半七捕物帳 帯取りの池14(終)

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岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第八話

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問題文

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(しかしかれはいっしゅのふあんにつきまとわれて、すぐにじぶんのうちへかえることも)

しかし彼は一種の不安に付きまとわれて、すぐに自分の家へ帰ることも

(できなかった。たといじぶんがてをおろしてころしたのでないにもせよ、)

出来なかった。たとい自分が手をおろして殺したのでないにもせよ、

(おみよのしについてなにかのまきぞえをうけるのがおそろしかった。)

おみよの死について何かの連坐(まきぞえ)を受けるのが恐ろしかった。

(おおくぼのやしきのたたりもおそろしかった。しちやにほうこうしていたときの)

大久保の屋敷の祟りもおそろしかった。質屋に奉公していたときの

(もとほうばいが、ほりのうちのきんじょにすんでいるのをおもいだして、)

故(もと)朋輩が、堀の内の近所に住んでいるのを思い出して、

(せんじろうはそのあしですぐほりのうちまでたずねていった。いいかげんのうそをついて、)

千次郎はその足ですぐ堀の内までたずねて行った。好い加減の嘘をついて、

(そこにとおかほどもしのんでいたが、いつまでそのやっかいになっているわけにも)

そこに十日ほども忍んでいたが、いつまでその厄介になっているわけにも

(いかないので、かれはいくらかのろぎんをかりてふたたびえどへかえってきた。)

行かないので、彼は幾らかの路銀を借りてふたたび江戸へ帰って来た。

(それはおとくがぞうしがやではんしちにあったあくるばんであった。)

それはお登久が雑司ヶ谷で半七に逢った翌(あく)る晩であった。

(ははにたいしても、おとくにたいしても、かれはしょうじきにうちあけるゆうきがないので、)

母に対しても、お登久に対しても、かれは正直に打ちあける勇気がないので、

(ここでもまたいいかげんのうそをつくって、すじのわるいしなものをかったために)

ここでもまた好い加減の嘘を作って、筋の悪い品物を買った為に

(そのひきあいをうけるのがめいわくだから、とうぶんはせけんにかおを)

その引き合いを受けるのが迷惑だから、当分は世間に顔を

(だしたくないといった。おとくはははとそうだんのうえで、かわいいおとこを)

出したくないと云った。お登久は母と相談の上で、可愛い男を

(じぶんのうちにかくまっておいた。そのひみつははんしちにみやぶられたばかりか、)

自分の家に隠まって置いた。その秘密は半七に看破(みやぶ)られたばかりか、

(あわせてせんじろうのひみつまでもさらけだされたので、おとくはきゅうに)

あわせて千次郎の秘密までもさらけ出されたので、お登久は急に

(くやしくなった。かれはおさえきれないしっとにめがくらんで、)

口惜しくなった。かれは押え切れない嫉妬に眼がくらんで、

(いままでだいじにかかえていたおとこをはんしちのまえにつきだしたのであった。)

今まで大事に抱えていた男を半七の前に突き出したのであった。

(「それからどうしました」と、わたしははんしちろうじんにきいた。)

……… 「それからどうしました」と、わたしは半七老人に訊いた。

(「どうといってもしようがありませんや」と、ろうじんはわらっていた。)

「どうと云ってもしようがありませんや」と、老人は笑っていた。

(「それがしんじゅうのかたあいてならばげしゅにんにもなりますが、おんなはじぶんひとりで)

「それが心中の片相手ならば下手人にもなりますが、女は自分ひとりで

など

(しんだんですから、おとこはべつにかまったことはありません。)

死んだんですから、男は別に構ったことはありません。

(おもてむきにすれば、おしかりのうえでちょうやくにんにでもあずけられるのですが、)

表向きにすれば、お叱りの上で町役人にでも預けられるのですが、

(それもかわいそうでもあり、めんどうでもありますから、そのばでわたくしが)

それも可哀そうでもあり、面倒でもありますから、その場でわたくしが

(しかっただけで、まあかんにんしてやりましたよ。そこでおかしいのは)

叱っただけで、まあ堪忍してやりましたよ。そこで可笑しいのは

(それからひとつきほどたちますとね、おとくとせんじろうとなかよく)

それから一と月ほど経ちますとね、お登久と千次郎と仲良く

(ふたりづれでわたしのところへれいにきましたよ。おとこがぶじにすんだから)

二人づれで私のところへ礼に来ましたよ。男が無事に済んだから

(いいようなものの、いったんこっちへひきわたしたいじょう、もしおもい)

好いようなものの、一旦こっちへ引き渡した以上、もし重い

(とがにんになったらもうとりかえしはつきませんや。)

科人(とがにん)になったらもう取り返しは付きませんや。

(それをいってわたくしがおとくにからかいますと、おとくはまじめなかおをして、)

それを云ってわたくしがお登久にからかいますと、お登久はまじめな顔をして、

(おんなっていうものはみんなそんなもんですって・・・・・・。はははははは」)

女っていうものは皆(み)んなそんなもんですって……。はははははは」

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