銀河鉄道の夜 36

(沈没船の乗客 4/6)
ところがちょうど十二日目、船が氷山にぶっつかって、一ぺんに傾きもう沈みかけました。
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問題文
(わたしはだいがくへはいっていて、かていきょうしにやとわれていたのです。)
私は大学へ入っていて、家庭教師にやとわれていたのです。
(ところがちょうどじゅうににちめ、)
ところがちょうど十二日目、
(きょうかきのうのあたりです、)
今日か昨日のあたりです、
(ふねがひょうざんにぶっつかって)
船が氷山にぶっつかって
(いっぺんにかたむきもうしずみかけました。)
一ぺんに傾きもう沈みかけました。
(つきのあかりはどこかぼんやりありましたが、)
月のあかりはどこかぼんやりありましたが、
(きりがひじょうにふかかったのです。)
霧が非常に深かったのです。
(ところがぼーとはさげんのほう、はんぶんはもうだめになっていましたから、)
ところがボートは左舷の方、半分はもうだめになっていましたから、
(とてもみんなはのりきらないのです。)
とてもみんなは乗り切らないのです。
(もうそのうちにもふねはしずみますし、わたしはひっしとなって、)
もうそのうちにも船は沈みますし、私は必死となって、
(どうかちいさなひとたちをのせてくださいとさけびました。)
どうか小さな人たちを乗せて下さいと叫びました。
(ちかくのひとたちはすぐみちをひらいて、)
近くの人たちはすぐ路を開いて、
(そしてこどもたちのためにいのってくれました。)
そして子どもたちのために祈ってくれました。
(けれどもそこからぼーとまでのところには)
けれどもそこからボートまでのところには
(まだまだちいさなこどもたちやおやたちやなんかいて、)
まだまだ小さな子どもたちや親たちやなんかいて、
(とてもおしのけるゆうきがなかったのです。)
とても押しのける勇気がなかったのです。
(それでもわたしはどうしてもこのかたたちをおたすけするのが)
それでも私はどうしてもこの方たちをお助けするのが
(わたしのぎむだとおもいましたから、)
私の義務だと思いましたから、
(まえにいるこどもらをおしのけようとしました。)
前にいる子どもらを押しのけようとしました。
(けれどもまたそんなにしてたすけてあげるよりは、)
けれどもまたそんなにして助けてあげるよりは、
(このままかみのおまえにみんなでいくほうが)
このまま神のお前にみんなで行く方が
(ほんとうにこのかたたちのこうふくだともおもいました。)
ほんとうにこの方たちの幸福だとも思いました。
(それからまたそのかみにそむくつみはわたしひとりでしょって、)
それからまたその神にそむく罪は私ひとりでしょって、
(ぜひともたすけてあげようとおもいました。)
ぜひとも助けてあげようと思いました。
(けれどもどうしてみているとそれができないのでした。)
けれどもどうして見ているとそれができないのでした。