半七捕物帳 勘平の死14

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岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第三話

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問題文

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(こえはいよいよひくくなったので、それからあとはよくわからなかったが、)

声はいよいよ低くなったので、それから後はよく判らなかったが、

(おふゆのすすりなきをするこえもおりおりにきこえた。こくちょうのやっつ(ごごにじ)の)

お冬のすすり泣きをする声もおりおりに聞えた。石町の八ツ(午後二時)の

(かねがひびいた。それにおどろかされたように、しょうじのうちではひとのたちあがるけはいが)

鐘が響いた。それに驚かされたように、障子の内では人の起ちあがる気配が

(したので、はんしちはふたたびなんてんのしげみにかくれると、えんをふむあしおとがちからなくきこえて、)

したので、半七は再び南天の繁みに隠れると、縁をふむ足音が力なくきこえて、

(わきちはえんづたいにしょんぼりとかげのようにでていった。)

和吉は縁づたいにしょんぼりと影のように出て行った。

(どろあしをはたいてはんしちはえんにあがった。)

泥足をはたいて半七は縁に上がった。

(それからふたたびみせへいってみると、わきちのすがたはここにみえなかった。ちょうばのばんとうを)

それから再び店へ行ってみると、和吉の姿はここに見えなかった。帳場の番頭を

(あいてにしばらくせけんばなしをしていたが、わきちはやはりでてこなかった。)

相手にしばらく世間話をしていたが、和吉はやはり出て来なかった。

(「ときにわきちさんというばんとうはさっきからみえませんね」と、はんしちは)

「時に和吉さんという番頭はさっきから見えませんね」と、半七は

(そらとぼけてきいた。)

空とぼけて訊いた。

(「さあ、どこへいきましたかしら」と、おおばんとうもくびをかしげていた。)

「さあ、どこへ行きましたかしら」と、大番頭も首をかしげていた。

(「つかいにでたはずもないんですが・・・・・・。なんぞごようですか」)

「使に出たはずもないんですが……。なんぞ御用ですか」

(「いえ、なに。だが、そとへでもでたようすだかどうだか、ちょいとみてきて)

「いえ、なに。だが、外へでも出た様子だかどうだか、ちょいと見て来て

(くれませんか」)

くれませんか」

(こぞうはおくへはいっていったが、やがてまたでてきて、わきちはおくにもだいどころにも)

小僧は奥へはいっていったが、やがて又出て来て、和吉はおくにも台所にも

(みえないといった。)

見えないと云った。

(「それからやまとやのだんなはまだおいでですか」と、はんしちはまたきいた。)

「それから大和屋の旦那はまだおいでですか」と、半七はまた訊いた。

(「へえ。やまとやのだんなはまだおくにおはなしをしていらっしゃいますようで・・・・・・」)

「へえ。大和屋の旦那はまだ奥にお話しをしていらっしゃいますようで……」

(「わたしがちょっとおめにかかりたいと、そういってくれませんか」)

「わたしがちょっとお目にかかりたいと、そう云ってくれませんか」

(ふすまをしめきったおくのいまには、しゅじんふうふとじゅうえもんとがながひばちをとりまいて、)

襖を閉め切った奥の居間には、主人夫婦と十右衛門とが長火鉢を取り巻いて、

など

(ひるでもうすぐらいくうきのなかになにかひそひそそうだんをしていた。おかみさんは)

昼でも薄暗い空気のなかに何かひそひそ相談をしていた。おかみさんは

(しじゅうぜんごのじんぴんのよいおんなで、まゆのあとのうすいひたいをくもらせていた。)

四十前後の人品の好い女で、眉のあとの薄いひたいを陰らせていた。

(はんしちはそのせきへあんないされた。)

半七はその席へ案内された。

(「もし、だんな。わかだんなのかたきはしれました」と、はんしちはこごえでいった。)

「もし、旦那。若旦那のかたきは知れました」と、半七は小声で云った。

(「え」と、こっちへむいたさんにんのめはいちどにかがやいた。 「おたなのにんげんですよ」)

「え」と、こっちへ向いた三人の眼は一度に輝いた。 「お店の人間ですよ」

(「みせのもの・・・・・・」と、じゅうえもんはひとひざのりだしてきた。「じゃあ、さっき)

「店の者……」と、十右衛門は一と膝乗り出して来た。「じゃあ、さっき

(おまえさんがあんなことをいったのはほんとうなんですか」)

お前さんがあんなことを云ったのはほんとうなんですか」

(「よったふりしてさんざんしつれいなことをもうしあげましたが、とがにんは)

「酔った振りしてさんざん失礼なことを申し上げましたが、科人は

(おたなのわきちですよ」 「わきちが・・・・・・」)

お店の和吉ですよ」 「和吉が……」

(さんにんははんしんはんぎのめをみあわせているところへ、じょちゅうのひとりがあわただしく)

三人は半信半疑の眼を見あわせているところへ、女中の一人が慌ただしく

(ころげこんできた。なにかのようがあってうらのものおきへはいると、そこにわきちが)

転げ込んで来た。何かの用があって裏の物置へはいると、そこに和吉が

(くびをくくってしんでいたというのであった。)

首を縊って死んでいたというのであった。

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