銀河鉄道の夜 60
九、ジョバンニの切符 32/36
(石炭袋)
(石炭袋)
「あ、あすこ石炭袋だよ。そらのあなだよ。」
カムパネルラが少しそっちをさけるようにしながら、天の川のひととこを指さしました。
カムパネルラが少しそっちをさけるようにしながら、天の川のひととこを指さしました。
関連タイピング
-
チックタックな曲です
プレイ回数1.6万 歌詞180秒 -
夏目漱石「こころ」3-46o
プレイ回数917 長文かな1226打 -
太宰治の短編小説、駆け込み訴えです。
プレイ回数785 長文かな1885打 -
(上)先生と私
プレイ回数1595 長文1764打 -
夏目漱石
プレイ回数17万 長文かな512打 -
夏目漱石「こころ」3-36
プレイ回数1023 長文1664打 -
「思索する少年太郎の内的宇宙」
プレイ回数4255 長文2468打 -
夏目漱石「こころ」3-45
プレイ回数789 長文2203打
問題文
ふりがな非表示
ふりがな表示
(「あ、あすこせきたんぶくろだよ。そらのあなだよ。」)
「あ、あすこ石炭袋だよ。そらのあなだよ。」
(かむぱねるらがすこしそっちをさけるようにしながら)
カムパネルラが少しそっちをさけるようにしながら
(あまのがわのひととこをゆびさしました。)
天の川のひととこを指さしました。
(じょばんにはそっちをみてまるでぎくっとしてしまいました。)
ジョバンニはそっちを見てまるでぎくっとしてしまいました。
(あまのがわのひととこにおおきなまっくらなあなが、どおんとあいているのです。)
天の川の一とこに大きなまっくらな穴が、どおんとあいているのです。
(そのそこがどれほどふかいか、そのおくになにがあるか、)
その底がどれほど深いか、その奥に何があるか、
(いくらめをこすってのぞいてもなんにもみえず、)
いくら目をこすってのぞいてもなんにも見えず、
(ただめがしんしんといたむのでした。)
ただ目がしんしんと痛むのでした。
(じょばんにがいいました。)
ジョバンニがいいました。
(「ぼくもうあんなおおきなやみのなかだってこわくない。)
「ぼくもうあんな大きな闇の中だってこわくない。
(きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしにいく。)
きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。
(どこまでもどこまでもぼくたちいっしょにすすんでいこう。」)
どこまでもどこまでもぼくたちいっしょに進んで行こう。」
(「ああきっといくよ。)
「ああきっと行くよ。
(ああ、あすこののはらはなんてきれいだろう。)
ああ、あすこの野原はなんてきれいだろう。
(みんなあつまってるねえ。あすこがほんとうのてんじょうなんだ。)
みんな集まってるねえ。あすこがほんとうの天上なんだ。
(あっあすこにいるのぼくのおかあさんだよ。」)
あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ。」
(かむぱねるらはにわかにまどのとおくにみえる)
カムパネルラはにわかに窓の遠くに見える
(きれいなのはらをさしてさけびました。)
きれいな野原を指して叫びました。
(じょばんにもそっちをみましたけれども)
ジョバンニもそっちを見ましたけれども
(そこはぼんやりしろくけむっているばかり、)
そこはぼんやり白くけむっているばかり、
など
(どうしてもかむぱねるらがいったようにはおもわれませんでした。)
どうしてもカムパネルラがいったようには思われませんでした。
(なんともいえずさびしいきがしてぼんやりそっちをみていましたら、)
なんともいえずさびしい気がしてぼんやりそっちを見ていましたら、
(むこうのかわぎしににほんのでんしんばしらが)
向こうの河岸に二本の電信ばしらが
(ちょうどりょうほうからうでをくんだようにあかいうでぎをつらねてたっていました。)
ちょうど両方から腕を組んだように赤い腕木をつらねて立っていました。
(「かむぱねるら、ぼくたちいっしょにいこうねえ。」)
「カムパネルラ、ぼくたちいっしょに行こうねえ。」
(じょばんにがこういいながらふりかえってみましたら、)
ジョバンニがこういいながらふりかえって見ましたら、
(そのいままでかむぱねるらのすわっていたせきに)
そのいままでカムパネルラのすわっていた席に
(もうかむぱねるらのかたちはみえず)
もうカムパネルラの形は見えず
(ただくろいびろうどばかりひかっていました。)
ただ黒いびろうどばかりひかっていました。
(じょばんにはまるでてっぽうだまのようにたちあがりました。)
ジョバンニはまるで鉄砲丸(てっぽうだま)のように立ちあがりました。
(そしてだれにもきこえないようにまどのそとへからだをのりだして、)
そして誰にも聞こえないように窓の外へからだを乗り出して、
(ちからいっぱいはげしくむねをうってさけび、)
力いっぱいはげしく胸をうって叫び、
(それからもうのどいっぱいなきだしました。)
それからもう咽喉いっぱい泣きだしました。
(もうそこらがいっぺんにまっくらになったようにおもいました。)
もうそこらが一ぺんにまっくらになったように思いました。