『少年探偵団』江戸川乱歩43

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プレイ回数575順位2548位  難易度(4.2) 4720打 長文 長文モードのみ
少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第2作品『少年探偵団』
前回→https://typing.twi1.me/game/331700
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初回→https://typing.twi1.me/game/329807

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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ヌオー 5457 B++ 5.9 92.9% 791.7 4674 353 100 2024/12/13
2 くま 2996 E+ 3.3 91.3% 1404.4 4646 438 100 2024/12/26

関連タイピング

問題文

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(かいとうはみくびって、なおもあけちをおしのけようと)

怪盗は見くびって、なおも明智を押しのけようと

(します。「いやだといえば、こうするのさ」にくだんと)

します。「嫌だと言えば、こうするのさ」 肉弾と

(にくだんがはげしいいきおいでもつれあったかとおもうと、)

肉弾が激しい勢いでもつれあったかと思うと、

(おそろしいおとをたてて、にじゅうめんそうのからだがゆかのうえに)

おそろしい音をたてて、二十面相の体が床の上に

(なげたおされていました。せおいなげがみごとに)

投げ倒されていました。背負い投げが見事に

(きまったのです。にじゅうめんそうはなげたおされたまま、)

決まったのです。 二十面相は投げ倒されたまま、

(あっけにとられたように、きょとんとしていました。)

あっけにとられたように、キョトンとしていました。

(あけちたんていにこれほどのわんりょくがあろうとは、)

明智探偵にこれほどの腕力があろうとは、

(いまのいままで、ゆめにもしらなかったからです。)

今の今まで、夢にも知らなかったからです。

(にじゅうめんそうは、すこしじゅうどうのこころえがあるだけに、)

二十面相は、少し柔道のこころえがあるだけに、

(だんちがいのあいてのりきりょうがはっきりわかるのです。)

段違いの相手の力量がハッキリわかるのです。

(そして、これではいくらはむかっても、とてもかなう)

そして、これではいくら歯向かっても、とてもかなう

(はずはないとさとりました。「こんどこそは、おれのまけ)

はずはないと悟りました。「今度こそは、おれの負け

(だね。ふふふ、にじゅうめんそうもみじめなさいごをとげたもん)

だね。フフフ、二十面相も惨めな最期を遂げたもん

(さねえ」かれはにがわらいをうかべながら、しぶしぶ)

さねえ」 彼は苦笑いを浮かべながら、しぶしぶ

(たちあがると、「さあ、どうにでもしろ」という)

立ち上がると、「さあ、どうにでもしろ」と言う

(ように、あけちたんていをにらみつけました。)

ように、明智探偵をにらみつけました。

(「だいばくはつ」)

「大爆発」

(にじゅうめんそうは、じゅういったいのぶつぞうのぴすとるにかこまれ、)

二十面相は、十一体の仏像のピストルに囲まれ、

(あけちたんていのかんしをうけながら、もうあきらめはてたように)

明智探偵の監視を受けながら、もう諦め果てたように

など

(びじゅつしつのなかを、ふらふらとあるきまわりました。「ああ、)

美術室の中を、フラフラと歩き回りました。「ああ、

(せっかくのくろうもみずのあわか。おれはなによりも、)

せっかくの苦労も水の泡か。おれは何よりも、

(このびじゅつひんをうしなうのがつらいよ。あけちくん、ぶしの)

この美術品を失うのがつらいよ。明智君、武士の

(なさけだ。せめてなごりをおしむあいだ、そとのけいかんを)

情けだ。せめて名残を惜しむあいだ、外の警官を

(よぶのをまってくれないか」にじゅうめんそうははやくも)

呼ぶのを待ってくれないか」 二十面相は早くも

(それをさとっていました。いかにもかれのすいさつしたとおり、)

それを悟っていました。いかにも彼の推察した通り、

(このようかんのそとには、すうじゅうにんのけいかんたいがありの)

この洋館の外には、数十人の警官隊がアリの

(はいでるすきもなく、ひしひしとしほうからとりかこんで)

這い出る隙もなく、ヒシヒシと四方から取り囲んで

(いたのです。あけちたんていも、かいじんのいじらしいなげき)

いたのです。 明智探偵も、怪人のいじらしい嘆き

(には、いささかあわれだとおもったのでしょう。「さあ、)

には、いささか哀れだと思ったのでしょう。「さあ、

(ぞんぶんになごりをおしむがいい」といわないばかりに、)

存分に名残を惜しむがいい」といわないばかりに、

(じっともとのばしょにたたずんだまま、うでぐみをして)

ジッと元の場所にたたずんだまま、腕組みをして

(います。にじゅうめんそうはげんきなく、しおれたようすでへやの)

います。 二十面相は元気なく、しおれた様子で部屋の

(なかをいったりきたりしていましたが、いつとはなしに)

中を行ったり来たりしていましたが、いつとはなしに

(あけちたんていからとおざかって、へやのむこうのすみにたどり)

明智探偵から遠ざかって、部屋の向こうの隅にたどり

(つくと、いきなりそこへうずくまって、なにかゆかいたを)

着くと、いきなりそこへうずくまって、何か床板を

(ごとごとやっていましたが、とつぜんがたんというはげしい)

ゴトゴトやっていましたが、突然ガタンという激しい

(おとがして、はっとおもうあいだにかれのすがたは、かきけす)

音がして、ハッと思うあいだに彼の姿は、かき消す

(ようにみえなくなってしまいました。ああ、これこそ)

ように見えなくなってしまいました。 ああ、これこそ

(ぞくのさいごのきりふだだったのです。びじゅつしつのしたには、)

賊の最後の切り札だったのです。美術室の下には、

(さらにもういちだんふかいちかのあながよういしてあった)

さらにもう一段深い地下の穴が用意してあった

(のです。にじゅうめんそうはあけちがゆだんしているとはんだんし、)

のです。二十面相は明智が油断していると判断し、

(すばやくあなのかくしぶたをひらき、そのくらやみのなかへころがり)

素早く穴の隠しブタをひらき、その暗闇の中へ転がり

(こんでしまったのです。われらのめいたんていは、またしても)

込んでしまったのです。 我らの名探偵は、またしても

(ぞくにまんまとあざむかれたのでしょうか。このどたんばまで)

賊にまんまと欺かれたのでしょうか。この土壇場まで

(おいつめながら、ついににじゅうめんそうをとりにがして)

追いつめながら、ついに二十面相を取り逃がして

(しまったのでしょうか。どくしゃしょくん、ごあんしんください。)

しまったのでしょうか。 読者諸君、ご安心ください。

(あけちたんていはすこしもさわぎませんでした。そして、)

明智探偵は少しも騒ぎませんでした。そして、

(さもゆかいそうににこにことわらっているのです。たんていは)

さも愉快そうにニコニコと笑っているのです。探偵は

(ゆっくりそのあなのうえまであるいていきますと、あいた)

ゆっくりその穴の上まで歩いて行きますと、あいた

(ままになっているいりぐちをのぞきこんで、にじゅうめんそうに)

ままになっている入り口をのぞき込んで、二十面相に

(よびかけました。「おいおい、にじゅうめんそうくん、きみは)

呼びかけました。「おいおい、二十面相君、きみは

(なにをちまよったんだい。このあなをぼくがしらないとでも)

何を血迷ったんだい。この穴をぼくが知らないとでも

(おもっているのかい。しらないどころか、ぼくはここを)

思っているのかい。知らないどころか、ぼくはここを

(ちゃんとろうやにつかっていたんだよ。よくそのへんをみて)

ちゃんと牢屋に使っていたんだよ。よくその辺を見て

(ごらん。きみのさんにんのぶかが、てあしをしばられ、)

ご覧。きみの三人の部下が、手足をしばられ、

(さるぐつわをはめられて、あなのそこにころがっているはず)

さるぐつわをはめられて、穴の底に転がっているはず

(だぜ。そのさんにんは、ぼくのしごとのじゃまになったので、)

だぜ。その三人は、ぼくの仕事の邪魔になったので、

(ゆうべからそこにひきこもってもらったのさ。)

ゆうべからそこに引きこもってもらったのさ。

(そのなかにひとり、しゃついちまいのやつがいるだろう。)

その中に一人、シャツ一枚のやつがいるだろう。

(ぼくがようふくをはいしゃくしたんだよ。そしてつけひげを)

ぼくが洋服を拝借したんだよ。そして付けヒゲを

(して、おけしょうをして、まんまときみのぶかに)

して、お化粧をして、まんまときみの部下に

(なりすましたのさ。ぼくはね、そいつが、)

なりすましたのさ。 ぼくはね、そいつが、

(おおとりとけいてんのれいのちかどうから、にせもののおうごんとうをはこび)

大鳥時計店の例の地下道から、偽物の黄金塔を運び

(だすのをびこうしたんだぜ。そして、きみのかくれがを)

出すのを尾行したんだぜ。そして、きみの隠れ家を

(つきとめたってわけさ。ははは、にじゅうめんそうくん、きみは)

突き止めたって訳さ。ハハハ、二十面相君、きみは

(とんだところへにげこんだものだね。まるで、われと)

とんだ所へ逃げ込んだものだね。まるで、我と

(わがみをろうやへとじこめたようなものじゃないか。)

我が身を牢屋へ閉じこめたようなものじゃないか。

(そのあなには、ほかにでぐちなんてありゃしない。)

その穴には、ほかに出口なんてありゃしない。

(つまり、ちのそこのはかばのようなものさ。おかげで)

つまり、地の底の墓場のようなものさ。おかげで

(きみをしばるてまがはぶけたというものだよ。)

きみをしばる手間がはぶけたというものだよ。

(ははは」あけちはおかしそうにわらいながら、じゅういったいの)

ハハハ」 明智はおかしそうに笑いながら、十一体の

(ぶつぞうどものほうをふりむきました。「こばやしくん、)

仏像どものほうを振り向きました。「小林君、

(もうここはいいから、みんなをつれてそとへでたまえ。)

もうここはいいから、みんなを連れて外へ出たまえ。

(そしてけいかんたいに、にじゅうめんそうをひきとりにくるよう)

そして警官隊に、二十面相を引き取りに来るよう

(つたえてくれたまえ」それをききますと、しょうぐんのごうれい)

伝えてくれたまえ」 それを聞きますと、将軍の号令

(でもうけたように、じゅういったいのぶつぞうはさっとれんげだいを)

でも受けたように、十一体の仏像はサッとレンゲ台を

(とびおりて、へやのちゅうおうにせいれつしました。)

飛び降りて、部屋の中央に整列しました。

(ぶつぞうがしょうねんたんていだんいんのきばつなへんそうすがたであったことは、)

仏像が少年探偵団員の奇抜な変装姿であったことは、

(どくしゃしょくんも、とっくにおさっしになっていたでしょう。)

読者諸君も、とっくにお察しになっていたでしょう。

(だんいんたちは、うらみかさなるにじゅうめんそうのたいほを、)

団員たちは、恨み重なる二十面相の逮捕を、

(ゆびをくわえてみていることができなかったのです。)

指をくわえて見ていることが出来なかったのです。

(たとえあけちたんていのあしでまといになろうとも、なにかひとやく)

たとえ明智探偵の足手まといになろうとも、何か一役

(ひきうけないでは、きがすまなかったのです。)

引き受けないでは、気が済まなかったのです。

(そこで、こばやしだんちょうのいつかのちえにならって、)

そこで、小林団長のいつかの知恵にならって、

(ぞくのびじゅつしつにちょうどじゅういったいのぶつぞうがあるのをしり、)

賊の美術室にちょうど十一体の仏像があるのを知り、

(そのうすぐらいちかしつでだんいんぜんいんがぶつぞうにばけ、)

その薄暗い地下室で団員全員が仏像に化け、

(にくいにじゅうめんそうをぞっとさせるけいかくをおもいつきました。)

憎い二十面相をゾッとさせる計画を思いつきました。

(そしてこばやししょうねんをつうじて、あけちたんていにせがんだすえ、)

そして小林少年を通じて、明智探偵にせがんだ末、

(とうとうそのねんがんをはたしたのです。そのよあけ、)

とうとうその念願を果たしたのです。 その夜明け、

(ぞくのぶかにへんそうしたあけちたんていのあいずをうけ、はやしのなかを)

賊の部下に変装した明智探偵の合図を受け、林の中を

(かけだしたくろいひとかげは、ほかならぬこばやししょうねんでした。)

駆け出した黒い人影は、ほかならぬ小林少年でした。

(こばやしくんはそれからしばらくしてしょうねんたんていだんいんを)

小林君はそれからしばらくして少年探偵団員を

(ひきつれ、ぞくのかくれがにやってきたのでした。)

引き連れ、賊の隠れ家にやって来たのでした。

(じゅういったいのぶつぞうはさんれつにならんで、あけちたんていをみつめ、)

十一体の仏像は三列に並んで、明智探偵をみつめ、

(そろってきょしゅのれいをしたかとおもうと、「あけちせんせい、)

そろって挙手の礼をしたかと思うと、「明智先生、

(ばんざーい。しょうねんたんていだん、ばんざーい」と、かわいい)

ばんざーい。少年探偵団、ばんざーい」 と、可愛い

(こえをはりあげてさけびました。そしてまわれみぎを)

声を張りあげて叫びました。そして回れ右を

(すると、こばやししょうねんをせんとうに、きみょうなぶつぞうのいちぐんは)

すると、小林少年を先頭に、奇妙な仏像の一群は

(さーっとちかしつをかけだしていったのです。)

サーッと地下室を駆け出していったのです。

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