銀河鉄道の夜 27

宮沢賢治 作
ふたりは顔を見合わせましたら、燈台守は、にやにや笑って、少し伸び上がるようにしながら、ふたりの横の窓の外をのぞきました。
関連タイピング
-
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ
プレイ回数630長文2630打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ
プレイ回数601長文1908打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ
プレイ回数633長文2413打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ
プレイ回数750長文2164打 -
自作小説
プレイ回数46長文2946打 -
自作小説
プレイ回数81長文2397打 -
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
プレイ回数797長文4678打 -
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
プレイ回数2570長文4800打
問題文
(「どこへいったんだろう。」)
「どこへ行ったんだろう。」
(ふたりはかおをみあわせましたら、)
ふたりは顔を見合わせましたら、
(とうだいもりは、にやにやわらって、すこしのびあがるようにしながら、)
燈台守は、にやにや笑って、少し伸び上がるようにしながら、
(ふたりのよこのまどのそとをのぞきました。)
ふたりの横の窓の外をのぞきました。
(ふたりもそっちをみましたら、たったいまのとりとりが、)
ふたりもそっちを見ましたら、たったいまの鳥とりが、
(きいろとあおじろの、うつくしいりんこうをだす、)
黄いろと青じろの、うつくしい燐光を出す、
(いちめんのかわらははこぐさのうえにたって、)
いちめんのかわらははこぐさの上に立って、
(まじめなかおをしてりょうてをひろげて、じっとそらをみていたのです。)
まじめな顔をして両手をひろげて、じっとそらを見ていたのです。
(「あすこへいってる。ずいぶんきたいだねえ。)
「あすこへ行ってる。ずいぶん奇体だねえ。
(きっとまたとりをつかまえるとこだねえ。)
きっとまた鳥をつかまえるとこだねえ。
(きしゃがはしっていかないうちに、はやくとりがおりるといいな。」)
汽車が走って行かないうちに、早く鳥がおりるといいな。」
(といったとたん、がらんとしたききょういろのそらから、)
といったとたん、がらんとしたききょういろの空から、
(さっきみたようなさぎが、まるでゆきのふるように、)
さっき見たようなさぎが、まるで雪の降るように、
(ぎゃあぎゃあさけびながら、いっぱいにまいおりてきました。)
ぎゃあぎゃあ叫びながら、いっぱいに舞いおりてきました。
(するとあのとりとりは、すっかりちゅうもんどおりだというようにほくほくして、)
するとあの鳥とりは、すっかり注文通りだというようにほくほくして、
(りょうあしをかっきりろくじゅうどにひらいてたって、)
両足をかっきり六十度にひらいて立って、
(さぎのちぢめておりてくるくろいあしをりょうてでかたっぱしからおさえて、)
サギのちぢめて降りてくる黒い脚を両手で片っ端から押さえて、
(ぬののふくろのなかにいれるのでした。)
布の袋の中に入れるのでした。
(するとさぎは、ほたるのように、ふくろのなかでしばらく、)
するとサギは、ほたるのように、袋の中でしばらく、
(あおくぺかぺかひかったりきえたりしていましたが、)
青くぺかぺか光ったり消えたりしていましたが、
(おしまいとうとう、みんなぼんやりしろくなって、めをつぶるのでした。)
おしまいとうとう、みんなぼんやり白くなって、目をつぶるのでした。
(ところが、つかまえられるとりよりは、)
ところが、つかまえられる鳥よりは、
(つかまえられないでぶじにあまのがわのすなのうえに)
つかまえられないで無事に天の川の砂の上に
(おりるもののほうがおおかったのです。)
降りるものの方が多かったのです。
(それはみていると、あしがすなへつくやいなや、)
それは見ていると、足が砂へつくや否や、
(まるでゆきのとけるように、ちぢまってひらべったくなって、)
まるで雪のとけるように、ちぢまってひらべったくなって、
(まもなくようこうろからでたどうのしるのように、すなやじゃりのうえにひろがり、)
間もなく熔鉱炉から出た銅の汁のように、砂や砂利の上にひろがり、
(しばらくはとりのかたちが、すなについているのでしたが、)
しばらくは鳥の形が、砂についているのでしたが、
(それもに、さんどあかるくなったりくらくなったりしているうちに、)
それも二、三度明るくなったり暗くなったりしているうちに、
(もうすっかりまわりとおなじいろになってしまうのでした。)
もうすっかりまわりと同じいろになってしまうのでした。