オオカミ王ロボ 8
シートン動物記
アーネスト・トムソン・シートン作
偕成社文庫
偕成社文庫
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問題文
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(そのご、ろぼはいよいよいきおいをふるいはじめた。)
その後、ロボはいよいよ勢いをふるい始めた。
(つぎのとし、またもしょうきんをねらって、ふたりのかりうどがあらわれた。)
次の年、またも賞金を狙って、二人の狩人があらわれた。
(どちらも、このなだたるおおかみをものにしようと、じしんまんまんだった。)
どちらも、この名だたるオオカミをものにしようと、自信満々だった。
(ひとりは、あたらしくくふうされたどくやくをつかい、)
ひとりは、新しく工夫された毒薬を使い、
(しかもいままでにないやりかたで、しかけようとしていた。)
しかも今までにないやり方で、仕掛けようとしていた。
(もうひとりは、ふらんすけいのかなだじんだったが、)
もうひとりは、フランス系のカナダ人だったが、
(これもどくやくをつかうけれども、あわせてじゅもんとまりょくのたすけをかりる。)
これも毒薬を使うけれども、あわせて呪文と魔力の助けをかりる。
(というのは、かれはこのろぼをただのおおかみではなくて、)
というのは、彼はこのロボをただのオオカミではなくて、
(ひとおおかみとかたくしんじていたからだ。)
人オオカミと固く信じていたからだ。
(しかしちえをしぼってねりあわせたどくやくも、じゅもんも、まじないも、)
しかし知恵を絞って練り合わせた毒薬も、呪文も、まじないも、
(このはいいろのごうとうには、なんのやくにもたたなかった。)
この灰色の強盗には、なんの役にも立たなかった。
(あいかわらずまいしゅう、つぎつぎにぼくじょうをまわって、)
あいかわらず毎週、次々に牧場をまわって、
(いままでどおり、まいにちのごちそうにありついていた。)
いままでどおり、毎日のごちそうにありついていた。
(だから、いくらもたたないうちに、ふたりのかりうど・・・)
だから、いくらもたたないうちに、ふたりの狩人・・・
(きゃろーんとらろーしゅは、どちらもしょんぼりあきらめて、)
キャローンとラローシュは、どちらもしょんぼり諦めて、
(ほかのとちへしごとにいってしまったのだった。)
ほかの土地へ仕事に行ってしまったのだった。
(さて、このじょーきゃろーんは、1893ねんのはる、)
さて、このジョー・キャローンは、1893年の春、
(ろぼをつかまえそこなったあとで、じつになさけないおもいをあじわわされた。)
ロボを捕まえそこなった後で、じつに情けない思いを味わされた。
(それは、このおおきなおおかみがじょーをばかにしきっていて、)
それは、この大きなオオカミがジョーを馬鹿にしきっていて、
(じしんまんまんなところをみせつけたのもおなじといえるできごとだった。)
自信満々なところを見せつけたのも同じと言える出来事だった。
など
(きゃろーんののうじょうは、からんぽーがわのちいさなしりゅうのほとりにあったが、)
キャローンの農場は、カランポー川の小さな支流のほとりにあったが、
(ここはまったくえのようにうつくしいきょうこくだ。)
ここはまったく絵のように美しい峡谷だ。
(ところがこのきょうこくのいわばの、)
ところがこの峡谷の岩場の、
(しかも、きゃろーんのいえからせんめーとるとはなれていないところに、)
しかも、キャローンの家から千メートルと離れていないところに、
(ろぼじいがそのつれあいといっしょに、すをかまえたのである。)
ロボじいがその連れ合いと一緒に、巣を構えたのである。
(そして、このとしのこどもを、そだてだしたのだ。)
そして、この年の子どもを、育てだしたのだ。
(なつじゅう、ずっとそこにがんばっていて、)
夏中、ずっとそこにがんばっていて、
(じょーのうしもひつじもいぬもころしながら、)
ジョーの牛もヒツジも犬も殺しながら、
(かれがかけるわなだのどくやくだのを、へいきであざわらっていた。)
彼がかける罠だの毒薬だのを、平気であざ笑っていた。
(がけっぷちのほらあなのおくにすんで、のうのうとしているのだ。)
崖っぷちの洞穴の奥に住んで、のうのうとしているのだ。
(じょーはちえをしぼって、けむりでいぶりだそうとし、)
ジョーは知恵を絞って、煙で燻り出そうとし、
(だいなまいとでひとあわふかせてやろうとするのだが、)
ダイナマイトで一泡吹かせてやろうとするのだが、
(いつも、きずひとつおわずにするりするりとにげてしまう。)
いつも、傷一つ負わずにするりするりと逃げてしまう。
(そしてあいかわらずぼくじょうをあらしまわるのだった。)
そして相変わらず牧場を荒らし回るのだった。
(「ほら、あそこになつじゅう、すんでいたんですよ。」)
「ほら、あそこに夏中、住んでいたんですよ。」
(とじょーは、がけのきりたったところをゆびさしながら、わたしにいった。)
とジョーは、崖の切り立ったところを指さしながら、私に言った。
(「それなのに、こっちはてもあしもでねえんです。)
「それなのに、こっちは手も足も出ねえんです。
(あいつにあっちゃ、わたしはばかもおなじでしたね。」)
あいつにあっちゃ、私はバカも同じでしたね。」