『少年探偵団』江戸川乱歩40
○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | ヌオー | 5934 | A+ | 6.2 | 94.8% | 742.9 | 4663 | 254 | 99 | 2024/12/13 |
2 | くま | 2851 | E+ | 3.1 | 91.7% | 1490.9 | 4674 | 422 | 99 | 2024/12/26 |
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問題文
(「いや、ごくろうさまです。ぼくもあいつがぬけあなのなかに)
「いや、ご苦労様です。ぼくもあいつが抜け穴の中に
(へんそうのいしょうをかくしていようとはおもってもみなかった。)
変装の衣装を隠していようとは思ってもみなかった。
(しかししょくん、しつぼうすることはありませんよ。こういう)
しかし諸君、失望することはありませんよ。こういう
(こともあろうかと、ぼくはちゃんと、もうひとつのおくの)
こともあろうかと、ぼくはちゃんと、もう一つの奥の
(てをよういしていたのです。にじゅうめんそうはしゅびよくにげた)
手を用意していたのです。 二十面相は首尾よく逃げた
(つもりでいても、まだぼくのはったあみのなかから)
つもりでいても、まだぼくの張った網の中から
(のがれることはできないのです。みていてください。)
のがれることは出来ないのです。見ていてください。
(よくあさまでには、きっとしょくんのかたきをとってあげます)
翌朝までには、きっと諸君のかたきをとってあげます
(よ。ほんとうをいえば、あいつがにげてくれたのは)
よ。 本当を言えば、あいつが逃げてくれたのは
(おもうつぼなのです。ぼくはゆかいでたまらないくらい)
思うつぼなのです。ぼくは愉快でたまらないくらい
(です。なぜかというと、そのぼくのおくのてという)
です。なぜかというと、そのぼくの奥の手という
(のは、じつにすばらしいしゅだんなのですからね。しょくん、)
のは、じつに素晴らしい手段なのですからね。諸君、
(みていてください。にじゅうめんそうが、どんななきがおを)
見ていてください。二十面相が、どんな泣き顔を
(するのか。そして、ぼくのぶかたちが、どんなみごとな)
するのか。そして、ぼくの部下たちが、どんな見事な
(はたらきをするのか。さあ、こばやしくん、にじゅうめんそうのさいごの)
働きをするのか。 さあ、小林君、二十面相の最後の
(ぶたいへ、いそいででかけるとしよう」めいたんていはいつも)
舞台へ、急いで出かけるとしよう」 名探偵はいつも
(どおりのほがらかなえがおをうかべて、まなでしのこばやしくんを)
通りの朗らかな笑顔を浮かべて、愛弟子の小林君を
(てまねきしました。そして、おおとりとけいてんをでると、)
手招きしました。そして、大鳥時計店を出ると、
(そこにまたせてあったじどうしゃにのって、よぎりのなかを)
そこに待たせてあった自動車に乗って、夜霧の中を
(どこともなくはしりさったのでした。さて、わたしたちは、)
どこともなく走り去ったのでした。 さて、私たちは、
(もういちど、あのこうえんのまえにたちもどって、まんほーるの)
もう一度、あの公園の前に立ち戻って、マンホールの
(なかへかくれたにじゅうめんそうが、どんなことをするのか、)
中へ隠れた二十面相が、どんなことをするのか、
(それをみさだめなければなりません。けいかんたちが)
それを見定めなければなりません。 警官たちが
(たちさると、そのあたりはまたひっそりと)
立ち去ると、そのあたりはまたヒッソリと
(もとのしずけさにかえりました。しんやにじです。ひとどおりなど)
元の静けさに返りました。深夜二時です。人通りなど
(あるはずはありません。とおくのほうから、いぬの)
あるはずはありません。 遠くのほうから、犬の
(なきごえがきこえていましたが、それもしばらくして)
鳴き声が聞こえていましたが、それもしばらくして
(やんでしまうと、このよからおとというものがなく)
やんでしまうと、この世から音というものがなく
(なってしまったようなしずけさです。くろくよぞらに)
なってしまったような静けさです。 黒く夜空に
(そびえているこうえんのはやしのえだのさきが、かぜもないのに)
そびえている公園の林の枝の先が、風もないのに
(がさがさうごいたかとおもうと、よるのとりがあやしいこえで、)
ガサガサ動いたかと思うと、夜の鳥が怪しい声で、
(げ、げ、とにかいなきました。そらはいちめんにくもって、)
ゲ、ゲ、と二回鳴きました。 空は一面にくもって、
(ほしもないやみよです。ひかりといっては、ところどころのでんちゅうに)
星もない闇夜です。光といっては、所々の電柱に
(とりつけてあるがいとうのみです。そのがいとうのひとつが)
取り付けてある街灯のみです。その街灯の一つが
(にじゅうめんそうのかくれたまんほーるのくろいてっぱんのうえを、)
二十面相の隠れたマンホールの黒い鉄板の上を、
(うすぼんやりとてらしています。でも、まんほーるの)
薄ぼんやりと照らしています。 でも、マンホールの
(ふたは、いつまでたってもうごかないのです。ああ、)
フタは、いつまでたっても動かないのです。ああ、
(にじゅうめんそうは、あのくらやみのつちのなかで、いったいなにをしている)
二十面相は、あの暗闇の土の中で、一体何をしている
(のでしょう。ながいながいにじかんがすぎて、よじになり)
のでしょう。 長い長い二時間が過ぎて、四時になり
(ました。ひがしのそらがうっすらとしろくなりはじめています。)
ました。東の空がうっすらと白くなり始めています。
(よあけがちかいことをしらせるように、とおいこうとうくの)
夜明けが近いことを知らせるように、遠い江東区の
(そらからてつやさぎょうのこうじょうのきてきがものがなしく、かすかに)
空から徹夜作業の工場の汽笛が物悲しく、かすかに
(ひびいてきました。すると、がいとうにてらされた)
響いて来ました。 すると、街灯に照らされた
(まんほーるのふたが、いきものででもあるかのように、)
マンホールのフタが、生き物ででもあるかのように、
(すこしずつうごきはじめました。やがて、てっぱんはかたんと)
少しずつ動き始めました。やがて、鉄板はカタンと
(みぞをはずれて、じりじりとじめんをよこにすべっていき)
溝をはずれて、ジリジリと地面を横にすべっていき
(ます。そして、そのしたから、まっくろなあながいっせんち、)
ます。そして、その下から、真っ黒な穴が一センチ、
(にせんちと、だんだんおおきくひらいていくのです。)
二センチと、段々大きくひらいていくのです。
(ながいじかんをかけて、てつのふたはぜんぶひらきました。)
長い時間をかけて、鉄のフタは全部ひらきました。
(すると、そのまるいあなから、あたらしいねずみいろの)
すると、その丸い穴から、新しいネズミ色の
(そふとぼうがにゅーっとあらわれてきたではありませんか。)
ソフト帽がニューッと現れてきたではありませんか。
(そして、そのつぎには、はなのしたにくろいひげをはやした)
そして、その次には、鼻の下に黒いヒゲをはやした
(りっぱなせいねんしんしのかお、それからまっしろなわいしゃつ、)
立派な青年紳士の顔、それから真っ白なワイシャツ、
(はでなねくたい、おりめのただしいじょうとうなせびろふくと、)
派手なネクタイ、折り目の正しい上等な背広服と、
(むねのところまですがたをみせて、そのしんしはちゅういぶかく)
胸の所まで姿を見せて、その紳士は注意深く
(あたりをみまわしましたが、どこにもひとかげがないのを)
あたりを見回しましたが、どこにも人影がないのを
(たしかめると、ぱっとあなのなかからちじょうへとびだし、)
確かめると、パッと穴の中から地上へ跳び出し、
(すばやくてつのふたをもとどおりにしめて、そのまま)
素早く鉄のフタを元通りにしめて、そのまま
(なにくわぬかおであるきはじめました。このせいねんしんしがかいとう)
何食わぬ顔で歩き始めました。 この青年紳士が怪盗
(にじゅうめんそうのへんそうすがたであるのは、もうすまでも)
二十面相の変装姿であるのは、申すまでも
(ありません。ああ、なんとようじんぶかいのでしょう。)
ありません。ああ、なんと用心深いのでしょう。
(にじゅうめんそうは、なにかぬすみをはたらくさいにはまんいちのことも)
二十面相は、何か盗みを働く際には万一のことも
(かんがえ、いつもそのふきんのまんほーるのなかへ、へんそうようの)
考え、いつもその付近のマンホールの中へ、変装用の
(いしょうをかくしておいたのです。そして、もしけいかんに)
衣装を隠しておいたのです。そして、もし警官に
(おわれるようなことがあれば、すばやく)
追われるようなことがあれば、素早く
(そのまんほーるのなかへみをかくし、まったくちがったかおと)
そのマンホールの中へ身を隠し、まったく違った顔と
(ふくそうになって、しらないふりをしてにげてしまう)
服装になって、知らないふりをして逃げてしまう
(のです。どくしゃしょくんのおうちのきんじょにも、まんほーるが)
のです。 読者諸君のおうちの近所にも、マンホールが
(あるでしょうが、もしかすると、そのなかに、おおきな)
あるでしょうが、もしかすると、その中に、大きな
(くろいふろしきづつみがかくしてあるかもしれませんよ。)
黒い風呂敷包みが隠してあるかもしれませんよ。
(まんがいち、そんなふろしきづつみがみつかるようなことが)
万が一、そんな風呂敷包みが見つかるようなことが
(あれば、それはにじゅうめんそうが、そのへんでなにか)
あれば、それは二十面相が、そのへんで何か
(おそろしいわるだくみをしようとしているのです。)
おそろしい悪だくみをしようとしているのです。
(さて、せいねんしんしにばけたにじゅうめんそうは、いそぎあしでちかくの)
さて、青年紳士に化けた二十面相は、急ぎ足で近くの
(おおどおりへでますと、そこのちゅうしゃじょうにならんでいた)
大通りへ出ますと、そこの駐車場に並んでいた
(いちばんまえのたくしーにちかづき、いねむりしている)
一番前のタクシーに近付き、居ねむりしている
(うんてんしゅをよびおこしました。そしてうんてんしゅがどあを)
運転手を呼び起こしました。 そして運転手がドアを
(ひらくのをまって、きゃくせきへとびこみ、はやくちでいきさきを)
ひらくのを待って、客席へ飛び込み、早口で行き先を
(つげました。たくしーは、がらんとしたよあけのまちを)
つげました。タクシーは、ガランとした夜明けの町を
(ひじょうにはやいそくどではしっていきます。ぎんざどおりをでて、)
非常に速い速度で走っていきます。銀座通りを出て、
(しんばしをすぎ、かんじょうせんをしながわへ、しながわからけいひんこくどうを、)
新橋を過ぎ、環状線を品川へ、品川から京浜国道を、
(にしにむかっていちきろほど、とあるえだみちをきたへはいって)
西に向かって一キロほど、とある枝道を北へ入って
(しばらくいきますと、だんだんみんかがまばらになり、)
しばらく行きますと、段々民家がまばらになり、
(まがりくねったさかみちのむこうに、はやしにつつまれたちいさな)
曲がりくねった坂道の向こうに、林に包まれた小さな
(おかがあって、そのうえにぽつんといっけんのこふうなようかんが)
丘があって、その上にポツンと一軒の古風な洋館が
(たっていました。「よし、ここでいい」せいねんしんしに)
建っていました。「よし、ここでいい」 青年紳士に
(ばけたにじゅうめんそうはたくしーをとめさせ、りょうきんをはらい)
化けた二十面相はタクシーを止めさせ、料金を払い
(ますとそのまま、おかのうえへとのぼっていき、きぎを)
ますとそのまま、丘の上へとのぼって行き、木々を
(くぐって、ようかんのげんかんへはいってしまいました。)
くぐって、洋館の玄関へ入ってしまいました。
(どくしゃしょくん、ここがにじゅうめんそうのかくれがなのです。ぞくは)
読者諸君、ここが二十面相の隠れ家なのです。賊は
(とうとうあんぜんなそうくつへにげてしまったのです。では、)
とうとう安全な巣窟へ逃げてしまったのです。では、
(あけちたんていのせっかくのくろうも、みずのあわになったので)
明智探偵のせっかくの苦労も、水の泡になったので
(しょうか。にじゅうめんそうは、かんぜんにたんていのめをくらます)
しょうか。二十面相は、完全に探偵の目をくらます
(ことができたのでしょうか。)
ことが出来たのでしょうか。
(「びじゅつしつのかい」)
「美術室の怪」
(にじゅうめんそうがどあをあけてげんかんのほーるにたちますと、)
二十面相がドアをあけて玄関のホールに立ちますと、
(そのものおとをききつけて、ひとりのぶかがかおをだし)
その物音を聞きつけて、一人の部下が顔を出し
(ました。かみのけをもじゃもじゃにのばして、かおいちめんに)
ました。髪の毛をモジャモジャに伸ばして、顔一面に
(ぶしょうひげをはやした、きたならしいようふくのおとこです。)
無精ヒゲをはやした、汚らしい洋服の男です。