魯迅 阿Q正伝その3
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問題文
(いぜんわたしはちょうだんなのせがれの)
以前私は趙太爺の倅の
(もさいせんせいにきいてみたが、)
茂才先生に訊いてみたが、
(あれほどものにくわしいひとでもついにへんとうができなかった。)
あれほど物に詳しい人でも遂に返答が出来なかった。
(しかしけつろんからいえば、ちんどくしゅうが)
しかし結論から言えば、陳獨秀が
(ざっし「しんせいねん」をはっこうして)
雑誌「新青年」を発行して
(ろーまじをていしょうしたので)
ローマ字を提唱したので
(こくすいがほろびてかんがえようがなくなったんだ。)
国粋が亡びて考えようが無くなったんだ。
(そこでわたしのさいごのしゅだんはあるどうきょうせいにたのんで、)
そこで私の最後の手段はある同郷生に頼んで、
(あきゅうじけんのはんけつぶんをしらべてもらうよりほかはなかった。)
阿Q事件の判決文を調べてもらうより外はなかった。
(そうして1かげつたってようやくへんじがきたのをみると、)
そうして1ヶ月たってようやく返事が来たのを見ると、
(はんけつぶんのなかにあqueiのおとにちかいものはけっしてないということだった。)
判決文の中に阿 Quei の音に近い者は決して無いという事だった。
(わたしじしんとしてはほんとうにそれがないということはいえないが、)
わたし自身としては本当にそれが無いということは言えないが、
(もうこのうえはしらべようがない。)
もうこの上は調べようがない。
(そこで、ちゅうおんじぼでは)
そこで、注音字母では
(いっぱんにわかるまいとおもってよんどころなくようじをもちい、)
一般に解るまいと思ってよんどころなく洋字を用い、
(えいこくりゅうこうのほうほうでかれをあqueiとかき、さらにしょうりゃくしてあきゅうとした。)
英国流行の方法で彼を阿 Quei と書き、更に省略して阿Qとした。
(これはちかごろ「しんせいねん」にもうじゅうしたことでわれながらいかんにおもうが、)
これは近頃「新青年」に盲従したことで我ながら遺憾に思うが、
(しかしもさいせんせいでさえしらないものを、)
しかし茂才先生でさえ知らないものを、
(わたくしどもになんのいいちえがでよう?)
私どもに何のいい知恵が出よう?
(だい4はあきゅうのげんせきだ。もしかれがちょうせいであったなら、)
第4は阿Qの原籍だ。もし彼が趙姓であったなら、
(げんざいよくもちいらるるまつりのきゅうれいにより、)
現在よく用いらるるまつりの旧例に拠り、
(ぐんめいひゃっかせいにかいてあるちゅうかいどおりにすればいい。)
郡名百家姓に書いてある注解通りにすればいい。
(「ろうせいてんすいのひとなり」といえばすむ。)
「隴西天水の人也」といえば済む。
(しかしおしいかな、そのせいがはなはだしんようができないので、)
しかし惜しいかな、その姓がはなはだ信用が出来ないので、
(したがってげんせきもけっていすることができない。)
したがって原籍も決定することが出来ない。
(かれはみしょうにすんだことがおおいが)
彼は未荘に住んだことが多いが
(ときどきよそへすむこともある。)
ときどきよそへ住むこともある。
(もしこれを「みしょうのひとなり」といえばやはりしでんのほうそくにそむく。)
もしこれを「未荘の人也」といえばやはり史伝の法則にそむく。
(わたしがいくぶんじぶんでなぐさめられることは、)
わたしが幾分自分で慰められることは、
(たった1つのあのじがひじょうにせいかくであった。)
たった1つの阿の字が非常に正確であった。
(こればかりはこじつけやかこつけではない。)
こればかりはこじつけやかこつけではない。
(だれがみてもかなりただしいものである。)
誰が見てもかなり正しいものである。
(そのほかのことになると)
その他のことになると
(がくもんのひくいわたしにはなにもかもつきとめることができない。)
学問の低いわたしには何もかも突き止めることが出来ない。
(ただ1つのきぼうは「れきしぐせとこうしょうずき」でゆうめいな)
ただ1つの希望は「歴史癖と考証好き」で有名な
(こてきしせんせいのもんじんらが、)
胡適之先生の門人らが、
(ひょっとするとしょうらいいくたのしんたんしょをたずねだすかもしれない。)
ひょっとすると将来幾多の新端緒を尋ね出すかもしれない。
(しかしそのときにはもうあきゅうせいでんはしょうめつしているかもしれない。)
しかしその時にはもう阿Q正伝は消滅しているかもしれない。