銀河鉄道の夜 60

(石炭袋)
カムパネルラが少しそっちをさけるようにしながら、天の川のひととこを指さしました。
関連タイピング
-
夏目漱石「こころ」2-4
プレイ回数1167長文2132打 -
アニメ「陰の実力者になりたくて!」のEDです。
プレイ回数1330歌詞かな940打 -
プレイ回数675長文かな102打
-
大人気小説、「四つ子ぐらし」の四つ子の名前を入力するだけ!
プレイ回数137短文かな45打 -
小説作ってみた
プレイ回数61長文572打 -
山形県の民話です
プレイ回数432長文180秒 -
「願いの代償」
プレイ回数1825長文1957打 -
プレイ回数52長文60秒
問題文
(「あ、あすこせきたんぶくろだよ。そらのあなだよ。」)
「あ、あすこ石炭袋だよ。そらのあなだよ。」
(かむぱねるらがすこしそっちをさけるようにしながら)
カムパネルラが少しそっちをさけるようにしながら
(あまのがわのひととこをゆびさしました。)
天の川のひととこを指さしました。
(じょばんにはそっちをみてまるでぎくっとしてしまいました。)
ジョバンニはそっちを見てまるでぎくっとしてしまいました。
(あまのがわのひととこにおおきなまっくらなあなが、どおんとあいているのです。)
天の川の一とこに大きなまっくらな穴が、どおんとあいているのです。
(そのそこがどれほどふかいか、そのおくになにがあるか、)
その底がどれほど深いか、その奥に何があるか、
(いくらめをこすってのぞいてもなんにもみえず、)
いくら目をこすってのぞいてもなんにも見えず、
(ただめがしんしんといたむのでした。)
ただ目がしんしんと痛むのでした。
(じょばんにがいいました。)
ジョバンニがいいました。
(「ぼくもうあんなおおきなやみのなかだってこわくない。)
「ぼくもうあんな大きな闇の中だってこわくない。
(きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしにいく。)
きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。
(どこまでもどこまでもぼくたちいっしょにすすんでいこう。」)
どこまでもどこまでもぼくたちいっしょに進んで行こう。」
(「ああきっといくよ。)
「ああきっと行くよ。
(ああ、あすこののはらはなんてきれいだろう。)
ああ、あすこの野原はなんてきれいだろう。
(みんなあつまってるねえ。あすこがほんとうのてんじょうなんだ。)
みんな集まってるねえ。あすこがほんとうの天上なんだ。
(あっあすこにいるのぼくのおかあさんだよ。」)
あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ。」
(かむぱねるらはにわかにまどのとおくにみえる)
カムパネルラはにわかに窓の遠くに見える
(きれいなのはらをさしてさけびました。)
きれいな野原を指して叫びました。
(じょばんにもそっちをみましたけれども)
ジョバンニもそっちを見ましたけれども
(そこはぼんやりしろくけむっているばかり、)
そこはぼんやり白くけむっているばかり、
(どうしてもかむぱねるらがいったようにはおもわれませんでした。)
どうしてもカムパネルラがいったようには思われませんでした。
(なんともいえずさびしいきがしてぼんやりそっちをみていましたら、)
なんともいえずさびしい気がしてぼんやりそっちを見ていましたら、
(むこうのかわぎしににほんのでんしんばしらが)
向こうの河岸に二本の電信ばしらが
(ちょうどりょうほうからうでをくんだようにあかいうでぎをつらねてたっていました。)
ちょうど両方から腕を組んだように赤い腕木をつらねて立っていました。
(「かむぱねるら、ぼくたちいっしょにいこうねえ。」)
「カムパネルラ、ぼくたちいっしょに行こうねえ。」
(じょばんにがこういいながらふりかえってみましたら、)
ジョバンニがこういいながらふりかえって見ましたら、
(そのいままでかむぱねるらのすわっていたせきに)
そのいままでカムパネルラのすわっていた席に
(もうかむぱねるらのかたちはみえず)
もうカムパネルラの形は見えず
(ただくろいびろうどばかりひかっていました。)
ただ黒いびろうどばかりひかっていました。
(じょばんにはまるでてっぽうだまのようにたちあがりました。)
ジョバンニはまるで鉄砲丸(てっぽうだま)のように立ちあがりました。
(そしてだれにもきこえないようにまどのそとへからだをのりだして、)
そして誰にも聞こえないように窓の外へからだを乗り出して、
(ちからいっぱいはげしくむねをうってさけび、)
力いっぱいはげしく胸をうって叫び、
(それからもうのどいっぱいなきだしました。)
それからもう咽喉いっぱい泣きだしました。
(もうそこらがいっぺんにまっくらになったようにおもいました。)
もうそこらが一ぺんにまっくらになったように思いました。