おやすみレニー

(うまれつきびょうじゃくだったむすこのせかいはべっどのうえ)

生まれつき病弱だった　息子の世界は《寝具》の上

(のこされたかずだれにもつげずきざみつづけるちいさなむね)

残された数誰にも告げず　刻み続ける小さな胸

(ともだちができないあなたがさびしくないよう)

友達が出来ない　アナタが寂しくないよう

(にわにいろとりどりのはなをうえました)

庭に色とりどりの　花を植えました

(あなたのだいすきなえほんもよみましょう)

アナタの大好きな絵本も読みましょう

(いつまでもそばでだれよりもあいしているから！)

いつまでも傍で　誰よりも愛しているから！

(じょうぶにうんであげられなかったわたしをゆるしてください)

丈夫に生んであげられなかった　《母》を赦してください

(かこくなふなたびがおなかのなかのあなたに)

苛酷な船旅が　お腹の中のアナタに

(どれほどのふたんをかけたのでしょう)

どれほどの負担をかけたのでしょう

(ありがとうわたしをえらんでくれて)

｢ありがとう｣《私の胎内》を選んでくれて

(ありがとうぱぱとままにしてくれてほんとうに)

｢ありがとう｣《お父さん》と《お母さん》にしてくれて　本当に

(わたしたちふうふはいのちをかけてあなたを)

私達夫婦は　命を掛けて《大切な宝物》を

(あなたをぜったいにしあわせにするから！)

アナタを絶対に幸せにするから！

(ぐれーとふぁみんたえられたのはあにのえんじょのおかげで)

《大飢饉》　耐えられたのは兄の援助のお陰で

(ちぇーんいみぐれーしょんされどかれのしょうそくはしれず・・・)

《連鎖移民》　されど彼の消息は知れず…

(おってじゆうのくにあめりかでわたしたちがさいしょに)

追って《新天地》で　私達が最初に

(すんだまちはきんのみやこ)

住んだ街は《黄金によって栄えた都市》

(ゆめのさんふらんしすこ)

夢の《桑港》

(れなーどがうまれたときとてもなんざんで・・・)

《息子》が産まれた《朝》　とても難産で…

(しょーんはなきながら「ありがとう」となんどもきすをした・・・)

《夫》は泣きながら｢ありがとう｣と　何度もキスをした…

(それからはかぞくさんにんでよりそうようにいきてきた)

それからは家族三人で　寄り添うように生きてきた

(おっとはくすりだいかせぐためにみをこにしてはたらき)

夫は薬代稼ぐ為に　身を粉にして働き

(あずたいむごーずばい・・・)

As time goes by...

(おっとのしごとのつごうでうつりすんだまちで)

夫の《新しい仕事》の都合で　移り住んだ《山間の街》で

(むすこをきがるにあだなでよぶ)

息子を気軽に　あだ名で呼ぶ

(はじめてのともだちができた)

初めての友達が出来た

(かぼちゃあたまだなんてへんてこなあだな)

かぼちゃ頭だなんて　へんてこなあだ名

(でもあなたわかってるじゃない？)

でも　あなた分かってるじゃない？

(それがあのこのひゃくある)

それがあの子の《便宜上100としておくが無限に》ある

(かわいいところのひとつよ！)

可愛いところの1つよ！

(わたしたちはそのばんうれしくて・・・)

私達はその晩　嬉しくて…

(うれしくてなきました)

嬉しくて　泣きました

(わたしはけっこんしてもせいがかわらなかった)

私は結婚しても　姓が変わらなかった

(なぜならおっともおなじりヴぁもあ)

何故なら夫も同じ　Livermore

(えんてふしぎでしょ？)

縁て　不思議でしょ？

(まさかじょにーのせいもりヴぁもあだなんて)

まさか《初めての友達》の姓も　Livermoreだなんて

(ああかみさまってすてきじゃない？)

嗚呼　神様って素敵じゃない？

(とてもいきなえんしゅつに)

とても粋な演出に

(このときはそうおもった・・・)

この時はそう思った…

(わたしたちはそのばんおかしくて・・・)

私達はその晩　可笑しくて…

(おかしくてなきました)

可笑しくて　泣きました

(それからじょにーとふたりなにをたくらんでたの？)

それからジョニーと二人　何を企んでたの？

(ひみつにしてたつもりでしょ)

秘密にしてたつもりでしょ

(でもままはなんでもおみとおしよ)

でもママは　何でもお見通しよ

(「ねえ！れいのやつじょにーはどうするの？」)

｢ねえ！例のやつJohnnyはどうするの？｣

(「おれか？おれぁやっぱおおかみおとこだな！)

｢オレか？オレぁやっぱ狼男だな！

(おとこはいつだって、しせるがろうのじゆうをもとめるいきものだぜ？)

男はいつだって､死せる餓狼の自由を求める生き物だぜ？

(わおーん！」)

ワオーン！｣

(「ぼくもおおかみがいい！おとこのこだもん！」)

｢ボクも狼がいい！男の子だもん！｣

(「こんなおおかみおとこはいやだ、そのいち！あたまがみょうにでかい！」)

｢こんな狼男は嫌だ､その1！頭が妙にデカい！｣

(「もー！ただおおきいわけじゃない！)

｢もー！ただ大きいわけじゃない!

(せかいさいこうほうのずのうがつまっているからなのだ！」)

世界最高峰の頭脳が詰まっているからなのだ！｣

(「それはそれは！ぞんじあげておりますとも、はかせ！」)

｢それはそれは！存じ上げておりますとも､博士！｣

(「「あはははは・・・・・・」」)

｢｢あはははは……｣｣

(はじめてのはろうぃんそんなにたのしかったの？)

初めてのハロウィン　そんなに楽しかったの？

(はしゃぎすぎてしんぞうもびっくりしちゃったのね・・・)

はしゃぎ過ぎて　心臓も　ビックリしちゃったのね…

(おいしゃさまがつげたあなたにのこされた)

お医者様が告げた　アナタに残された

(すうじをきいたときめのまえがまっくらになったけど)

数字を聞いた時　目の前が真っ暗になったけど

(あんなにたのしみにしてたさいごのはろうぃんだから)

あんなに楽しみにしてた　最後のハロウィンだから

(さんざんかんがえてさんかをゆるしたわ)

散々考えて　参加を許したわ

(わたしたちはそうきめたのだれのこともうらまないと)

私達はそう決めたの　誰のことも恨まないと

(かみもじょにーもじぶんたちもふくめて)

《運命》も《友達》も　自分達も含めて

(あのこのねがおがわらっていたから・・・)

あの子の寝顔が　笑っていたから…

(おやすみおやすみれにー)

おやすみ　おやすみ　レニー

(きょうはいくつおかしもらった？)

今日はいくつ　お菓子もらった？

(ねるまえにはをみがくのよ)

寝る前に歯を磨くのよ

(じゃなきゃ・・・むしばになっちゃうから！)

じゃなきゃ…　虫歯になっちゃうから！

(あのこは、いまもどこかで)

あの子は、今も何処かで

(おわれなかったはろうぃんのつづきをしているのだとおもいます。)

終われなかったハロウィンの続きをしているのだと思います。

(かぼちゃみたいなあたまのおとこのこをみかけたら、)

カボチャみたいな頭の男の子を見かけたら、

(それはれにーかもしれません。)

それはレニーかも知れません。

(わたしのおはなしはこれでおしまいです。)

私のお話はこれでおしまいです。

(つくりばなしだとおもうのならそれでもかまいません。)

作り話だと思うのならそれでも構いません。

(それでも、あなたがねむるまえのさんびょうでいいのです。)

それでも、あなたが眠る前の三秒でいいのです。

(そのしゅんかんだけは、すべてのなやみや、にくしみ、)

その瞬間だけは、すべての悩みや、憎しみ、

(かなしみをわすれて・・・こういってもらえませんか？)

悲しみを忘れて…　こう言ってもらえませんか？

(おやすみれにー)

おやすみ　レニー