『妖怪博士』江戸川乱歩47
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | berry | 7599 | 神 | 7.7 | 97.9% | 576.6 | 4474 | 92 | 98 | 2024/10/11 |
2 | みき | 5943 | A+ | 6.0 | 97.7% | 740.0 | 4503 | 105 | 98 | 2024/09/28 |
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問題文
(とつぜん、どうくつのおくのくらやみからなんともいえない、おそろしい)
突然、洞窟の奥の暗闇から何ともいえない、恐ろしい
(うなりごえがきこえてきました。それは、おおきな)
うなり声が聞こえてきました。それは、大きな
(けものがごろごろとのどをならしてでもいるような、)
ケモノがゴロゴロとノドを鳴らしてでもいるような、
(けいようもできないへんてこなこえでした。はっとして、)
形容も出来ないヘンテコな声でした。ハッとして、
(かいわをやめてききみみをたてていると、そのうなりごえは)
会話をやめて聞き耳をたてていると、そのうなり声は
(だんだんはげしくなって、どうやらこちらへちかづいてくる)
段々激しくなって、どうやらこちらへ近づいてくる
(ようすではありませんか。しょうねんたちは、おもわず)
様子ではありませんか。 少年たちは、思わず
(ぽけっとのないふをにぎりしめて、すみをながしたような)
ポケットのナイフを握りしめて、墨を流したような
(やみのなかをにらみつけました。なにかしらおおきなどうぶつが)
闇の中をにらみつけました。何かしら大きな動物が
(いるのです。どうぶつでなければ、あんなうなりごえを)
居るのです。動物でなければ、あんなうなり声を
(たてるはずがありません。ひょっとしたらくまか)
たてるはずがありません。ひょっとしたらクマか
(なにかが、どうくつのなかへまよいこんでいたのではない)
なにかが、洞窟の中へ迷い込んでいたのではない
(でしょうか。「みんな、じっとしていたまえ。)
でしょうか。「みんな、ジッとしていたまえ。
(そして、もしきけんだったばあい、ぼくがあいずをする)
そして、もし危険だった場合、ぼくが合図をする
(から、じゅんばんにきたみちへにげるんだよ。いいかい」)
から、順番に来た道へ逃げるんだよ。いいかい」
(こばやしだんちょうは、さすがにかんがえぶかく、いちどうにちゅういをあたえて)
小林団長は、さすがに考え深く、一同に注意を与えて
(おいて、てにしていたかいちゅうでんとうのひかりをうなりごえのする)
おいて、手にしていた懐中電灯の光をうなり声のする
(ほうこうへ、さっとむけました。すると、そのまるいひかりの)
方向へ、サッと向けました。 すると、その丸い光の
(なかに、むこうのやみからなにかしらびっくりするほど)
中に、向こうの闇から何かしらビックリするほど
(おおきなものが、にゅーっとすがたをあらわしたのです。)
大きな物が、ニューッと姿を現したのです。
(しょうねんたちはそのすがたをひとめみると、あまりのおそろしさに)
少年たちはその姿を一目見ると、余りの恐ろしさに
(つーんとからだがしびれたようになって、もうみうごきさえ)
ツーンと体がしびれたようになって、もう身動きさえ
(できなくなってしまいました。ああ、このよに、)
出来なくなってしまいました。 ああ、この世に、
(こんなおそろしいどうぶつがすんでいたのでしょうか。)
こんな恐ろしい動物がすんでいたのでしょうか。
(それはもう、なんともいいようのない、いやらしい、)
それはもう、なんとも言いようのない、いやらしい、
(ぞーっとするようなばけものでした。ぜんしんねずみいろの)
ゾーッとするような化け物でした。 全身ネズミ色の
(けむくじゃらで、うしろあしでたっているどうたいがおとなの)
毛むくじゃらで、後ろ足で立っている胴体が大人の
(せたけよりもたかく、そのどうたいのうえにふくろうのかおを)
背丈よりも高く、その胴体の上にフクロウの顔を
(さんじゅうばいほどおおきくしたようなまるいかおがついており、)
三十倍ほど大きくしたような丸い顔がついており、
(そのけむくじゃらなかおのまんなかには、おおきなくちばし)
その毛むくじゃらな顔の真ん中には、大きなクチバシ
(のようなものがとびだしていて、そのうえにふたつのめが)
のようなものが飛び出していて、その上に二つの目が
(ぎょろっとひかっているのです。しょうねんたちはみいられた)
ギョロッと光っているのです。 少年たちは魅入られた
(ように、めをそらすちからもなくじっと、そのかいぶつと)
ように、目をそらす力もなくジッと、その怪物と
(にらめっこをしていましたが、するとばけものは)
にらめっこをしていましたが、すると化け物は
(よたよたとに、さんぽすすんだかとおもうと、ぎょっとする)
ヨタヨタと二、三歩進んだかと思うと、ギョッとする
(ようなおおきなものおとをたてて、さーっとはねをひろげた)
ような大きな物音をたてて、サーッと羽をひろげた
(ではありませんか。はねといっても、とりのはねでは)
ではありませんか。羽といっても、鳥の羽では
(ありません。あくまのはねです。せいようのあくまのえにある)
ありません。悪魔の羽です。西洋の悪魔の絵にある
(ような、あのいやらしいはねです。そのはしから)
ような、あのいやらしい羽です。その端から
(はしまでは、ごめーとるもあるかとおもわれるほどの、)
端までは、五メートルもあるかと思われるほどの、
(おそろしくおおきなはねです。はじめのうちは、ただとほうも)
恐ろしく大きな羽です。 始めのうちは、ただ途方も
(ないばけものとしかかんがえられませんでしたが、しかし)
ないバケモノとしか考えられませんでしたが、しかし
(じっとみつめているうちに、そのもののしょうたいがだんだん)
ジッと見つめているうちに、その物の正体が段々
(わかってきました。こうもりなのです。ふつうの)
分かってきました。コウモリなのです。普通の
(こうもりのなんびゃく、なんぜんばいもあるような、おそろしく)
コウモリの何百、何千倍もあるような、恐ろしく
(おおきなこうもりだったのです。さっき、どうくつのなかから)
大きなコウモリだったのです。さっき、洞窟の中から
(とびさった、たくさんのこうもりがひとつにかたまって、)
飛び去った、たくさんのコウモリが一つに固まって、
(こんなおおきなおばけこうもりになったのでしょうか。)
こんな大きなオバケコウモリになったのでしょうか。
(それとも、あのちいさいこうもりたちは、このおおきい)
それとも、あの小さいコウモリたちは、この大きい
(こうもりのけらいで、こいつはなんびゃくねんもいきながらえた)
コウモリの家来で、こいつは何百年も生き永らえた
(しょうにゅうどうのぬしなのでしょうか。しょうねんたちは、おそろしい)
鍾乳洞のヌシなのでしょうか。少年たちは、恐ろしい
(ゆめにうなされているようなきもちでした。あまりの)
夢にうなされているような気持ちでした。余りの
(おそろしさにしんぞうもとまって、このまましんでしまう)
恐ろしさに心臓も止まって、このまま死んでしまう
(のではないかとおもわれるほどでした。かいぶつはやみのなか)
のではないかと思われるほどでした。 怪物は闇の中
(から、おびえきったしょうねんたちをみすえながら)
から、おびえきった少年たちを見すえながら
(よたよたと、いっぽいっぽこちらへちかづいてきます。)
ヨタヨタと、一歩一歩こちらへ近づいてきます。
(そして、いっぱいにひろげたはねでさーっとくうきをきって、)
そして、一杯にひろげた羽でサーッと空気を切って、
(いまにもとびかかってきそうなようすをみせました。)
今にも飛びかかってきそうな様子を見せました。
(「みんな、ぼくのあとについてはしるんだ」もうがまんが)
「みんな、ぼくのあとについて走るんだ」もう我慢が
(できなくなって、こばやしくんはかいちゅうでんとうをふりながら、)
出来なくなって、小林君は懐中電灯を振りながら、
(きたみちへはしりました。さきにたってにげたわけでは)
来た道へ走りました。先に立って逃げた訳では
(ありません。かいちゅうでんとうがせんとうになくては、みちが)
ありません。懐中電灯が先頭になくては、道が
(わからないからです。このこえに、たちすくんでいた)
分からないからです。この声に、立ちすくんでいた
(しょうねんたちも、はっとしょうきづいたようにかけだし)
少年たちも、ハッと正気づいたように駆け出し
(ました。いちばんうしろをはしっているのは、ちからじまんのかつらくん)
ました。一番後ろを走っているのは、力自慢の桂君
(ですが、いくらすもうせんしゅでも、このかいぶつには)
ですが、いくら相撲選手でも、この怪物には
(かないっこありません。ごろごろとのどをならす)
かないっこありません。ゴロゴロとノドを鳴らす
(ようなうなりごえが、いまにもせなかにせまってきそうで、)
ようなうなり声が、今にも背中に迫ってきそうで、
(はしりながらもきがきではありませんでした。)
走りながらも気が気ではありませんでした。
(せんとうのこばやしくんは、だんいんたちがにげおくれやしないかと、)
先頭の小林君は、団員たちが逃げ遅れやしないかと、
(なんどもうしろをふりむきながらはしっていましたが、)
何度も後ろを振り向きながら走っていましたが、
(さっきのふかいあなのあたりまでくると、はっとして)
さっきの深い穴のあたりまで来ると、ハッとして
(たちどまってしまいました。もうすこしで、そのいどの)
立ち止まってしまいました。もう少しで、その井戸の
(ようなあなのなかへ、すべりおちるところだったのです。)
ような穴の中へ、すべり落ちるところだったのです。
(ああ、なんということでしょう。さっきまで、その)
ああ、なんということでしょう。さっきまで、その
(あなのうえにかかっていた、いたのはしがかげもかたちもみえなく)
穴の上にかかっていた、板の橋が影も形も見えなく
(なっているのです。はしがなくては、もうこのみちをすすむ)
なっているのです。橋がなくては、もうこの道を進む
(ことができません。なぜなら、いどのようなあなは)
ことが出来ません。なぜなら、井戸のような穴は
(みちいっぱいにひろがっていて、どこにもとおるばしょがない)
道一杯にひろがっていて、どこにも通る場所がない
(のです。かといって、とびこせるような、ちいさなあな)
のです。かといって、跳び越せるような、小さな穴
(ではありません。やっぱり、このしょうにゅうどうのなかには、)
ではありません。 やっぱり、この鍾乳洞の中には、
(しょうねんたちにてきいをもつにんげんがかくれているにちがい)
少年たちに敵意を持つ人間が隠れているに違い
(ありません。そうでなければ、いたのはしがかってにうごく)
ありません。そうでなければ、板の橋が勝手に動く
(はずはないのです。さっき、みちしるべのひもがせつだん)
はずはないのです。さっき、道しるべのヒモが切断
(されたことといい、いたのはしがなくなったこと)
されたことといい、板の橋が無くなったこと
(といい、これはなにものかがしょうねんたんけんたいをこまらせ)
といい、これは何者かが少年探検隊を困らせ
(ようとして、たくらんだしわざにちがいありません。)
ようとして、たくらんだ仕業に違いありません。
(かわいそうなしょうねんたちは、もうすすむこともしりぞくことも、)
可哀想な少年たちは、もう進むことも退くことも、
(できなくなってしまいました。まえにはまのあなが、)
出来なくなってしまいました。前には魔の穴が、
(しょうねんたちをひとくちにのんでやるぞとばかりに、まっかな)
少年たちを一口に飲んでやるぞとばかりに、真っ赤な
(くちをあけてひかえています。うしろからは、かいぶつがのどを)
口をあけて控えています。後ろからは、怪物がノドを
(ならしてせまってきます。ああ、もう、おしまいです。)
鳴らして迫ってきます。ああ、もう、おしまいです。
(こばやしくんとじゅうにんのしょうねんたんていだんいんは、このくらやみのどうくつの)
小林君と十人の少年探偵団員は、この暗闇の洞窟の
(なかで、たすけをよぶほうほうもなく、はかないさいごをとげて)
中で、助けを呼ぶ方法もなく、はかない最期を遂げて
(しまうのでしょうか。いちどうがあなのふちにうずく)
しまうのでしょうか。 一同が穴のふちにうずく
(まって、いきもたえだえにふるえあがっていると、そのとき)
まって、息も絶え絶えに震え上がっていると、その時
(またしても、しょうねんたちをぎょっとさせるような、)
またしても、少年たちをギョッとさせるような、
(おそろしいことがおこりました。)
恐ろしいことが起こりました。