおよばなかった。)

自分がその様な事をしていいかという事について少しも思い及ばなかった。

(げんざいちょうししんがこうなってみると、きゅうにまねてみたくなってじっこうのけっしんをきめた。)

現在趙司晨がこうなってみると、急に真似てみたくなって実行の決心をきめた。

(かれはいっぽんのたけばしにべんつをあたまのうえにわがね、)

彼は一本の竹箸に辮子を頭の上にわがね、

(しばらくためらっていたが、おもいきってそとへでた。)

しばらくためらっていたが、思い切って外へ出た。

(かれがおうらいにでると、ひとはみなかれをみるにはみるがなんにもいわない。)

彼が往来に出ると、人は皆彼を見るには見るが何にも言わない。

(あきゅうははじめふかいにかんじてあとになるとだんだんふへいがこうじてきた。)

阿Qは初め不快に感じてあとになるとだんだん不平が高じて来た。

(かれはちかごろおこりっぽくなった。じっさいかれのせいかつはむほんまえよりはよほどましだ。)

彼は近頃怒りッぽくなった。実際彼の生活は謀叛前よりはよほど増しだ。

(ひとはかれをみるとえんりょして、どこのみせでもげんきんはいらないという、)

人は彼を見ると遠慮して、どこの店でも現金は要らないという、

(だがあきゅうはけっきょくすくなからざるしつぼうをかんじた。)

だが阿Qは結局少なからざる失望を感じた。

(もうかくめいをすましたのに、こんなわけはないはずだ。)

もう革命を済ましたのに、こんなわけはないはずだ。

(そうしていちどしょうどんをみるといよいよかれのはらのかわがばくはつした。)

そうして一度小Dを見るといよいよ彼の肚の皮が爆発した。

(しょうどんもまたあたまのうえにべんつをわがねた。)

小Dもまた頭の上に辮子をわがねた。

(しかもかつあきらかにいっぽんのたけばしをさしていた。)

しかもかつあきらかに一本の竹箸を挿していた。

(あきゅうはこんなことをかれがしでかそうとはまったくおもいもよらぬことだった。)

阿Qはこんなことを彼が仕出かそうとは全く思いも依らぬことだった。

(じぶんとしてもまたかれがこのようなことするのはけっしてゆるされない。)

自分としてもまた彼がこのような事するのは決して許されない。

(しょうどんはなにものだろう?)

小Dは何者だろう?

(あきゅうはすぐにもしょうどんにひっつかんで、かれのたけばしをねじおり、)

阿Qはすぐにも小Dに引掴んで、彼の竹箸を捻じ折り、

など

(かれのべんつをほかして、うんとよこつらをひきっぱたいて、)

彼の辮子をほかして、うんと横面を引ッぱたいて、

(かれがせいねんがっぴじのはちじをわすれ、)

彼が生年月日時の八字を忘れ、

(ずうずうしくもかくめいとうにはいってきたつみを)

図々しくも革命党に入って来た罪を

(こらしめてやりたくなってたまらなくなったが、)

懲らしめてやりたくなって溜らなくなったが、

(けっきょくそれもおおめにみて、べっとつばをはきだし、ただにらみつけていた。)

結局それも大目に見て、ベッと唾を吐き出し、ただ睨みつけていた。

(このいくにちのあいだ、じょうないにはいったのはにせけとうひとりだけであった。)

この幾日の間、城内に入ったのは偽毛唐一人だけであった。

(ちょうしゅうさいははこをあずかったことから、じしんきょじんだんなをほうもんしたくはおもっていたが、)

趙秀才は箱を預ったことから、自身挙人老爺を訪問したくは思っていたが、

(べんつをきられるきけんがあるのでちゅうしした。)

辮子を剪られる危険があるので中止した。

(かれはいっぷうの「こうさんかく」のてがみ(かきしぶびきのほうまいし?)をかいて、)

彼は一封の「黄傘格」の手紙(柿渋引の方罫紙?)を書いて、

(にせけとうにたくしてじょうないにとどけてもらい、じぶんをじゆうとうにしょうかいしてくれとたのんだ。)

偽毛唐に託して城内に届けてもらい、自分を自由党に紹介してくれと頼んだ。

(にせけとうがかえってきたときには、)

偽毛唐が帰って来た時には、

(しゅうさいはよんげんのぎんをはらってむねのうえにぎんのめだるをかけた。)

秀才は四元の銀を払って胸の上に銀のメダルを掛けた。

(みしょうのひとはみなきょうたんした。)

未荘の人は皆驚嘆した。

(これこそすーゆーたん(じゆうとどうおん、)

これこそ柿油党(自由と同音、

(かきしぶはぼうすいのためあまがさにひく、まえのこうさんかくにたいす)の)

柿渋は防水のため雨傘に引く、前の黄傘格に対す)の

(きしょうでかんりんをおさえつけたんだとおもっていた。)

徽章で翰林を抑えつけたんだと思っていた。

(ちょうだんなはにわかにかたみがひろくなり)

趙太爺は俄にわかに肩身が広くなり

(せがれがしゅうさいにあたったときにもましてめざわりのものがない。)

倅が秀才に中った時にも増して目障りの者が無い。

(あきゅうをみてもしらんかおをしている。)

阿Qを見ても知らん顔をしている。

(あきゅうはふへいのまっさいちゅうにときどきれいらくをかんじた。)

阿Qは不平の真最中に時々零落を感じた。

(ぎんめだるのはなしをきくとかれはすぐにれいらくのしんいんをさとった。)

銀メダルの話を聴くと彼はすぐに零落の真因を悟った。

(かくめいとうになるのには、とうこうすればいいとおもっていたが、それができない。)

革命党になるのには、投降すればいいと思っていたが、それが出来ない。

(べんつをわがねればいいとおもったがそれもだめだ。)

辮子を環がねればいいと思ったがそれも駄目だ。

(だいいち、かくめいとうにしりあいがなければいけないのだが、)

第一、革命党に知合がなければいけないのだが、

(かれのしっているかくめいとうはたったふたつしかなかった。)

彼の知っている革命党はたった二つしか無かった。

(そのひとつはじょうないでばさりとやられてしまった。)

その一つは城内でバサリとやられてしまった。

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