紫式部 源氏物語 榊 20 與謝野晶子訳(終)
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | subaru | 7860 | 神 | 8.1 | 96.6% | 486.0 | 3959 | 139 | 61 | 2024/12/13 |
2 | HAKU | 7643 | 神 | 7.9 | 96.4% | 503.3 | 3995 | 148 | 61 | 2024/12/09 |
3 | おもち | 7518 | 神 | 7.9 | 95.1% | 504.9 | 3999 | 203 | 61 | 2024/12/10 |
4 | ヤス | 7095 | 王 | 7.3 | 96.1% | 538.9 | 3985 | 161 | 61 | 2024/12/06 |
5 | だだんどん | 6669 | S+ | 7.1 | 93.1% | 549.5 | 3954 | 289 | 61 | 2024/12/16 |
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問題文
(ないしのかみがしっしんしたようになっているのであるから、だいじんほどのきじんであれば、)
尚侍が失心したようになっているのであるから、大臣ほどの貴人であれば、
(むすめがはじにたえぬきがするであろうというじょうひんなえんりょが)
娘が恥に堪えぬ気がするであろうという上品な遠慮が
(なければならないのであるが、そんなおもいやりもなく、きみじかな、)
なければならないのであるが、そんな思いやりもなく、気短な、
(おちつきのないだいじんは、じしんでかみをてでひろったときにきちょうのすきから、)
落ち着きのない大臣は、自身で紙を手で拾った時に几帳の隙から、
(なよなよとしたすがたで、つみをおかしているものらしくかくれようともせず、)
なよなよとした姿で、罪を犯している者らしく隠れようともせず、
(のんびりとよこになっているおとこもみた。だいじんにみられてはじめてかおをよぎのなかに)
のんびりと横になっている男も見た。大臣に見られてはじめて顔を夜着の中に
(かくしてまぎらすようにした。だいじんはきょうがくした。ぶれいだとおもった。)
隠して紛らすようにした。大臣は驚愕した。無礼だと思った。
(くやしくてならないが、さすがにそのばでめんとむかっていかりをなげつけることは)
くやしくてならないが、さすがにその場で面と向かって怒りを投げつけることは
(できなかったのである。めもくらむようなきがしてうたのかかれたかみをもって)
できなかったのである。目もくらむような気がして歌の書かれた紙を持って
(しんでんへいってしまった。ないしのかみはきがとおくなっていくようで、)
寝殿へ行ってしまった。尚侍は気が遠くなっていくようで、
(しぬほどにしんぱいした。げんじもこいびとがかわいそうで、ふりょうなこういによって、)
死ぬほどに心配した。源氏も恋人がかわいそうで、不良な行為によって、
(ついにおそるべききゅうだんをうけるうんめいがまわってきたとかなしみながらも)
ついに恐るべき糾弾を受ける運命がまわって来たと悲しみながらも
(そのこころもちをかくしてないしのかみをいろいろにいってなぐさめた。 だいじんはおもっていることを)
その心持ちを隠して尚侍をいろいろに言って慰めた。 大臣は思っていることを
(のこらずそとへだしてしまわねばがまんのできないようなせいしつであるうえに)
残らず外へ出してしまわねば我慢のできないような性質である上に
(おいのひがみもそって、あるてんはしんしゃくしていわないほうがよいなどという)
老いの僻みも添って、ある点は斟酌して言わないほうがよいなどという
(えんりょもなしにゆうべんに、げんじとないしのかみのふつごうをたいこうにうったえるのであった。)
遠慮もなしに雄弁に、源氏と尚侍の不都合を太后に訴えるのであった。
(まずもくげきしたじじつをのべた。 「このたとうがみのじはうだいしょうのじです。)
まず目撃した事実を述べた。 「この畳紙の字は右大将の字です。
(いぜんにもかのじょはたいしょうのゆうわくにかかってじょうじんかんけいがむすばれていたのですが、)
以前にも彼女は大将の誘惑にかかって情人関係が結ばれていたのですが、
(じんぶつにけいいをひょうしてわたくしはふふくもいわずにけっこんもさせようといっていたのです。)
人物に敬意を表して私は不服も言わずに結婚もさせようと言っていたのです。
(そのときにはいっこうにきがないふうをみせられて、わたくしはざんねんで)
その時にはいっこうに気がないふうを見せられて、私は残念で
(ならなかったのですが、これもいんねんであろうとがまんして、かんようなへいかはまた)
ならなかったのですが、これも因縁であろうと我慢して、寛容な陛下はまた
(わたくしへのじょうぎでかこのつみはおゆるしくださるであろうとおねがいして、)
私への情誼で過去の罪はお許しくださるであろうとお願いして、
(さいしょのもくてきどおりにきゅうちゅうへいれましても、あのかんけいがありましたために)
最初の目的どおりに宮中へ入れましても、あの関係がありましたために
(こうぜんとにょごにはしていただけないことででも、わたくしはしじゅうさびしく)
公然と女御にはしていただけないことででも、私は始終寂しく
(おもっているのです。それにまたこんなつみをおかすではありませんか、)
思っているのです。それにまたこんな罪を犯すではありませんか、
(わたくしはかなしくてなりません。おとこはみなそうであるとはいうものの)
私は悲しくてなりません。男は皆そうであるとはいうものの
(たいしょうもけしからんかたです。しんせいなさいいんにこいぶみをおくっておられる)
大将もけしからん方です。神聖な斎院に恋文を送っておられる
(というようなことをいうものもありましたが、わたくしはしんじることは)
というようなことを言う者もありましたが、私は信じることは
(できませんでした。そんなことをすればよのなかぜんたいがしんばつをこうむるとともに、)
できませんでした。そんなことをすれば世の中全体が神罰をこうむるとともに、
(じぶんじしんもそのままではいられないことはわかっていられるだろうと)
自分自身もそのままではいられないことはわかっていられるだろうと
(おもいますし、がくもんちしきでてんかをなびかしておいでになるかたは)
思いますし、学問知識で天下をなびかしておいでになる方は
(まさかとおもってうたがいませんでした」 きいておいでになったたいこうの)
まさかと思って疑いませんでした」 聞いておいでになった太后の
(げんじをおにくみになることはだいじんのひではなかったから、ひじょうなおはらだちが)
源氏をお憎みになることは大臣の比ではなかったから、非常なお腹立ちが
(おかおのいろにあらわれてきた。 「へいかはへいかであっても)
お顔の色に現われてきた。 「陛下は陛下であっても
(むかしからみなにけいべつされていらっしゃる。ちしのだいじんもだいじがっていたむすめを、)
昔から皆に軽蔑されていらっしゃる。致仕の大臣も大事がっていた娘を、
(あにぎみで、またたいしでおありになるかたにおあげしようとはしなかった。)
兄君で、また太子でおありになる方にお上げしようとはしなかった。
(そのむすめはおとうとで、ひんじゃくなげんじで、しかもとしのゆかないひとにめあわせるために)
その娘は弟で、貧弱な源氏で、しかも年のゆかない人に婚せるために
(とっておいたのです。またあのひともとうぐうのこうきゅうにきまっていたひとでは)
取っておいたのです。またあの人も東宮の後宮に決まっていた人では
(ありませんか。それだのにゆうわくしてしまってそれをそのときりょうしんだってだれだって)
ありませんか。それだのに誘惑してしまってそれをその時両親だってだれだって
(わるいことだといったひとがありますか。みなたいしょうをひいきにして、)
悪いことだと言った人がありますか。皆大将をひいきにして、
(けっこんをさせたがっておいでになった。ふほんいなふうでへいかに)
結婚をさせたがっておいでになった。不本意なふうで陛下に
(おあげなすったじゃありませんか。わたくしはいもうとをかわいそうだとおもって、)
お上げなすったじゃありませんか。私は妹をかわいそうだと思って、
(ほかのにょごたちにひけをとらせまい、こうきゅうのだいいちのめいよをとらせてやろう、)
ほかの女御たちに引けを取らせまい、後宮の第一の名誉を取らせてやろう、
(そうすればはくじょうなひとへのふくしゅうができるのだと、こんなきでわたくしは)
そうすれば薄情な人への復讐ができるのだと、こんな気で私は
(ほねをおっていたのですが、すきなひとのいうとおりになっているほうが)
骨を折っていたのですが、好きな人の言うとおりになっているほうが
(あのひとにはよいとみえる。さいいんをゆうわくしようとかかっていることなどは)
あの人にはよいと見える。斎院を誘惑しようとかかっていることなどは
(むろんあるべきことですよ。なにごとによらずとうだいをのろってかかるひとなのです。)
むろんあるべきことですよ。何事によらず当代を詛ってかかる人なのです。
(それはとうぐうのみよがいちにちもはやくくるようにとねがっているひととしては)
それは東宮の御代が一日も早く来るようにと願っている人としては
(とうぜんのことでしょう」 きついちょうしで、だれのこともぐんぐんわるく)
当然のことでしょう」 きつい調子で、だれのこともぐんぐん悪く
(おいいになるのを、きいていてだいじんは、ののしられているもののほうが)
お言いになるのを、聞いていて大臣は、ののしられている者のほうが
(かわいそうになった。なぜおはなししたろうとこうかいした。)
かわいそうになった。なぜお話ししたろうと後悔した。
(「でもこのことはとうぶんひみつにしていただきましょう。へいかにも)
「でもこのことは当分秘密にしていただきましょう。陛下にも
(もうしあげないでください。どんなことがあってもゆるしてくださるだろうと、)
申し上げないでください。どんなことがあっても許してくださるだろうと、
(あれはへいかのごあいじょうにあまえているだけだとおもう。わたくしがいましめてやって、)
あれは陛下の御愛情に甘えているだけだと思う。私がいましめてやって、
(それでもあれがききませんときはわたくしがせきにんをおいます」)
それでもあれが聞きません時は私が責任を負います」
(などとだいじんはさいしょのいきごみににないよわよわしいもうしでをしたが、)
などと大臣は最初の意気込みに似ない弱々しい申し出をしたが、
(もうたいこうのごきげんはなおりもせず、げんじにたいするぞうおのげんじることもなかった。)
もう太后の御機嫌は直りもせず、源氏に対する憎悪の減じることもなかった。
(こうたいごうであるじぶんもいっしょにすんでいるていないにきてふきんしんきわまることを)
皇太后である自分もいっしょに住んでいる邸内に来て不謹慎きわまることを
(するのも、じぶんをいっそうぶじょくしてみせたいこころなのであろうとおおもいになると、)
するのも、自分をいっそう侮辱して見せたい心なのであろうとお思いになると、
(ざんねんだというおこころもちがつのるばかりで、)
残念だというお心持ちがつのるばかりで、
(これをどうきにしてげんじのはいせきをくわだてようともおおもいになった。)
これを動機にして源氏の排斥を企てようともお思いになった。