『妖怪博士』江戸川乱歩40

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少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 6555 S+ 6.8 96.1% 661.3 4515 180 98 2024/10/08

関連タイピング

問題文

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(「あなたのいうとおりですよ。このとうきょうにたったひとり、)

「あなたの言う通りですよ。この東京にたった一人、

(そういうふしぎなげいとうができるおとこがいるのです。)

そういう不思議な芸当が出来る男が居るのです。

(たしかに、あいつはにじゅうのちがうかおをもつかいぶつですよ」)

確かに、あいつは二十の違う顔を持つ怪物ですよ」

(「え、なんですって。では、あいつが」こいずみしは)

「え、なんですって。では、あいつが」小泉氏は

(ぎょっとしたように、かおいろをかえてさけびました。)

ギョッとしたように、顔色を変えて叫びました。

(「そうですよ。にじゅうめんそうというやつは、そういう)

「そうですよ。二十面相という奴は、そういう

(だいたんふてきなまねをしてよろこんでいるのです。そんな)

大胆不敵な真似をして喜んでいるのです。そんな

(じょうずにへんそうできるやつが、ほかにいるとはかんがえられ)

上手に変装出来る奴が、他に居るとは考えられ

(ません。つまり、あいつじしんがぼくにばけて、おたくへ)

ません。つまり、あいつ自身がぼくに化けて、お宅へ

(やってきたのですよ。あいつは、あなたがぼくに)

やって来たのですよ。あいつは、あなたがぼくに

(でんわをかけたのをしり、そのすぐあとに)

電話をかけたのを知り、そのすぐあとに

(あなたのこえをまねて、ぼくへでんわをかけたのですよ。)

あなたの声を真似て、ぼくへ電話をかけたのですよ。

(そうして、ぼくのかえだまになって、ここへやってきた)

そうして、ぼくの替え玉になって、ここへやって来た

(のです」どくしゃしょくんは、このあけちのことばに、おもいあたる)

のです」 読者諸君は、この明智の言葉に、思い当たる

(ことがあるでしょう。ゆうがた、あやしいろうじんにばけた)

ことがあるでしょう。夕方、怪しい老人に化けた

(にじゅうめんそうが、こいずみしのでんわをたちぎきして、そのまま)

二十面相が、小泉氏の電話を立ち聞きして、そのまま

(ちかくのこうしゅうでんわへかけこんだのには、そういうもくてきが)

近くの公衆電話へ駆け込んだのには、そういう目的が

(あったのです。「しかし、どうもおかしいですね。)

あったのです。「しかし、どうもおかしいですね。

(にせものにもせよ、あのおとこはわたしにこういをしめして、せっしゅうの)

偽者にもせよ、あの男は私に好意を示して、雪舟の

(めいがをぞくにわたさないですむようにさくをねってくれたん)

名画を賊に渡さないで済むように策を練ってくれたん

など

(ですよ。にせもののかけじくをもって、にじゅうめんそうにあいに)

ですよ。偽物の掛け軸を持って、二十面相に会いに

(いったのですよ。にじゅうめんそうがにじゅうめんそうじしんをだます)

行ったのですよ。二十面相が二十面相自身をだます

(なんて、これはいったいどういうことでしょうか」)

なんて、これは一体どういうことでしょうか」

(こいずみしは、やっぱりふにおちていないようすです。)

小泉氏は、やっぱり腑に落ちていない様子です。

(「おきのどくですが、だまされたのはにじゅうめんそうでは)

「お気の毒ですが、だまされたのは二十面相では

(なくて、あなただったのです」あけちが、なにもかもしり)

なくて、あなただったのです」明智が、何もかも知り

(ぬいているようにこたえました。「え、わたしがだまされた)

抜いているように答えました。「え、私がだまされた

(というと」「ほんもののせっしゅうのかけじくは、どこにしまい)

というと」「本物の雪舟の掛け軸は、どこにしまい

(ましたか」「くらのなかですが、くらのなかにきんこがあって、)

ましたか」「蔵の中ですが、蔵の中に金庫があって、

(そのなかにげんじゅうにいれてあるのです」「それじゃあ、)

その中に厳重に入れてあるのです」「それじゃあ、

(そのきんこをしらべてくださいませんか。おそらく、せっしゅうの)

その金庫を調べてくださいませんか。恐らく、雪舟の

(かけじくは、もうなくなっているとおもいます」「え、)

掛け軸は、もう無くなっていると思います」「え、

(なんですって。あなたに、どうしてそんなことが)

なんですって。あなたに、どうしてそんなことが

(わかるのですか」「まあ、ともかく、はやくきんこのなかを)

分かるのですか」「まあ、ともかく、早く金庫の中を

(たしかめてごらんなさるほうがいいでしょう」あけちのかくしん)

確かめてご覧なさるほうがいいでしょう」明智の確信

(ありげなことばに、こいずみしはもうまっさおになって、)

ありげな言葉に、小泉氏はもう真っ青になって、

(「では、ちょっとしつれい」といいすてて、あたふたと)

「では、ちょっと失礼」と言い捨てて、アタフタと

(おうせつしつをでていきました。むりはありません。)

応接室を出て行きました。無理はありません。

(そのかけじくは、こくほうにまでしていされているかほう)

その掛け軸は、国宝にまで指定されている家宝

(なのですから。そして、しばらくすると、がっかり)

なのですから。 そして、しばらくすると、ガッカリ

(したげんきのないこいずみしのすがたがあらわれました。)

した元気のない小泉氏の姿が現れました。

(「あけちさん、やっぱりおっしゃるとおりでした。わたしは、)

「明智さん、やっぱりおっしゃる通りでした。私は、

(まんまといっぱいくわされたのです。あいつのてじなに)

まんまと一杯食わされたのです。あいつの手品に

(ひっかかったのです。ぞくはわたしにしんようさせるために、)

引っかかったのです。賊は私に信用させるために、

(にせものをほんもののはこへいれかえてもっていったのですが、)

偽物を本物の箱へ入れ替えて持って行ったのですが、

(そのいれかえをするとき、あいつはてじなをつかったにちがい)

その入れ替えをする時、あいつは手品を使ったに違い

(ありません。いまみにいったら、きんこのなかのそのはこ)

ありません。今見に行ったら、金庫の中のその箱

(には、あいつがもっていったはずの、にせもののほうが)

には、あいつが持って行ったはずの、偽物のほうが

(はいっているのです。ああ、こんなことだとしって)

入っているのです。ああ、こんなことだと知って

(いれば、もっとようじんしたのに、とりかえしのつかない)

いれば、もっと用心したのに、取り返しのつかない

(ことになってしまいました」こいずみしはそういい)

ことになってしまいました」小泉氏はそう言い

(ながら、ぐったりとあんらくいすにみをなげて、うでぐみを)

ながら、グッタリと安楽イスに身を投げて、腕組みを

(したまま、うなだれてしまいました。)

したまま、うなだれてしまいました。

(「ものいうよろい」)

「もの言う鎧」

(こいずみしはらくたんのあまり、しばらくははなすちからもない)

小泉氏は落胆のあまり、しばらくは話す力もない

(ようにだまりこんでいましたが、やがてかおをあげると、)

ように黙りこんでいましたが、やがて顔をあげると、

(さんざんおもいなやんだようにいうのでした。「あけちさん、)

散々思い悩んだように言うのでした。「明智さん、

(あいつはたしかにやくそくをはたしました。かけじくをぬすんで)

あいつは確かに約束を果たしました。掛け軸を盗んで

(いったかわりに、ちゃんとのぶおをかえしてくれた)

行った代わりに、ちゃんと信雄を返してくれた

(のです。しかし、ただのめいがであれば、のぶおのぶじに)

のです。しかし、ただの名画であれば、信雄の無事に

(めんじてあきらめてしまうのですが、あのせっしゅうはこくほう)

免じて諦めてしまうのですが、あの雪舟は国宝

(なのです。わたしじしんのそんしつだけではすまないのです。)

なのです。私自身の損失だけでは済まないのです。

(にほんのびじゅつかいにたいしてもうしわけないのです。あけちさん、)

日本の美術界に対して申し訳ないのです。明智さん、

(なんとかあれをとりもどすくふうはないものでしょうか」)

なんとかあれを取り戻す工夫はないものでしょうか」

(あけちたんていはきのどくそうにしゅじんのかおをみながら、)

明智探偵は気の毒そうに主人の顔を見ながら、

(かんがえにかんがえて、こたえました。「いまとなっては、)

考えに考えて、答えました。「今となっては、

(むずかしいようにおもいます。たとえ、あいつのかくれがへ)

難しいように思います。例え、あいつの隠れ家へ

(ふみこんでみたところで、おそらくもぬけのから)

踏み込んでみたところで、恐らくもぬけの殻

(でしょう。しかしさいわいにものぶおくんが、そのいえをしって)

でしょう。しかし幸いにも信雄君が、その家を知って

(いるのだから、これからすぐでかけて、いちおうしらべて)

いるのだから、これからすぐ出かけて、一応調べて

(みるのもむだではないでしょう。のぶおくん、きみは)

みるのも無駄ではないでしょう。信雄君、きみは

(これから、ぼくとこばやしくんをあんないして、そのあやしい)

これから、ぼくと小林君を案内して、その怪しい

(ようかんへつれていくことができますか」「ええ、せんせいや)

洋館へ連れて行くことが出来ますか」「ええ、先生や

(こばやしさんといっしょなら、ぼくはこわくないので、ごあんない)

小林さんと一緒なら、ぼくは怖くないので、ご案内

(します。いえはよくしっています」のぶおくんは、さっき)

します。家はよく知っています」信雄君は、さっき

(おかあさんがこころをこめてつくってくれたごちそうで、)

お母さんが心を込めて作ってくれたご馳走で、

(ぺこぺこになっていたおなかがふくれたので、なかなか)

ペコペコになっていたお腹が膨れたので、なかなか

(げんきです。それにひごろからそんけいしている、あけちたんていの)

元気です。それに日頃から尊敬している、明智探偵の

(あんないやくになるのですから、たしょうやるきがみなぎって)

案内役になるのですから、多少やる気がみなぎって

(います。そこでのぶおくんは、おとうさんとそうだんしたうえで、)

います。そこで信雄君は、お父さんと相談した上で、

(あけちたんていとこばやししょうねんといっしょに、あけちがまたせていた)

明智探偵と小林少年と一緒に、明智が待たせていた

(じどうしゃにのって、よふけのまちをせたがやくいけじりちょうへと)

自動車に乗って、夜ふけの町を世田谷区池尻町へと

(しゅっぱつしました。れいのようかんのひゃくめーとるもてまえでくるまを)

出発しました。 例の洋館の百メートルも手前で車を

(おりて、なにげないつうこうにんのようなかおをして、もんのまえ)

降りて、何気ない通行人のような顔をして、門の前

(まであるいていくと、もんのとびらはにじかんあまりまえに、)

まで歩いて行くと、門の扉は二時間あまり前に、

(のぶおくんがにげだしたときとおなじように、ひらいたままに)

信雄君が逃げ出した時と同じように、ひらいたままに

(なっていました。「やっぱりにじゅうめんそうは、もうここ)

なっていました。「やっぱり二十面相は、もうここ

(にはいないか。しかし、ともかくいえのなかをしらべて)

には居ないか。しかし、ともかく家の中を調べて

(みよう。どんなてがかりがつかめないともかぎらない)

みよう。どんな手がかりがつかめないとも限らない

(からね」あけちたんていは、そんなことをささやきながら、)

からね」明智探偵は、そんなことをささやきながら、

(せんとうにたってもんのなかへはいっていきます。げんかんのどあは)

先頭に立って門の中へ入って行きます。 玄関のドアは

(しまっていましたが、とってをひねるとなんなくひらき)

閉まっていましたが、取っ手をひねると難なくひらき

(ました。みれば、なかはまっくらで、まったくのあきや)

ました。見れば、中は真っ暗で、まったくの空き家

(です。「こばやしくん、かいちゅうでんとうだ」あけちのさしずで、)

です。「小林君、懐中電灯だ」明智の指図で、

(こばやししょうねんのてがやみのなかでうごいたかとおもうと、しょうめんの)

小林少年の手が闇の中で動いたかと思うと、正面の

(かべにぱっとまるいひかりがあらわれました。あけちは、そのひかりで)

壁にパッと丸い光が現れました。明智は、その光で

(でんとうのすいっちをさがしておしてみましたが、どうした)

電灯のスイッチを探して押してみましたが、どうした

(ことか、なんどやってもでんとうはつきません。)

ことか、何度やっても電灯は点きません。

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