紫式部 源氏物語 末摘花 2 與謝野晶子訳
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | subaru | 7537 | 神 | 7.9 | 95.0% | 375.7 | 2989 | 157 | 46 | 2024/10/31 |
2 | □「いいね」する | 7392 | 光 | 7.7 | 95.6% | 387.0 | 2999 | 138 | 46 | 2024/10/29 |
3 | HAKU | 7286 | 光 | 7.7 | 94.7% | 390.2 | 3009 | 166 | 46 | 2024/10/29 |
4 | りつ | 4255 | C+ | 4.4 | 95.5% | 683.8 | 3052 | 142 | 46 | 2024/10/31 |
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問題文
(げんじはいっていたようにいざよいのつきのおぼろにかすんだよるにみょうぶをほうもんした。)
源氏は言っていたように十六夜の月の朧ろに霞んだ夜に命婦を訪問した。
(「こまります。こうしたてんきはけっしておんがくにはてきしませんですもの」)
「困ります。こうした天気は決して音楽には適しませんですもの」
(「まあいいからごてんへいって、ただいっせいでいいからおひかせしてくれ。)
「まあいいから御殿へ行って、ただ一声でいいからお弾かせしてくれ。
(きかれないでかえるのではあまりつまらないから」 としいてのぞまれて、)
聞かれないで帰るのではあまりつまらないから」 と強いて望まれて、
(このきこうしをとりちらしたじしんのへやへおいていくことをすまなくおもいながら、)
この貴公子を取り散らした自身の部屋へ置いて行くことを済まなく思いながら、
(みょうぶがしんでんへいってみると、まだこうしをおろさないでうめのはなのにおうにわを)
命婦が寝殿へ行ってみると、まだ格子をおろさないで梅の花のにおう庭を
(にょおうはながめていた。よいところであるとみょうぶはこころでおもった。)
女王はながめていた。よいところであると命婦は心で思った。
(「ことのこえがきかせていただけましたらとおもうようなやぶんでございますから、)
「琴の声が聞かせていただけましたらと思うような夜分でございますから、
(へやをでてまいりました。わたくしはこちらへよせていただいていましても、いつも)
部屋を出てまいりました。私はこちらへ寄せていただいていましても、いつも
(じかんがすくなくて、うかがわせていただくまのないのがざんねんでなりません」)
時間が少なくて、伺わせていただく間のないのが残念でなりません」
(というと、 「あなたのようなひひょうかがいてはてがでせない。ごしょにでている)
と言うと、 「あなたのような批評家がいては手が出せない。御所に出ている
(ひとなどにきいてもらえるげいなものですか」 こういいながらも、)
人などに聞いてもらえる芸なものですか」 こう言いながらも、
(すぐににょおうがことをもってこさせるのをみると、みょうぶがかえってはっとした。)
すぐに女王が琴を持って来させるのを見ると、命婦がかえってはっとした。
(げんじのきいていることをおもうからである。にょおうはほのかなつまおとをたてていった。)
源氏の聞いていることを思うからである。女王はほのかな爪音を立てて行った。
(げんじはおもしろくきいていた。たいしたふかいげいではないが、)
源氏はおもしろく聞いていた。たいした深い芸ではないが、
(ことのねというものはほかのがっきのもたないいこくふうなこえであったから、)
琴の音というものは他の楽器の持たない異国風な声であったから、
(ききにくくはおもわなかった。このやしきはひじょうにあれているが、こんなさびしいところに)
聞きにくくは思わなかった。この邸は非常に荒れているが、こんな寂しい所に
(にょおうのみぶんをもっていて、だいじがられたじだいのなごりもないようなせいかつを)
女王の身分を持っていて、大事がられた時代の名残もないような生活を
(するのでは、どんなにあじけないことがおおかろう。むかしのしょうせつにもこんなはいけいのまえに)
するのでは、どんなに味気ないことが多かろう。昔の小説にもこんな背景の前に
(よくかじんがあらわれてくるものだなどとげんじはおもっていまからこうしょうのたんしょをつくろうか)
よく佳人が現われてくるものだなどと源氏は思って今から交渉の端緒を作ろうか
(ともかんがえたが、ぶしつけにおもわれることがはずかしくてざをたちかねていた。)
とも考えたが、ぶしつけに思われることが恥ずかしくて座を立ちかねていた。
(みょうぶはさいきのあるおんなであったから、めいしゅのいきにとおいひとのおんがくをながくげんじに)
命婦は才気のある女であったから、名手の域に遠い人の音楽を長く源氏に
(きかせておくことはにょおうのそんになるとおもった。 「くもがでてつきがみえないがちの)
聞かせておくことは女王の損になると思った。 「雲が出て月が見えないがちの
(ばんでございますわね。こんやわたくしのほうへほうもんしてくださるおやくそくのかたが)
晩でございますわね。今夜私のほうへ訪問してくださるお約束の方が
(ございましたから、わたくしがおりませんとわざとさけたようにもあたりますから、)
ございましたから、私がおりませんとわざと避けたようにも当たりますから、
(またゆるりときかせていただきます。おこうしをおろしていきましょう」)
またゆるりと聞かせていただきます。お格子をおろして行きましょう」
(みょうぶはことをながくひかせないでへやへかえった。 「あれだけでは)
命婦は琴を長く弾かせないで部屋へ帰った。 「あれだけでは
(きかせてもらいがいもない、どのていどのめいしゅなのかわからなくてつまらない」)
聞かせてもらいがいもない、どの程度の名手なのかわからなくてつまらない」
(げんじはにょおうにこうかんをもつらしくみえた。 「できるならちかいおざしきのほうへ)
源氏は女王に好感を持つらしく見えた。 「できるなら近いお座敷のほうへ
(あんないしていってくれて、よそながらでもにょおうさんのきぬずれのおとのようなものを)
案内して行ってくれて、よそながらでも女王さんの衣摺れの音のようなものを
(きかせてくれないか」 といった。みょうぶはちかづかせないで、よりよいそうぞうを)
聞かせてくれないか」 と言った。命婦は近づかせないで、よりよい想像を
(させておきたかった。 「それはだめでございますよ。おきのどくな)
させておきたかった。 「それはだめでございますよ。お気の毒な
(おくらしをして、めいりこんでいらっしゃるかたに、おとこのかたを)
お暮らしをして、めいりこんでいらっしゃる方に、男の方を
(ごしょうかいすることなどはできません」 とみょうぶがいうのがどうりであるように)
御紹介することなどはできません」 と命婦が言うのが道理であるように
(げんじもおもった。だんじょがおもいがけなくかいごうしてかたりあうというようなかいきゅうには)
源氏も思った。男女が思いがけなく会合して語り合うというような階級には
(はいらない、ともかくもきじょなんであるからとおもったのである。)
はいらない、ともかくも貴女なんであるからと思ったのである。
(「しかし、しょうらいはこうさいができるようにわたくしのはなしをしておいてくれ」)
「しかし、将来は交際ができるように私の話をしておいてくれ」
(こうみょうぶにたのんでから、げんじはまたこんやをほかにやくそくしたひとがあるのか)
こう命婦に頼んでから、源氏はまた今夜をほかに約束した人があるのか
(かえっていこうとした。 「あまりにまじめすぎるからとへいかがよくこまるように)
帰って行こうとした。 「あまりにまじめ過ぎるからと陛下がよく困るように
(おっしゃっていらっしゃいますのが、わたくしにはおかしくてならないことが)
おっしゃっていらっしゃいますのが、私にはおかしくてならないことが
(おりおりございます。こんなうわきなおしのびすがたをへいかはごらんになりませんからね」)
おりおりございます。こんな浮気なお忍び姿を陛下は御覧になりませんからね」
(とみょうぶがいうと、げんじはふたあしみあしかえってきて、わらいながらいう。)
と命婦が言うと、源氏は二足三足帰って来て、笑いながら言う。
(「なにをいうのだね。ひんこうほうせいなにんげんでもいうように。これをうわきといったら、)
「何を言うのだね。品行方正な人間でも言うように。これを浮気と言ったら、
(きみのれんあいせいかつはなんなのだ」 たじょうなおんなだとげんじがきめていて、)
君の恋愛生活は何なのだ」 多情な女だと源氏が決めていて、
(おりおりこんなことをめんとむかっていわれるのをみょうぶははずかしくおもって)
おりおりこんなことを面と向かって言われるのを命婦は恥ずかしく思って
(なんともいわなかった。)
何とも言わなかった。