紫式部 源氏物語 榊 9 與謝野晶子訳
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | subaru | 7778 | 神 | 8.0 | 96.5% | 341.7 | 2756 | 98 | 43 | 2024/12/10 |
2 | HAKU | 7543 | 神 | 7.9 | 95.0% | 349.7 | 2782 | 144 | 43 | 2024/12/07 |
3 | おもち | 7312 | 光 | 7.7 | 95.1% | 360.9 | 2781 | 142 | 43 | 2024/12/07 |
4 | だだんどん | 6403 | S | 6.9 | 93.0% | 398.4 | 2757 | 206 | 43 | 2024/12/13 |
5 | りく | 5985 | A+ | 6.1 | 97.0% | 457.3 | 2823 | 86 | 43 | 2024/12/20 |
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問題文
(こうしたしんこくなかんけいでなくても、これにるいしたあぶないおうせをつくるこいびとたちは)
こうした深刻な関係でなくても、これに類したあぶない逢瀬を作る恋人たちは
(わかれがくるしいものであるから、ましてげんじにここははなれがたい。)
別れが苦しいものであるから、まして源氏にここは離れがたい。
(よがあけてしまったのでおうみょうぶとべんとがげんじのたいきょをいろいろにいってたのんだ。)
夜が明けてしまったので王命婦と弁とが源氏の退去をいろいろに言って頼んだ。
(みやさまはなかばしんだようになっておいでになるのである。)
宮様は半ば死んだようになっておいでになるのである。
(「はじしらずのおとこがまだいきているかとおおもわれしたくありませんから、)
「恥知らずの男がまだ生きているかとお思われしたくありませんから、
(わたくしはもうそのうちしぬでしょう。そしたらまたしんだたましいが)
私はもうそのうち死ぬでしょう。そしたらまた死んだ魂が
(このよにしゅうちゃくをもつことでばっせられるのでしょう」)
この世に執着を持つことで罰せられるのでしょう」
(おそろしいきがするほどげんじはしんけんになっていた。 )
恐ろしい気がするほど源氏は真剣になっていた。
(「あうことのかたきをきょうにかぎらずばなおいくよをかなげきつつへん )
「逢ふことの難きを今日に限らずばなほ幾世をか歎きつつ経ん
(どうなってもこうなってもわたくしはあなたにつきまとっているのですよ」)
どうなってもこうなっても私はあなたにつきまとっているのですよ」
(みやはといきをおつきになって、 )
宮は吐息をおつきになって、
(ながきよのうらみをひとにのこしてもかつはこころをあだとしらなん )
長き世の恨みを人に残してもかつは心をあだとしらなん
(とおいいになった。げんじのことばをわざとかるくうけたようにしておいでになる)
とお言いになった。源氏の言葉をわざと軽く受けたようにしておいでになる
(ごようすのゆうびさにげんじはこころをひかれながらもみやのごけいべつをうけるのもくるしく、)
御様子の優美さに源氏は心を惹かれながらも宮の御軽蔑を受けるのも苦しく、
(わがためにもじちょうしなければならないことをおもってかえった。)
わがためにも自重しなければならないことを思って帰った。
(あれほどれいこくにあつかわれたじぶんはもうそのかたにかおもおみせしたくない。)
あれほど冷酷に扱われた自分はもうその方に顔もお見せしたくない。
(どうじょうをおかんじになるまではちんもくをしているばかりであるとげんじはおもって、)
同情をお感じになるまでは沈黙をしているばかりであると源氏は思って、
(それいらいみやへおてがみをかかないでいた。ずっともうごしょへもとうぐうへもでずに)
それ以来宮へお手紙を書かないでいた。ずっともう御所へも東宮へも出ずに
(ひきこもっていて、よるもひるもつめたいおこころだとばかりうらみながらも、)
引きこもっていて、夜も昼も冷たいお心だとばかり恨みながらも、
(じぶんのいまのたいどをうらぎるようにこいしさがつのった。たましいもどこかへ)
自分の今の態度を裏切るように恋しさがつのった。魂もどこかへ
(いっているようで、びょうきにさえかかったらしくかんぜられた。)
行っているようで、病気にさえかかったらしく感ぜられた。
(こころぼそくてにんげんてきなせいかつをすてないからますますかなしみがおおいのである、)
心細くて人間的な生活を捨てないからますます悲しみが多いのである、
(じぶんなどはそうぼうのひとになるべきであると、こんなけっしんをしようとするときに)
自分などは僧坊の人になるべきであると、こんな決心をしようとする時に
(いつもおもわれるのはわかいふじんのことであった。やさしくじぶんだけを)
いつも思われるのは若い夫人のことであった。優しく自分だけを
(たのみにしていきているつまをすてようとはおもわれないのであった。)
頼みにして生きている妻を捨てようとは思われないのであった。
(みやのおこころもひじょうにどうようしたのである。げんじはそのとききりひきこもって)
宮のお心も非常に動揺したのである。源氏はその時きり引きこもって
(てがみもおくってこないことでみょうぶなどはきのどくがった。みやもとうぐうのためには)
手紙も送って来ないことで命婦などは気の毒がった。宮も東宮のためには
(げんじにこういをもたせておかねばならないのに、じぶんのたいどからじんせいをひかんして)
源氏に好意を持たせておかねばならないのに、自分の態度から人生を悲観して
(そうになってしまわれることになってはならぬとさすがにおぼしめすのであった。)
僧になってしまわれることになってはならぬとさすがに思召すのであった。
(そうといってああしたことがしじゅうあってはきずをさがしだすことのすきなせけんは)
そうといってああしたことが始終あっては瑕を捜し出すことの好きな世間は
(どんなうわさをつくるかがそうぞうされる。じぶんがあまになって、こうたいごうにふかいがられている)
どんな噂を作るかが想像される。自分が尼になって、皇太后に不快がられている
(きさきのくらいからしりぞいてしまおうと、こうこのごろになってみやは)
后の位から退いてしまおうと、こうこのごろになって宮は
(おおもいになるようになった。いんがじぶんのためにどれだけおもいごゆいごんを)
お思いになるようになった。院が自分のためにどれだけ重い御遺言を
(あそばされたかをかんがえるとなにごともとうだいにそれがじっこうされていないことが)
あそばされたかを考えると何ごとも当代にそれが実行されていないことが
(おもわれる。かんのしょきのせきふじんがりょこうにさいなまれたようなことまではなくても、)
思われる。漢の初期の戚夫人が呂后に苛まれたようなことまではなくても、
(かならずせけんのちょうしょうをおわねばならぬひとにじぶんはなるにちがいないと)
必ず世間の嘲笑を負わねばならぬ人に自分はなるに違いないと
(ちゅうぐうはおおもいになるのである。これをてんきにしてあまのせいかつにはいるのが)
中宮はお思いになるのである。これを転機にして尼の生活にはいるのが
(いちばんよいことであるとおかんがえになったが、とうぐうにおあいしないままで)
いちばんよいことであるとお考えになったが、東宮にお逢いしないままで
(すがたをかえてしまうことはおかわいそうなことであるとおおもいになって、)
姿を変えてしまうことはおかわいそうなことであるとお思いになって、
(めだたぬけいしきでごしょへおはいりになった。げんじはそんなときでなくてもじゅうにぶんに)
目だたぬ形式で御所へおはいりになった。源氏はそんな時でなくても十二分に
(こういをひょうするならわしであったが、びょうきにたくしてぐぶもしなかった。)
好意を表する慣わしであったが、病気に托して供奉もしなかった。
(おくりものそのたはつねにかわらないが、こようとしないことはよくよくひかんして)
贈り物その他は常に変わらないが、来ようとしないことはよくよく悲観して
(おいでになるにちがいないと、じじょうをしっているひとたちはどうじょうした。)
おいでになるに違いないと、事情を知っている人たちは同情した。