『少年探偵団』江戸川乱歩34

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少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 かす 7130 7.4 96.4% 615.5 4557 168 100 2024/06/08

関連タイピング

問題文

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(おもてぐちもうらぐちも、でいりぐちというでいりぐちは、すっかり)

表口も裏口も、出入り口という出入り口は、すっかり

(てんいんでまもられていたのですから、にげだすなんて)

店員で守られていたのですから、逃げ出すなんて

(まったくふかのうなことです。「かどのくん、きみはどう)

まったく不可能なことです。「門野君、きみはどう

(おもうね。じつにがってんがいかないはなしじゃないか。)

思うね。じつに合点がいかない話じゃないか。

(わしにはなんだかいまでも、すぐめのまえに、あいつがいる)

わしには何だか今でも、すぐ目の前に、あいつが居る

(ようなきがするのだよ。このへやのなかに、あいつの)

ような気がするのだよ。この部屋の中に、あいつの

(いきのねがきこえるようなきがするのだ」ざしきにもどった)

息の根が聞こえるような気がするのだ」座敷に戻った

(おおとりしはおびえたかおで、あたりをきょろきょろみまわし)

大鳥氏はおびえた顔で、あたりをキョロキョロ見回し

(ながら、しはいにんにささやくのでした。「わたしもなんだか、)

ながら、支配人にささやくのでした。「私も何だか、

(そんなきがしてなりません。あいつはまほうつかいで)

そんな気がしてなりません。あいつは魔法使いで

(ございますからなあ」かどのしはいにんもどうかんのようです。)

ございますからなあ」 門野支配人も同感のようです。

(そうして、ふたりがぼんやりとかおをみあわせている)

そうして、二人がボンヤリと顔を見合わせている

(ところへ、ひとりのわかいてんいんがはいってきて、「いま、)

ところへ、一人の若い店員が入って来て、「今、

(あけちたんていがおいでになりました」としらせました。)

明智探偵がおいでになりました」 と知らせました。

(「なに、あけちさんがきたって。ちぇ、おそすぎたよ。)

「なに、明智さんが来たって。チェ、遅すぎたよ。

(もうひとあしはやければまにあったのに。あのひとはきょう)

もう一足早ければ間に合ったのに。あの人は今日

(まで、いったいなにをしていたんだ。うわさできいていた)

まで、一体何をしていたんだ。ウワサで聞いていた

(のとはおおちがいだ。めいたんていがなんだ」おおとりしはおうごんとうを)

のとは大違いだ。名探偵がなんだ」 大鳥氏は黄金塔を

(ぬすまれたはらいせに、さんざんたんていのわるぐちをいう)

盗まれた腹いせに、さんざん探偵の悪口を言う

(のでした。「ははは、ひどくごきげんがわるいよう)

のでした。「ハハハ、ひどくご機嫌が悪いよう

など

(ですね。あなたは、ぼくがきょうまでなにもして)

ですね。あなたは、ぼくが今日まで何もして

(いなかったとおっしゃるのですか」ひょいと)

いなかったとおっしゃるのですか」 ひょいと

(みまわすと、へやのいりぐちに、いつのまにかくろい)

見回すと、部屋の入り口に、いつのまにか黒い

(せびろすがたのあけちこごろうがたっているのです。「あ、)

背広姿の明智小五郎が立っているのです。「あ、

(これはあけちさん。どうもとんだことをきかれました)

これは明智さん。どうもとんだことを聞かれました

(なあ。しかし、あなたがなにもしてくださらなかった)

なあ。しかし、あなたが何もしてくださらなかった

(のはほんとうですよ。ごらんなさい。おうごんとうはぬすまれて)

のは本当ですよ。ご覧なさい。黄金塔は盗まれて

(しまったじゃありませんか」おおとりしはきまずそうに、)

しまったじゃありませんか」 大鳥氏は気まずそうに、

(にがわらいしながらいうのでした。「ぬすまれたと)

苦笑いしながら言うのでした。「盗まれたと

(おっしゃるのですか」「そうですよ。よこくどおり、)

おっしゃるのですか」「そうですよ。予告通り、

(ちゃんとぬすまれてしまいましたよ」おおとりしは)

ちゃんと盗まれてしまいましたよ」 大鳥氏は

(はらだたしげに、かどのしはいにんのかんがえだしたとりっくの)

腹立たし気に、門野支配人の考え出したトリックの

(はなしをして、まだたたみがあがったままになっているゆかしたを)

話をして、まだ畳が上がったままになっている床下を

(ゆびさしながら、ほんもののおうごんとうがなくなったけいいをかたる)

指さしながら、本物の黄金塔がなくなった経緯を語る

(のでした。「それは、ぼくもよくしっています」)

のでした。「それは、ぼくもよく知っています」

(あけちたんていは、そんなことはいまさらせつめいされなくても、)

明智探偵は、そんなことは今さら説明されなくても、

(わかっているとばかりに、ぶっきらぼうにこたえ)

わかっているとばかりに、ぶっきらぼうに答え

(ました。「え、ごぞんじですって。そ、それじゃ、)

ました。「え、ご存知ですって。そ、それじゃ、

(あなたはしっていながら、にじゅうめんそうがぬすんでゆく)

あなたは知っていながら、二十面相が盗んでゆく

(のをだまってまっていたのですか」おおとりしはびっくり)

のを黙って待っていたのですか」 大鳥氏はビックリ

(して、どなりかえしました。「ええ、そうですよ。)

して、どなり返しました。「ええ、そうですよ。

(だまってみていたのです」あけちは、あくまでおちつき)

黙って見ていたのです」 明智は、あくまで落ち着き

(はらっています。「な、なんですって。いったいぜんたい、)

払っています。「な、なんですって。一体全体、

(あなたはどういうつもりですか」おおとりしは、)

あなたはどういうつもりですか」 大鳥氏は、

(あっけにとられて、くちもきけないありさまです。)

あっけにとられて、口もきけない有り様です。

(「あけちせんせい、あなたはまるでおうごんとうがぬすまれたのを、)

「明智先生、あなたはまるで黄金塔が盗まれたのを、

(よろこんでいらっしゃるようにみえますが、それは)

喜んでいらっしゃるように見えますが、それは

(あんまりです。あなたはしゅじんにおやくそくなさったじゃ)

あんまりです。あなたは主人にお約束なさったじゃ

(ありませんか。きっとおうごんとうをまもってやると、)

ありませんか。きっと黄金塔を守ってやると、

(やくそくしたじゃありませんか」かどのしはいにんが、たまり)

約束したじゃありませんか」 門野支配人が、たまり

(かねたように、たんていのまえにつめよりました。「でも、)

かねたように、探偵の前に詰め寄りました。「でも、

(ぼくはおやくそくをはたしましたよ」「はたしただと。)

ぼくはお約束を果たしましたよ」「果たしただと。

(それはいったい、なんのことです。おうごんとうは、もうぬすまれて)

それは一体、何のことです。黄金塔は、もう盗まれて

(しまったじゃありませんか」「ははは、なにをいって)

しまったじゃありませんか」「ハハハ、何を言って

(いるのです。おうごんとうはちゃんとここにあるじゃ)

いるのです。黄金塔はちゃんとここにあるじゃ

(ありませんか。ここにぴかぴかひかっているじゃ)

ありませんか。ここにピカピカ光っているじゃ

(ありませんか」あけちたんていは、さもゆかいらしくわらい)

ありませんか」 明智探偵は、さも愉快らしく笑い

(ながら、とこのまにあんちされたおうごんとうをゆびさしました。)

ながら、床の間に安置された黄金塔を指さしました。

(「ば、ばかな。あなたこそ、なにをいっているのです。)

「ば、馬鹿な。あなたこそ、何を言っているのです。

(それはにせものだと、あれほどせつめいしたじゃ)

それは偽物だと、あれほど説明したじゃ

(ありませんか。ほんものはゆかしたにうめておいたのです。)

ありませんか。本物は床下に埋めておいたのです。

(それがぬすまれてしまったのです」おおとりしはこえをあらげて)

それが盗まれてしまったのです」 大鳥氏は声を荒げて

(さけびました。「まあ、おまちなさい。もしもですね。)

叫びました。「まあ、お待ちなさい。もしもですね。

(そのゆかしたにうめたほうがにせもので、そのとこのまのがほんもの)

その床下に埋めたほうが偽物で、その床の間のが本物

(だったら、どうでしょう。にじゅうめんそうはうらをかいた)

だったら、どうでしょう。二十面相は裏をかいた

(つもりで、まんまとにせものをつかまされてしまった)

つもりで、まんまと偽物をつかまされてしまった

(わけです。じつにつうかいじゃありませんか」あけちたんていは、)

訳です。じつに痛快じゃありませんか」 明智探偵は、

(みょうなことをいいだしました。「ええ、)

みょうなことを言いだしました。「ええ、

(なんですって。じょうだんはいいかげんにしてください。)

なんですって。 冗談はいい加減にしてください。

(そのとこのまのとうがほんものなら、なにもこんなにさわぎや)

その床の間の塔が本物なら、何もこんなに騒ぎや

(しませんよ。これは、かどのくんがくろうしてつくらせたにせもの)

しませんよ。これは、門野君が苦労して作らせた偽物

(なんですよ。いくらぴかぴかひかっていたって、めっき)

なんですよ。いくらピカピカ光っていたって、メッキ

(なんですよ」「めっきかめっきではないか、ひとつよく)

なんですよ」「メッキかメッキではないか、一つよく

(しらべてごらんなさい」あけちはいいながら、もくせいのわくの)

調べてご覧なさい」 明智は言いながら、木製の枠の

(かくしぼたんをおして、せきがいせんぼうびそうちをとめてから、)

隠しボタンを押して、赤外線防備装置を止めてから、

(むぞうさにとうのちょうじょうのぶぶんをもちあげて、おおとりしの)

無造作に塔の頂上の部分を持ち上げて、大鳥氏の

(めのまえにさしだしました。たんていのようすが、あまりにも)

目の前に差し出しました。 探偵の様子が、あまりにも

(じしんありげなものですから、おおとりしもついつられて、)

自信ありげなものですから、大鳥氏もついつられて、

(そのとうのいちぶぶんをうけとると、つくづくとながめはじめ)

その塔の一部分を受け取ると、つくづくとながめ始め

(ました。ながめているうちに、みるみるおおとりしの)

ました。 ながめているうちに、みるみる大鳥氏の

(かおいろがかわってきました。あおざめていたほほにちのけが)

顔色が変わってきました。青ざめていたホホに血の気が

(さしてきたのです。うつろになっていためが、)

差してきたのです。うつろになっていた目が、

(きぼうにかがやきはじめたのです。「おお、おお、こりゃ)

希望に輝き始めたのです。「おお、おお、こりゃ

(どうだ。かどのくん、これはほんとうのきんだよ。めっきじゃ)

どうだ。門野君、これは本当の金だよ。メッキじゃ

(ない。しんまでほんもののきんだよ。いったいこれはどうした)

ない。芯まで本物の金だよ。一体これはどうした

(というのだ」おおとりしはよろこびにふるえながら、とこのまへ)

というのだ」 大鳥氏は喜びに震えながら、床の間へ

(とんでいって、とうののこりのぶぶんをにゅうねんにしらべ)

飛んで行って、塔の残りの部分を入念に調べ

(ましたが、ながねん、ききんぞくひんをあつかっているどうしには、)

ましたが、長年、貴金属品を扱っている同氏には、

(すぐさまそれがぜんぶ、ほんもののおうごんであることにきづき)

すぐさまそれが全部、本物の黄金であることに気づき

(ました。「あけちさん、おっしゃるとおり、これはほんもの)

ました。「明智さん、おっしゃる通り、これは本物

(です。ああ、たすかった。にじゅうめんそうはにせものをぬすんで)

です。ああ、助かった。二十面相は偽物を盗んで

(いった。しかし、だれがいつのまに、ほんものとにせものを)

行った。しかし、だれがいつのまに、本物と偽物を

(いれかえたのでしょう。いえには、このひみつをしって)

入れ替えたのでしょう。家には、この秘密を知って

(いるものはひとりもいないはずだし、それに、)

いる者は一人もいないはずだし、それに、

(このへやにはたえず、わしががんばっていましたから、)

この部屋には絶えず、わしが頑張っていましたから、

(いれかえるなんてすきはなかったはずですが」)

入れ替えるなんて隙はなかったはずですが」

(「それは、ぼくがめいじていれかえさせたのですよ」)

「それは、ぼくが命じて入れ替えさせたのですよ」

(あけちたんていはあいかわらず、おちつきはらってこたえました。)

明智探偵は相変わらず、落ち着き払って答えました。

(「え、あなたが。だれにめいじたのですか」おおとりしは、)

「え、あなたが。だれに命じたのですか」 大鳥氏は、

(いがいなできごとに、ただもうあきれかえるばかりです。)

意外な出来事に、ただもうあきれかえるばかりです。

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