『少年探偵団』江戸川乱歩44【完】

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少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
前回→https://typing.twi1.me/game/331701
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 8217 8.3 98.6% 533.0 4442 62 99 2024/03/26
2 6316 S 6.4 98.6% 706.6 4523 60 99 2024/03/05

関連タイピング

問題文

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(しょうねんたんていだんがでていったあとには、あなのいりぐちと、)

少年探偵団が出て行ったあとには、穴の入り口と、

(そのそこにいる、めいたんていとかいとうのいっきうちでした。)

その底に居る、名探偵と怪盗の一騎打ちでした。

(「かわいいこどもたちだよ。あれらが、どれほどふかく)

「可愛い子どもたちだよ。あれらが、どれほど深く

(きみをにくんでいたとおもうかい。それはおそろしいほど)

きみを憎んでいたと思うかい。それはおそろしいほど

(だったぜ。あたりまえならば、こんなところへこさせるもの)

だったぜ。当たり前ならば、こんな所へ来させるもの

(ではないけれど、あまりにもねっしんにせがむので、)

ではないけれど、あまりにも熱心にせがむので、

(ぼくもいじらしくなってね。それに、あいてはしんしの)

ぼくもいじらしくなってね。それに、相手は紳士の

(にじゅうめんそうくんだ。ちのきらいなびじゅつあいこうしゃだ。まさか)

二十面相君だ。血の嫌いな美術愛好者だ。まさか

(きけんもあるまいと、ついゆるしてしまったのだが、)

危険もあるまいと、つい許してしまったのだが、

(あのこどもたちのおかげで、ぼくは、すっかりきみの)

あの子どもたちのおかげで、ぼくは、すっかりきみの

(ゆくてをせいすることができた。ぶつぞうがうごきだした)

ゆく手を制することが出来た。仏像が動き出した

(ときの、きみのかおといったらなかったぜ。ははは、)

時の、きみの顔といったらなかったぜ。ハハハ、

(こどもだといってばかにできないものだね」)

子どもだといって馬鹿に出来ないものだね」

(あけちたんていはけいかんたいがくるまでのあいだ、まるでしたしい)

明智探偵は警官隊が来るまでのあいだ、まるで親しい

(ともだちにでもせっするように、なにかとはなしかける)

友だちにでも接するように、何かと話しかける

(のでした。「ふふふ、にじゅうめんそうはしんしどろぼうか。)

のでした。「フフフ、二十面相は紳士泥棒か。

(にじゅうめんそうはちがきらいか。ありがたいしんようをえた)

二十面相は血が嫌いか。ありがたい信用を得た

(もんだな。しかしね、たんていさん、そのしんようもばあいに)

もんだな。しかしね、探偵さん、その信用も場合に

(よるぜ」ちていのくらやみから、にじゅうめんそうのいんきなこえが)

よるぜ」 地底の暗闇から、二十面相の陰気な声が

(ひびいてきました。「ばあいによるとは」「たとえば、いまの)

響いて来ました。「場合によるとは」「例えば、今の

など

(ようなばあいさ。つまり、おれはここでいくらじたばた)

ような場合さ。つまり、おれはここでいくらジタバタ

(したって、もうのがれられっこはない。しかも、)

したって、もうのがれられっこはない。しかも、

(そのあたまのうえにはちえでもわんりょくでも、かなわないてきが)

その頭の上には知恵でも腕力でも、かなわない敵が

(いるんだ。やつざきにしてもあきないやつが)

居るんだ。八つ裂きにしても飽きないやつが

(いるんだ」「ははは、そこできみとぼくがしんけんしょうぶを)

居るんだ」「ハハハ、そこできみとぼくが真剣勝負を

(しようというのか」「いまになって、そんなことが)

しようというのか」「今になって、そんなことが

(なんになる。このいえは、おまわりにかこまれて)

なんになる。この家は、おまわりに囲まれて

(いるんだ。いや、そういううちにも、ここへおれを)

いるんだ。いや、そう言う内にも、ここへおれを

(ひっとらえにくるんだ。おれがいいたいのは、しょうぶを)

ひっとらえに来るんだ。おれが言いたいのは、勝負を

(するのじゃない。まあ、はやくいえばさしちがえだね」)

するのじゃない。まあ、早く言えば刺し違えだね」

(かいとうのこえはいよいよ、すごみをましてきました。)

怪盗の声はいよいよ、すごみを増してきました。

(「え、さしちがえだって」「そうだよ。おれはしんしどろぼう)

「え、刺し違えだって」「そうだよ。おれは紳士泥棒

(だから、とびどうぐもはものももっちゃいない。だから、)

だから、飛び道具も刃物も持っちゃいない。だから、

(むかしのさむらいみたいなさしちがえをやるわけにはいかん。)

昔の侍みたいな刺し違えをやるわけにはいかん。

(そのかわりにね、すばらしいことがあるんだ。ね、)

そのかわりにね、素晴らしいことがあるんだ。ね、

(たんていさん、きみはとんでもないおもいちがいをしている。)

探偵さん、きみはとんでもない思い違いをしている。

(ふふふ、わかるまい。このあなのなかにはね、ふたつか)

フフフ、わかるまい。この穴の中にはね、二つか

(みっつのようしゅのたるがころがっている。きみはそれをみた)

三つの洋酒のタルが転がっている。きみはそれを見た

(だろうね。ところが、たんていさん。このたるのなかには、)

だろうね。ところが、探偵さん。このタルの中には、

(いったいなにがはいっているとおもうね。ふふふ、おれは)

一体何が入っていると思うね。 フフフ、おれは

(こういうこともあろうかと、ちゃんとわがみのしまつを)

こういうこともあろうかと、ちゃんと我が身の始末を

(かんがえておいたんだ。きみはさっき、このあなをはかばだと)

考えておいたんだ。きみはさっき、この穴を墓場だと

(いったっけねえ。いかにもはかばだよ。おれははかばと)

言ったっけねえ。いかにも墓場だよ。おれは墓場と

(しって、ころがりこんだのさ。ほねもにくもみじんものこさず、)

知って、転がり込んだのさ。骨も肉も微塵も残さず、

(ふっとんでしまうはかばだぜ。わかるかい。かやくだよ。)

吹っ飛んでしまう墓場だぜ。 わかるかい。火薬だよ。

(このたるのなかには、かやくがいっぱいにつまっているのさ。)

このタルの中には、火薬が一杯に詰まっているのさ。

(おれははものをもっていないけれど、まっちはもって)

おれは刃物を持っていないけれど、マッチは持って

(いるんだぜ。そいつをしゅっとすって、たるのなかに)

いるんだぜ。そいつをシュッとすって、タルの中に

(なげこめば、きみもおれも、たちまちこっぱみじんさ。)

投げ込めば、きみもおれも、たちまち木っ端微塵さ。

(ふふふ」そしてにじゅうめんそうは、そのかやくがつまって)

フフフ」 そして二十面相は、その火薬が詰まって

(いるというたるを、ごろごろとあなのまんなかに)

いるというタルを、ゴロゴロと穴の真ん中に

(ころがして、そのふたをとろうとしているようす)

転がして、そのフタを取ろうとしている様子

(なのです。さすがのめいたんていも、これにはあっとこえを)

なのです。 さすがの名探偵も、これにはアッと声を

(たてないではいられませんでした。「しまった、)

たてないではいられませんでした。「しまった、

(しまった。なぜあのたるのなかをしらべてみなかった)

しまった。なぜあのタルの中を調べて見なかった

(のだろう」くやんでも、いまさらしかたがありません。)

のだろう」 悔やんでも、今さら仕方がありません。

(いくらなんでも、にじゅうめんそうのみちづれになることは)

いくらなんでも、二十面相の道づれになることは

(できないのです。めいたんていには、まだまだよのなかの)

出来ないのです。名探偵には、まだまだ世の中の

(ためにはたさなければならないしごとが、やまのように)

ために果たさなければならない仕事が、山のように

(あるのです。にげるほかにしゅだんはありません。たんていの)

あるのです。逃げるほかに手段はありません。探偵の

(あしがはやいか、ぞくがかやくのふたをあけ、ひをつけるのが)

足が早いか、賊が火薬のフタをあけ、火を付けるのが

(はやいか、いのちがけのきょうそうです。あけちはぱっと)

早いか、命がけの競争です。 明智はパッと

(とびあがると、まるでだんがんのようにちかしつをはしり)

跳び上がると、まるで弾丸のように地下室を走り

(ぬけ、かいだんをさんだんとばしにかけあがって、ようかんの)

抜け、階段を三段飛ばしに駆け上がって、洋館の

(げんかんにかけだしました。どあをひらくと、であい)

玄関に駆け出しました。ドアをひらくと、出会い

(がしらにじゅうすうめいのせいふくけいかんが、にじゅうめんそうたいほの)

がしらに十数名の制服警官が、二十面相逮捕の

(ために、おくないにはいろうとするところでした。)

ために、屋内に入ろうとするところでした。

(「いけない、ぞくはかやくにひをつけるのです。はやく)

「いけない、賊は火薬に火を付けるのです。早く

(おにげなさい」たんていはけいかんたちをつきとばす)

お逃げなさい」 探偵は警官たちを突き飛ばす

(ようにして、はやしのなかへはしりました。あっけにとられた)

ようにして、林の中へ走りました。あっけにとられた

(けいかんたちも、「かやく」ということばにきもをつぶして、)

警官たちも、「火薬」という言葉に肝をつぶして、

(おなじようにはやしのなかへはしりました。「みんな、たてものを)

同じように林の中へ走りました。「みんな、建物を

(はなれろ。ばくはつがおこるぞ。はやく、にげるんだ」たてものの)

離れろ。爆発が起こるぞ。早く、逃げるんだ」 建物の

(しほうをとりまいていたけいかんたいは、そのただならぬ)

四方を取り巻いていた警官隊は、そのただならぬ

(さけびごえに、みなおかのふもとへかけおりました。)

叫び声に、みな丘のふもとへ駆けおりました。

(どうして、そんなよゆうがあったのか、あとになって)

どうして、そんな余裕があったのか、あとになって

(かんがえてみると、ふしぎなほどでした。にじゅうめんそうは)

考えてみると、不思議なほどでした。二十面相は

(たるのふたをあけるのにてまどったのでしょうか。)

タルのフタをあけるのに手間取ったのでしょうか。

(それともまっちがしめっていたのでしょうか。ちょうど)

それともマッチが湿っていたのでしょうか。ちょうど

(ひとびとがきけんくいきからとおざかったころ、やっとばくはつが)

人々が危険区域から遠ざかった頃、やっと爆発が

(おこりました。それはまるでじしんのようなじひびき)

起こりました。 それはまるで地震のような地響き

(でした。ようかんぜんたいがてんにふっとんだかとうたがわれる)

でした。洋館全体が天に吹っ飛んだかと疑われる

(ほどのだいおんきょうでした。でも、とじていためを)

ほどの大音響でした。でも、閉じていた目を

(おずおずとひらいてみると、ぞくのかくれがはいじょうなく)

おずおずとひらいてみると、賊の隠れ家は異状なく

(めのまえにたっていました。ばくはつは、ただちかしつから)

目の前に立っていました。爆発は、ただ地下室から

(いっかいのゆかをつらぬいただけで、たてもののがいぶにはなんのいじょうも)

一階の床を貫いただけで、建物の外部には何の異状も

(ないのでした。しかし、やがていっかいのまどから、くろい)

ないのでした。 しかし、やがて一階の窓から、黒い

(けむりがむくむくふきだしはじめました。そして、それが)

煙がムクムク吹き出し始めました。そして、それが

(だんだんこくなって、たてものをつつみはじめるころにはまっかな)

段々濃くなって、建物を包み始める頃には真っ赤な

(かえんが、まるできょだいなまもののしたのように、どのまど)

火炎が、まるで巨大な魔物の舌のように、どの窓

(からも、めらめらとたちのぼり、みるみるうちにたてもの)

からも、メラメラとたちのぼり、みるみるうちに建物

(ぜんたいをつつみこみました。このようにして、にじゅうめんそうは)

全体を包み込みました。 このようにして、二十面相は

(さいごをとげたのでした。かさいがおわってから、)

最期を遂げたのでした。 火災が終わってから、

(やけあとのとりしらべがおこなわれたのはもうすまでも)

焼け跡の取り調べが行われたのは申すまでも

(ありません。しかしにじゅうめんそうがいったとおり、)

ありません。しかし二十面相が言った通り、

(にくもほねもこっぱみじんにくだけちってしまったのか、)

肉も骨も木っ端微塵に砕け散ってしまったのか、

(ふしぎなことにかいとうのしがいはもちろん、)

不思議なことに怪盗の死骸はもちろん、

(さんにんのぶかのしがいも、まったくはっけんすることが)

三人の部下の死骸も、まったく発見することが

(できませんでした。)

出来ませんでした。

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