魯迅 阿Q正伝その7
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青空文庫から引用
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問題文
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(きがついてみると、あれほどあったかれのおかねはいちまいもなかった。)
気がついてみると、あれほどあった彼のお金は一枚も無かった。
(ばくちばにいたものはたいていこのむらのものではなかった。)
博奕場にいた者はたいていこの村の者では無かった。
(どこへいってききだすにもききだしようがなかった。)
どこへ行って訊き出すにも訊き出しようがなかった。
(まっしろなぴかぴかしたぎんか!)
まっ白なピカピカした銀貨!
(しかもそれがかれのものなんだがいまはない。)
しかもそれが彼の物なんだが今は無い。
(こどもにとられたことにしておけばいいが、)
子供に盗られたことにしておけばいいが、
(それじゃどうもきがすまない。)
それじゃどうも気が済まない。
(じぶんをむしけらどうようにおもえばいいが、)
自分を虫ケラ同様に思えばいいが、
(それじゃどうもきがすまない。)
それじゃどうも気が済まない。
(かれはこんどこそいささかしっぱいのくつうをかんじた。)
彼は今度こそいささか失敗の苦痛を感じた。
(けれどかれはしっぱいをてんじてついにかちとした。)
けれど彼は失敗を転じて遂に勝ちとした。
(かれはみぎてをあげてじぶんのおもてをちからまかせにひっぱたいた。)
彼は右手を挙げて自分の面を力任せに引ッぱたいた。
(するとかおがかっとしてほてりだしかなりのいたみをかんじたが、)
すると顔がカッとして火照り出しかなりの痛みを感じたが、
(こころはかえっておちついてきた。)
心はかえって落ちついて来た。
(うったのはまさにじぶんにちがいないが、)
打ったのはまさに自分に違いないが、
(うたれたのはもうひとりのじぶんのようでもあった。)
打たれたのはもう一人の自分のようでもあった。
(そうこうするうちにじぶんがひとをうってるようなきもちになった。)
そうこうするうちに自分が人を打ってるような気持になった。
(やっぱりいくらかほてるにはちがいないが、)
やっぱり幾らか火照るには違いないが、
(こころはじゅうぶんまんぞくしてかちほこってよこになった。)
心は十分満足して勝ち誇って横になった。
(かれはねむってしまった。)
彼は睡ってしまった。