『少年探偵団』江戸川乱歩6
○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | BE | 4173 | C | 4.4 | 93.8% | 1009.0 | 4506 | 295 | 99 | 2024/10/25 |
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問題文
(「しゅうらくのいんどじんたちは、このふたつのかなしいできごとを、)
「集落のインド人達は、この二つの悲しい出来事を、
(いつまでもわすれなかった。ぶつぞうのいのちともいうべき)
いつまでも忘れなかった。仏像の命ともいうべき
(びゃくごうをうばいかえさなければならない。おひめさまの)
ビャクゴウを奪い返さなければならない。お姫さまの
(かたきをうたなければならない。そのふたつのことが、)
かたきを討たなければならない。その二つのことが、
(ひとつにむすびついて、このほうせきにつきまとうのろい)
一つにむすびついて、この宝石につきまとう呪い
(となったのだ。それはいんどじゅうでもいちばんしんこうの)
となったのだ。 それはインド中でも一番信仰の
(あついしゅうらくで、しゅうらくじゅうのものが、そのぶつぞうをきちがいの)
あつい集落で、集落中の者が、その仏像を気違いの
(ようにしんじ、うやまっていたということだ。ほとけさまの)
ように信じ、うやまっていたということだ。仏さまの
(ためには、どんなくろうもいとわない、いのちなんか)
ためには、どんな苦労もいとわない、命なんか
(いつでもすてるというきしつなんだ。そこで、たいせつな)
いつでも捨てるという気質なんだ。 そこで、大切な
(ぶつぞうをけがし、とのさまのむすめのいのちをうばったがいこくじんの)
仏像をけがし、殿さまの娘の命をうばった外国人の
(ぐんじんを、ほとけさまになりかわってばっすることがけつぎ)
軍人を、仏さまになりかわって罰することが決議
(され、しゅうらくをだいひょうして、おそろしいまほうをつかう)
され、集落を代表して、おそろしい魔法を使う
(いのちしらずのふたりのいんどじんが、てきをさがして)
命知らずの二人のインド人が、敵を探して
(せかいじゅうをたびしてあるくことになった。そのふたりがびょうし)
世界中を旅して歩くことになった。 その二人が病死
(すれば、またべつのわかいおとこがはけんされる。そして、)
すれば、また別の若い男が派遣される。そして、
(なんじゅうねんでも、なんびゃくねんでも、ほうせきをもとのぶつぞうのひたいに)
何十年でも、何百年でも、宝石を元の仏像のひたいに
(もどすまでは、こののろいはとけないというのだ。)
戻すまでは、この呪いはとけないというのだ。
(それいらい、このほうせきをもっているものは、たえず)
それ以来、この宝石を持っている者は、たえず
(まっくろなやつにねらわれている。ことに、そのいえに)
真っ黒なやつにねらわれている。ことに、その家に
(おさないおんなのこがいるときは、おひめさまのかたきうちだと)
幼い女の子がいるときは、お姫さまの仇討ちだと
(いうので、まずおんなのこをさらっていって、ひとしれず)
言うので、まず女の子をさらって行って、人知れず
(ころしてしまう。そのしたいは、どんなにけいさつがさがしても、)
殺してしまう。その死体は、どんなに警察が探しても、
(はっけんすることができないということだ。わたしがしゃんはいで)
発見することができないということだ。 私が上海で
(とあるがいこくじんにきいたいんねんばなしというのは、まあこんな)
とある外国人に聞いた因縁話というのは、まあこんな
(ふうなことだったがね、むろん、わたしはしんようしなかった。)
ふうなことだったがね、無論、私は信用しなかった。
(そんなばかなことがあるものか。これはきっと、はなしを)
そんなバカなことがあるものか。これはきっと、話を
(したがいこくじんもほうせきをほしがっていたのに、わたしがさきに)
した外国人も宝石を欲しがっていたのに、私が先に
(かってしまったので、ねもないかいだんをはなしてきかせ、)
買ってしまったので、根もない怪談を話して聞かせ、
(わたしからほうせきをげんかでかいとるきにちがいないとおもった。)
私から宝石を原価で買い取る気に違いないと思った。
(そしてわたしは、ついさいきんまで、そんなはなしはすっかり)
そして私は、つい最近まで、そんな話はすっかり
(わすれてしまっていた。ところが、ゆうべもきょうも、)
忘れてしまっていた。 ところが、ゆうべも今日も、
(わたしたちのいえをちゅうしんとして、おさないおんなのこがさらわれた)
私たちの家を中心として、幼い女の子がさらわれた
(のをみると、また、そのさらったやつがまっくろな)
のを見ると、また、そのさらったやつが真っ黒な
(かいぶつだったということをおもいあわせると、わたしは、)
怪物だったということを思い合わせると、私は、
(どうやらきみがわるくなってきた。れいのいんねんばなしと)
どうやら気味が悪くなってきた。例の因縁話と
(ぴったりいっちしているのだからね」「では、うちの)
ピッタリ一致しているのだからね」「では、うちの
(みどりちゃんがさらわれるかもしれないと、おっしゃる)
緑ちゃんがさらわれるかもしれないと、おっしゃる
(のですか」おかあさまは、もうびっくりして)
のですか」 おかあさまは、もうビックリして
(しまって、いまにもみどりちゃんをまもるために、たち)
しまって、今にも緑ちゃんを守るために、立ち
(あがろうとなさったくらいです。みどりちゃんという)
上がろうとなさったくらいです。緑ちゃんという
(のはことしごさいになる、はじめくんのいもうとなのです。「うん、)
のは今年五歳になる、始君の妹なのです。「ウン、
(そうなのだよ。しかし、いまはしんぱいしなくてもいい。)
そうなのだよ。しかし、今は心配しなくてもいい。
(わたしたちがここにいれば、みどりはあんぜんなのだからね。)
私たちがここにいれば、緑は安全なのだからね。
(ただ、これからあとは、みどりをそとへあそびにださない)
ただ、これからあとは、緑を外へ遊びに出さない
(よう、いえのなかでもつねにめをはなさないようにしていて)
よう、家の中でも常に目を離さないようにしていて
(ほしいのだよ」いかにも、おとうさまのおっしゃる)
ほしいのだよ」 いかにも、おとうさまのおっしゃる
(とおり、みどりちゃんのあそんでいるへやへは、このざしきを)
通り、緑ちゃんの遊んでいる部屋へは、この座敷を
(とおらなければいけないのです。それに、みどりちゃんの)
通らなければ行けないのです。それに、緑ちゃんの
(そばには、ばあややおてつだいさんがついているはず)
そばには、ばあややお手伝いさんがついているはず
(です。「でも、おとうさん、おかしいですね。)
です。「でも、おとうさん、おかしいですね。
(そのいんどじんは、はじめにつみをおかしたそのときの)
そのインド人は、はじめに罪をおかしたそのときの
(がいこくじんにだけふくしゅうすればいいじゃありませんか。)
外国人にだけ復讐すればいいじゃありませんか。
(それをいまごろになって、ぼくたちにふくしゅうするなんて」)
それを今頃になって、ぼくたちに復讐するなんて」
(はじめくんは、どうもふにおちませんでした。「ところが、)
始君は、どうもふにおちませんでした。「ところが、
(そうではないのだよ。じっさいにてをくだしたざいにんで)
そうではないのだよ。実際に手をくだした罪人で
(あろうとなかろうと、げんざい、ほうせきをもっているものに、)
あろうとなかろうと、現在、宝石を持っている者に、
(のろいがかかるので、そのためよーろっぱでもなんにんも)
呪いがかかるので、そのためヨーロッパでも何人も
(めいわくをこうむったひとがいるのだよ。おそろしさの)
迷惑をこうむった人がいるのだよ。おそろしさの
(あまりびょうきになったり、きがちがったりしたものもいる)
あまり病気になったり、気が違ったりした者もいる
(そうだ」「そうですか。それはわけのわからないはなし)
そうだ」「そうですか。それはわけのわからない話
(ですね。ああ、いいことがある。おとうさん、ぼく)
ですね。ああ、いいことがある。おとうさん、ぼく
(しょうねんたんていだんにはいっているでしょう。だから」)
少年探偵団に入っているでしょう。だから」
(はじめくんがこえをはずませていいますと、おとうさまは)
始君が声を弾ませて言いますと、おとうさまは
(おわらいになって、「ははは、おまえたちのてには)
お笑いになって、「ハハハ、おまえたちの手には
(おえないよ。あいてはいんどのまほうつかいだからねえ。)
おえないよ。相手はインドの魔法使いだからねえ。
(おまえしっているだろう。いんどのまじゅつというものは)
おまえ知っているだろう。インドの魔術というものは
(せかいのなぞになっているほどだよ。いっぽんのなわをくうちゅうに)
世界のナゾになっているほどだよ。一本の縄を空中に
(なげて、そのなげたなわをつたって、まるできのぼりでも)
投げて、その投げた縄をつたって、まるで木登りでも
(するように、こどもがそらへのぼっていくという)
するように、子どもが空へ登って行くという
(のだからねえ。それから、じめんにふかいあなをほって、)
のだからねえ。 それから、地面に深い穴を掘って、
(そのなかへうめられたやつが、いっかげつやにかげつもたって)
その中へうめられたやつが、一カ月や二カ月もたって
(から、つちをほってみると、ちゃんといきている)
から、土を掘ってみると、ちゃんと生きている
(という、おそろしいまほうさえある。いんどじんはいま、)
という、おそろしい魔法さえある。インド人は今、
(じめんにたねをまいたかとおもうと、みるみる、それがめを)
地面に種をまいたかと思うと、みるみる、それが芽を
(だし、くきがのび、はがはえ、はながさくというような)
出し、茎が伸び、葉がはえ、花が咲くというような
(ことは、あさめしまえにやってのけるじんしゅだからねえ」)
ことは、朝飯前にやってのける人種だからねえ」
(「じゃ、ぼくらでいけなければ、あけちせんせいにそうだん)
「じゃ、ぼくらでいけなければ、明智先生に相談
(してはどうでしょうか。あけちせんせいは、まほうつかい)
してはどうでしょうか。明智先生は、魔法使い
(みたいな、あのにじゅうめんそうをやすやすとたいほなさった)
みたいな、あの二十面相をやすやすと逮捕なさった
(かたですからねえ」はじめくんはじまんらしくいい)
かたですからねえ」 始君は自慢らしく言い
(ました。あけちたんていならば、いくらあいてがいんどの)
ました。明智探偵ならば、いくら相手がインドの
(まほうつかいだってけっしてまけやしないと、かたく)
魔法使いだって決して負けやしないと、固く
(しんじているのです。「うん、あけちせんせいなら、うまい)
信じているのです。「ウン、明智先生なら、うまい
(かんがえがあるかもしれないねえ。あすにでも、ごそうだん)
考えがあるかもしれないねえ。あすにでも、ご相談
(してみることにしようか」おとうさまもあけちたんていを)
してみることにしようか」 おとうさまも明智探偵を
(もちだされては、こうさんしないわけにはいきません)
持ち出されては、降参しないわけにはいきません
(でした。しかし、くろいまものはあしたまでゆうよを)
でした。 しかし、黒い魔物は明日まで猶予を
(あたえてくれるでしょうか。はじめくんたちのはなしを、)
あたえてくれるでしょうか。始君たちの話を、
(やつはもう、しょうじのそとから、ちゃんとたちぎき)
やつはもう、障子の外から、ちゃんと立ち聞き
(していたのではないだろうか。)
していたのではないだろうか。
(「くろいて」)
「黒い手」
(そのとき、はじめくんはなにをみたのか。あっとちいさい)
その時、始君は何を見たのか。アッと小さい
(さけびごえをたてて、おとうさまのうしろのとこのまを)
叫び声をたてて、おとうさまのうしろの床の間を
(みつめたまま、かせきしたようになってしまいました。)
見つめたまま、化石したようになってしまいました。
(そのはじめくんのかおといったらありませんでした。)
その始君の顔といったらありませんでした。
(まっさおになってしまって、めがとびだすようにおおきく)
真っ青になってしまって、目がとびだすように大きく
(あいて、くちをぽかんとあけて、まるできみのわるい)
あいて、口をポカンとあけて、まるで気味の悪い
(いきにんぎょうのようでした。)
生き人形のようでした。